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工藤晴香が導く“私たちの音楽”の旅 『MUSIKDHR』バースデー公演レポート

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工藤晴香『MUSIKDHR ~Adventure of My Tape~』@神奈川・KT Zepp Yokohama 写真:西槇太一

アニメ、ゲーム、コミック、声優によるリアルライブなどがリンクするメディアミックスを展開するガールズバンドプロジェクト・BanG Dream!(バンドリ!)。そのリアル・バンド、Roseliaでギターを担当する氷川紗夜役としても人気の声優でありソロ・アーティストの“くどはる”こと工藤晴香が、3月14日(日)に単独ライブを神奈川・KT Zepp Yokohamaで開催した。

本公演の1部は、ゲストにRoseliaのボーカル・相羽あいなを招いて、新型コロナウイルスへの懸念により断念された昨年開催予定であったバースデーライブの振替公演『くどはるーむ ~Birthday Party & MY VOICE MY LIVE~』を開催。トーク&ミニライブといった2部の単独ライブとは違う構成で、ファン参加型クイズから3月16日に誕生日を迎える工藤晴香の誕生祝いのサプライズまで、彼女が描いた惑星を舞台にエンターテイメント性の高い内容でファンと一緒に楽しみながら進行した。

1部後半のミニライブでは、メジャーデビュー当時の衣装で登場。ソロ・メジャーデビュー・ミニアルバム『KDHR』の曲順通りのセットリストでのライブを繰り広げ、短いステージながらもそのポテンシャルの高さを示した。ライブを通して、改めて工藤晴香はとんでもない逸材であり、本メディア「ぴあ」で以前答えてくれた日本武道館公演も、きっとそう遠い目標ではないことを感じさせてくれた。この日のステージを完遂させた体力もさることながら、デビュー1年目にして1stシングルのリリースを発表した2部後半もファンにとっては嬉しいニュースであった。そんな昼夜ソールドアウトとなった2つの公演、それぞれの魅力をお伝えしたいところだが、今回は新曲「Cry for the moon」も初披露となった、2部のライブの模様をレポートしたい。

『MUSIKDHR ~Adventure of My Tape~』と銘打った彼女の音楽の冒険は、決して独りよがりではなかった。彼女自身の言葉を借りて言えば、“My Voice”から“Our Voice,Our Live”となったステージ。その彗星の如く現れた断片に、とてつもない奇跡が見られるのではと期待してしまうのは、瞬く間に急成長を見せる恐ろしいほどの彼女の実力と、ライブ空間を創り出すマインドの高さを目の当たりにしたせいだろうか。ソロ・キャリアの幕開けを一方的に告げるライブではなく、ここから私たち誰ひとりとして取り残されることなく築かれる工藤晴香の音楽の世界が、色濃く証明された全14曲、渾身のライブステージだった。

カセットテープのスイッチを再生し、ヘッドフォンで音楽を聴く工藤晴香の映像が頭上のスクリーンに映し出される。今回のライブでさらに絆を深めた、サポートチームのKENT(G)、Yoichi(G)、Toshihiro(B)、RYOTA(Dr) がステージへ登場し、ステージは彼女のイメージカラーのブルーで塗りつぶされた。2ndミニアルバム『POWER CHORD』のジャケットと同じ衣装を身に纏った工藤晴香の単独ライブがいよいよスタートする。

今回はまずは歩幅を揃えながら徐々にヒートアップしていくであろうと予想していたステージだったが、スタートダッシュの勢いに息を飲んだ。ロックサウンドのシャワーを浴びせるようにギターをかき鳴らしながら歌う、彼女の姿は輝かしい。ミステリアスだとか妖艶といった言葉ではひとくくりにできない、愛らしい表情から声色の隅々に至るまで、ここまでステージで魅せることができる彼女は、人を虜にする天才だ。

みんなに会えたことで次の何かを生み出せる

冒頭に披露された「GROOVY MUSIC TAPE」は、擦り切れるまで聞いたカセットテープと音楽への熱い想いを胸に《鳴らしてゆく天へ 届けあの星へ》と飛躍する彼女のスタートにぴったりの1曲。跳ねるサウンドにコロナ禍の中、シンガロングはできずとも全身で胸の高鳴りを現すオーディエンスからの熱量が充分に伝わってきた。懐かしい記憶を呼び起こし、「MY VOICE」へ進むエネルギーの強さは、限りなくポジティブだ。エレクトロでアグレッシヴなステージング。彼女の想い、挑戦、全てが詰まっている『POWER CHORD』は、初期衝動を連れて表現者としての彼女の魅力をさらに引き出すキーとなる作品だ。

不協和音の旋律も優美だ。「IRON SOUND」でさらに一直線に突き進むライブ。時計の針をチクタクと進む歌詞に合わせた振りを表現する姿も余裕の表情だ。テンポが目まぐるしく変わる中、情景も《流星飛び乗ったら進む New World》という歌詞のままに、宇宙へ突入していくような勢いで振り落とされてしまいそうなほどヒートアップしていく。有観客での単独ライブ開催まで1年という長い道のりを振り返りながらロックスター・工藤晴香が音楽の冒険に連れて行くというライブのコンセプトに恥じぬステージでその情景までも操る。

“最強のバンドメンバー、来れなかった人たちの想いも載せて一緒にこの音楽の冒険にいきましょう! 最後まで共に走ろう!”と披露された「My Story My Life」。周波数へのせてその声を届けるように丁寧に歌唱したミドルバラードの「君へのMHz」。とにかく人を惹きつける求心力が凄まじい。「それぞれのPLANET」では、絵本の世界に飛び込むように煌く星が広がる。一方で、アンプの歪みが耳をつんざくように始まった「KEEP THE FAITH」では力強くダーク性を持ったミステリアスな一面も見せた。どこまでも彼女自身がその音楽を楽しんでいるのが伝わった「Thunder Beats」で距離感も縮まったところで演奏された「ROCK STAR」では、自分らしく輝くことの素晴らしさを目の当たりにし、彼女が掲げた拳が最高にカッコよく映った。

“今日みんなに会えたことで次の何かを生み出せるんじゃないかと思ったり”と口にする姿勢は、ライブは披露するのではなく私たちで創造するものだという想いを目の前のオーディエンスたちと共有していった。そして、私たちの音楽、それを共有することの大切さを刻みながら、海外へ自由に渡航できた時期に飛行機の中で歌詞を書いたという「アナタがいるから」のエピソードを話した。遠い異国の地にファンがいる不思議な感覚と、そんなファンと同じ空の下にいること。そして、彼女自身が“ファンのみんなに守られていたんだな”と気がついたこと。自身の良くも悪くも脳天気な性格を好きだといってくれるファンの温かな言葉や応援メッセージは、彼女を支え、こんな時期だからこそポジティブな言葉が力になることを、“ポジティブな声って大事なんだなって。この一言がこんなにありがたかったんだなって”と噛みしめた。

歌詞にもある《世界は美しい》という視点は、他者がいることで実感を得る、ファンの存在が変えてくれたひとつの景色。きっと、この冒険の先にもさらに美しい景色は待っている。エネルギーが宿る歌を、とても優しく歌い上げた工藤の穏やかな表情が、ポジティブなメッセージと共に鮮明に焼き付いた。

アンコールでは新曲「Cry for the moon」初披露も

ライブ終盤の「Magic Love」はパッピー全開の自身で初めて作曲したナンバーということもあり、本編を締めくくる上でも良いスパイスに。底知らずのライブに拍手が鳴り響く中で迎えたアンコールでは、新曲「Cry for the moon」を初披露。負のパワーからも目を逸らさず孤独に寄り添った。本編終盤では「Memory Suddenly」披露の後、7月に待望の1stシングルリリースと、7月25日(日)Zepp Hanedaにてリリース記念ワンマンライブ「PLANET SUMMER」の開催を発表。これまでミニ・アルバムを立て続けにリリースしてきたが、じつはシングルはこれが自身初となるだけに今からリリースが待ち遠しい。

“夏は一押しの島の惑星に連れていく。一緒にゼロから作り上げて行きたいなって思ってます。今日はありがとうございました”と述べ、最後に“私の音楽の冒険に付き合ってくれてありがとう。そして、この冒険は私のはじまりの曲で閉めたいと思う”と、「MY VOICE」でラストを締めくくった。どこにそんな力を秘めていたのか、全力でハンディタイプの撮影カメラを片手に笑顔でステージを縦横無尽に動き回る駆け回る姿も新鮮だ。ポジティブな言葉を放つ彼女の向かうところに敵なし。ロックスターとしての姿勢が、どこまでもきらびやかで眩しかった。


取材・文 / 後藤千尋
写真 / 西槇太一


【公演情報】
工藤晴香バースデーイベント・工藤晴香バースデーライブ振替公演
●1部『くどはるーむ ~Birthday Party & MY VOICE MY LIVE~』(ゲスト:相羽あいな)
●2部『MUSIKDHR ~Adventure of My Tape~』

セットリスト

1部
1. MY VOICE
2. IRON SOUND
3. それぞれのPLANET
4. Thunder Beats
5. アナタがいるから
6. Memory Suddenly

2部
1. GROOVY MUSIC TAPE
2. MY VOICE
3. IRON SOUND
4. My Story My Life
5. 君へのMHz
6. それぞれのPLANET
7. KEEP THE FAITH
8. Thunder Beats
9. ROCK STAR
10. アナタがいるから
11. Magic Love
EN1. Cry for the moon(新曲)
EN2. Memory Suddenly
EN3. MY VOICE

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