矢花黎 舞台初主演、レトロモダンな世界に引き込まれるモボ朗読劇 『二十面相』が上演中
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(c)モボ朗読劇『二十面相』製作委員会(撮影:伊藤智美)
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すべて見る「モボ朗読劇『二十面相』〜遠藤平吉って誰?〜」が、6月19日(土)に開幕し、初日前に行われたゲネプロが報道陣に公開された。
舞台の中央には椅子に座った顔のないマネキン人形。下手と上手には演奏者の楽器群。マネキンの奥には俳優が朗読するためのスペース。上演が始まると明智小五郎役の矢花黎(7 MEN 侍/ジャニーズJr.)が「明智は二十面相、二十面相は明智……」と意味深な台詞を繰り返し呟きながらマネキンを移動させ、上手にあるスタンドマイクとベースを手に中央に立ち、キレのあるビートに粘っこく絡みつく大嶋吾郎のエレキギターのリフに合わせて卓抜なベースの演奏を披露。ロックナンバー「誰でもない」を朗々と歌い上げる。舞台袖から豊田陸人(少年忍者/ジャニーズJr.)、カズマ・スパーキン、栗原英雄が朗読用の椅子に座り、推理小説作家である江戸川乱歩の小説に登場する“怪人二十面相”と、彼と火花を散らし合うライバル“明智小五郎”のストーリーを語り始める――。
俳優の各々に役はあるが、時には読者の視点、江戸川乱歩の内面、彼の小説の抜粋などを4人の俳優がテンポよく代わるがわる読み上げることで、虚構と現実が次々に現れては消え、スリリングな展開を見せる。真実と嘘の境目が薄れ、観客は虚実皮膜の演劇世界に引き込まれてしまう。
アマチュア推理作家で明智小五郎役の矢花黎は、初主演ながら堂々とした佇まいで真ん中にいて、シャウトしながら歌い、狂気に満ちた笑い声を響かせ、声色を巧みに使い分けながら喜怒哀楽のグラデーションを表現。二十面相の本質を暴き出そうとする野心溢れる芝居が圧巻だった。推理小説ファンと明智小五郎の助手で小林芳雄少年役の豊田陸人も美声を響かせ、コミカルな歌や踊りでコメディリリーフとして丁寧に演じていた。文芸評論家で江戸川乱歩役のカズマ・スパーキンと江戸川乱歩研究家で怪人二十面相役の栗原英雄は、バリトンボイスの渋みのある陰影のついた見事な演技。
さらに、今作を特徴づけるのは音楽。ギターやドラムなどの大嶋吾郎、ベースやバイオリンなどのあさいまりの生演奏によるセッションはクールで、時に情感豊かに表情を変えながら、大正時代の小説のモダンでレトロな雰囲気を饒舌に醸し出した。
“怪人二十面相”とは何者か? その答えは提示されない。探究心をくすぐり続ける終わりの見えない壮大な推理小説を読んでいる感覚を味わえる。俳優の声と音楽を聴きながら、どんな二十面相の顔を、今作の象徴として居座る顔のないマネキン人形に投影させるかで捉え方が変わる。観客の数だけ結末がある。様々な示唆に富み、何度観ても楽しめるはず。公演は27日(日)まで。
取材・文:竹下力
初日公演直前キャストコメント
カズマ・スパーキン(江戸川乱歩役)
普通に公演ができるということが奇跡的な今の世の中で、無事初日を迎えることができました。本当にいろんな方のおかげだと思っております。その感謝の心を、気合に変えて、最後まで走り抜けようと思います。皆さんよろしくお願いします。
栗原英雄(怪人二十面相役)
今言おうとしたことを、言われてしまったのですが・・・、無事に開幕を迎えられるといったことができない状況で、今日を迎えられたことを本当に感謝しております。そして、今日この舞台技術を最後ピースであるお客様を迎え入れることができることをとてもうれしく思っております。今日から、矢花くん、豊田くん、カズマさん、吾郎さん、まりさんと毎日フレッシュなセッションをしていけたらと思います。よろしくお願いします。
豊田陸人(小林芳雄少年役)
僕は、二人みたいに面白いことは言えないですけど・・・(笑)、今回、朗読劇というのが、僕にとって初めてで、練習で声の色を変えたら、全く違うイメージっていうのが浮かんできてて、本当に奥が深いなぁって思いました。矢花くんは明智(役)で、僕は小林(少年の役)なんですね、だから僕は全公演、矢花くんの足を引っ張って、千秋楽までずっと焦られてしまおうと(笑)、そんな感じの公演にしたいと思っています(笑)。よろしくお願いします。
矢花黎(明智小五郎役)
ここまでいろいろな台詞をしゃべるという舞台は、ほぼ初めての感じでして挑ませてもらいました。ついこの前まで、同じメンバーの本髙と今野が、同じような朗読劇で、スズカツさんと吾郎さんのタッグのもとでやってたんで、そのプレッシャーはすごく大きかったですけど、カズマさん、栗原さん、そして心強い豊田陸人といった仲間がいて、それから、あさいまりさん、大嶋吾郎さんと、皆さんとても優しいかたで、すごくリラックスして、稽古にのぞめました。カズマさん、栗原さんが、おっしゃってましたけど、本当にこういう時世の中、こうして無事に幕を開けられるということに、本当に幸せなことなんだと思いますし、お客さんの中でもチケットを持っていても来るのをためらおうかなぁなど、いろいろな決断をなさってご来場いただいていると思います。僕はこれなかった人が、ほんとうに悔しい思いをしているのは十分承知しているので、そうした選択をした人のためにも気を抜かずに、最後まで突っ走りたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。
「モボ朗読劇 『二十面相』 ~遠藤平吉って誰?~」
原作:江戸川乱歩
上演台本・演出:鈴木勝秀
音楽:大嶋吾郎
出演:矢花黎 / 豊田陸人 / カズマ・スパーキン / 栗原英雄
演奏:大嶋吾郎 / あさいまり
2021年6月19日(土)~2021年6月27日(日)
会場:東京・品川プリンスホテル ステラボール
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