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音楽劇『GREAT PRETENDER』演出・河原雅彦「オチが知られた詐欺ものも演劇の手法で面白く」

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河原雅彦

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Kis-My-Ft2の宮田俊哉主演で音楽劇『GREAT PRETENDER グレートプリテンダー』が7月に東京、8月に大阪にて上演される。 原作は、脚本家・古沢良太の軽妙でユーモラスな筆致で描かれた同名アニメ。「日本一の天才詐欺師」を自称するも、その実、真面目でお人好しな主人公・枝村真人(通称エダマメ)を中心にした、詐欺師たちによる騙し騙されのスリリングな“コンゲーム”は、アニメーションのアカデミー賞と呼ばれるアワード「アニー賞」でBest Direction-TV/Media部門にノミネートされるなど、大きな注目と高い評価を集めた。今回、舞台版ではアニメ1~5話で描かれる「CASE1:ロサンゼルス・コネクション」をベースに構成されるという。果たしてどのような作品になるのか、演出の河原雅彦に話を聞いた。

舞台ならではの外連味のあるキャスティングで

──原作アニメは舞台化が決定してからご覧になったそうですね。

そうですね。もちろん楽しく拝見しましたけど、どう演劇にすると面白くなるかなという目で観てしまいましたね。

──どう演劇にすると面白くなると思われましたか?

まず、これは原作ものに共通する難しさのひとつですが、ファンの方は既にストーリーを知ってるんですよね。しかもこの作品は、騙し騙されのどんでん返しが肝なのに、それも知られてしまっている(笑)。

──確かに。それは困りますね。

ただ僕は、’19年に『オリエント急行殺人事件』というアガサ・クリスティーの小説の舞台化を演出させてもらったのですが、これもオチは有名ですよね。それを演劇なりの手法を駆使して、「話を分かっていても楽しめる舞台にする」、ということを経験しているので。だから今回もあれこれ策を講じているっていう感じです。

──その策というのは、例えば音楽劇にすることなどですか?

そうですね。音楽劇……実は歌うのは2曲くらいなんですけど(笑)、でもジャズを基調としたオリジナルの曲も劇伴としてつくっていただいて、生バンドの素敵な演奏がずっと鳴っているような舞台になります。あとは、美弥るりかさんにローラン・ティエリー(フランス人男性の信用詐欺師)を演じてもらったり、キャスティングにおいても舞台ならではの外連味を意識したり。あ、美弥さんについてはなんのオチもないですからね? 実は女性でした! とか一切なくてガチの男性役です。

──美弥さんは元宝塚歌劇団の男役スターでいらっしゃいますからイメージはしやすいですが、なにか秘密があるのかなと少し思っていました。

下手に男性俳優がやってもアニメのローランには敵わないと思ったんですよ。色気×きな臭さ×アニメでしょう? そしたら美弥さんに演じてもらった方がずっとハマるような気がして。演劇ならこういうプリテンドもアリですから。仕掛けのひとつですね。

演劇はアナログのインチキ

──加藤諒さんが演じるオリジナルキャラクター・北大路も気になります。

アニメの場合はモニターを見つめる視聴者が俯瞰の形でストーリーを追いますが、それをこの舞台に置き換えた場合、作品の中に“ストーリーを追っていく目線”が入る必要があるなと思って。それでつくった役です。まあ、他にもいろいろ舞台ならではの作戦は立てていますが、この手の娯楽作を一流のエンタメに仕上げるのは本当に骨が折れますよね。オファーを引き受けた時点で覚悟はしてましたけど。

──詐欺の話でオチが知られている、という状態から面白く見せるってどういうことになるんだろうなと思います。

でも意外とみんな忘れちゃうんですよ、単純に目の前で起きていることが面白ければ。結末を知っていても、そこへの行き着き方や見せ方が痛快で楽しければ、ワクワクしながら舞台に魅入っちゃう。だからそういうものの連続をつくらないといけないなと思っています。苦労するとは思うんですけど、“コーンゲームもの”と“舞台”って相性がいいんじゃないかな。だって演劇だってインチキですから。アナログのインチキ(笑)。むしろそこを活かさないと面白くはならないと思います。

僕がもしこの原作を知っているうえで観に来た時に、どうだったら楽しめるか、どうだったらいい裏切りをされたなと感じられるかってことを常に意識してつくっていきたいです。これは毎回そうですが、今回は特にそうですね。どうしたらワクワクできるかなって。

宮田さんは何を考えているかわからない

──主演の宮田俊哉さんとは初タッグですが、どういうところを期待されていますか?

音楽劇『GREAT PRETENDER グレートプリテンダー』メインビジュアル

まだ一度しかお会いしていないのと、先ほどリモートで対談しただけなのですが、物怖じしないしニコニコした方だなという印象です。ただ、ずっとニコニコしているから逆に何を考えているかわからないところもあって。今回歌唱シーンがあって、その歌は宮田くんが普段歌っているポップスとは全然違う、本格的なミュージカル調の歌だよという話をしたときに、それでもニコニコしていたんです。あれで歌えなかったらとんだ詐欺野郎ですよ(笑)。そんなこともあって、僕は今、彼に興味津々です。一体どんな人なんだろうって。

──どんな舞台になるか楽しみですね。

そうですね。まだ全然わからないですけど、早く本読みをしてみんなの声が聞きたいし、みんながどういうイメージを作品に持ち込むのか、稽古の中で見てみたい。芝居作りは最終的にカンパニー力ですから。今回いろんなジャンルの方々に集まっていただきましたけど、まずは僕が頑張って、いいチームになったらいいなと思います。

取材・文:中川實穗

音楽劇『GREAT PRETENDER グレートプリテンダー』
監修:古沢良太
劇作・脚本:斎藤栄作
演出:河原雅彦
出演:宮田俊哉 / 美弥るりか / 加藤諒 / 山本千尋 / 仙名彩世 / 福本伸一 / 平田敦子 / 三上市朗 / 大谷亮介 / 他

【東京公演】
2021年7月4日(日)~2021年7月25日(日)
会場:東京建物 Brillia HALL

【大阪公演】
2021年8月4日(水)~2021年8月8日(日)
会場:オリックス劇場

★チケットは6月12日(土)10:00より、専用URLにて一般発売開始! https://w.pia.jp/t/greatpretender-stage/

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