Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
ぴあ 総合TOP > fhána、ファンの声を重ねた新作で伝えたいこと 2つの「Ethos」制作の裏側

fhána、ファンの声を重ねた新作で伝えたいこと 2つの「Ethos」制作の裏側

音楽

ニュース

リアルサウンド

 fhánaが、3月12日に配信シングル『Ethos』をリリースした。表題曲は昨年12月開催のオンラインライブ『fhána Sound of Scene ONLINE “Ethos”』にて初披露され、楽曲はもちろん、そのパフォーマンスにはfhánaのこれからの在り方が示されていたように思う。さらに、今作には募集によって集まったファンのコーラスを重ねた「Ethos Choir caravan feat. fhánamily」も収録。まさにfhánaとファンの想いが凝縮された作品となっている。

 新型コロナウイルスの影響により日常と非日常の境界線が曖昧になった2020年、そしてそれは2021年を迎えてもなお続いている。そんな日々の中で音楽を生み出し続けるtowanaと佐藤純一に、2020年から現在に至るまでの心境、今作の制作背景などを聞いた。(編集部)

「Ethos」はファン含めてみんなで作る曲にしたかった

ーー前回は佐藤さん単独のインタビューで、towanaさんの取材は約1年ぶりとなるので、まずは特殊な1年となった2020年を振り返ってもらいたいと思います。

towana:……つらい1年でした。特に、4月〜6月くらいが一番つらかったです。いまはコロナと付き合いながら生活をしていかなければならない状況になっていますが、当時は世界中が初めての事態に直面していて、外に出ることもできないし、ライブも無くなってしまいましたし、私はこれから歌えなくなってしまうのか? という不安や苦しさに襲われる日々でした。結果的に、オンラインライブは2回開催することができましたが、12月の『fhána Sound of Scene ONLINE “Ethos”』の最後の曲(「gift song」)で1年を思い返しながら歌っていたとき、一番最初に浮かんだのは「今年1年つらかったな」という思いでした。

――「gift song」を号泣しながら歌唱していたシーンが印象に残っていたのですが、そういった感情によるものだったのですね。そこから『fhána Sound of Scene ONLINE “Ethos”』で披露した新曲「Ethos」や、ファンのコーラスを募集して作った「Ethos Choir caravan feat. fhánamily」のように、みんなと歌でつながることを通して、少しは前向きになれましたか?

towana:はい。オンラインライブは、みなさんから私たちの顔はわかるけど、私たちからは見えないことが少し寂しくて。以前なら会場にいて、顔を見て歌えていたので、そういう当たり前だったことができなくなった寂しさはなかなか拭えなかったんです。でも、「Ethos Choir caravan feat. fhánamily」で400本以上のファンの方の声を1本1本聞きながらレコーディングして、本当に生身の人間がそこにいるような実感がすごく湧いてきたんです。日本中の、もしかしたら世界中のふぁなみりー(fhánaファンの総称)のみなさんが、家やスタジオで練習して、録音して送ってくれたんだと思い、かなり慰められました。

ーー佐藤さんに聞きたいのですが、「Ethos」はそういったポジティブな効果をもたらす楽曲として作り始めたんですか?

佐藤純一(以下、佐藤):結果的にそうなった、と言えるかもしれません。昨年7月に行った最初のオンラインライブ(『fhána Sound of Scene ONLINE “Pathos”』)が終わったあとは、色んなものが同時に走っていて。まずは、ほかアーティストとのコラボ企画。fhánaの裾野を広げるために、色んなジャンルのアーティストとコラボするような企画を定期的にやっていきたいという話が1つあって。それとはまた別に、すごく大変だった2020年を締め括るような曲を作りたいということ。「Pathos」は4人だけで演奏を完結して、ミックスもマスタリングも全部自分がやって、歌詞もtowanaが書いて、だから最小人数で作った曲なんです。対して「Ethos」は、みんなで作る曲にしたいなと思って。ファンの皆さんの声を募集して、それを重ねるような曲ーージョン・レノンの「Happy Xmas(War Is Over)」のような曲を作りたいと思ったんです。あと、1度目のオンラインライブで可能性を感じたので、もう一度年内にはライブをやろうと決めていましたし、それらとはまた別にスクウェア・エニックスさんとサンリオさんによる『SHOW BY ROCK!! Fes A Live』とのコラボで新曲を作る、というお話もいただいていたんです。

ーーかなり大変な期間だったんですね。

佐藤:そういう状況も加味して、「Ethos」の制作はかなり大変でした。「Pathos」を作った1度目のオンラインライブの準備期間は「世の中がガラッと変わったタイミングだからこそ、何かすごいことをやらなければ」という使命感があり、かなりハイな状態になっていたから、制作も順調に進んだんです。ただ、今回の準備期間だった秋から冬にかけての期間は、世の中のムードが半端な状態になっていたというか……。

ーーたしかに、コロナの感染者は目減りしたもののゼロに近い数字にはならず、少しずつ外出をするようになりましたが、寒くなるにつれ感染者が微増していったことで「このあとどうなるんだ……?」と身構えていました。

佐藤:エンタメも、映画は上映しているし外食もできるし、有観客ライブも少しずつ再開しているものの、ここから一気に、というよりはなし崩し的に始まりましたよね。

ーーそういう状況なので、ライブを行う基準はクリアしているものの実施に踏み切れないというアーティストさんも多かった気がします。

佐藤:このまま「あれ、そういえばコロナってどうなったんだっけ?」と、フェードアウトしながら元の世の中に戻っていくのかなとモヤモヤしていたのが、去年8月から10月にかけての時期だったんです。そうなると、2020年を総括する曲を作ろうとしたときに「2020年がどういう年だったのかつかめないな」と、迷いも生まれたんです。11月末から12月にかけて、ようやく「Ethos」の制作が前に進み始めました。そのくらいの時期から、この危機的状況がしばらく続くだろうという深刻なムードが世の中を覆って行きました。そうなってようやく「2020年は悲しい年だった」とつかめたんです。「Pathos」は哀愁や悲しさもあるけど爽やかさもあるニュートラルな曲ですが、「Ethos」はより物悲しさが前面に出る曲になりました。

ーーそれで「Ethos」がライブに間に合ったわけですね。

佐藤:じつはかなりギリギリだったんです(笑)。元々は今回リリースする「Ethos Choir caravan feat. fhánamily」を12月のライブで披露しようという話になっていたんですが、コーラスを集める期間がないということもあり、2021年から始まるコラボ企画の第一弾として、ファンのみんなとのコラボ曲としてリリースできるなと。進めていた2つの企画が融合したんです。

ーーなるほど、「Ethos」と「Ethos Choir caravan feat. fhánamily」は、後者を先に作る予定で進んでいたんですね。

佐藤:というか、2つのバージョンを作る予定はなく、ファンのコーラスを重ねた曲、ひとつを作るつもりでした。ただ、歌のプリプロレコーディングやtowanaのコーラスを録ったり、アレンジを詰めていくなかで、これはこれでfhánaの曲として完成したなと思い、ファンの方のコーラスを重ねたバージョンは別に作ろうということになりました。

ーー「Ethos」という曲名は、もともとライブに銘打ったものでもありますし、「Pathos」と「Logos」があった時点である程度予想のつくタイトルでした。この3つはアリストテレス『弁論術』においてセットで語られる言葉ですよね。

towana:私はそんな流れにするつもりもなく、ただ書いた歌詞をもとに「Pathos」と付けたんですけど(笑)。

ーーあれ、そうなんですか!

towana:この曲を聴いた林(英樹/fhána楽曲の大半で作詞を担当)さんが、ライブに向けて「Logos」を書いてくださって。そうきたら次の曲は「Ethos」でしょう、という流れです。

佐藤:僕は「Pathos」というタイトルを聞いたときに真っ先に『エヴァンゲリオン』が思い浮かびましたね(笑)。

ーーそんな流れがあったとは。「Ethos」の制作については、ある漫画が突破口にもなったそうですね。

佐藤:先ほどお話しした流れで楽曲は完成したんですが、林くんの歌詞がなかなかまとまらなくて。そもそも「Ethos」というワード自体、捉えどころがない言葉なので。「習慣」という意味を持つ言葉ではあるんですが、それを踏まえて、オンラインミーティングやオンラインライブなど、人々の習慣が変わっていくなかで、失うこともあるけど新しく始まる習慣もあるという歌詞にしようと思ったんですね。でも、最初は道徳の教科書のような歌詞になってしまって、ちょっと真面目過ぎるなと。それでずっと突破口を探していたんです。最初からあった〈どこまで行けばいい? 深い闇をくぐり抜けて〉あたりの歌詞にすごくエモーショナルなものを感じていて、ちょうどリアルタイムで読んでいた漫画とすごくリンクして。その漫画の物語や登場人物と、歌詞の方向性が噛み合って、さらにtowanaらしさもあるように感じたんです。「Ethos」のプリプロレコーディングが前日に迫るなか、林くんに「その漫画を読んでください」と電話で話して、林くんが一夜にして全巻読破し、一気に歌詞をまとめあげてようやく「これだ!」というものに着地できたんです。その漫画は何かは、ぜひ歌詞などを読んで皆さんで考察してもらえると嬉しいです(笑)。

fhána – Ethos (Official Music Video)

towana、佐藤純一が見据えるfhánaのこれから

ーー紆余曲折を経て完成した「Ethos」ですが、ライブ後にはコーラス募集企画がスタートしました。個人的には、最初に企画の内容を聞いたときに想像していたコーラスパートとは段違いの難しさで……(笑)。

towana:私もそう思いましたけど、fhánaの曲自体が難しいので、コーラスだからといって簡単なはずがないんですよ(笑)。

佐藤:音程の取り方もシンプルではないですからね。

ーーでも、結果的に400本を超えるコーラスが送られてきたと。

towana:私は「この難しさだと、3人くらいしか送ってくれないんじゃないか……?」と心配していたので、すごく嬉しかったです。私が好きなアーティストーー例えばスピッツさんで同じような企画があったとして、応募しようとするものの、大変だなと思うはずなので、みなさんがそれを乗り越えてくれたことが、本当にすごいと改めて感じました。

佐藤:僕もさすがに3人は無いとしても30人くらいかなと思っていたのですが、総勢179人が参加してくれて、456本ものコーラスが届き、嬉しい誤算になりましたね。

ーー実際にコーラスデータが並んだ光景を見て、どう思いましたか?

towana:あんなにたくさん波形が並んでいる光景自体を初めて見ましたし、一つひとつのファイル名にファンの方々の名前が付いているのを見て、すごく感動しました。

ーーオンラインライブを見ることはできるけど、声を本人たちに届けるのは有観客ライブじゃないとできない行為なので、そうしてfhánaのみなさんに声を届けることができるなら、参加してみたいと思うのは必然なのかもしれませんね。「元気でやってるよ!」というメッセージとしても受け取れそうです。

towana:皆さんとは1年も会えていないので、たしかにそうかもしれません。そう思うと、ますますありがたく感じてきました。

ーーそうして集められたコーラスが鳴り響く「Ethos Choir caravan feat. fhánamily」の冒頭は圧巻でした。最初からこのようなゴスペル風のアレンジにする予定だったのでしょうか。

佐藤:12月のオンラインライブを告知するティザームービーを作る際に、BGMとしてオリジナルバージョンのなかからtowanaのコーラス部分だけを抜き出して少しアレンジしたら“クリスマス感”があったので、グロッケンのような音やストリングスを入れてみたら、よりそのエッセンスが強くなって。「Ethos Choir caravan feat. fhánamily」を作ろうと思ったときに、その構成をイントロに持ってきてコーラスを重ねたらすごくいい感じになったので、それを最大限に活かしたアレンジをしていくようになりました。

ーー「Ethos Choir caravan feat. fhánamily」は、ストリングスやコーラスがフィーチャーされたことにより、歌の持つ本来の力がすごく引き出されているように感じました。歌詞についても、先ほど話していたような悲観的なムードがなくて、救いのある曲だと思える聴こえ方をしているのが印象的でした。

佐藤:たしかに、同じ歌詞やメロディでも違うように聴こえるアレンジになりました。

towana:暖かさが出ていますよね。

佐藤:最初はオリジナルバージョンの「Ethos」にストリングスを入れるつもりだったんです。でも、ストリングスもファンのコーラスも無い状態で、こちらはこちらで完成形を見てしまった。その分、“Choir caravan”バージョンでは、ストリングスがとても重要なパートになりました。

ーーなるほど。

佐藤:僕にとってストリングスっていうのは、歌に近いんですよね。歌に対してのカウンターメロディであり、歌と同じように抑揚がある。“Choir caravan”バージョンは、“towanaの歌”、“ファンのコーラス”、“ストリングス”、この3つのメロディラインで構成されているんです。だからすごく気合を入れてアレンジしましたし、メイキング映像を再構築したミュージックビデオでも、ストリングスのレコーディング風景はかなりフィーチャーされています。

fhána – Ethos Choir caravan feat. fhánamily (Official Music Video)

ーー「Ethos Choir caravan feat. fhánamily」の“caravan”という表現は、どこから思いついたんですか?

佐藤:林くんが、「旅の途中で一時集合して同行するみたいなイメージ」だから“transit”とか“crusing”とか“caravan”とか付くタイトルが良いんじゃないか、と言っていて。キャラバンも含めていくつか候補となるワードを挙げてくれていたんです。その中でもキャラバンは、砂漠を身を寄せ合って集団で進んでいくわけで、「砂漠」と言えば旧約聖書的なイメージも感じるし、良いんじゃないかなと思って。そうしたらミュージックビデオでも、冒頭の英語コーラス部分の歌詞のレイアウトが、映画『十戒』に出てくる石盤みたいになっていて。監督にそのことを聞いたら「キリスト教的、聖書的なものを感じたから思わずそうした」という話をされていましたね。

 思い返せば、fhánaの曲のいくつかでは、砂漠というモチーフを使っているんですよ。「World Atlas」の〈赤い砂漠〉という歌詞もそうですし。ユダヤ教、キリスト教、イスラム教といった一神教は砂漠から生まれた宗教ですし、砂漠には、旧約聖書的なイメージをすごく感じるんです。ちなみに〈赤い砂漠〉は『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』のラストシーンがモチーフになっています。赤い砂漠で、アスカが無気力になっているシンジの手を引っ張って、そこを綾波レイが後からついていくーーあのラストが本当に印象に残っていて。『エヴァQ』はfhána結成直後に見たので、その後の創作にかなり影響を与えていますね。そんな『エヴァ』が今日終わってしまったわけなのですが……(註:取材は3月8日、『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』の公開日。佐藤は当日朝に同映画の初回上映を鑑賞してから取材に臨んだ)。

ーー歌に関しては、towanaさんのボーカルが2バージョンで大きく変わっているなと感じました。「Ethos Choir caravan feat. fhánamily」では、原曲の「Ethos」よりも、どこか柔らかくなっているなと。

towana:ボーカルの録り直しをする際に、どういう風に違いをつけたらいいんだろうと思っていたのですが、いざ録り始めてみたら、ストリングスのアレンジやみんなのコーラスに導かれるように歌うことができて。キャラバンの隊長として、しっかりコーラスをリードできたと思います。

ーー笑いながら歌っているのを感じるくらい、表情が見えるボーカルでした。

towana:みんなの声を聞きながら録ったら、たくさんの人の存在を感じて……1テイク目はすごく涙声になってしまいました。でも、最終的には微笑んでいるような声になったと思います。ちなみに、この時にオリジナルバージョンのボーカルも録り直したんですが、最終的には去年録ったプリプロのボーカルが使われているんです。私としては、仮歌だと思ってさらっと歌ったつもりなのですが、本番用がお蔵入りになるという(笑)。

ーーニュートラルな状態で録った1テイク目が結果的に一番良かったというのは、音楽制作において時折ある話ですよね。

佐藤:プリプロのつもりとはいえ、かなり細かくディレクションして録ってはいたんです。簡単なキーチェック程度のものではなく、クオリティの高いプリプロを残しておこうと思って。本番用に録り直したテイクと何度も聴き比べたんですが、最初のテイクは確かに荒削りなところはありますが、切実な訴求力があって、2020年を総括するというコンセプトで作ったオリジナルバージョンに相応しいと判断しました。それに、本番用に録ったテイクは「Ethos Choir caravan feat. fhánamily」に近く、切実さよりも希望を感じるニュアンスだったので、2つのバージョンで差別化する意味でも、プリプロの方のテイクがピッタリかなと。

towana:正直、私は納得してなかったんですよ(笑)。本番用に録ったのを使って欲しいと思っていたから。でも、佐藤さんの話を聞いていて、たしかにプリプロは2020年に録っていて、本番用は今年2月に録ったものだから、「Ethos」という曲の特性からしても、2020年に残した声のほうが合うんだろうなという気がしてきました。

ーーfhánaはコラボ企画を含め、2021年の展開も続々と考えていると思います。いまは相変わらず先行きが見えない状況下ですが、お二人はどうしていこうと考えていますか。

佐藤:予定は盛り沢山なんですけど、自分が今朝まで、どんな心境だったのか思い出せないんです。それくらいいまはとにかく放心状態で……。ただ、今日『シン・エヴァ』を見たことで変わるかもしれません。

ーー受けた衝撃が大きいからこそ、時間をかけてご自身のクリエイティブに消化していくのかもしれませんね。このタイミングだからこそ話せることもあるかもしれないので、ネタバレにならない程度に話していただけますか。

佐藤:自分のやっていることが、すごくちっぽけに思えてきましたね。何故なら、とにかく『シン・エヴァ』は大傑作だったんです。庵野秀明さんという作家の人生の集大成を感じました。25年間広げに広げた大風呂敷を、本気で回収してきた。自分で始めたことに、きちんとケリを付けた。この責任感と腕力にとにかく感動しました。『エヴァ』とはシンジくんの物語であり、ゲンドウの物語であり、庵野秀明の物語であり、そして自分自身の物語だったんだと思えました。「アートは人の心に傷をつけるもの。だからアートを経験した後、元のようには生きれない」と、社会学者の宮台真司氏は言っていましたが、僕にとってこんなに心を傷つけれられた作品は、後にも先にも『エヴァ』だけです。こんなに凄いものが果たして自分に作れるのか?と。じゃあ、僕は何を作らなければいけないのか? これからこの疑問についての問い直しが始まっていくのだと思います。

towana:見終わったあとはみんな無言だったんですか? 発狂している人とかいなかったんですか?

佐藤:発狂している人はさすがにいないけど(笑)、劇場によっては拍手が起こったりしてるそうです。僕は25年前、『エヴァ』をリアルタイムで見て、単なる物語としてではなく、まるで自分のことのように一喜一憂し、そしてトラウマになるくらいの傷を負いました。僕が“虚構と現実”のようなテーマが好きで、fhánaでも度々扱っているのも、このことがきっかけかもしれません。

 前回のインタビューで『サピエンス全史』の話を例に挙げて、人間は虚構を信じることができたから繁栄した、という話をしたじゃないですか。人間は虚構と現実を等しく信じることができるし、虚構の中にも真実があるのかもしれない。そういうことを、『シン・エヴァ』を見ていて思いました。そういう意味では、今回届いた456本のコーラスは、“人の知恵と勇気と想いのつまった謎の高エネルギー体”という感じで、これこそが真実なんだと感じさせてくれるものでした。

ーー最後に、towanaさんは2021年にどんな活動していきたいですか?

towana:2021年に変わったからどうこうという感じにはなれていなくて。つらかった2020年が終わって、そのまま2021年になっているような感覚です。でも、新曲もあるし、私自身も新しいことが始まるので、楽しみではあります。次にみなさんに会えるのはいつになるかわかりませんが、「Ethos Choir caravan feat. fhánamily」を会場で、全員の生の声で歌うことができる日を楽しみにしています。

ーーその景色は僕も見てみたいです。

towana:3パートのうち、みなさんがどのパートを歌うのか。隣の人と違ったらどうなるのかとか、すごく面白そうですね(笑)。

■リリース蔵鋒
fhána
配信シングル『Ethos』
配信日:2021年3月12日(金)
DL・配信はこちら

M01 Ethos
作詞:林 英樹 作曲:佐藤純一 編曲:fhána
M02 Ethos Choir caravan feat. fhánamily
作詞:林 英樹 作曲:佐藤純一 編曲:佐藤純一 
M03 Ethos -Instrumental
M04 Ethos Choir caravan feat. fhánamily – choir & Instrumental

■関連リンク
fhána オフィシャルサイト
fhána_info(@fhana_info)
fhána Official Channel