『青天を衝け』草なぎ剛×堤真一の名コンビが誕生! 栄一は身分制度への怒りをあらわに
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大河ドラマ『青天を衝け』(NHK総合)第4回「栄一、怒る」では、栄一(吉沢亮)が身分制度への怒りをあらわにする。
ペリー再来航に備えて、幕府に外様が意見する様子にいち視聴者の立場でもある徳川家康(北大路欣也)が驚きを見せる。藍農家をねぎらう宴会の日に仕切りを任された栄一が良い藍を育てた百姓を「大関」「関脇」「小結」「前頭」の順に上座に座らせることで角兵衛(渡辺哲)が「来年こそは、わしが番付の大関になってみせるんべぇ!」と奮起するなど、放送のところどころで時代の変化が顕著に表れていた。
村のまとめ役として皆から慕われている市郎右衛門(小林薫)が代官の前では頭を下げなければいけない現実に、栄一は幼い頃から「承服できっこねぇに!」と憤りを感じていた。
市郎右衛門の代わりに宗助(平泉成)とともに岡部の陣屋を訪ねた栄一は、代官である利根吉春(酒向芳)に声を荒げることとなる。百姓が汗水垂らして稼いだ金を御用金として安易に取り立てられることに納得ができなかったのだ。人を見下した態度、道理なき命令。怒りが収まらない栄一に、市郎右衛門は「それがすなわち泣く子と地頭だ」と教える。雨降りしきる中、御用金の500両を納めに行く栄一。「恐れながら! それが我々百姓の銭にございます!」と訴えるが、頭を上げるとそこにはもう利根はいない。百姓が受ける聞く耳を持たない代官からの屈辱だ。
一方、江戸では慶喜(草なぎ剛)が円四郎(堤真一)に諍臣になってほしいと告げていた。諍臣とは、おごりや過ちを諫める臣下のこと。長屋でやす(木村佳乃)と暮らす円四郎は、庶民に近い感覚を持った人物だ。変わり者ゆえに働きどころに恵まれなかったが、円四郎の才能を知る藤田東湖(渡辺いっけい)らの推薦で慶喜の小姓に。家系や身分に捉われない任命という意味では、栄一側の物語ともリンクしてくる。
ユニークなのは、不器用な円四郎に慶喜が優しく作法を教えるシーン。杓子をグーで握り、おひつから勢いよく碗に米を装う円四郎。盛られたご飯は蓋が閉まらないほどてんこ盛りに。慶喜も思わず給仕の仕方を知らないのか、年下の小姓をするのが不服なのかと尋ねるほど。答えはどちらも正解。いつも女房がそのように装ってくれると一言多いのも円四郎の人柄が滲んでいる。
そんな円四郎にも慶喜は丁寧に装い方を教授する。さらに、米の一粒一粒は民の辛苦であることから食するごとに忘れぬようにという斉昭(竹中直人)の教えから農人形に米をお供えする。その慶喜の人柄、聡明さに触れることで、円四郎は尊敬の念を抱き、一橋家に入り働き始めることとなる。慶喜のまげを結う円四郎だが、まだまだ失敗続き。それを笑って許す慶喜に、鏡越しに「すいやせん……」と謝る円四郎。ほのぼのコンビの誕生だ。ちなみに、演じる堤真一は共演する草なぎ剛について「常人離れした雰囲気があるので、慶喜にも品格とオーラを感じます」とインタビューの中で答えている(『NHK大河ドラマ・ガイド 青天を衝け 前編』より)。
第5回「栄一、揺れる」では、まだまだ怒りが収まらない栄一。異国の脅威に揺れ動く心。さらに江戸を襲う大地震によって、ある人物が命を落とすこととなる。一つの時代の転換点がやってくる。
■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter
■放送情報
大河ドラマ『青天を衝け』
NHK総合にて、毎週日曜20:00~放送
BSプレミアムにて、毎週日曜18:00~放送
BS4Kにて、毎週日曜9:00~放送
出演:吉沢亮、小林薫、和久井映見、村川絵梨、藤野涼子、高良健吾、成海璃子、田辺誠一、満島真之介、岡田健史、橋本愛、平泉成、朝加真由美、竹中直人、渡辺いっけい、津田寛治、草なぎ剛、堤真一、木村佳乃、平田満、玉木宏ほか
作:大森美香
制作統括:菓子浩、福岡利武
演出:黒崎博、村橋直樹、渡辺哲也、田中健二
音楽:佐藤直紀
プロデューサー:板垣麻衣子
広報プロデューサー:藤原敬久
写真提供=NHK