KinKi Kids、『ブンブブーン』などで見せる“もてなす力” 前例のない状況すら楽しむ姿勢
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1996年スタートの『LOVE LOVE あいしてる』に始まり、『堂本兄弟』、『新堂本兄弟』、そして現在は『KinKi Kidsのブンブブーン』(以下『ブンブブーン』、いずれもフジテレビ系)と、長きに渡り番組でホスト役を務めているKinKi Kids。音楽からバラエティに番組のコンセプトが変わったり、またゲストも俳優、ミュージシャン、アイドル、お笑い芸人と、年齢、性別関係なく様々な人々を迎えてきた。
番組のテーマやゲストが変わってもなおKinKi Kidsらしさを損なわず、ゲストに合わせた温度感で接する、2人のホスト力に注目したい。
年齢やジャンル関係なくもてなす力
『ブンブブーン』は、ゲストのやりたいことに2人が付き合いおもてなしをするロケバラエティというコンセプトで、毎回ゲストのリクエストに応えている。
2015年3月8日放送回では、新宿の飲み屋街で歌手の八代亜紀と“流し”を初体験した。堂本剛が「かなりお酒が美味しくなります」と場を盛り上げ、KinKi Kidsのギター演奏にのせて八代が「舟唄」を披露。また、同年5月17日の流し第2弾では吉幾三を迎えて神楽坂を訪れるなど、歌謡界の大先輩との共演もなんのその。『LOVE LOVE あいしてる』『堂本兄弟』などで培ったホスト力がここでも生かされている。
一方、2020年2月1日放送回では、ゲストのみちょぱこと池田美優を迎えスポーツ対決に挑んだKinKi Kids。年齢差なんと20歳と、そのギャップに改めて驚いた企画だった。相手が誰であろうと手を抜かず、真剣勝負する2人。結果的に負けを喫したKinKi Kidsチーム。堂本光一は「新手のおやじ狩りかと思った」と笑いを誘ったが、みちょぱからは「お2人がめちゃくちゃ動ける」「40代でこれすげー!」と驚きのコメントが寄せられた。
また、普段あまりバラエティに出演しないゲストに対しては特に温かく接する。女優・松本穂香が出演した2020年9月12日放送回では、演劇部に所属していたエピソードを控え目に語る松本に、剛は「どんな役やってたの?」と質問。松本が「冷凍マグロの役」と明かすと、光一も「どういうこと? どういうこと?」と興味津々に質問を重ねていた。年齢差のあるゲストへの対応もお手の物で、永野芽郁と高嶋政伸が登場した際(2020年3月7日放送回)には、みかんを一口で食べられると暴走気味な高嶋と、それに苦戦する永野の間をうまく繋いでいたのも印象的だった。
音楽を通して伝えるKinKi Kidsらしさ
2020年11月14日放送の『ブンブブーン』では、ゲストに柳沢慎吾を迎えて高校野球の応援曲を紹介。柳沢は「スタンドにも青春がある」と、高校野球の応援歌を特集。その中で、埼玉・花咲徳栄高校吹奏楽部とリモートでつなぎ、「オーメンズ・オブ・ラブ」と「サスケ」、そしてKinKi Kidsの「フラワー」の生演奏を披露した。
本来であれば、直接スタンドに応援へ行くはずだったという吹奏楽部員たち。光一は「3年生だったら最後の年になる」と部員の気持ちに寄り添い、剛も「本当に皆さんの演奏を通して一つになる力っていうものを、僕たち改めて教えてもらったような気がします」と言葉をかける。続けて「卒業されたとしても皆さんに集っていただいたりして、会えたらいいなと思いました」と語っていた。ちなみに、同年12月24日に行われた配信ライブ『X’mas with KinKi Kids gift selection 2020』で、花咲徳栄高校吹奏楽部とのセッションを実現させた2人。部員たちにとっても吹奏楽部として奮闘してきた達成感が得られ、また学生生活の思い出になる共演だったのではないだろうか。きっと約束を実現させたKinKi Kidsは、学生たちにとって人生の先輩としての手本となったに違いない。音楽を大切にしてきた彼らだけに、音楽を通して心を通わせたこのおもてなしは、何よりKinKi Kidsらしい企画だったと思う。
また、亡きジャニーさんとの思い出を語ったことも数知れず。初めてフォアグラを食べた日のこと、ジャニーさんに怒られたこと。占い回もユニークで、前世占いではKinKi Kidsは2000年前のギリシャの美人双子姉妹だったという(2019年11月30日放送回)。光一がおしとやかな姉、剛はやんちゃな妹と前世でも一緒だったとの鑑定結果も興味深かった。さらに、占い師の星ひとみによれば、光一にはフェラーリの星が入っているとも(2020年10月31日放送回)。あくまで占いの結果ではあるものの、KinKi Kidsを違った角度から知れるシーンであった。
毎回違うテーマでありながら、様々なゲストと一緒に取り組むことで一体感が生まれる。また、KinKi Kidsから語られるエピソードの面白さもあり、たとえゲストが登場しない回でも2人だけで十分番組が成立する理由の一つだ。初めて2人だけでリモート収録を行った2020年5月30日放送回や、総集編のVTR後、番組テーマソング制作の打ち合わせをした2020年6月20日の放送回などはまさにその象徴的な回だったように思う。
剛が考えたサビのフレーズを口ずさんで聞かせると、光一からミュージシャンをリモートでつないだ形の録音が提案される。剛は「音楽ができあがっていく過程も楽しいからね」とも語り、2人とも見せ方にこだわっていた。
続けて、いいフレーズを思いついたら教えて欲しいと剛。「なんとなくポンとジャニーさんが言ったことで世界がドンと動くみたいなことがあるじゃない? あの感じで言ってくれればいいかな」と言えば、光一も「ワクワクするじゃない、新しい形で。こうなっていなければこういうこと(=リモートでの楽曲制作)もできなかった」と、前例がない状況をむしろ「どうのりこえたろ!」と楽しむかのような姿勢を2人のやりとりから感じた。
どっしりと構えるKinKi Kidsだからこそ、誰がゲストでもどんなテーマでも、それらに引っ張られすぎることなく、かといって小さくまとめたり、型にはめたりすることもない。ゲストをもてなすべくゲストと一緒に楽しみ、撮影の流れを読みながら、エッセンスを加えていくKinKi Kidsの2人に、ベテランならではの手腕を感じるところだ。
■柚月裕実
Web編集者/ライター。企画、担当編集、取材・執筆してます。
日本の男性アイドルの頑張りを見ては涙する30代。
始まりはSMAP中居さん。 KAT-TUN、NEWS中心の事務所担。年中HDDの整理と原稿書きに追われています。