新曲「PINK BLOOD」の世界観が　Ginza Sony Parkに出現 『宇多田ヒカル「PINK BLOOD」EXHIBITION』開催

宇多田ヒカルの新曲「PINK BLOOD」が6月2日に配信リリースされた。

同曲は、NHK・Eテレで放送中のアニメ『不滅のあなたへ』の主題歌として4月からオンエアされており、サウンドに施された現代的な意匠と自身の精神的な解放を促す歌詞のメッセージ、そして深い陰影を含んだ彼女の声の魅力が相まって、単に「宇多田ヒカルの新曲」という以上の注目と共感を集めているが、今回の配信リリースと同時にYouTube上でプレミア公開されたミュージックビデオ（以下、MV）は、楽曲の世界をさらに押し広げるような奥行きを持った仕上がり。花や草の中に身を埋めたかのような状態で歌う宇多田、古代ギリシャ劇のコロスと主人公のようにダンサーたちと体を絡め合いながら歌う宇多田、そして天の啓示の如き光に照らされて白いドレスでひとり歌う宇多田。そのどれもが、印象的に楽曲の世界の進展を暗示する。

スマホ画面で観るだけでは何やらもどかしささえ感じてしまうようなスケール感を持った世界が表現されているわけだが、6月5日から東京・銀座のGinza Sony Parkで開催される『宇多田ヒカル「PINK BLOOD」EXHIBITION』では、その世界観をより立体的に、そしてよりリアルな感触を伴いながら体感できる。

会場には、実際にMVのシューティングで使用された衣装が3点。花や草とともにまとった植物の衣装、水面に横たわりダンサーたちに囲まれながら歌うシーンでの黒いラバー地の衣装、そして♪あなたの部屋に歩きながら〜♪と歌うシーンなどで使われる環状に配されたキャンドルオブジェの中に展示された白い衣装を間近で見ることができる。さらには、宇多田が草花に身を埋めたオープニングのシーンなどに使われたセットをオマージュした装飾が展示されている。

加えて、♪私の価値がわからないような〜♪と歌うシーンなどで効果をあげている合わせ鏡のセットを再現したフォトブースが設置されており、MVの世界に没入するようなシチュエーションに自分の身を置いて写真を撮影することができる。撮影後は、その場で会場スタッフが自分のスマートフォンにデータを転送してくれる。“宇多田ヒカル気分”をぜひ体験してみよう。

また、世界で活躍している気鋭のフォトグラファー、TAKAY氏がMVの印象的なシーンを切り取って2100 mm×1400mmというビッグサイズに定着させたハイクオリティのプリントは、動画で見るのとはひと味違う美しさを感じさせる。TAKAY氏だけでなく、スタイリングを担当した山田直樹氏や植物のセットを手がけた西別府商店など、それぞれに個性的でハイセンスな才能が結集してディテールを積み重ねた「PINK BLOOD」のMVのディレクションを担当したのは、Creative Lab.TOKYOの谷川英司氏。彼もまた、広告やコミュニケーション関連の世界のアワード／フェスティバルのなかでも有数の規模を誇るカンヌライオンズ（Cannes Lions Festival of Creativity）で金賞を受賞するなど国内外で高い評価を集める俊英だ。衣装やセットを間近で確認した後に会場に用意された大画面でMVを楽しむと、彼らスタッフの素晴らしい仕事ぶり、そしてその中心にいる宇多田ヒカルの存在感の大きさをあらためて実感できるだろう。

そもそもこの展示会は、MVの撮影現場で「写真もきれいに撮れて、セットもしっかり作りこんであるので、展示会などできないか？」と言う宇多田とスタッフで話し合ったことが発端となって実現した企画であり、MV自体の制作はもちろん、会場に展示されている写真のセレクトなどについても宇多田本人が多くの部分で関わっているとのこと。宇多田ファンならば絶対に見逃せない展示と言えそうだ。

この展覧会は、18日までGinza Sony Parkで開催。その後、全国のソニーストアでの開催も検討されている。事前予約による先着順の入場となるため、早めの予約をおすすめする。会場には、ハイレゾ音源の試聴スペースも用意されている。

文＝兼田達矢

■『宇多田ヒカル「PINK BLOOD」EXHIBITION』
期間：2021年6月5日(土)～6月18日(金) 11:00～19:00
場所：Ginza Sony Park (PARK B2/ 地下2階)
料金：無料（事前予約制・先着順）
URL：https://www.ginzasonypark.jp/pinkblood/