細野ゼミ 6コマ目(後編) 細野晴臣とロック
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「細野ゼミ」メインビジュアル
活動50周年を経た今なお、日本のみならず海外でも熱烈な支持を集め、改めてその音楽が注目されている細野晴臣。音楽ナタリーでは、彼が生み出してきた作品やリスナー遍歴を通じてそのキャリアを改めて掘り下げるべく、さまざまなジャンルについて探求する連載企画「細野ゼミ」を展開中だ。
ゼミ生として参加しているのは、氏を敬愛してやまない安部勇磨(never young beach)とハマ・オカモト(OKAMOTO'S)という同世代アーティスト2人。前中後編の3部構成第6回では、参加者全員に深い関わりを持つロックをピックアップする。後編では安部勇磨とハマ・オカモトのロック原体験をはじめ、Sex PistolsやRamonesに対するイメージ、ロックミュージシャンの持つ可能性などについて語り合ってもらった。先日公開された前編と中編を復習のうえ、読んでみてほしい。
取材 / 加藤一陽 文 / 望月哲 題字 / 細野晴臣 イラスト / 死後くん
安部勇磨とハマ・オカモトのロック原体験
──安部さんは、ロックと聞いて真っ先に思い浮かぶのはどういうアーティストですか?
安部勇磨 そこまでさかのぼれなくて恥ずかしいんですけど、最初にロックってカッコいいなと思ったのはThe LibertinesやThe Strokesとか、2000年代に入って出てきたロックバンドですね。当時、ガレージロックリバイバルみたいなムーブメントがあって。細いジーパン履いて革ジャン着て、私生活荒れてそうだなあ、みたいな。10代の頃は、そういう感じに憧れていました。
ハマ・オカモト 世代的に僕ら、リアルタイムだもんね。The Hivesとかも好きだった?
安部 The Hivesは、ちょっとコテッとしすぎている感じがして。なんか背脂!って感じで(笑)。
細野晴臣 今、名前が挙がったバンド、1つも知らないよ。
ハマ そっか、細野さんは、その時期のロックとかは抜けてるのかもしれないですね。
安部 ハマくんは、どこからロックに入ったの?
ハマ 俺の最初のロック体験はCreamなんですよ。
安部 なんでそこなの!(笑)
細野 僕と同じような感じだな(笑)。
ハマ もう初めて聴いたCreamが衝撃で。
安部 何歳で、どうしてそれを聴いたわけ?
ハマ 14歳かな。村上龍さんが書いた「69 sixty nine」っていう、ご自身の学生時代の体験を小説にした作品があって。その作品が映画化されたから観に行ったんですよ。「なんかバンドをやりたい学生の話らしいよ」くらいの軽いノリで。そしたらオープニングでCreamの「White Room」がかかったんです。あまりに衝撃的で、途中から映画を観る目的が、エンドロールで曲目をチェックすることに切り替わっちゃって(笑)。
細野 ははは(笑)。
ハマ で、翌日CD店に行ってCreamのベスト盤を買ったのが初のロック衝撃体験というか。The Beatlesとかは知ってましたけど、心がドカーン!となったのは、あのときが初めてです。「エリック・クラプトンってバンドマンだったんだ! しかも歌ってないんだ!」みたいな。ベースの人(ジャック・ブルース)が歌ってることにも衝撃を受けて。細野さんはCreamは聴かれていましたか?
細野 リアルタイムで全部聴いてる。「Sunshine Of Your Love」がヒットして、そこから入っていったんで。
ハマ 初めて人前でやった曲が、今、細野さんが言った曲だったんです。
細野 あっ、そうなの!
ハマ 今のギターと、もういなくなっちゃった同級生のドラムとやりましたね。音楽室で。
安部 何、その素敵な話(笑)。
ハマ あの曲はベースもリフなんだよね。だから楽しくてやってた。永遠に練習してた。
細野晴臣、鮎川誠の影響でRamonesを聴く
──今話に出ましたけど、リフってロックの要素として大きいですよね。
細野 それまでの音楽って和音で作られてた。コード進行の上にメロディがあって。そういう構造が突き破られて、The Kinksみたいなリフだけでできているような曲が出てきたんだよね。それが新しかった。The Kinksは今聴いてもたぶんすごくいいと思う。
安部 あと、Ramonesとか、ロックは3コードだけでいけるみたいな感じってあるじゃないですか。あれも昔からあるんですか?
ハマ ロックのルーツにブルースがあるからじゃない? ブルースも3コードで進行するパターンが多いし。
安部 あ、そっか。ブルースか。
ハマ いいね、今つながったね。
安部 つながった(笑)。細野さんはRamonesって聴いてましたか?
細野 聴いてた。鮎川誠くんの影響で聴いてたな。
ハマ えええ! いい話だなあ。
安部 当時はどういう感じで受け止めていたんですか?
細野 Ramonesを聴いた時期に僕はテクノやってたからな(笑)。
一同 はははは(笑)。
ハマ そうですよね。シナロケに細野さんがジョインしてる頃ですもんね。
安部 ちょっと違うところにいる人たちみたいな感じだったんですか?
細野 でもまた今聴いてもいいかなって感じはあるよね。
ハマ Ramonesはメロディがすごくいいって言われてますよね。スタイルとしてはめちゃめちゃ単純で、ずっとダウンピッキングでみたいな。
安部 僕はパンクだと、行けてRamonesくらいまでかも。
ロックは不良がやる音楽?
ハマ Sex Pistolsはどうなの?
安部 ピストルズはダメなの。
ハマ なんで?
安部 なんか怖い(笑)。Ramonesのほうがポップじゃん。
ハマ キャラクターっぽいもんね。
安部 人懐っこさみたいなのがあって。僕の印象でしかないんですけど、Sex Pistolsとかは、なんかちょっと怖いというか。
ハマ 世間的なロックのイメージも、たぶんそういう感じなんだろうね。暴力的だったり破壊的だったり。たぶん70年代終盤のパンクのイメージをずっと引きずっちゃってる。僕がバンドを始めたときも、おばあちゃんに「なんでそんな不良みたいなことをやるんだ!」って言われたことがあった。「あんたそんな子じゃないだろう」みたいな(笑)。
細野 僕もロックは不良がやる音楽だって言われたよ(笑)。
安部 細野さんも(笑)。
──忌野清志郎さんも、新聞の人生相談のコーナーに「息子がギターばかり弾いていて、どうしたらいいでしょうか?」ってお母さんに投稿されたことがあったそうです(笑)。
ハマ そんなギャグみたいな話あるんだ(笑)。でも「ロック=怖い」っていうのは世間一般的にあると思う。
安部 パンクに関して言えば、みんながみんな怖いわけじゃないっていうのはわかるんだけど、メロディや音とかを含めて、なんか怖いっていうか冷たい感じがしたのよ。
ハマ 鬼気迫ってるし、反骨精神もあるし。それは多少怖くないと。
安部 優しいロックが好きです(笑)。
ハマ Ramonesをパンクって言うと「?」ってなるのはそういうことか。いわゆるパンク特有の怖さみたいなものはないもんね。
安部 面白いですね、音楽って。
ハマ ここ太字でお願いします(笑)。
Sex Pistolsは怖い
──細野さんは70年代に登場したSex Pistolsを代表するオリジナルパンクはどのように捉えていましたか?
細野 遠いな。自分からはね。あと怖い。
安部 はははは(笑)。
ハマ 同じだ(笑)。
細野 暴力的なのは怖いよね。
安部 そうですね(笑)。
細野 Led Zeppelinのジョン・ボーナムが東京に来たときにホテルで暴れたりとかね。怖いなと思って(笑)。
安部 ロックミュージシャンの中には実際にそういう人がいるわけですもんね。
ハマ 細野さんの周りに、そういう人もいたにはいたんですか?
細野 いやー、あんまりいなかったな。でもバンドを始めた頃、林立夫と鈴木茂とここの2階で練習やってて、ときどき変な音楽やってたんだけど、それはね、ヘヴィメタなんだよね(笑)。
ハマ&安部 えー!!
細野 すごく暴力的な音だったわけ。Blue Cheerっていうバンドのコピーをしてたんだけど。
ハマ なんでBlue Cheerだったんですか?
細野 カッコいいって思ったんだよ。Blue Cheerで爆音のレコーディング作品を初めて聴いた。アメリカのグループで3人組なんだけど、みんな金髪のロングヘアで女装してるみたいな。当時はヘヴィメタルなんて言葉はなかったんだけど、その連中が爆音で「Summertime Blues」をやってて。それをコピーしたんだよ。過激なことをしたエピソードはそれだけしかない。
ハマ 唯一の貴重なエピソード(笑)。
細野 サザンロックの連中がやっていた音楽が発展してヘヴィメタルになったというのは、なんとなくわかる。だからルーツは近いんだよ。70年代の終わり頃、僕はニューウェイブを聴いていて、その対極にパンクの連中が出てきたんだけど、やっぱりSex Pistolsは怖かった(笑)。
安部 ははは(笑)。
ハマ やっぱりそうなんだ(笑)。
──「Sex Pistolsは怖い」。
ハマ これはもう太字ですね。習字で教室の後ろに貼っておくやつ。
安部 ピストルズは、なんだか怖いんですよ(笑)。優しいのかもしれないですけど。
ロックが演奏できる人は発展性がある説
──同じパンクバンドでも、The Clashはもう少し音楽的に幅がありますよね。
ハマ そうですね。レゲエやったりとか。
安部 おしゃれだもんね。
ハマ ピアノとか上手に使うしね。でも、「おっかねー」って思われてたんだろうね。
安部 いやー、おっかないよ、あんな人たちが歩いてたら(笑)。
ハマ それこそThe Whoは、おっかないロック畑の元祖じゃないですか。Sex PistolsがThe Whoのカバーをやったとき、ピート・タウンゼントが会場のクラブまで行って、ピストルズのメンバーを呼び出して説教したっていう話がありますよね。「勝手にやるな!」って。
安部 えー! やっぱ縦社会みたいなのも厳しかったのかな。
ハマ ロックミュージシャンが醸し出す怖い空気みたいなものってあるじゃないですか。そこには音が大きくなっていった問題が絶対関係していると思うんですよ。ジミ・ヘンドリックスのExperienceとか、Creamとか、当時ハードロックとかラウドロックって言葉はないけど、そういう音楽の元祖じゃないですか。ロックが爆音化していくとともに、怖さや過激さみたいなものも脈々と受け継がれているんでしょうね。結局Sex PistolsがThe Whoのカバーやってるのもそういうことだと思うし。
細野 怖いバンドの特徴は、音がデカいっていう(笑)。
安部 そっか、音がデカいか。
ハマ その衝動はたぶん、この3人にはない。
安部 音が小さければ小さいほどいい、最近(笑)。
細野 ピート・タウンゼントが「聴き手に届くにはデカい音じゃなきゃダメだ」って言ってるのを聞いて、僕はすごく反感持ったんだよね。
ハマ ははは(笑)。何言ってんだって(笑)。
細野 逆に小さい音でやると、みんな聴くんだよ。
安部 ハマくんはどうなの?
ハマ なんで急に俺がうるさい側の人間に(笑)。
安部 いや、OKAMOTO'Sはロックが根っこにあるバンドでもあるじゃん。たまに自分でも「うるさいな」って思ったりしないの?
ハマ あっ、でも、うるさいうるさい。たまに自分の音もうるさいなって思う。僕はクラブとか大っ嫌いだから行かないし、家で音楽を聴くぶんには心地よい音量で聴けばいいと思う。最近ふと思うんだけど、ロックバンドのリズムセクションについて考えたとき、いわゆる“ロック感”を出すのって、あとからなかなか習得できないんじゃないかって。ロックバンドをやってた人のドラムって歌モノで叩いたりしてもすごくいいなって思うんです。
──確かに。
ハマ ロックが演奏できる人って意外と発展性があるんじゃないかなって。すごくバカなところもあるんだけど。言い方は悪いけどね。だってうるさいし(笑)。でも、うるさかったがゆえに途中から小さい音でやる音の面白さに目覚めることができるんじゃないかな。ジャズ畑の人って繊細さが土台にあるから最初から音に対する強弱の感覚が鋭い。でもロック感って、なかなか出せないんだよ。
安部 あー。
ハマ だから00年代以降の話に飛んじゃいますけど、僕、ネオソウルとかって全然響かなくて。70年代のファンクとかソウルはすごく響くけど、サンダーキャットとか僕はよくわからない。それはたぶんダイナミクスの経験が違ってるからなんだと思うけど。だから小さい音が好きって言えるようになってきてうれしいなって感じ。
ロックは一番いろんなところに行ける
安部 ハマくんがサンダーキャットとかピンとこないのは意外だったわ。
ハマ 全然。林立夫さんとやらせていただいたとき、「いかに引き算するか、いかに小さい音でやるかにいまだにこだわってるんだ」って話をリハのときにしてくれて。それってすごいなって思った。そういうふうにやったほうがいいとは言われなかったけど、それで気持ちいいところを探せたらいいよねって言ってくれて。そういう話もあったから、小さい音がいいなという気持ちが、より強まった。
安部 なるほど。
──ロックドラマーはいろんなことに対応できるんじゃないか説ですね。
ハマ 俺はすごく思いますけどね。今、引く手あまたなセッションドラマーって、ロックが叩けるか叩けないかの差がすごくあるなって思う。伊藤大地さんしかり、玉田豊夢さんしかり。以前、今話したようなことを佐野元春さんに伝えたら、まっすぐ目を見て「とてもよくわかる」って言ってくれて。それがすごくうれしかったんですよ。佐野さんのコヨーテバンドで叩いてるNONA REEVESの小松シゲルさんもロックが叩けるドラマーですよね。ロックが叩けるからファンクのビートもカッコよく叩けると思う。細野さんのバンドのベースの伊賀航さんもドラムの伊藤大地さんも、ロックンロールのアティテュードをお持ちだと思うんですけど。
細野 みんなロックだもんね。
ハマ そもそも細野さんもロックの人ですし。だから波長が合うんでしょうね。ジャズドラムしかやったことない人とか、ジャズギタリストとかだったら、たぶん絶対ああいうふうにならないから。
安部 なるほど、確かに。
ハマ バンドメンバーを集めるときも、今までどういう音楽を聴いてきたかって気になるじゃん。そう考えたらロックってジャンルはかなり大事な気がして。
安部 ロックは一番いろんなところに行けるのかもね。
ハマ SANABAGUN.っていうバンドがいるんですけど、メンバーの多くが音楽大学卒業で。そこのドラマーはジャズ課に通ってたんで、そういうプレイはすごく上手なんです。でもロックな感じが全然出せなくて、それが彼の悩みらしくて。
安部 えっ、そうなんだ!
ハマ で、次に会ったら「よくわかんないけど、とりあえずジョン・ボーナム・モデルのスネアは買った!」って言ってて(笑)。すごくいいなと思った。そういうことじゃん、なんか(笑)。
安部 わかる。
ハマ でも実際の悩みとして、ジャズとかから入ってるとロックのフィーリングがうまく出せないんだって。
──それはベーシストにもあるってことですよね。
ハマ あると思うんですけどね、僕は。
──細野さんにとってロックのベースとはどういうものでしょうか?
細野 スイングができないことっていうか。
ハマ あー。
細野 そう思ってる。僕はランニングベースとかできないね。
ハマ 確かに細野さんがやってる印象はないですね。
細野 できないんだよ。ロックの人がそれをやるとダメなんだよ。かしこまっちゃうから(笑)。
ハマ すごくよくわかる。
安部 やっぱり畑みたいなのがあるんですね。生まれ育った土地というか。
ハマ やっぱり全部つながってるんだなって話になるよね。
エイプリル・フール時代、細野晴臣たちは怖がられていた
ハマ 比較的イギリス寄りの話が続いてきましたけど、それこそ細野さんはアメリカのロックミュージックからの影響もかなり受けていらっしゃるわけじゃないですか。Buffalo SpringfieldとかThe Bandとか。
細野 うん、そうだね。
ハマ はっぴいえんどの頃とかは、どうしてアメリカのバンドにすごく惹かれていたんですか? 例えばThe Whoとかイギリスのバンドとは全然違うじゃないですか。それは感覚的なものだったんですかね。
細野 はっぴいえんどの頃はイギリスのロックがちょっと下火になってたんだよ。The Beatlesだけが生き残ってるような状況で。その一方で、アメリカが面白くなってきた。Buffalo Springfieldみたいなサイケバンドが出てきたり。当時サイケデリックカルチャーはアメリカにしかなかったんだよ。それが好きだったんで、はっぴいえんどもサイケバンドを目指していた。サイケデリックカルチャーの影響は強かったよ。音楽だけじゃなかったんで。
ハマ そっか。音楽とアートが結び付いたり。はっぴいえんどの前身バンドのエイプリル・フールとか、もろにサイケですよね。
細野 あれはサイケバンドだね。そう、今思い出したけど、当時僕らはすごく怖がられてたんだよね(笑)。
安部 エイプリル・フールの皆さんのルックスは怖いですよ!(笑)
ハマ 「エイプリル・フール」はSex Pistolsも逃げ出すジャケだと思う(笑)。
安部 あのいでたちで、あの音楽やってたら「ヤベー奴いるな!」って思いますよ(笑)。
細野 夜明けに、六本木なんかにみんなでハンバーガーを食べに行くんだよ。そうすると、その時間って与太者がいっぱいいるわけ。チンピラがね。僕らが店に入っていくと、彼らが怖がるんだよね。
ハマ チンピラが(笑)。
安部 見たことがない人種だったんだろうね。
ハマ 若き日の細野さんたちの映像がいくつか残っていて、そういう映像を観ると当時の細野さんたちって、あまり今と変わらないテンションじゃないですか。例えば僕らの若い頃って、もっと「イエーイ!」みたいな感じだったと思うんだけど、そういう感じが一切ない(笑)。それが不思議です。
細野 ふふ(笑)。
ハマ あのテンションで夜中に店に入ってきて静かに話してたら、チンピラも、そりゃ「え!?」ってなりますよ(笑)。
ニューウェイブの時代は面白かった
──という感じで「ロックンロール」をテーマに3回にわたりお話を伺ってきましたが、残念ながらそろそろお時間ということで。
ハマ ちょうどパンクくらいまで来た感じですか? まだまだ聞きたいことがいっぱいありますね。
──ここからニューウェイブとかの話題に行けると、めちゃくちゃ面白いと思うんですけど。
安部 あ、確かに!
細野 ニューウェイブの時代は面白かったな。
ハマ じゃあ最後にちょっとだけ。細野さんにとって、ニューウェイブといったら誰になるんですか?
細野 難しいね。今、手に入らない音源がいっぱいあるんだよ。あの当時タケノコみたいにいろんなグループが出てきたんだけど。
ハマ やっぱりそうだったんですね。同時多発的に。
細野 当時トシ矢嶋という知り合いのカメラマンがロンドンに住んでいて。彼が送ってくれたカセットを(高橋)幸宏と一緒に聴いたら、もう全部好きだった。駄作がないんだよ。でもそれは今残ってないんだよ。手に入らないの。そのカセットを探してくれって言ってるんだけど見つからない。
安部 有名じゃなくても、いいものがいっぱいあったんですか?
細野 そうそう。
ハマ 僕、ニューウェイブは代表的なグループしか知らないんです。
細野 例えば?
ハマ 真っ先に思い浮かぶのはTalking Headsとか。あまり詳しくないので今の細野さんの話はすごく気になります。
──では次回は、ニューウェイブや80sの話を細野さんにお聞きしましょう。引き続きよろしくお願いします。
細野晴臣
1947年生まれ、東京出身の音楽家。エイプリル・フールのベーシストとしてデビューし、1970年に大瀧詠一、松本隆、鈴木茂とはっぴいえんどを結成する。1973年よりソロ活動を開始。同時に林立夫、松任谷正隆らとティン・パン・アレーを始動させ、荒井由実などさまざまなアーティストのプロデュースも行う。1978年に高橋幸宏、坂本龍一とYellow Magic Orchestra(YMO)を結成した一方、松田聖子、山下久美子らへの楽曲提供も数多く、プロデューサー / レーベル主宰者としても活躍する。YMO“散開”後は、ワールドミュージック、アンビエントミュージックを探求しつつ、作曲・プロデュースなど多岐にわたり活動。2018年には是枝裕和監督の映画「万引き家族」の劇伴を手がけ、同作で「第42回日本アカデミー賞」最優秀音楽賞を受賞した。2019年3月に1stソロアルバム「HOSONO HOUSE」を自ら再構築したアルバム「HOCHONO HOUSE」を発表。この年、音楽活動50周年を迎えた。2021年7月に、高橋幸宏とのエレクトロニカユニット・SKETCH SHOWのアルバム「audio sponge」「tronika」「LOOPHOLE」の12inchアナログをリリースする。
・hosonoharuomi.jp | 細野晴臣公式サイト
・細野晴臣 | ビクターエンタテインメント
・細野晴臣_info (@hosonoharuomi_)|Twitter
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安部勇磨
1990年東京生まれ。2014年に結成されたnever young beachのボーカル&ギター。2015年5月に1stアルバム「YASHINOKI HOUSE」を発表し、7月には「FUJI ROCK FESTIVAL '15」に初出演。2016年に2ndアルバム「fam fam」をリリースし、各地のフェスやライブイベントに参加した。2017年にSPEEDSTAR RECORDSよりメジャーデビューアルバム「A GOOD TIME」を発表。日本のみならず、上海、北京、成都、深セン、杭州、台北、ソウル、バンコクなどアジア圏内でライブ活動も行い、海外での活動の場を広げている。2021年にソロ活動を開始し、6月30日に自身初となるソロアルバム「Fantasia」を自主レーベル・Thaian Recordsよりリリースする。
・never young beach オフィシャルサイト
・Thaian Records
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ハマ・オカモト
1991年東京生まれ。ロックバンドOKAMOTO'Sのベーシスト。中学生の頃にバンド活動を開始し、同級生とともにOKAMOTO’Sを結成。2010年5月に1stアルバム「10'S」を発表する。デビュー当時より国内外で精力的にライブ活動を展開しており、最新作は2021年5月に配信リリースした「Band Music」。またベーシストとしてさまざまなミュージシャンのサポートをすることも多く、2020年5月にはムック本「BASS MAGAZINE SPECIAL FEATURE SERIES『2009-2019“ハマ・オカモト”とはなんだったのか?』」を上梓した。
・OKAMOTO'S OFFICIAL WEBSITE
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