暗転と共にインディーズ時代のライヴ映像から「虹」のミュージッククリップ、計65万人を動員した『1999 GRAND CROSS TOUR』のライヴ映像まで、30年を辿るライヴのオープニングにふさわしいドキュメント映像がビジョンに流れ、hyde(Vo)、ken(G)、tetsuya(B)、yukihiro(Dr)の4人がステージに揃った。緊張感が張り詰める中、いよいよライヴの幕は上がる。
「X X X」のイントロが流れると、ステージの両サイドのビジョンには大きなエックスの文字。空撮ドローンが白いステージに大きく黒字で書かれた”虹”の意味を持つシンプルなバンドロゴを360℃から撮影、臨場感あふれるステージとメンバーを写した。yukihiroのタイトなドラムが響く中、美しいメロディと妖艶なhydeの歌声が晴れ舞台に響き渡った。初っ端からシリアスなナンバーに背筋が伸びる。
色彩豊かなポップチューン「Caress of Venus」では、カラフルなレーザーが飛び交う中、歌声はどこまでも華やかに曲に呼応してステージへと咲き誇っているかのようだ。《お気に召すがままに》のフレーズにあわせ、カメラに向かい投げキッスをするhyde。「ジャンプ、ジャンプ!」と、オーディエンスが声を出せないからこそ、序盤からいつも以上に前のめりに距離をグッと近づけるパフォーマンスはお手のものだ。大きな拍手が広がる中、「CHASE」が披露されると、hydeのロングトーンが響き、そこからkenのピックスクラッチがキマった。息もピッタリなステージに、熱量はぐんぐん上昇していく。
熱を癒すような音色がオーディエンスの後方まで宙を舞い広がった「NEO UNIVERSE」からスリリングな「get out from the shell」へ続く流れは秀逸で、まるで一つの映画でも見ているかのようだった。さらに火柱が燃える中、芸術性を宿した「花葬」、立ち込めるスモークの海の上で歌われた「EVERLASTING」と、彼らの実力を知らしめるナンバーで存在感に輝きを纏っていくそのオーラには釘付けになった。tetsuyaの世界初エッフェルギターも披露されたところで、気がつけばライヴはあっという間に後半戦だ。
嵐が過ぎ去る瞬間を美しく描くように切り取った「MY HEART DRAWS A DREAM」は、ピアノの旋律からギターのフレーズが先陣を切って、清々しい青空の下へと連れ出してくれるようだ。背中を押すメッセージは限りなく前向きで、明日へ向かう活力になる。そして、心に根付くようなフレーズが、彼らの楽曲を振り返ると多くあることに気づく。それらを思い出しながら、いつの日か声を出して歌える日を楽しみにしたいと切に願った。
合唱は次回の楽しみに
ライヴの後半では、爆破の音が合図となり30周年のお祭り騒ぎを加速させるアッパーな「Driver's High」がヴォルテージのギアを上げる。tetsuyaもベースをうねらせながらステージを縦横無尽に駆け回った。hydeがギターを掻き鳴らし、テンションもブチ上がった「HONEY」。「Are You Ready?」のかけ声に特効の銀テープが舞った「READY STEADY GO」と、ヒット曲をこれでもかと言わんばかりにプレイし、一直線に飛ばす。過去のナンバーもひっくるめて今に落とし込んでいくステージは圧巻。オーディエンスのヴォルテージと合間って、呼吸をするのを忘れてしまいそうな興奮の渦に飲み込まれた。
新曲の直後に投下されたのは、1stアルバムの表題曲「Dune」。この粋なセットリストにも驚いたが、何より30年も前に演奏されていた神秘的なこの曲が、今もここに体現されていることに興奮した。hyde とtetsuyaがタイミングをあわせターンしライヴを楽しむ様子も微笑ましい。本編ラストは高揚感を掻き立てる「GOOD LUCK MY WAY」で締めくくられた。
01. X X X
02. Caress of Venus
03. CHASE
04. winter fall
05. flower
06. metropolis
07. DAYBREAK'S BELL
08. REVELATION
09. NEO UNIVERSE
10. get out from the shell
11. 花葬
12. EVERLASTING
13. MY HEART DRAWS A DREAM
14. Driver's High
15. HONEY
16. READY STEADY GO
17. あなた
18. ミライ
19. Dune
20. GOOD LUCK MY WAY
21. 虹