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大竹しのぶらの「夜への長い旅路」開幕、息子役の大倉忠義「愛を持って見守って」

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COCOON PRODUCTION 2021 DISCOVER WORLD THEATRE vol.10「夜への長い旅路」より。(撮影:細野晋司)

COCOON PRODUCTION 2021 DISCOVER WORLD THEATRE vol.10「夜への長い旅路」が、本日6月7日に東京・Bunkamuraシアターコクーンで開幕した。

本公演は、“海外の才能と出会い、新たな視点で挑む演劇シリーズ”として2016年にスタートしたシアターコクーンの「DISCOVER WORLD THEATRE」第10弾。今回は、“アメリカ近代劇の父”としても知られる劇作家ユージン・オニールの遺作「夜への長い旅路」が上演される。演出をフィリップ・ブリーン、翻訳・台本を木内宏昌が手がける。

劇中では、オニール自身が青春時代の家族の姿を描いた自伝劇が展開。1912年の夏のある日、俳優ジェイムズ・タイロンの別荘の居間に集った家族の会話から、その確執が次第にあらわになっていき……。出演者には母メアリー役の大竹しのぶをはじめ、長男ジェイミー役の大倉忠義、次男エドマンド役の杉野遥亮、父ジェイムズ役の池田成志、一家の女中役の土居志央梨が名を連ねた。

大竹は「思っていた以上に大変な戯曲であることが分かり、そして毎回のことですが、フィリップの戯曲の深い理解に感動しながら、稽古を重ねてきました。それぞれが苦しみや、悲しみや絶望を感じていても、それぞれが大きな愛を持っている。だからこそ切なくて、そして美しい物語です」とコメント。大倉は愛憎劇を「なんでこんなに愛しているのに悲しいことばかり起こるのか……と思いながら演じています」と言い、「こんな形の家族を見て、お客様へ何でもいいので何か宝物になるような経験を持って帰っていただけるように頑張りますので、どうぞ愛を持って見守ってください」とメッセージを送る。

また初舞台の杉野は「俳優や演技に対する自分の中の意識がガラッと変わりました」と話し、「物語はとても暗く、残酷にみえますが、そんな物語を今この時代に、この瞬間に上演することに意味があり、希望があると思っています」と語る。さらに池田は、演出家とのリモート稽古を「空気感などがお互いうまく伝わっていない部分もあったなとも感じていて、もっと稽古をしたかった……」と振り返りつつ、「(観劇すると)とても苦しくなると思うので、休憩中にいっぱい深呼吸してください(笑)。終わったら、少しだけ気が晴れるような作品にもなっていると思います」と述べた。

上演時間は休憩20分を含む3時間30分。公演は7月4日まで東京・Bunkamuraシアターコクーン、9日から18日まで京都・京都劇場で行われる。

大竹しのぶコメント

ある日の稽古場で、画面越しに初舞台の(杉野)遥亮くんにアドバイスするフィリップの言葉を聞いて、気が付けば私が深く頷いていたり、稽古場最終日、稽古が終わり「まだまだダメだ」と落ち込む遥亮くんに「私も一緒だよ」と慰めていたら、それを見ていた大倉くんが「俺もだよ、どうしよう」と三人でため息を吐いていると、もうモニターを切ってもいいのにフィリップがまたマイクを ON にしてくれて「どうしたの?」と聞いてくれる。6000マイル離れていても、いつもそこにいてくれるんだと思えた瞬間でした。

思っていた以上に大変な戯曲であることが分かり、そして毎回のことですが、フィリップの戯曲の深い理解に感動しながら、稽古を重ねてきました。

それぞれが苦しみや、悲しみや絶望を感じていても、それぞれが大きな愛を持っている。だからこそ切なくて、そして美しい物語です。こんな状況の中でも来て下さることに、本当に感謝です。

大倉忠義コメント

段々と家族のような絆が生まれていくような感覚を味わいながらも、馴れ合いではないプロの役者さん達の集中力で稽古が進んでいったことが思い出深いです。そして、稽古を経ても、まだまだこの戯曲の大きさ・深さに驚かされています。

愛憎劇という、なんでこんなに愛しているのに悲しいことばかり起こるのか……と思いながら演じています。こんな形の家族を見て、お客様へ何でもいいので何か宝物になるような経験を持って帰っていただけるように頑張りますので、どうぞ愛を持って見守ってください。

杉野遥亮コメント

皆さんと稽古をする中で、演技とは芸術で、俳優とは芸術家なんだと学ぶことができました。俳優や演技に対する自分の中の意識がガラッと変わりました。何もかも初めてのことで、こんなに長い時間役と向き合うことが今までになかったから、自分と役との境目がわからなくなったこともありました。自分がどこにいるのかわからない時もあって、これが役に向き合うということなのか……初舞台で毎日素敵な経験をさせていただいています。

劇場に入り初めて舞台上から客席を見た時はすごくワクワクして、もっともっと稽古をしたいという気持ちもあるけれど、早く観ていただきたいという気持ちも湧いてきました。物語はとても暗く、残酷にみえますが、そんな物語を今この時代に、この瞬間に上演することに意味があり、希望があると思っています。一緒に楽しんでください。

池田成志コメント

演出家と海を挟んだ遠く離れてのリモート稽古で、空気感などがお互いうまく伝わっていない部分もあったなとも感じていて、もっと稽古をしたかった……。

僕の役は、奥さんのモルヒネ中毒や、息子の病気という心配事が多いので、単純な苛立ちに感情をフォーカスしがちになってしまい、治る、きっとうまくいく、というような家族としての基本的な気持ちになかなかたどり着くことができなかった。作品を通して、家族って単純ではないんだな、難しいなと改めて感じました。

この作品は台本が分厚くてものすごい情報量です。身に染みたとか、わからないとか、ここが響いたとか、観てくださった方それぞれに、色々な感情がわいてくると思います。それだけ複雑な内容なんだと僕たちも実感しています。とても苦しくなると思うので、休憩中にいっぱい深呼吸してください(笑)。終わったら、少しだけ気が晴れるような作品にもなっていると思います。

COCOON PRODUCTION 2021 DISCOVER WORLD THEATRE vol.10「夜への長い旅路」

2021年6月7日(月)~7月4日(日)
東京都 Bunkamuraシアターコクーン

2021年7月9日(金)~18日(日)
京都府 京都劇場

作:ユージン・オニール
演出:フィリップ・ブリーン
翻訳・台本:木内宏昌
出演:大竹しのぶ、大倉忠義、杉野遥亮、池田成志 / 土居志央梨