Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
ぴあ 総合TOP > 井上芳雄「僕の王子役の集大成」 主演の新作舞台『首切り王子と愚かな女』が開幕

井上芳雄「僕の王子役の集大成」 主演の新作舞台『首切り王子と愚かな女』が開幕

ステージ

ニュース

ぴあ

『首切り王子と愚かな女』ゲネプロより 撮影:五月女菜穂

続きを読む

フォトギャラリー(15件)

すべて見る

井上芳雄が主演する新作舞台『首切り王子と愚かな女』が2021年6月15日(火)、PARCO劇場で開幕した。井上と、劇作家・演出家の蓬莱竜太とが6年ぶりにタッグを組んだ、ダークファンタジーだ。初日を前に、出演者らの取材会と公開ゲネプロ(総通し舞台稽古)が行われた。

物語の舞台は、雪深い暗い王国ルーブ。人格者だった先王バルが早くに没してから20年、女王デン(若村麻由美)が「永久女王」としてルーブを統治していたが、溺愛していた第一王子ナルが病に倒れてからは、国を見なくなり、城に閉じこもってしまっていた。

『首切り王子と愚かな女』ゲネプロより 撮影:五月女菜穂

反乱の機運が高まる中、幼い頃に「呪われた子」とされ、城から遠ざけられていた第二王子トル(井上芳雄)が呼び戻された。使命に燃えたトルは反乱分子を次々に処刑し、「首切り王子」として恐れられるように。そして、トルは、自ら命を断とうとしていた娘ヴィリ(伊藤沙莉)に興味を持ち、彼女に召使いとして自分に仕えるよう、命令してーー。

『首切り王子と愚かな女』ゲネプロより 撮影:五月女菜穂

時代も場所も架空の世界の話ではあるが、そこで描かれる野望や愛憎、孤独や生死は、普遍的なもの。井上は「ファンタジーはファンタジーなんですけど、やっぱり蓬莱さんの作品なので、ただ楽しいものにはなっていない」とした上で、「自分だけが頑張らなきゃいけないということではなくて、僕が上の世代にしてもらったように、下の世代に託したり、つないだりしていかないといけないと思うような結末。きっと見ている人それぞれに刺さる部分がたくさんある作品だと思う」と語った。

『首切り王子と愚かな女』取材会より、井上芳雄 撮影:五月女菜穂

井上は、「首切り王子」として恐れられ、傍若無人で残忍な王子という設定ではあるのだが、その内に秘める深い孤独を丁寧に魅せた。自身、「オファーが最近来ない」という久しぶりの王子役で、「僕の王子役の集大成というぐらいの気持ちでやりたい」と意気込んでいた。

『首切り王子と愚かな女』取材会より、伊藤沙里 撮影:五月女菜穂

4年ぶりの舞台出演で「シンプルに吐きそう」と心境を語った伊藤沙莉だが、小さな身体から発せられるエネルギーとハスキーボイスが魅力的なヴィリを熱演。共演する若村麻由美も「誠実にストレートに生きていく彼女にぴったりのヒロイン」と評するほど。伊藤は、作品について「とても大切で、大好きな作品。このご時世、この時代だからこそ届いて欲しいなと思う」。

演出も面白い。

舞台上にあるのは、木製のブロックで組み立てられた可動式の簡素な舞台装置と、ビニールシートで囲まれた役者の“楽屋”。まるで、稽古場をそのまま舞台上で再現しているかのよう。開演5分前になると、出演する役者たちが衣装や小道具を“楽屋”に持ち運んで、芝居の準備を始める。台本を開く者、飲料を口にする者、まっすぐ前を向いて集中する者。役者たちのオンとオフの顔が垣間見られる仕掛けとなっている。

この演出について、蓬莱は「演劇の想像力の豊かさをそのまま舞台で表現したいと思った。稽古場からスタートして、このシンプルなセットがどういう風にファンタジーの世界に見えていくのか。その過程が見えたら」などと解説していた。

『首切り王子と愚かな女』取材会より、蓬莱竜太 撮影:五月女菜穂

取材会の終わりに、井上は「とても刺激的な作品が生まれている。セットのアイデアも含めて、いろいろなチャレンジングがあって、それがどうお客様に届くのか、どう受け取ってもらえるのか、すごく楽しみ。決して長い公演期間でもないし、『みなさん、来てください!』と大声で言える状況ではないが、普通の声量で『来てください』と言いたい。みなさんと会えるのを楽しみにしています!」と観客へのメッセージを話していた。

『首切り王子と愚かな女』取材会より、左から蓬莱竜太 伊藤沙里 井上芳雄 若村麻由美 撮影:五月女菜穂

上演時間は、1幕約1時間15分、20分の休憩を挟んで、2幕約1時間10分。その他の出演者は、高橋努、入山法子、太田緑ロランス、石田佳央、和田琢磨ら。東京公演は7月4日(日)まで。その後、大阪、広島、福岡で公演が予定されている。

取材・文・撮影:五月女菜穂

『首切り王子と愚かな女』
作・演出:蓬莱竜太
出演:井上芳雄 伊藤沙莉 /
高橋努 入山法子 太田緑ロランス 石田佳央 和田琢磨 /
若村麻由美 / 他

【東京公演】
2021年6月15日(火)~2021年7月4日(日)
会場:PARCO劇場

【大阪公演】
2021年7月10日(土)・11日(日)
会場:サンケイホールブリーゼ

【広島公演】
2021年7月13日(火)
会場:広島JMSアステールプラザ 大ホール

【福岡公演】
2021年7月16日(金)・17日(土)
会場:久留米シティプラザ ザ・グランドホール

※蓬莱竜太の「蓬」は一点しんにょうが正式表記

フォトギャラリー(15件)

すべて見る