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加藤和樹が歌い、踊り、コミカルに奮闘! イマジネーション豊かな荻田浩一演出光るミュージカル『バーナム』が上演中

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ミュージカル『BARNUM』より (c)ミュージカル「BARNUM」製作委員会/岡 千里

映画『グレイテスト・ショーマン』の主人公のモデルとしても知られるアメリカの伝説的興行師、フィニアス・テイラー・バーナムの半生を虚実ないまぜにして描き、1980年のブロードウェイで初演されたミュージカル『バーナム』。その初となる日本版が、3月6日より東京芸術劇場プレイハウスで上演されている。演出は荻田浩一、出演は加藤和樹、朝夏まなと、矢田悠祐、フランク莉奈・綿引さやか(Wキャスト)、原嘉孝・内海啓貴(Wキャスト)、中尾ミエほか。フランクと原が登板した、2日目のゲネプロを取材した。

荻田演出の舞台では、しばしば現実と虚構がシームレスに共存する。“イカサマ”で人々に夢を与えようとするP.T.バーナムの物語に、そんな荻田のイマジネーション豊かな演出はまさにぴったり。空中ブランコや象を実際に登場させることはなく、もちろんスクリーンにただ実物を映し出すような安易で無粋なこともせず。スクリーンの中では、クラウンのフィリップ・エマールが動き回っていたり、シーンにまつわるイメージ画像がアニメーション化されていたり、スクリーン自体の配置も自在に変わったり……。そうして映像が駆使される一方で、舞台上ではアンサンブルの面々が、ストーリーと直接の関係はなく随時ジャグリングを披露してもいる。この舞台そのものが、華麗な“イカサマ”の様相なのだ。

P.T.バーナムとその妻チャイリーの絆を描いてはいるが、ふたりのセリフや歌を通じてストーリーを理解させるというより、様々なイメージの連続によって彼らの日々を感じさせるような作り。それだけにキャスト一人ひとりに要求されるものは多いが、全員がしっかり作品世界の一部となっていた。特にタイトルロールの加藤は、歌って踊ってコミカルな芝居もこなす奮闘ぶり。包容力と茶目っ気を併せ持つチャイリーを造形した朝夏、いくつもの役を的確に演じ分けた矢田、一瞬も気を抜かない原の全力ぶりも印象に残った。

トニー賞で装置と衣裳部門を制した事実から想像するに、ブロードウェイ版はおそらく、サーカスをほとんど再現するような豪華でスペクタクルな舞台だったのではないだろうか。日本版が“イカサマ”になったことには、荻田がそもそも持つ特性もさることながら、スペクタクルな演出は物理的にできないというコロナ禍の影響もあったに違いない。P.T.バーナムの興行とも重なるところだが、逆境の中だからこそ生まれる作品というものがある。それもまた、コロナ禍でも演劇の灯を絶やしてはならない理由の一つなのかもしれない。

取材・文:町田麻子

ミュージカル『BARNUM』
翻訳・作詞:高橋亜子
演出:荻田浩一
出演:
加藤和樹 / 朝夏まなと 矢田悠祐
/ 綿引さやか・フランク莉奈(ダブルキャスト)
/ 内海啓貴 ・原嘉孝(ダブルキャスト)
/ 章平 工藤広夢 斎藤准一郎 泰智 福田えり 咲良 米島史子 廣瀬水美
/ 中尾ミエ

【東京公演】
上演中~2021年3月23日(火)
会場:東京芸術劇場 プレイハウス

【兵庫公演】
2021年3月26日(金)~3月28日(日)
会場:兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール

【神奈川公演】
2021年4月2日(金)
会場:相模女子大学グリーンホール

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