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日本からWARPs UP RIKIMARU&SANTAも参戦 “世界”を目指す中国アイドルオーディション番組『創造営2021』

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リアルサウンド

 今年の中国のアイドルオーディション番組、ちょっと例年とは様子が違う。日本からの候補生がたくさん出演しているのだ。中国のオンラインプラットフォーム・Tencent Video(腾讯视频)で放送中の『创造营2021(創造営2021/CHUANG2021)』の90名の候補生のうち、日本からの参加者はなんと17名! 日本以外では、タイ、アメリカ、ウクライナ、ロシアから参加していて、外国からの参加者は全体の1/4を占める。

 そうなると、中国のアイドルファンたちもやっぱり黙ってはいられない。「中国のマーケットが外国人に取られるのは嫌だ」「中国語ができない候補生のデビューはありえない」など、結構きついコメントが飛び交っている。追っかけ仲間の中国人にそのあたりどうなのか聞いてみると「最終的には実力ある人が上に上がるのはみんな納得。だから、ほとんどの人が外国人とか中国人とか関係ないって思っているよ」となんともさっぱりとしたコメントだった。

 『创造营2021』は2018年から毎年一シーズン放送されている大人気のサバイバルオーディション番組。毎年春になると、中国のアイドルファンはこの番組を追いかけるのに連日忙しくなる。しかも、今年はもう一つのプラットフォーム・iQIYI(爱奇艺)の『青春有你3(Youth With You 3)』と土曜日の夜の放送時間が丸かぶりなので、比較してコメントしているファンも多い。2つのプラットフォーム、多いときは週2日放送、全て合わせると一週間で約10時間! それ以外にオフショット動画や関連番組もあるから、毎年春はアイドルファンにとって年一回の一大イベントだ。

 その2つの番組に参加するそれぞれ約100名の候補生は、各収録場所で共同生活を送りながら様々なお題に答え、番組の収録をする。視聴者は自分の「推し」にオンライン投票することで「国民プロデューサー」として番組に参加しデビューを見守る。その流れは例年通りなのだけれど、今シーズンは両番組とも新たな試みを取り入れた。『创造营2021』は前述の通り全体の1/4の外国人候補生を入れ、『青春有你3』は候補生のリアルを強調した記者会見を取り入れた。中国のアイドル候補生に「外国からの参加者」と「ガチ(リアル)」で競争を煽ったのだ。

 両番組が新たな試みを取り入れた大きな理由には、視聴者が感じる「サバイバルオーディション番組のマンネリ化」「候補生のイケメンで高身長というルックスだけ」を打破する思いがあるようだ。実際、「実力が伴った候補生がデビューすべき」とのファンのコメントも多く見られる。『创造营2021』の放送が始まると、日本人候補生へのコメントが日に日に増えているのを感じる。例えば、一回目の放送中、日中混合ボーイズコレクティブ・WARPs UPのメンバー、RIKIMARUとSANTAのダンスパフォーマンスが流れると、中国のSNS、Weiboでは「RIKIMARUとSANTAのダンスがうますぎる」とのコメントがあっという間にホットトピックの上位にランクインした。

 『创造营2021』のスローガンは「世界那么大,我们一起闯(世界は広い。一緒に切り開こうぜ)」だ。番組が「世界」という文字をスローガンに入れたのには、中国のオーディション番組、アイドル、エンタメが次のステージに進んでいることの表れなのかもしれない。中国に海外からの参加者を入れることで、中国国内のアイドル候補生やエンタメ界に刺激を与える。また、中国を越えて「世界」にアイドルやエンタメを届ける動きを強めているようにも感じる。中国のオンラインプラットフォーム・YOUKU(优酷)で2018年から放送されてきたストリートダンスバトル番組も、今年のシーズンには世界各地の実力派ダンサーの参加をアナウンスしていた。世界各国から中国のエンタメに参戦しようと競争はますます激しくなっていくだろう。

 毎年、オンライン番組から中国の流行が生まれ続けている。今年はその流行が中国を越えて世界へ向かっているのだとすると、日本はそこにうまく関与し続けることはできるだろうか? まずは、『创造营2021』からデビュー予定の11名に何人日本からの候補生が入るのかを見守りつつ、日本でも次なる一手を考える必要がありそうだ。

■小山ひとみ
中国のZ世代やユースカルチャーが得意分野のライター、コーディネーター、中国語通訳・翻訳者。『STUDIO VOICE』『装苑』『HEAPS』『美術手帖』などに執筆。中国のメディアに日本の情報も提供するなど、日本と中国の「いま」にフォーカスを当てて発信を続ける。TBSラジオ「アフター6ジャンクション」で中国のアイドル、ファッション、ヒップホップ、映画を紹介。2019年12月『中国新世代 チャイナ・ニュージェネレーション』出版。2020年12月12日中国で発売の『村上隆的芸術対談集』中国語翻訳。

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