ジャルジャル、映画への挑戦で四苦八苦!? 「やりたいことだけできる」コントとの違い
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映画『半径1メートルの君~上を向いて歩こう~』が全国公開中だ。
本作は、8組24名の人気俳優、吉本タレント、クリエイターがタッグを組んだオムニバス映画。各話ごとに2人の主人公が出演し、近距離での“心の濃厚接触”を描く、各話約10分のショートストーリーで構成される。その中の一編、『まわりくどい二人のまわりくどい気持ちの伝え方は大胆でむしろまわりくどい』に、ジャルジャルの福徳秀介が脚本、後藤淳平が出演という形で参加。なかなか想いを伝えられない男女の思わずほっこりとしてしまうやり取りで観客を和ませる。
今回、リアルサウンド映画部では、ジャルジャルの2人にインタビュー。コントとの違いから、映画というフィールドでの四苦八苦の挑戦まで語ってもらった。
「ジャルジャルっぽく見えないように」
ーー今回、福徳さんは脚本、後藤さんは出演という形での共同作業となりました。
福徳秀介(以下、福徳):後藤が言うには恥ずかしいようなセリフをあえて書きました(笑)。「好きな人いる?」とか。ああいう質問はめっちゃシンプルなんですけど、だからこそ、ばり恥ずいだろうなって(笑)。後藤が女性と喋っているときに、どういう感じでいい雰囲気になるのか、付き合いは長いんですが意外と知らないので、これをきっかけにちょっと見させてもらおうかなと(笑)。あと、後藤のファンの方たちに喜んでもらえるような要素もこっそり盛り込みました。
――後藤さんはそんな福徳さんの脚本を読んでいかがでしたか?
後藤淳平(以下、後藤):セリフに関しては、素ではとても言えないことなんですけど、役を演じようと思ってやっているので、気恥ずかしさはなかったです。それより、覚えられるか不安になるぐらいの会話のラリーで、その量にまずびっくりしました。
――作品は、白石聖さん演じるヒロイン・しおりとのかけ合いが肝になっています。
後藤:白石さんが役に入り込んでいる様子を見て、僕も負けないように頑張りました。極力、ジャルジャルっぽく見えないように(笑)、白石さんと同じ画面にいてもしっくりくるように注意しましたね。僕はセリフを覚えるので必死だったんですが、白石さんは現場に入る前から完全に準備ができていました。役者の方々からすれば当たり前かもしれないんですが……。
福徳:現場で台本見た?
後藤:白石さんは全然見いひん。僕は、カメラがセッティングしている間にずっとコソコソ見てましたね。段取りというのがあるんですよ。長いシーンをカメラは回さずに2人で実際にやってみて、周りのスタッフがそれを見ながらカット割を考えるという作業なんですが、そのときに台本を読んでいると、ほんま現場が冷めるんですよ。段取りをどう乗り切るか、というのが僕の裏テーマでした(笑)。
福徳:役者さんはやっぱり入れてくるんやね。芸人はネタ合わせの癖がついているから、入れてきても忘れる。というかそもそも入らへんからな。現場で台本見られへんのは辛いよなぁ。
後藤:そうそう。僕らは実際に本人とやりながら覚えるというスタイルなので、文字だけだとどうしても覚えられなくて。一応対策として、全部のセリフを録音したんですよ。白石さんのほうのセリフもちょっと女性っぽい声で録音して(笑)。その録音したものを車の中でずっと聞いていました。だけど、いざご本人とやると、当たり前やけど僕の言い方と全然違うのでそれでパニックになる(笑)。大変でしたね。
――なるほど。一方、福徳さんは、去年11月には小説『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』を刊行しました。小説と脚本で書き方の違いはありましたか?
福徳:そうですね。勉強になりました。「ト書きってこういう風に書くんだ」とか「絶対過去形にしたらアカンのや」とか基礎的なことを学ばせてもらいました。最初は、小説みたいな書き方になっていたんですよ。でも、あとで「ちゃう、これ脚本や」と気づいて、ネットで脚本の書き方を調べてなんとかやりました(笑)。
――シソンヌさんやバカリズムさんなど、ドラマや映画の脚本を手がけるお笑い芸人も多くいらっしゃいます。
福徳:さすがにドラマや映画の脚本となると、より大勢の方の責任が乗っかってくるので今はあまり考えていないです。今回のような、2人だけが出演していて、10分間くらいの規模感が僕のメンタルにとっては限界です(笑)。実力もまだまだだと思うので。
「よりコントに専念ができる環境が整った」
――『半径1メートルの君~上を向いて歩こう~』は、コロナ禍の今こそエンターテインメントで人々を元気付けるというコンセプトです。2人にとってもコロナ禍の影響は大きかったですか?
後藤:単独ライブができなくなってしまって。その分、お客さんの前でやることの素晴らしさは実感しました。一方で、映像の分野にもより力を入れて、海外でも見てもらえるようなコントを作っていければと考えています。
――ジャルジャルと言えば、YouTubeでのコントがとにかく話題です。
福徳:YouTubeというメディアは僕たちにとってすごくフィットしていますね。やりたいことをやらせてもらって、見たい人だけが見るというシステムじゃないですか。視聴者と“両想い”になっている感じが気持ちいいですね。デビュー当時から変わらずずっとコントを作り続けてきたんですが、今はYouTubeがあることで、よりコントに専念ができる環境が整ったように思います。
――今回の脚本執筆だったり、出演だったり、コントと違うことをすることで、改めてコントの魅力に気づくことも?
福徳:そうですね。やっぱり、自分で作って自分でやるというのが刺激的だし、楽しいです。それこそやりたいことだけできるというか。
後藤:自分とは違う人になりきることが、ストレス解消にもつながるんですよ。コントは、それの極みというか。「こんなことをしたら街中でしたらまずいぞ」ということがコントではできちゃう、という痛快さはありますね。
■公開情報
『半径1メートルの君~上を向いて歩こう~』
TOHOシネマズ日比谷ほかにて公開中
『本日は、お日柄もよく』
出演:岡村隆史(ナインティナイン)×豆原一成(JO1)
脚本:丑尾健太郎
監督:山内大典
『同度のカノン』
出演:海宝直人×亜生(ミキ)
脚本・監督:粗品(霜降り明星)
『やさしい人』
出演:倉科カナ×徳井義実(チュートリアル)
脚本:高須光聖
監督:山内大典
『真夜中』
出演:小池徹平×じろう(シソンヌ)
脚本:又吉直樹(ピース)
監督:紙谷楓
『まわりくどい二人のまわりくどい気持ちの伝え方は大胆でむしろまわりくどい』
出演:白石聖×後藤淳平(ジャルジャル)
脚本:福徳秀介(ジャルジャル)
監督:山内大典
『戦湯~SENTO~』
出演:般若×秋山竜次(ロバート)
脚本・監督:品川ヒロシ
『とある家のこと』
出演:松井玲奈×山崎静代(南海キャンディーズ)
脚本:福田麻貴(3時のヒロイン)
監督:紙谷楓
『バックヤードにて』
出演:水川あさみ×近藤春菜(ハリセンボン)
脚本:上田誠(ヨーロッパ企画)
監督:紙谷楓
主題歌:「上を向いて歩こう」斉藤和義(SPEEDSTAR RECORDS)
企画・製作・配給:吉本興業
制作プロダクション:共同テレビジョン
(c)「半径1メートルの君~上を向いて歩こう~」製作委員会
公式サイト:https://hankei1m.official-movie.com
公式Twitter:@hankei1m_movie