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藤原季節と原知佐子が共演 嘘から始まる交流描く映画『のさりの島』5月公開

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CINRA.NET

©北白川派

映画『のさりの島』が5月29日から東京・渋谷のユーロスペースほか全国で順次公開される。

同作は、京都芸術大学映画学科の学生とプロが劇場公開映画を制作するプロジェクト「北白川派」の作品。熊本・天草を舞台に、オレオレ詐欺の旅を続ける若い男と、彼を孫の「将太」として招き入れる艶子の交流を描く。「のさり」は天草地方に伝わる古い言葉で、「いいこともそうでないことも、自分の今ある全ての境遇は、天からの授かりものとして否定せずに受け入れる」という意味とのこと。当初は2020年公開予定だったが、新型コロナウイルスの影響により延期となっていた。

群れから離れるようにオレオレ詐欺の旅を続ける主人公役に藤原季節、主人公と奇妙な同居生活を送るつかみどころのない老人・艶子役に同作が遺作となった原知佐子がキャスティング。そのほかの共演者に杉原亜実、中田茉奈実、宮本伊織、西野光、小倉綾乃、水上竜士、野呂圭介、外波山文明、吉澤健、柄本明が名を連ねる。監督と脚本を山本起也、プロデューサーを小山薫堂が務め、音楽を谷川賢作、小倉綾乃、藤本一馬が手掛ける。

発表とあわせてメインビジュアルと場面写真が公開。メインビジュアルには「取り残された街のシャッターの向こうで二人の嘘はいつしか本当になる」というコピーが添えられている。

また小山薫堂、山本起也監督、評論家の上野昻志のコメントも到着した。

上野昻志のコメント

一見、とらえどころがない作品に思えるが、そこには、作り手の周到な設計が施されている。
緩やかな時間の流れ。それが、この映画をさりげなくも豊かに律しているのだ。

小山薫堂プロデューサーのコメント

新型コロナウィルスという脅威に人類が翻弄されている今。
多様な価値観を認め合うことが必要とされる今。
そんな時代に「のさり」という天草弁に出会うことで、人の心は少しだけ軽くなります。
のさりとは、良いことも悪いことも天からの授かりもの、という考え方。
それはあらゆる苦難を乗り越える力であり、自分とは違う考えを認める力であり、全てのものに愛を持って接する優しさの力です。
『のさりの島』という作品が、コロナ禍における心のサプリメントになることを信じています。

山本起也監督のコメント

嘘、という言葉はあまり良い意味で使われませんが、嘘の中でこそ救われる、ということがあると思ったのです。
あるいは、この映画の台詞を借りれば「まやかしでも、人には必要な時があっど(ある)」ということかもしれません。
オレオレ詐欺の男と、電話を受けたおばあさん。
二人がついた嘘が、寂れた街のシャッターの向こうで、いつしか本当になる。
ふと訪れた天草でこの映画の話をしたところ、そこに居合わせた方がこう答えました。
「監督、そん話、天草だとあるかもしれんばい」
この映画は天草で撮らねばならない、そう心に決めた瞬間でした。