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岡田将生ら役者陣の落語シーンは息をのむ迫力! 『昭和元禄落語心中』は演目の演じ分けにも注目

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 岡田将生が落語の名人を演じるNHKドラマ10『昭和元禄落語心中』が10月12日、いよいよ初回放送を迎える。ドラマで描かれるのは、戦争時代を生きた落語家たちの友情、嫉妬、別れ、そして親友の死を巡るミステリー。先日、放送に先駆けて行われた完成披露試写会で第1話を鑑賞した筆者が、ドラマの見どころについて紹介したい。

 原作は、累計200万部を突破した雲田はるこの同名漫画。多くのマンガ賞を総なめにし、2016年、2017年にはテレビアニメ化。関智一、石田彰、山寺宏一ら声優陣の名演が大きな話題を呼んだ。

【写真】第1話に登場する竜星涼と成海璃子

 ドラマの脚本を手がけるのは、連続テレビ小説『マッサン』(NHK総合)の羽原大介。昭和30年代、岡田演じる菊比古(後の有楽亭八雲)はライバルでもある落語の天才・助六(山崎育三郎)と深い友情を築くも、やがて助六が妻・みよ吉(大政絢)と謎の事故死を遂げてしまう。その死を巡る秘密を抱いたまま、八雲は2人の遺児・小夏(成海璃子)を引き取ることに。そして舞台は昭和50年代。小夏は、八雲の初弟子・与太郎(竜星涼)とともに、八雲がひた隠す“謎の死の真相”に迫っていく。

 見どころとして、やはり一番にあげるべきは役者陣による落語シーンだろう。クランクインは今年8月だったが、落語の稽古はその3カ月以上前から始まった。落語監修を担ったのは、人気落語家・柳家喬太郎。先日の会見で、岡田は「喬太郎師匠に一対一で稽古をつけてもらえるなんて、こんなに贅沢なことはない」とも語っていたが、落語のおもしろさを落語を通して知ることから始まり、岡田、山崎、竜星は多忙の中、懸命に稽古に励んできた。

 第1話で描かれるのは、八雲に弟子入りした与太郎の葛藤、八雲と小夏の関係性が中心となるが、随所に登場する落語シーンは、息をのむほどの迫力。落語は、どの噺家がしゃべるかによってまったく別のおもしろさがあり、八雲はクールでじっくりと聞かせる落語、助六は人を惹きつける笑いのある落語、与太郎は若さ溢れるパワフルな落語をそれぞれ披露。落語シーンに突入した際の臨場感、さらに、各噺家の個性も大きな見どころとなるだろう。また岡田は会見の際、「(八雲が)年を取ってからの『死神』と、若いときの『死神』が全然違う」とコメントしているだけに、同演目の演じ分けにも注目したい。

 ドラマは過去と現在が交錯する物語であり、岡田は10代から老年までの八雲を演じる。第1話は現代パート(昭和50年代)から始まるため、そこに映し出される岡田は、笑顔がかわいいいつもの彼とはまるで違う。白髪まじりの頭といったビジュアル面のみならず、貫禄あるゆったりとした動きと口調、他を圧倒する存在感など、その場の空気をも含めて名人・八雲を体現。一方、ふだんはミュージカル界のプリンスと称される山崎も、本作では小麦肌の天才落語家へと180度方向転換。山崎自身が「喬太郎師匠から『うまく歌うな』と言われたが、下手に歌うのが難しい」と、複雑な胸中を語った『野ざらし』をはじめ、その熱演に期待してほしい。

 『昭和元禄落語心中』は、若者に訪れた落語ブームの火付け役。原作・アニメは落語家からも絶賛の声が上がっており、今回、満を持して実写ドラマ化となる。人気俳優陣が紡ぐ映像を通じて、落語になじみのない視聴者も、決して華やかなだけではない落語の世界を、気張らず堪能できるところも魅力のひとつ。そして、人間味溢れる骨太なストーリーが、このドラマの支柱となることは言うまでもない。刑務所あがりの与太郎が、人として落語家として成長していく姿に心温まる一方で、現実世界に引き戻すかのように、助六の死を巡るミステリーが顔を出す。加えて、要所要所に映し出される落語シーン。その緩急に、誰もがきっと引き込まれるに違いない。

(nakamura omame)