現実を美しく包んで…高畑充希らの「ウェイトレス」開幕、宮野真守は“生地だけ”?
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ミュージカル「WAITRESS ウェイトレス」より。(写真提供:東宝演劇部)
ミュージカル「WAITRESS ウェイトレス」が、昨日3月9日に東京・日生劇場で開幕。同日、劇場で囲み取材が行われた。
本作は、2007年公開のアメリカ映画「ウェイトレス~おいしい人生のつくりかた」をもとにしたミュージカル。2016年にアメリカ・ニューヨークのブロードウェイで幕が上がり、今回が日本初演となる。“世界一おいしいパイを焼く”主人公のジェナは、アメリカ南部にあるレストランでウェイトレスをしている。束縛の激しい夫と縁を切ろうとする彼女だったが、彼との子供を妊娠していることに気付く。やがてジェナは、産婦人科医のポマターと深い仲になり……。
囲み取材には、ジェナ役の高畑充希、ポマター医師役の宮野真守、ドーン役の宮澤エマ、ベッキー役のLiLiCoと浦嶋りんこが出席。本作をニューヨークやロンドンで何度か観劇しているという高畑は「自分が出演できるなんて『なんのこっちゃ!』という感じ」と出演を喜ぶ。上演に向けては「海外で観たときは理解しきれないところもありましたが、(台本を)読めば読むほど発見があった」「この作品は全然“お花畑”ではありませんが、キャラクターそれぞれの人生が垣間見える、豊かな作品です。ジェナのひどい夫にも注目してください(笑)」とコメントした。
宮野は初日を迎える心境を「お客様はエンタメを求めていると思うので、こんな状況ですが劇場に足を運んでくださりうれしい」と述べる。またバラエティ番組でたびたび共演している高畑には「やっと一緒にお芝居できた。充希ちゃんの演技にとても引き込まれますし、彼女の相手役をしていると自然とポマターになってしまうのが楽しくて仕方ない」と厚い信頼を寄せた。
高畑と同じく海外で本作を観劇したという宮澤は「劇場で売っていたパイをむさぼりながら大号泣して、宗教的な体験でした」と笑い交じりに回顧し、「現代の話なので、出てくるキーワードがリアルでちょっとえぐい。でもその現実世界をどう生きていく?と考えさせられるんです」と思いを口にする。さらに「ウェイトレス」のオリジナルブロードウェイ演出を手がけたダイアン・パウルスによる「ピピン」日本版に出演していた宮澤は、「ダイアンさんに『ドーンにぴったりだと思う』と言われて、社交辞令だと思っていましたが(笑)、本当に出られることにご縁を感じます」と感慨を語った。
50歳にして初のミュージカル出演を果たすLiLiCoは、段取りを覚えるのに苦労したことに触れ「私、お稽古では本当にポンコツで」と苦笑い。Wキャストでベッキー役を演じることには「Wキャストの良いところは、みんなのお芝居を観られること。先に観ちゃってごめんね、すごく良い作品なのよこれ!」と共演者たちを笑わせ、「早くお客様に届けたいです」と目を輝かせた。
同じくベッキー役の浦嶋は「Wキャストで変則的な稽古でしたが、たくさん話し合って進めてくれたスタッフさんたちへの感謝でいっぱい」と稽古を振り返る。開幕に向けては「お客様の拍手の中で上演できる喜びを噛み締めたいです。今日の初日は客席から観て、皆さんを応援します!」とカンパニーの面々にエールを送った。
囲み取材では、インタビュアーが「今の気持ちをパイに例えると?」と質問する場面も。先陣を切った浦嶋が「外側は甘いクリームで、中にはフルーツがたっぷり。そんな作品を届けたいです! ……こういう感じでどうですか(笑)?」と答えると、取材会場に笑いが起きる。LiLiCoは夫である小田井涼平(純烈)が別の舞台の本番中であることに触れて「“なんで妻がミュージカルデビューしてるのに、名古屋で別の舞台やってるんだろう?パイ”」と笑いを誘い、宮澤はPCR検査を何度も受けたことを挙げて「“ひと口で食べたらずっと健康パイ”がほしい」とコメントした。
インタビュアーに「ほかに思いついた方?」と水を向けられると、宮野は「大喜利にしないでもらえます!?」とツッコミを入れ、「“いろいろあったけど、今はパイ生地だけパイ”です。これから(作品の)中身がさらに充実し、お客様に観ていただいて僕らの『ウェイトレス』が生まれる。だから今はまだ“生地だけ”!」と回答した。
高畑は共演者たちの様子に目を細めながら「“みんなが楽しかったらそれでいいよパイ”です」と言い、「マスクをして、アクリル板越しに稽古してきました。通し稽古で皆さんがうれしそうにお互いの顔を見ていて、もうこれだけでいいなって」と感慨深げに続ける。最後に高畑は「ポップなコメディであり、同時に『かつてのあの自分をどう取り戻す?』というテーマがある作品です。ごちゃっとしたリアリティを美しいパイで包んだようなミュージカルで、特に女性に楽しんでいただけると思います」とメッセージを送った。
上演時間は休憩25分を含む約2時間45分を予定。公演は3月30日まで日生劇場、4月4日から11日まで福岡・博多座、15日から19日まで大阪・梅田芸術劇場 メインホール、29日から5月2日まで愛知・御園座にて。
ミュージカル「WAITRESS ウェイトレス」
2021年3月9日(火)~30日(火)
東京都 日生劇場
2021年4月4日(日)~11日(日)
福岡県 博多座
2021年4月15日(木)~19日(月)
大阪府 梅田芸術劇場 メインホール
2021年4月29日(木・祝)~5月2日(日)
愛知県 御園座
脚本:ジェシー・ネルソン
音楽・歌詞:サラ・バレリス
原作映画製作:エイドリアン・シェリー
オリジナルブロードウェイ振付:ロリン・ラッターロ
オリジナルブロードウェイ演出:ダイアン・パウルス
出演:高畑充希、宮野真守、宮澤エマ、LiLiCo(Wキャスト)、浦嶋りんこ(Wキャスト) / 渡辺大輔、おばたのお兄さん、勝矢、佐藤正宏 / 黒沼亮、田中真由、茶谷健太、中野太一、藤森蓮華、麦嶋真帆、渡辺七海 / 金子莉彩、御園紬、望月彩生