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平間壮一×東啓介、“地元の友達のような”ふたりが語る『イン・ザ・ハイツ』

ステージ

インタビュー

ぴあ

東啓介(左)×平間壮一 撮影:源賀津己

NYのヒスパニック・コミュニティに生きる人々の人間模様をラテンのリズムに乗せて描く、2008年のトニー賞受賞ミュージカル『イン・ザ・ハイツ』。その日本版の7年ぶりとなる再演で、主人公ウスナビ役に平間壮一が、その幼馴染のアフリカ系青年ベニー役に東啓介がそれぞれ挑む。稽古場のふたりを直撃すると、“なかなかないほど最高のカンパニー”がすでに立ち上がっているようで……?

初対面の時から空気感が合っていた

――まずはご出演が決まった時の、“楽しみだったポイント”と“不安だったポイント”をお聞かせください。

平間 楽しみだったのは、ラップができることですね。自分がずっと触れてきた文化なので。
 あ、そうなの?
平間 うん、ダンスとかのストリート文化っていう意味で。ラップ自体も、“やっていた”とまでは言わないけど、役者になる前、自分で韻を踏んだ歌詞を書いていた時期もあって。
 へ~、だからうまいんだ。壮ちゃんのラップ、マジでカッコイイっす!
平間 やったー!(笑) 不安だったのは、MicroさんとWキャストだってこと。Def Techは憧れのアーティストさんだったから、同じ役っていうのはやっぱりプレッシャーでした。
 僕は壮ちゃんと逆で、ラップは今まで全く触れてこなかった分野。だからそこが不安ポイントで、楽しみだったのは共演者の皆さんですね。特に壮ちゃんとは、同じ役をWキャストでやったことはある(編集部注:2020年『ホイッスル・ダウン・ザ・ウィンド~汚れなき瞳~』出演時)けど共演は初めてだから、新たな一面を見られるのがすごく楽しみでした。

――とても仲が良さそうですが、きっかけはそのWキャストの時?

平間 そうですね。初対面の時からなんか、空気感が合う感じがあって。稽古を通して仲が深まったというより、最初から深くてそこからずっと同じという感じです(笑)。
 年齢的にはね、壮ちゃんのほうがすごく先輩なんですけど。
平間 でもとんちゃん(25歳)が落ち着いていて、僕(31歳)がちょっと年下に見られるタイプだから、今はふたりとも28歳くらいとして接してる感じじゃない?(笑)
 確かに(笑)。自粛期間中もふたりで、毎日のように電話したりネットつないでゲームしたりしていて。大体いつも、今日の報告から始まり(笑)。
平間 何時に起きたよ~、こんなことがあったよ~って(笑)。
 だからもう、仕事仲間っていうより地元の友達みたいな感じなんですよ。
平間 そうだね。今回は役も地元の幼馴染って設定だから、すごく自然にお芝居ができていて。
 うん、本当にやりやすい。ウスナビの従弟のソニー(阪本奨悟)も含めた3人の関係性が、すでに成り立ってる感じがします。

こんなにやりやすいの初めて(東)
困っていることが全然ない(笑)(平間)

――そんな仲良しのおふたりが思う、お互いの役者としての魅力とは?

 壮ちゃんはね、ズルイんですよ。ふわ~って来てうぇ~いってやるのにちゃんと出来てて、どこでスイッチ入ったの!? みたいな(笑)。Wキャストの時もそうで「とんちゃん先いいよ~」って言うから俺からやったら、あとからパッパーってやって持ってっちゃうから、ちょっとちょっと! と思ってました(笑)。多分、自分の持ってるもので役を作るのが上手いんでしょうね。かけ離れた役を演じる時でも、自分が近寄るんじゃなく、自分を投影してやってるんだろうなって。
平間 そうですね。最初に台本を読む時から、自分がこの状況に置かれたら何て思うだろうって思いながら読んで、1回そこで自分が経験しちゃうから、演じてるつもりがあんまりないんですよね。とんちゃんはわりと、その場その場で感じたことを重視してる気がする。
 そうだね。相手が投げかけてくれたことに対して、じゃあこう行くぜ、みたいな感じ。
平間 どっちにしても、台本を教科書みたいには思ってない。そこはなんか、似た感覚を持ってるのかなと思います。台本がそのまま歩いてるみたいな芝居は目指してないというか。
 そうそう、台本通りでいいならAIが演じればいいじゃん、みたいな(笑)。そこが似てるから、今回すごくやりやすいのかな。俺、こんなにやりやすいの初めてなんですよ。
平間 僕も、困っていることが全然ない(笑)。ふたりが合っていて、ふたりともそれぞれの役に合っていて、この作品にも合ってるってことなのかな~と思います。

得意のラップでド直球になるウスナビは“こち亀”の本田速人タイプ?!

――改めて、ウスナビ役とベニー役について今、感じていることを教えてください。

平間 ウスナビはですね、難しいなと思ってるのが、「俺はこれがしたいんだ!」という明確なものがないところ。自分のホームを見つけたいっていうふわっとした夢はあるんですけど、それに向けてどう動くとかがないんです。ピュアで不器用で、なのにラップはうまいっていう設定を持ってるから、その擦り合わせが難しいなって。
 確かに。しかもラップになるとさ、結構ド直球にものを言ったりするじゃない。セリフの時は「いや……」みたいな感じなのに、ラップになると「俺はこうするんだ!」ってなる。
平間 そう! 大好きなヴァネッサ(石田ニコル)にも、普段は気持ちを伝えられないのに、ラップだと結構ストレートに言っちゃうから(笑)。
 あれじゃない? バイクに乗ると豹変する(漫画『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の)本田速人タイプ(笑)。
平間 あ~、ラップになると豹変するみたいな(笑)。日本語に訳してる難しさもあると思うんですけど、そのあたりを今は探っている最中ですね。ベニーは?
 何かをバネに生きてるな~って感じがすごくする人ですね。ウスナビに比べると分かりやすくて、ニーナ(田村芽実)と付き合いたい! 自分の会社を持ちたい! 人種差別を越えたい! っていうのがはっきりあるから、熱量は出しやすい。演じてて楽しいです。
平間 うん、楽しそう(笑)。でもベニーって、バックグラウンドはあんまり描かれてないでしょ。
 そうだね、アフリカ系なのにヒスパニックのコミュニティにいる理由が書かれてないから、そこは自分で考えなきゃいけない。今のところは、差別されることもあるけど、味方もいるから居心地がいいのかなって。それに、どこに行っても差別は受けるから、だったらここで頂点に立ってやるぜ! みたいなのがあるのかなって思ってます。

個性豊かなキャスト4名で演じる全く異なるウスナビ&ベニー

――おふたりともWキャストですが、お稽古はどのように進んでいるのですか?

 今は初日チーム(Micro&林翔太)と2日目チーム(平間壮一&東啓介)に分かれてすることが多いですね。だからMicroさんのウスナビと組む時には、ベニー像も変えたほうがいいのかもしれないなとは思います。
平間 演出・振付のTETSUHARUさんの作り方として、この役はこういう設定だからこうしてください、っていうのがあんまりないんですよ。役者の個性を引き出そうとしてくださるから、今はウスナビとベニーがふたりずついるっていうより、4つの役があるみたいな感じで(笑)。
 ほんっとそう! 翔太君と僕では、体格も声質も全然違いますし。
平間 とんちゃんは夢に熱く向かってる人で、林君は真面目な好青年っていう感じだよね。
 翔太君はなんか、頭がいい感じ。で、俺はパワープレイみたいな(笑)。
平間 Microさんと僕も持ってるものが違うから、どうしたって全くの別物になる。もちろんある程度のバランスはこれから取っていくと思いますけど、組み合わせによって全然違う関係性になるっていうのも、今回の面白さかもしれないですね。

『イン・ザ・ハイツ』のコミュニティさながらのカンパニー

――この作品の大きな魅力である、音楽についてもお聞かせださい。聴く側をノセる力が絶大だと思うのですが、歌う側としてはどんな感覚なのでしょう?

平間 僕も初演を観た時、弾まずにはいられない音楽がすごいなって思いました。それってどこから来るのかなと思っていたら、今回のキャストのエリック(・フクサキ)君っていうペルー出身の子に、向こうの人はどんな曲も「タッタッタ、ンタタ」ってリズムを取るんだって教わって。言われてみたら『イン・ザ・ハイツ』の曲って、全部にそのリズムが潜んでるんですよ。
 確かに、裏にずっといるね、そのリズム。
平間 だからマジックにかけられたみたいに乗っちゃうんだろうなって。
 歌う側の感覚ってことで言うと、稽古ピアノよりカラオケ音源のほうがやりやすいっていう珍しい作品ですね。「タッタッタ、ンタタ」を見失うと歌えなくなっちゃうんですよ。
平間 なるね~。だから今日、気持ち良かったもんね、初めてカラオケでやって。
 マジで気持ち良かった! お客さんも絶対にノセられちゃうと思います。
平間 エリック君がいてくれることで、『イン・ザ・ハイツ』の信憑性が増す気がするよね。音楽だけじゃなく、スペイン語のこととかも色々教えてもらえて、すごく勉強になってます。

――音楽以外の魅力、みどころについてはいかがですか?

平間 この作品の魅力はもうね、なんか本当、人間味!(笑) かわいい人ばっかりだけど、なかでも一番魅力的なのはやっぱりアブエラかな。
 そうだね、本当に象徴だと思う。演じる(田中)利花さんがまた、めちゃくちゃ素敵で!
平間 ね~! 利花さんが初めて稽古場に入ってきた瞬間、みんな「アブエラー!」みたいになっちゃって、帰る時には利花さんも「みんな愛してるよー!」とか言ってて(笑)。
 最高だったよね!
平間 音楽監督さんなんか、利花さんが台本を持って歌った段階からもう泣いちゃってたし(笑)。とにかく愛おしい方だなあって思います。
 しかも、パッションもめちゃくちゃあって。利花さんを中心に本当のコミュニティみたいになってて、最高のカンパニーだなって思います。なかなかないですね、稽古が終わる時「ああもうちょっとここにいたかったなあ」って思うこと。
平間 うん、なかなかない環境。稽古場に行く時も終わって家に帰る時も、“ホームに帰る”みたいな感覚になれるんです。

――最高の環境で作られる『イン・ザ・ハイツ』、まずます楽しみです! 最後に、宝くじが当たったかもしれないという場面で歌われる大ナンバー「96,000」にちなんで。もし1千万円当たったら、おふたりなら何に使いますか?

 ……とりあえず、いい家具を揃えて自分の住んでる場所を完璧にする(笑)。
平間 ああ、冷蔵庫をグレードアップさせたりね(笑)。
 あとなんか、一本の木でできた机を買ったり(笑)。
平間 そしたら僕は、ゲーム機を揃える……ヤバいな、ふたりとも答えがインドア派すぎる(笑)。でもね、1千万ってちょっと微妙じゃないですか? もっと大きな額だったら、人助けというか、きれいな水が出ない国に井戸を掘ったり出来るなぁって。
 ちょっと、そういうのやめてもらっていい? 俺がめちゃくちゃ自分のことしか考えてない人みたいになるんだけど(笑)。
平間 いや(笑)、それするには1千万じゃ足りないってことを言いたかったの。
 確かに、自分で使うしかないくらいの額なんだよね。
平間 そうそう。それなのにハイツの人たちは、当たったらカーニバルしちゃおうぜ! くらい盛り上がってて、本当にかわいいなって。だからやっぱり、この作品の魅力は人間味!(笑)
 そうだね。人間味あふれる『イン・ザ・ハイツ』、早く皆さんに観てもらいたいです!

取材・文:町田麻子 撮影:源賀津己



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公演情報
Broadway Musical『IN THE HEIGHTS イン・ザ・ハイツ』
原案・作詞・作曲:リン=マニュエル・ミランダ
脚本:キアラ・アレグリア・ウデス
演出・振付:TETSUHARU
翻訳・訳詞:吉川徹
歌詞:KREVA
音楽監督:岩崎 廉

出演:Micro、平間壮一(Wキャスト) / 林翔太、東啓介 (Wキャスト) / 田村芽実 / 石田ニコル / 阪本奨悟 / エリアンナ / 青野紗穂 / エリック・フクサキ / 山野光 / 戸井勝海 / 未来優希 / 田中利花 / 他

【神奈川公演(プレビュー公演】
2021年3月27日(土)・28日(日)
会場:鎌倉芸術館 大ホール

【大阪公演】
2021年4月3日(土)・4日(日)
会場:オリックス劇場

【愛知公演】
2021年4月7日(水)・8日(木)
会場:日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール

【東京公演】
2021年4月17日(土)~2021年4月28日(水)
会場:TBS赤坂ACTシアター

公式サイト:https://www.intheheights.jp/
チケット情報:https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2169641

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