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嘘が嫌いな生駒里奈、稀代の嘘つきを演じる。KERA CROSS第三弾『カメレオンズ・リップ』

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生駒里奈 撮影:源賀津己

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ケラリーノ・サンドロヴィッチの名作戯曲に演出家たちが挑むシリーズ、KERA CROSS。第三弾となる今回は、堤真一、深津絵里らによって2004年に初演されたクライムコメディ、『カメレオンズ・リップ』を河原雅彦が新たに作り出す。今回ドナとエレンデイラというふたりの女性を演じることになるのは生駒里奈。乃木坂46を卒業後、立て続けに舞台で活躍する彼女に今作について話を聞いた。

言い訳のできない環境に身をおいたので、乗り越えていかなければ

──最初に『カメレオンズ・リップ』出演のお話を聞いた時の心境は?

アイドルを卒業して、これから個人としてお仕事に挑戦しなくてはならないと思っていた中でお声がけいただいて。この作品に携わることで何かひとつでもできることが増やせればと思いました。

──生駒さんは乃木坂46時代にKERAさんの戯曲『すべての犬は天国ヘ行く』の舞台に出演されていますね。その作品を観たKERAさんから「もう少し稽古の時間があればよかったね」と声をかけられたとのことですが。

そうなんです。その言葉は当時はショックでしたが、実際に稽古の時間は短かったし、当時はそれをどうすることもできなかった。でも今は毎日、みっちり稽古ができています。自ら言い訳のできない環境に身をおいたので、この戯曲をどうにか乗り越えていかなくてはと思っています。

──初演はご覧になりましたか?

はい。どうしても意識してしまいますね。これまで再演の経験はありますが、その時は未熟な自分をそのまま出すことで乗り越えられる役だった。今回は違いますから。初演はあて書きだそうなので、一度大正解が出てしまっているものに挑むというハードルがあります。でも比べられるのは当たり前だし、まったく違うものとして作ろうとしているから、かえって気は楽かもしれません。

──河原雅彦さんはどんな演出家ですか?

演出の言葉をどう解釈して自分に落とし込めばいいのかがわからなくて、そこに慣れるところから私の稽古はスタートしています。ちょっとずつ、河原さんの言葉が冗談なのか本気なのかがわかるようになってきました(笑)。

──今作は登場人物が嘘をつきあって騙し合うクライム・コメディですが、稽古場での河原さんの言葉も本気かどうかわからないときがあるんですね?

そうなんです。「もしかしてこれは冗談かな?」って(笑)。稽古中に「(役について)この子はどういう子なんだろう?」と投げかけられて、「河原さんが教えてください!」と思ってしまったこともあります。自分からしてみたら、河原さんやまわりのキャストの皆さんの方がKERAさん作品のことを理解しているのにと思ってしまい……。でもそうやって投げかけてもらったことを考え続けて、必死に食らいついているところです。共演者の皆さんはすごく経験豊富なので、自分は何歩も後ろから稽古に挑んでいる感じ。そのみなさんが「すごく難しいことをしているんだよ」と声をかけてくださるだけですごく救われます。

“嘘だけど本当になること”をする演技という仕事が好き

──この作品は難しいですか。

いま、絶賛迷い中です。やればやるほど、キャラクターの気持ちがつながっていかないんです。前のシーンでこう思っていたのに、次では全然違うことを言う。彼女に一本の筋を通すには、どういう思考回路になればいいんだろうって。今回はお互いが嘘をつきあう作品で、私の演じる役も言っていることが本当か嘘かわからないことばかり。これまでは生き様が必要だったけれど、今回は自分を全く入れず、本当にお芝居をするしかないんだろうなと思っています。

──役に対して、今までとは違うアプローチをしなくてはならないわけですね。

そうなんです。演技をするときって、どんなに違うタイプでもなにかしら自分にひっかかるところがある。でも今回は……。そもそも、私は嘘をつくのが好きじゃないんです。嘘をつくって、トラブルを招くことが多いじゃないですか。

『カメレオンズ・リップ』メインビジュアル。生駒さんはエレンデイラ/ドナ姉妹を演じる

──そんな「嘘が苦手」な生駒さんが、今作で嘘で塗り固められた役をやるのが楽しみです。

私の今までの演技を観たうえでこの役をくださった方は、どんな意図があるんだろう? とは思いますね。親身な人しか挑戦はくれないと思うので、なんでだろうって。でも今こうしてしゃべっていて、自分でもこんなに嘘が苦手なんだと改めて思いました。そりゃあこの役、難しいはずですね(笑)。でもだからこそ、役の仮面をかぶって“嘘だけど本当になること”をする演技という仕事が好きなんだと思います。

──そこまで自分と対峙するたいへんな仕事に取り組むのはなぜですか?

40歳になったとき、ふつうに暮らしていたいんです。お金に困らず外食したり、好きなものを買ったりする生活がしたい。そのために一生懸命頑張っています。

──その目標のために選ぶ道のりとしてはかなりハードなように思います。

以前、芸能界を辞めるかどうか迷っていたとき、アイドル業と両立するのではなく、舞台だけをやってみたらどこまでやれるのか試したことがありました。その時お世話になった少年社中の毛利(亘宏)さんに「あなたは素晴らしいよ」と言ってもらって、初めて自分個人に声をかけてもらったと思ったんです。舞台という場所で希望をもらったから、これからも舞台で頑張りたい。それがお世話になった人たちへの恩返しにもなるんじゃないかと思っています。

取材・文:釣木文恵 撮影:源賀津己
衣装協力/Y's、Y's × Dr.Martens、BRAND SELECT
スタイリング/津野真吾(impiger)

公演情報
KERA CROSS第三弾
『カメレオンズ・リップ』
作:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
演出:河原雅彦
音楽:伊澤一葉
出演:松下洸平 / 生駒里奈 / ファーストサマーウイカ / 坪倉由幸 / 野口かおる / 森準人 / シルビア・グラブ / 岡本健一

【東京公演】
2021年4月2日(金)~2021年4月4日(日)
会場:THEATRE1010

2021年4月14日(水)~2021年4月26日(月)
会場:シアタークリエ

【福島公演】
2021年4月11日(日)
会場:南相馬市民文化会館 大ホール

【大阪公演】
2021年5月2日(日)〜5月4日(火・祝)
会場:サンケイホールブリーゼ

【愛知公演】
2021年5月6日(木)
会場:日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール

【新潟公演】
2021年 5月15日(土)
会場:長岡市立劇場

チケット情報
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2169445

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