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豪華ゲスト出演はどう実現した? 『俺の家の話』磯山晶Pに聞く、その裏側と長瀬智也の存在

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リアルサウンド

 『俺の家の話』(TBS系)での長瀬智也と西田敏行の親子のやりとりに笑いと涙が止まらない。

 本作は、全盛期を過ぎた42歳のプロレスラー・観山寿一(長瀬智也)が、能楽の人間国宝の父親・観山寿三郎(西田敏行)の介護をするために実家に戻り、「悩み」を抱えながらも「喜び」を感じて生きていく家族の姿を描いた新しいホームドラマ。

 主演の長瀬智也、脚本の宮藤官九郎、チーフプロデューサーの磯山晶の3人が連続ドラマを手掛けるのは、2000年の『池袋ウエストゲートパーク』(TBS系)、2005年の『タイガー&ドラゴン』(TBS系)、2010年の『うぬぼれ刑事』(TBS系)に続いて本作が4作目となる。

 残すところあと3月26日放送の第10話のみとなった『俺の家の話』。今回、最終話を目前にチーフプロデューサーの磯山晶に、阿部サダヲが出演した「潤 沢」回や、長瀬がマスクで涙を拭った第7話など、これまで放送された回の裏側や、ドラマ作りにかける思い、そして最終話までを通して伝えたかったことについて話を聞いた。

これからの長瀬くんも見たい

ーー視聴者からの反響はどのように届いていますか?

磯山晶(以下、磯山):放送が始まる前は、介護というテーマが重くて、皆さんにちょっと避けられてしまうのではと思っていたんです。でも、現在、介護をされていない方も、自分たちの両親や、今後の自分も近い将来こうなるのかもしれないと前向きに受け止めていただいている反応が多くて嬉しいです。作品のメッセージを受け止めて、前向きに捉えてくださってる方が多いなと感じています。

ーーこの現場での長瀬さんの姿は、磯山さんにはどう映っていますか?

磯山:役への準備を早くから始めていて、完成度も高い仕上がりで、そのことにも感動していたんですが、今回、宮藤さんと長瀬さんの相性がバッチリだと改めて感じました。宮藤さんが書いたことをさらに面白くするための努力を長瀬くんがしてくれていて、ギリギリまで真剣に考えて、いろんなアイデアを自分の体を使って出してくれています。完璧主義というか、高い得点をどんどん狙っているというか。

ーーこれまでも長瀬さんはそういうタイプだったのでしょうか?

磯山:もともとそういう方でしたが、その幅が広がった気がします。急に一点を見つめて、じーっとしてるときはだいたいどうしたら良くなるかを考えていますね。第7話のオープニングでさくら(戸田恵梨香)に好きと言われたことを思い出したときの回想戻りの顔をあやかしの顔にするとか、本当にちょっとした表情とかでもアイデアを出してくれます。それと、第7話のマスクで涙を拭くカットが素晴らしくて。本番で急に長瀬くんがやったのですが、後で聞いたら、練習をしてきたわけじゃないと。もしかしたらそういうやり方もあるなとは思ってたけど、その場でちょうどいい感じに涙が出たから、ちょっとやってみたらうまくいったと話していました。

ーーまさに長瀬さんの“集大成”と言える演技になっていると。

磯山:長瀬くんは『池袋ウエストゲートパーク』のとき21歳で、『タイガー&ドラゴン』のときは27歳、『うぬぼれ刑事』が32歳。そして今、『俺の家の話』が42歳。彼のその時々の年齢に合わせて、違う表現の仕方があるんだなと感じています。本人はあんまり意識してないと思うんですけど、今までいろいろな経験を積んできたものを全部出して、今、42歳のいい男という姿を見せてくれているのではないかなと。50歳、60歳……とこれからの長瀬くんも見たいと思いました。


ーー本作の長瀬さんについて、宮藤さんと話はしましたか?

磯山:宮藤さんのドラマに長瀬くんが出演するときは、ちょっと変わったキャラクターが多かったんですが、今回の寿一は最も普通というか、なんでそんなことするの? というようなことはしない人ですよね。モノローグで、なんでそうなったのかとか葛藤なども自分で喋っているというのもありますが、長瀬くん本人の素に一番近い気がしています。長瀬くんに聞いてないので本当のところは分かりませんが、私たちが想像する長瀬くんに寿一が近づいているようでもあるし、宮藤さんの脚本もだんだん長瀬くん本人が本来持っている気質に近づいていってるような気がします。

どうせなら知ってるあの人に頼んでみよう

ーーさくら役の戸田恵梨香さん、寿三郎役の西田敏行さんの演技も話題になっています。

磯山:さくらは難しい役だと思うんですけど、戸田さんが、捉えどころのない魅力というものを上手に体現してくださっているなと思います。西田さんは、歌声から裸まで、今の年齢のそのままの自分をさらけ出してくださっているというか。長瀬くんとのお芝居が生き生きしていて、本当に長瀬くんが好きなんだなと思うんです。ノリに乗った西田さんが見れて、とても幸せです。

ーーここまでのシーンで、磯山さんご自身が特に印象に残ってるシーンはどこでしょう?

磯山:一番楽しかったのは、第6話の「潤 沢」のステージですね。『恋する母たち』(TBS系)で阿部サダヲさんが、役で落語をやっていて、そのときの「まんじゅうこわい」という演目を西田さんが『タイガー&ドラゴン』でやっていたんです。その動画を西田さんに送ったら、「『俺の家の話』にサダヲちゃんを出してほしい」と言われて。寿一たちが、スパリゾートハワイアンズに行って、そこにいるゲストの人と交わることで何か面白いことを起こしたいという物語の構想はあったので、そこで阿部さんをゲストで出すには……と話し合ってるうちに、「潤 沢」がいいねとなりました。

ーー阿部さんや佐藤隆太さんをはじめ、長瀬さんと宮藤さんと縁のある方がゲストで多数出演しています。

磯山:最初はカメオ出演をお願いすることに消極的だったんですけど、第8話くらいの台本が出来てからこの役を誰にしようか考えるときに、だんだんとあまり知らない人にやってほしくないなと思ってきて。どうせなら知ってるあの人に頼んでみようとダメ元でオファーしました。佐藤くんは宮藤さんに直接、「出してください!」と話があったそうで、「整形外科医しかないけどいい?」って言ったら「いいです」と言ってくれたのでお願いしました。

ーー『恋する母たち』をはじめ磯山さんがこれまで描いてきた作品の特徴の中に、“家族”や“生き方”に対して、様々な視点を新たに視聴者に与えている印象があります。

磯山:私が若い頃に観ていたテレビドラマは、意外と登場人物たちがいろんな間違いを犯して、「やだやだ、また失敗しちゃって」とテレビに突っ込んでいたような気がするんですけど、最近の風潮として、主人公に正しさを求められることを感じていて。例えば『恋する母たち』のときは、不倫する人はしてしまうけど、その人が断罪されるだけだとつまらないなと思っていました。『俺の家の話』も家業を継がなきゃいけないのに、25年も帰らない人って間違っていると思うんですけど、そういう人が親が病気だってことで帰ってきて、親の最後だけでも看取る行為をして、そこから改めて生き直してもいいんじゃないかなって。真っ当に一度も失敗せず、間違いなく生きることだけではないほうが、いろんな人生の多面性が見えるような気がするので、ドラマはそういう側面を描けたらいいなと思っています。

ーー最終回の見どころをお願いします。

磯山:最終回は、第8話からずっと練習している「隅田川」という演目をやります。お能は、演目とドラマをリンクさせるのが難しい芸能でしたが、「隅田川」は親子の生き死にをテーマとして取り扱っているので、それが効果的に活きています。そして、寿一が観山家にとってどういう役割を果たしているのかがはっきりします。茶の間のシーンで「いただきます」と寿一が言う、それが“長男っぽい”というのが、このドラマのテーマでもあって、そこが最終回に向けて一つのフックになっていたり。観ている人にとって、寿一の生き様が良いものになるといいなと考えて作ってきたので、人と人との関わりの意味を改めて提示できたらいいなと思います。

■放送情報
金曜ドラマ『俺の家の話』最終話
※15分拡大スペシャル
TBS系にて、毎週金曜22:00〜22:54放送
出演:長瀬智也、戸田恵梨香、永山絢斗、江口のりこ、井之脇海、道枝駿佑(なにわ男子/関西ジャニーズJr.)、羽村仁成(ジャニーズJr.)、荒川良々、三宅弘城、平岩紙、秋山竜次、桐谷健太、西田敏行
脚本:宮藤官九郎
演出:金子文紀、山室大輔、福田亮介
チーフプロデューサー:磯山晶
プロデューサー:勝野逸未
編成:松本友香、高市廉
製作:TBSスパークル、TBS
(c)TBS

■『俺の家の話』最終話(3月26日(金)21:00〜放送)あらすじ
グループホームを抜け出し観山家にやってきた寿三郎(⻄田敏行)は、3度目の脳梗塞で危篤に……。多くの門弟や家族たちに囲まれ、最後の時を迎えようとしていた寿三郎の前に、今まで正体を隠してきた寿一(⻑瀬智也)がスーパー世阿弥マシンとして現れる。そして「肝っ玉! しこたま! さんたま!」の掛け声で、奇跡的に寿三郎は一命を取り留める。そして寿一は新春能楽会で舞う予定の「隅田川」の稽古に励んでいた。