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結成30周年の軌跡を描いたL’Arc~en~Cielが、さらに先のミライを約束「合唱は次回のお楽しみに」

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L’Arc~en~Ciel『30th L’Anniversary Starting Live “L’APPY BIRTHDAY!”』@5月30日 千葉 幕張メッセ国際展示場1-3ホール

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顔をあげると、まばゆい虹が、くっきりと大きく見えていた。

結成30周年を迎えたロックバンド L’Arc~en~Cielが、『30th L’Anniversary Starting Live “L’APPY BIRTHDAY!”』と冠し、5月29日、30日の2日間にわたって千葉 幕張メッセ国際展示場1-3ホールで有観客ライヴを敢行した。

万全を尽くした感染対策を行った上で、遂に迎えたアニバーサリーイヤー。待ちわびたファンと祝した30周年の扉の先にかけられた希望の“虹”(L'Arc〜en〜Ciel)は、俯きがちな日々を一変させたに違いない。駆けつけたステージを見上げるファンの幸せそうな顔が、今も目に焼き付いて離れない。

新型コロナウイルスの影響で一部公演が中止となった2020年に実施された8年ぶりのアリーナツアー。事実上ファイナルとなった2020年2月の公演から約1年5カ月ぶりのライヴ公演初日の前夜には、“虹をかけよう。何度でも”というメッセージとともに、約4年半ぶりの新曲「ミライ」がYouTubeチャンネルでプレミア公開されるなど、ファンの表情を晴れやかにする仕掛けが余すことがなく盛り込まれていた。さらに、公演後の日づけが変わった31日、新曲が配信リリース。SNSでの連動企画が実施されるなど、30周年への意気込みは各所に見られている。絵空事でもなく、音楽は不要不急ではない。

唯一無二の感性で時代をリードして来たL'Arc〜en〜Cielが、まだ一介のインディーズバンドであった遡ること30年前――。結成当初1991年5月30日のファーストライヴから数えてちょうど“30歳の誕生日”にあたる公演2日目の記念すべきライヴの模様を、ここでは徹底レポートしたい。

メンバーが選曲したプレイリストが流れる場内に、開演までの間、SNSを通じて全世界から寄せられたファンのお祝いの言葉がLEDビジョンに映し出されていた。ぬかりない演出が憎い。ここに詰めかけた1万人だけでなく、会場に来られなかった人々の想いと一緒に、この日のライヴはスタートしたのだ。「世界中に虹が掛かりますように」と投稿されたメッセージは、遠く離れていても心で繋がっていることを思い出させてくれた。

暗転と共にインディーズ時代のライヴ映像から「虹」のミュージッククリップ、計65万人を動員した『1999 GRAND CROSS TOUR』のライヴ映像まで、30年を辿るライヴのオープニングにふさわしいドキュメント映像がビジョンに流れ、hyde(Vo)、ken(G)、tetsuya(B)、yukihiro(Dr)の4人がステージに揃った。緊張感が張り詰める中、いよいよライヴの幕は上がる。

hyde(Vo)

「X X X」のイントロが流れると、ステージの両サイドのビジョンには大きなエックスの文字。空撮ドローンが白いステージに大きく黒字で書かれた”虹”の意味を持つシンプルなバンドロゴを360℃から撮影、臨場感あふれるステージとメンバーを写した。yukihiroのタイトなドラムが響く中、美しいメロディと妖艶なhydeの歌声が晴れ舞台に響き渡った。初っ端からシリアスなナンバーに背筋が伸びる。

色彩豊かなポップチューン「Caress of Venus」では、カラフルなレーザーが飛び交う中、歌声はどこまでも華やかに曲に呼応してステージへと咲き誇っているかのようだ。《お気に召すがままに》のフレーズにあわせ、カメラに向かい投げキッスをするhyde。「ジャンプ、ジャンプ!」と、オーディエンスが声を出せないからこそ、序盤からいつも以上に前のめりに距離をグッと近づけるパフォーマンスはお手のものだ。大きな拍手が広がる中、「CHASE」が披露されると、hydeのロングトーンが響き、そこからkenのピックスクラッチがキマった。息もピッタリなステージに、熱量はぐんぐん上昇していく。

tetsuya(B)

雰囲気は違うけれど、この機会を楽しみましょう

サイリウムがブルーに染まった「winter fall」。畳みかけるようにhydeのブルースハープからライヴアレンジの効いた「flower」と人気のナンバーが続くと、もうスタートから目が離せない。これぞ、L'Arc〜en〜Cielだと言わんばかりに楽曲の世界を見事に広げ、ステージに崩れ込むように感情を燃やして歌うhydeの姿も印象的だった。

「三十路になりました。雰囲気は違うけれど、この機会を楽しみましょう。三十路ってことで、大人っぽいL’Arc~en~Cielを見せようと思います」とhydeがエロティックなムードを醸した「metropolis」をハンドクラップでリードすると、ステージとオーディエンスは溶けあうように一体となった。周年を重ねるごとにその声色の魅力も増している。さらに、嵐の映像が流れ警告を鳴らすかのように続けて演奏された「DAYBREAK'S BELL」の世界へと一瞬にして引き込む技量には、気持ちも波打った。

ken(G)

媚びずにブレることなくチャレンジしてきた楽曲の数々は、時代が変わっても色褪せることなく、現代に刻まれる。誰もが予期しなかった緊急事態の中で、ここに体現された歌が、いつも以上に心の奥深くに強く響いた人も多かったことだろう。サウンドや歌声は、この瞬間もなおアップデートされ、ライヴならではの醍醐味が身体中に入り込んでいくようであった。

独裁的な煽りでライヴの定番となった「REVELATION」では火柱が高らかに燃え上がり、無数の拳を前にオーディエンスの気持ちを離さないよう、hydeも煽り続ける。その心意気が何より有難い。想いはオーディエンスにも確かに伝わっているようだった。全体の一体感も増していく。

yukihiro(Dr)

熱を癒すような音色がオーディエンスの後方まで宙を舞い広がった「NEO UNIVERSE」からスリリングな「get out from the shell」へ続く流れは秀逸で、まるで一つの映画でも見ているかのようだった。さらに火柱が燃える中、芸術性を宿した「花葬」、立ち込めるスモークの海の上で歌われた「EVERLASTING」と、彼らの実力を知らしめるナンバーで存在感に輝きを纏っていくそのオーラには釘付けになった。tetsuyaの世界初エッフェルギターも披露されたところで、気がつけばライヴはあっという間に後半戦だ。

どこまでも贅沢なセットリストだ。こうして見ると、流行のチャートを度外視するようなナンバーも、確立した世界観を提示し確実にチャートに送り込んだ功績に、敬意を感じずにはいられない。その風格は群を抜いていることを、改めて感じずにはいられなかった。

hyde(Vo)

嵐が過ぎ去る瞬間を美しく描くように切り取った「MY HEART DRAWS A DREAM」は、ピアノの旋律からギターのフレーズが先陣を切って、清々しい青空の下へと連れ出してくれるようだ。背中を押すメッセージは限りなく前向きで、明日へ向かう活力になる。そして、心に根付くようなフレーズが、彼らの楽曲を振り返ると多くあることに気づく。それらを思い出しながら、いつの日か声を出して歌える日を楽しみにしたいと切に願った。

合唱は次回の楽しみに

ライヴの後半では、爆破の音が合図となり30周年のお祭り騒ぎを加速させるアッパーな「Driver's High」がヴォルテージのギアを上げる。tetsuyaもベースをうねらせながらステージを縦横無尽に駆け回った。hydeがギターを掻き鳴らし、テンションもブチ上がった「HONEY」。「Are You Ready?」のかけ声に特効の銀テープが舞った「READY STEADY GO」と、ヒット曲をこれでもかと言わんばかりにプレイし、一直線に飛ばす。過去のナンバーもひっくるめて今に落とし込んでいくステージは圧巻。オーディエンスのヴォルテージと合間って、呼吸をするのを忘れてしまいそうな興奮の渦に飲み込まれた。

ken(G)

終盤のアンコールで歌われた「あなた」は、ミラーボールが輝くステージに視線も集まる。誰もが人生の中で経験する出会いや別れといったそれぞれの記憶に響く一曲だ。《胸にいつの日にも輝くあなたがいるから》という歌詞が、道しるべになってくれるようで、温かい想いが胸を打つ。

そして披露された待望の新曲「ミライ」は、まだ見えない先のライヴを想像させた。「みんなが持ってる光を想像しながら作りました。合唱を想像していたけれど、今回はムリっぽいね。次回の楽しみにとっておきたいと思います」というhydeから次への約束が告げられると、30周年のために作られた同曲に込められた想いが語られる。

「ライヴ会場を埋めるひとつ一つの光には意味があって、お祝いの気持ちがよく見える。光が重なって“虹”(L'Arc〜en〜Ciel)を呼んで未来を作る。これからも未来を見つめていきましょう」と、決して一人では作りあげられない先を見据えて、新曲が贈られた。

tetsuya(B)

《孤独じゃないんだ》《虹がかかり一つに繋がる》そんな歌詞に宿った温かい想い、新たなエネルギーはどこから生まれてくるのか。創造性は何年と活動を続けようと、どんな時代でも枯渇することは無い。音楽のマジックを巧みに使い、どんな時代でも人々を魅了してきた。そんなバンドだからこそ、30年も愛され続けて来たのだと確信得るライヴに励まされた。早くライヴで合唱が聞ける日を、誰もが待ち望んでいる。一音、一音には、光の中に宿った想いがぎっしりと詰められていた。

yukihiro(Dr)

新曲の直後に投下されたのは、1stアルバムの表題曲「Dune」。この粋なセットリストにも驚いたが、何より30年も前に演奏されていた神秘的なこの曲が、今もここに体現されていることに興奮した。hyde とtetsuyaがタイミングをあわせターンしライヴを楽しむ様子も微笑ましい。本編ラストは高揚感を掻き立てる「GOOD LUCK MY WAY」で締めくくられた。

お客さんがいないと、この感覚は味わえない

hydeが「大阪のロケッツという素敵なライヴハウスで…あそこでやる憧れがあって、(ライヴをやれた時は)凄い嬉しかった」と話しはじめると、更に「お客さんがいるのは良いよね。いないと、この感覚は味わえない。みんながいるから成立してるし、盛り上がる。それがライヴ」とこの瞬間に感謝した。200人程のライヴハウスからバンドが歩み続け、集大成となった30年の記念日を「君たちがここに連れて来てくれました」と振り返る。その歩みは、まだまだ続く。

「いつライヴをやるのか分からないツンデレなバンドによくぞついて来てくれたと思います。丸くなるバンドも嫌だなって思って。これからも尖ってくので、よろしくね」とラストは7色の照明が彩るステージの中、バンド名をタイトルに冠した「虹」を聴かせた。さらに、メンバーが顔を見合わせて、定番のバースデーソングのフレーズで多幸感いっぱいの記念ライヴを締めくくると、hydeとハイタッチを交わしたtetsuyaが「またねー!」と叫ぶ。いつも通りとは行かずとも、変わらない4人の姿に、次の再会を期待した。

本公演はライヴに参加できなかったファンの為にも、8月22日(日)にバンド初のライヴ配信が決定している。また、デジタルファンクラブがオープンするニュースも発表され、アニバーサリーイヤーは更に加速しそうだ。

彼らが時代ごとに残して来た奇跡の厚みを感じながら記念ライヴは幕を閉じたが、音楽があれば孤独に光が射すことを。そして、時空を越えていく力になることを、L'Arc〜en〜Cielは証明した。空を仰げば、そこには虹のかかる景色が待っている。

取材・文:後藤千尋
撮影:岡田貴之 / 石川浩章 / 河本悠貴

<ライヴ情報>
30th L'Anniversary Starting Live “L'APPY BIRTHDAY!”

2021年5月29日(土) / 30日(日)@幕張メッセ国際展示場1-3ホール
ライヴ配信:2021年8月22日(日)配信
※詳細は後日発表

-セットリスト-

01. X X X
02. Caress of Venus
03. CHASE
04. winter fall
05. flower
06. metropolis
07. DAYBREAK'S BELL
08. REVELATION
09. NEO UNIVERSE
10. get out from the shell
11. 花葬
12. EVERLASTING
13. MY HEART DRAWS A DREAM
14. Driver's High
15. HONEY
16. READY STEADY GO
17. あなた
18. ミライ
19. Dune
20. GOOD LUCK MY WAY
21. 虹

<リリース情報>
L’Arc~en~Ciel「ミライ」

2021年5月31日配信リリース

L’Arc~en~Ciel「ミライ」配信ジャケット

配信リンク:
https://kmu.lnk.to/LArc-Mirai

<タイアップ情報>
オンラインアクションRPG『BLUE PROTOCOL』(読み:ブループロトコル)

運営・プロデュース:株式会社バンダイナムコオンライン
開発:株式会社バンダイナムコスタジオ
※本ゲームは開発中につきサービス開始前になります。

『BLUE PROTOCOL』オープニングムービー 30秒Ver.

公式サイト:
https://blue-protocol.com

公式Twitterアカウント:
https://twitter.com/BLUEPROTOCOL_JP

公式YouTubeチャンネル:
https://www.youtube.com/channel/UCQitQB5ISPu10a-DW5usIfg

L’Arc〜en〜Ciel オフィシャルサイト:
www.LArc-en-Ciel.com

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