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【峯田和伸×三浦大輔】相思相愛ロング対談 前編「お互いに『気持ち良がっている』(笑)」【物語なき、この世界。】

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峯田和伸×三浦大輔 撮影:吉田圭子

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7月11日から8月3日まで、Bunkamura シアターコクーンでの公演が決まった三浦大輔作・演出による舞台『物語なき、この世界。』。

岡田将生、峯田和伸、柄本時生、内田理央、宮崎吐夢、米村亮太朗、星田英利、寺島しのぶといった錚々たる出演陣が展開する物語で、その内容こそベールに包まれているものの、これまでの三浦作品から推測するに本作もまた今の時代を鋭くえぐり、そしてリアルを見せる舞台であることが予想される。

ここでは【前編】【後編】の2話にわたって三浦作品の複数に関わってきた峯田和伸、そして作・演出の三浦大輔とのロングインタビューをお届けする。

【前編】の今回は、後に盟友とも言うべき関係を築くふたりの出会いから、これまでにタッグを組んだ作品の裏話を聞いた。

楽曲提供だけのはずが、峯田が稽古場に来て、役者さんたちに演技指導まで…

――峯田さんが初めて三浦さんの作品に関わったのは映画『ボーイズ・オン・ザ・ラン』(2010年)ですね。

峯田 そうです。でも、実は前段階があって。2004年くらいかな? 知り合いの編集者の方から「今、演劇の世界にすごい人がいるんだよ。いつか絶対に会わせたい。気が合うと思う」って言われたことがあって。それが三浦さんだった。

ただ、そのときはなんやかんやで会えなくて、それで『ボーイズ・オン・ザ・ラン』のときに声をかけていただいて、そこで初めて「この人が、噂の三浦さんだ!」と。

三浦 僕はもともと銀杏BOYZのイチファンだったんです。ただ、同時に遠い存在にも思っていました。峯田くんは嫌がるかもしれないけど、カリスマ的存在だし、銀杏BOYZの音楽そのものも立ち入る隙がないような感じでしたから。

だから、僕が峯田くんと何か仕事をさせていただける機会があるのだとしたら「役者」「監督」という関係なら大丈夫かなと思って。それで『ボーイズ・オン・ザ・ラン』でオファーさせていただいたんですね。そこからお付き合いさせていただいています。

――その後、舞台『裏切りの街』(2010年)では銀杏BOYZが劇中歌を楽曲提供したり、峯田さんにとって初の舞台出演となった『母に欲す』(2014年)など、多くの三浦作品に関わるようになります。

三浦 本当に嬉しいですね。『ボーイズ・オン・ザ・ラン』以降、家が近所だったこともありプライベートでも一緒に食事をしたりすることが多くなりました。

そういうときに話をすると、ちょっとクサい言葉になるけど、「物を作るときの孤独感」みたいなものが峯田くんとシンクロすることが多くて。峯田くんに頼りきりになってしまっているけど、以来、僕の作品にも複数関わっていただくようになりました。

峯田 僕は音楽、三浦さんは演劇と畑は違うのに「こんなに通じる人がいたのか」と思ってすごいうれしかったことを覚えている。ゼロから物を作る上でのキツさと喜びの両方を知っているというか。

だから、例えば演出とかでも三浦さんから「あそこは、こうやって欲しいんだよね」って言われたら、すぐその意図がわかる。そういった点であまりズレがないんです。

――聞くところによると、『裏切りの街』では、「楽曲提供」だけのはずだったのに、何故か峯田さんや銀杏BOYZのメンバーが、役者さんたちの稽古場まで出向いて、役者さんたちにダメ出ししていたという(笑)。役者さんたちからは「あの人たち、一体なんなんだ」と言われたそうですね。

峯田 越権行為ですね(苦笑)。今思うと、超恥ずかしいことをやっていましたよ。『裏切りの街』の役者さんたちに申し訳ないことをしたと思って反省しています。

三浦 でも、あのときは僕は本当にうれしかったし感謝しかなかった。むしろ「ちょっとナメてたな」と反省するところもありました。

舞台用の楽曲提供だけのはずなのに、ちゃんと稽古場にも来て、内容をきちんとわかってくれた上で曲に落とし込んでくれる……これは表現者として真摯でまっとうな態度だと思いました。

だから、さらに領域を超えて、舞台全体の相談にもよく乗ってもらったし、だいぶ頼っちゃったところはありましたね。同じ熱量で取り組んでくれて、本当に感謝しかないです。

峯田初出演の舞台『母に欲す』では、ぶつかることもあった

――その『裏切りの街』の後、いよいよ『母に欲す』(2014年)で峯田さんは三浦作品の舞台初出演を果たします。

三浦 このときは結構いろいろあって。まぁ平たく言うと、峯田くんとも結構ぶつかりましたし。今思えば、複数の人間が何かを真剣に取り組むことになったら、当然起こりうることだとも思うので、ある意味健全なことだったかもしれないですけどね。

峯田 僕はバンドをやってるじゃないですか。でも、1曲作るごとに、メンバーといちいち衝突するんですよ。例えばギタリストは、「こうやって弾きたい」みたいなイメージがある。でも、曲を作った僕は「いや、その弾き方、要らないんだよな」と思うこともある。そういうぶつかりあいは避けて通れないものです。

でも、一番の正解を知っているのは、その曲を作った人であり、演劇の場合は三浦さんなんですよね。

三浦さんの「正解」に近づけるために、役者たちは「こうしたらもっと良くなるかな」と色々やるんだけど、ただどうしてもズレが生じることはある。そういうときに衝突が起きるのはしょうがないし、そのことで、「なるほど。こういうことか」と納得できるのなら前進ですよね。だから、「表現をする」という上では健全なことだと思うし、当然のことだと思いました。

――聞けば、銀杏BOYZが9年間アルバムを出せなかった時期にも、三浦さんと峯田さんはよく会っていたそうですね。

三浦 はい。なんか峯田くんと会うと、すごいテンションが上がるんですよ(笑)。最初の会話は「あのときのライブの○曲目、あれはなんであんなことになったの?」みたいな、ファンの感じの好奇心の話から始まるんですけど、そのうち、だんだん真面目な話になる。

自分の中には色々なところがあるじゃないですか。軽薄な自分、真面目な自分とか。それが峯田くんと接していると、自分の「真面目なところ」を発散できるような感じがあるんですよ。真面目なことを話せる人はなかなかいないんですけど、峯田くんは数少ない「真面目な友達」のひとりですね。

峯田 それは僕にとってもそうですよ。うちのマネージャーの江口くんとかに、真面目な話なんかいっさいできないですから(笑)。真面目な話をしたところで、まぁ伝わらないだろうからって諦めちゃう。

でも、三浦さんと話をしていると、僕自身が考えていたことが明確になったり、三浦さんの考えに影響を受けたりすることが多くて。本当に刺激になるんです。

三浦 他人から見たら気持ち悪いかもしれないけど、何を言っても共有できちゃうから、もしかしたら、そのことに僕も峯田くんも「気持ち良がっている」ところはあるかもしれないですね(笑)。

PHOTO:吉田圭子
TEXT:松田義人(deco)

スタイリスト:入山 浩章(峯田和伸)
トップス¥12,000(税抜)/WEYEP©︎SONIC YOUTH、パンツ¥38,000(税抜)/Sasquatchfabrix.
問い合わせ先:WEYEP/ 050-3393-1939、ドワグラフ.(dwagraph.)/ http://www.sasquatchfabrix.com

【公演情報】
「物語なき、この世界。」
作・演出:三浦大輔
出演:岡田将生/峯田和伸/柄本時生/内田理央/宮崎吐夢ほか

東京公演
会場:Bunkamuraシアターコクーン
公演日程: 7月11日(日)~8月3日(火)

京都公演
会場:京都劇場
公演日程:8月7日(土)~8月11日(水)

★6月5日(土)10:00より東京公演分のチケット一般発売開始!

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