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【おとな向け映画ガイド】

米アカデミー賞主要6部門ノミネート!『ノマドランド』など、ぴあ水先案内人がすすめる4本をご紹介

ぴあ編集部 坂口英明
21/3/21(日)

イラストレーション:高松啓二

今週末(3/26・27)に公開される映画は24本。全国100スクリーン以上で拡大公開されるのは『モンスターハンター』『騙し絵の牙』『映画 きかんしゃトーマス おいでよ!未来の発明ショー!』『ノマドランド』の4本、中規模公開とミニシアター系の作品が20本です。そのなかから、ぴあ水先案内人の皆さんがオススメする4本を一挙にご紹介します。

さすらい人のアメリカ
『ノマドランド』



米アカデミー賞の主要6部門(作品、監督、主演女優、脚色、撮影、編集)にノミネートされ、いまや大本命との呼び声も高い作品です。ぴあでは9人もの水先案内人がオススメしています。

アメリカ大陸をキャンピングカーに乗って、まるでノマド(遊牧民)のように生活しながら旅をする、さすらい人たちの物語。ノンフィクション『ノマド:漂流する高齢労働者たち』を原作に、ドラマ化したもの。

60代、勤め人だった夫に先立たれ、地元企業の破たんで職も失い、ネバタ州からノマドの暮らしに入った主人公ファーン。演じているのは2度のアカデミー主演女優賞受賞のフランシス・マクドーマンドです。アメリカ映画としては小編成、25人の制作クルーが、7つの州を旅しながら撮影。マクドーマンドほか数人のプロの役者に加え、実際のノマドたちが実名で自分役を演じる、ドキュメンタリーに近いスタイルで作られました。映画のなかで語られる、彼ら自身の物語には、だからリアリティがあります。監督は中国出身のクロエ・ジャオ。

【ぴあ水先案内から】
池上彰さん(ジャーナリスト)
「……この映画は、ノマドたちを描くことで、アメリカ社会の貧困と格差を浮かび上がらせますが、それでも漂泊を生きがいにする人たちがいるのもアメリカなのです。」
https://bit.ly/38U3Rcg

笠井信輔さん(フリーアナウンサー)
「……様々な人間模様が美しい大自然の中で描かれる本作。劇場の大画面で見てこそ、その良さがわかる作品だ。……」
https://bit.ly/3vFOr4X

伊藤さとりさん(映画パーソナリティ)
「……老いた彼らの表情には人間関係からの苦しみだとか家族への愛よりも、もっと深い人類愛のようなシワが刻まれている。」
https://bit.ly/38W5git

佐々木俊尚さん(フリージャーナリスト)
「……リアルにアメリカ人の苦境とそこで培われてるたくましさを描き出している。……」
https://bit.ly/3vzzgup

佐藤久理子さん(文化ジャーナリスト、パリ在住)
「……主人公の旅路に瞠目するうちに、自分も彼女とともに新しい世界を発見していることに気付かされる傑作。」
https://bit.ly/3s1ry9U

相馬学さん(フリーライター)
「……混迷の2021年を生きる現代人にとって、ひとつの指針になるだろう。……」
https://bit.ly/3eXNW0v

高松啓二さん(イラストレーター)
「……圧倒されるのは、ノマドキャンプや国立公園のアメリカの大自然描写……」
https://bit.ly/2Qjs9Gd

堀晃和さん(ライター、編集者)
「……アメリカの新たな一面を見せられた気分になった。」
https://bit.ly/3tHKkDF

渡辺祥子さん(映画評論家)
「……雄大な景色の中で生きている孤独な自分。でも行きたい道を自分で選べる人生だ。……」
https://bit.ly/38UDhj6

大泉洋に「あてがき」したベストセラー小説を映画化
『騙し絵の牙』



大手老舗出版社を舞台にした業界内幕ドラマも、大泉洋主演だとこんなに軽快でスリリングなエンタテインメントになるのですね。『罪の声』の著者・塩田武士が大泉洋主演を想定し「あてがき」した評判の小説を映画化。一族経営の出版社にありがちな跡目争いに端を発した派閥抗争まっただなかに、外部から招かれた大泉扮する新編集長の活躍を描きます。

現社長の息子・中村倫也の後見人である常務に佐野史郎。彼は会社の看板を背負う小説誌を配下に持ちます。一方、次期社長と目される専務の佐藤浩市は“スキャンダラスな話題だろうと売れれば正義”のカルチャーマガジン担当、この2誌の社内ヘゲモニー争い。そこへ社長が逝去。がたつく社内の混乱に油をそそいだのは大泉編集長がうちだした新手です。炎上覚悟のその秘策とは……。

個性派の俳優たちが豪華に並びます。編集者役で松岡茉優、木村佳乃、小説家に國村隼、宮沢氷魚、文芸評論家に小林聡美、謎の男のリリー・フランキー、人気モデルの池田エライザなど。監督は『桐島、部活やめるってよ』の吉田大八です。

【ぴあ水先案内から】

笠井信輔さん(フリーアナウンサー)
「大満足! ほんと痛快。……ほんとに『出版業界の半沢直樹』だった。……」
https://bit.ly/3qXnCpl

相田冬二さん(ライター、ノベライザー)
「……大泉洋のダンディズムを、意外なかたちで炙り出した……」
https://bit.ly/38UFcEk

中川右介さん(作家、編集者)
「……陰謀と裏切りの二転三転は、小説以上。……」
https://bit.ly/3bVpjzr

伊藤さとりさん(映画パーソナリティ)
「……登場人物全員がしっかりと個性を輝かす場を与えられ、皆がワクワクしながら演じているのが伝わってくるから楽しいのなんの。」
https://bit.ly/3eQOPaT

堀晃和さん(ライター、編集者)
「……ぜひ『牙』に込められた意味も見逃さないでほしい。」
https://bit.ly/3s4dIUx

“水の精・ウンディーネ”の神話が現代に
『水を抱く女』



「愛する男に裏切られたとき、その男を殺して、水に還らなければならない」という、水の精(ウンディーネ/オンディーヌ)の神話を現代によみがえらせた幻想的なラブストーリーです。ミステリアスでしかも妖艶なヒロイン、ウンディーネを演じているのはパウラ・ベーア。本作品で、ヨーロッパ映画賞女優賞やベルリン国際映画祭銀熊賞(最優秀女優賞)を受賞しています。ウンディーネは歴史研究者。ベルリンにある都市開発模型を展示する博物館でガイドをしています。展示物や彼女が語るベルリンの歴史も興味をそそります。繰り返し使われる音楽はバッハの協奏曲ニ短調。細部にこだわりが感じられる、ヨーロッパ映画です。監督は名匠クリスティアン・ペッツォルト。

【ぴあ水先案内から】

佐藤久理子さん(文化ジャーナリスト、パリ在住)
「……情熱的なラブストーリーとヒッチコック風のサスペンスが融合し、先の読めない面白さに引きずられる。」
https://bit.ly/3lG0ye0

伊藤さとりさん(映画パーソナリティ)
「……驚きの連続が待ち受ける究極の愛情表現……」
https://bit.ly/3r1mK3h

野村正昭さん(映画評論家)
「……博物館にあるベルリン全体の模型や、大きな水槽などがミステリアスに絡みあい、やがて現実とも幻想ともつかない結末になだれ込む……」
https://bit.ly/3vCPSRO

首都圏は、3/26(金)から新宿武蔵野館他で公開。中部は、4/16(金)から伏見ミリオン座で公開。関西は、4/16(金)からテアトル梅田他で公開。

親子の逃避行、そして父の決意
『旅立つ息子へ』



自閉症スペクトラムを抱える息子と田舎町で暮らす父親。このまま自分が面倒をみられればよいのですが、定収入もなく、裁判所からは養育不適合と判断されてしまいます。このままだと全寮制の特別支援施設に預けることになります。入所の当日、いやがる息子をみて父は決意します。この場から逃げ、ふたりで旅に出ようと…。 東京国際映画祭で『ブロークン・ウィング』『僕の心の奥の文法』と2度グランプリを受賞したイスラエルのニル・ベルグマン監督作品。実話を基にした映画です。息子がとても個性的。例えば、チャップリンの『キッド』が好きという設定なんて、とても好感が持てます。

【ぴあ水先案内から】

佐々木俊尚さん(フリージャーナリスト)
「……単純な美しい物語にしておらず、地に足ついた現実を見据えながらつくられている……」
https://bit.ly/3c2aJ9j

渡辺祥子さん(映画評論家)
「……いつの間にか愛する息子の世話をすることが生きる目的になっている父親の姿を描くドラマだ。しかし、そんな日々に新たな扉が開く時がくる。……」
https://bit.ly/3qZXTN5

野村正昭さん(映画評論家)
「……イスラエル出身のニル・ベルグマン監督は、文化や言葉の壁を越えて我々に率直に心情を伝えてくる……」
https://bit.ly/3cJTuJg