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RADWIMPS 野田洋次郎、震災と向き合った10年で残った“感情”

音楽

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リアルサウンド

 2011年3月11日から10年が過ぎた。RADWIMPSの野田洋次郎は、この10年間、自分なりに震災と向き合ってきた。2011年3月15日にサイト『糸色(いとしき)』を開設。まずは歌うことではなく、義援金とともにメッセージを東北に届けようと呼びかけた。以降、映像作家・島田大介と制作した映像と共に、ほぼ毎年3月11日にYouTubeを通じて被災地復興の思いを込めた楽曲を発表してきている。

 3月13日放送の『3.11 10年 そしてこれから』(NHK総合)では、箭内道彦を対談相手に野田の震災への思いが明らかになった。

 震災から間もない2011年4月にRADWIMPSは葛藤を抱えたまま『絶体延命ツアー』を迎えていた。その年の8月、延期になっていた東北3県でライブツアーを開催。言葉にならない、目と目で抱きしめ合う感じ。「何かもう何も歌わなくていいんじゃないかっていうぐらい、何か音がそこにあって、お互いがこう向き合っていたらそれで……」と野田は当時の光景、感情を思い出しながら、言葉に詰まり、涙を流す。悲しみを忘れて、乗り越えて、ライブハウスにやってきた人たち。そこで飛び跳ねて、大声で叫んで歌う。その生命力、人間の強さ、逞しさを野田は受け取っていた。

 震災から10年となる本年、これまでの楽曲群に新曲2曲を加え、発表順に収録したアルバム『2+0+2+1+3+1+1= 10 years 10 songs』をリリースする。10年間の定点観測で生まれた、壮大なコンセプトアルバム。その10曲目に収録されているのが「あいたい」という楽曲だ。

 「10年間歌ってきたから、本当に歌えたというか、歌っていいのかもしれないって思えたんですよね」と野田は話す。「いろんな言葉を尽くして、いろんな音を尽くして、音楽、毎年3月11日に作ってきたけど、いろんな感情があの日を境に、もうこの宇宙を埋め尽くすんじゃないかってぐらいの感情がきっと生まれてて、だけど最後一点、何かどんな感情が最後の最後に残るんだろうと思ったら、もう会いたいだけだなっていう感覚になりました」というのが離れ離れになったいくつもの気持ちを思い描いた「あいたい」。このコロナ禍を生きる全ての人にも通ずる思いである。

 10年、節目と言っても、決して震災が終わったわけではない。風化させずに、忘れずにいること。これからも野田は、自身の中にある気持ちに向き合いメッセージを届けてくれるはずだ。