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東京湾の人工島で行われたKing Gnuシークレットライブレポート 舞台裏に密着したビハインドザシーンの公開も決定

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King Gnu『Red Bull Secret Gig』 (c)Suguru Saito / Red Bull Content Pool

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レッドブルとKing Gnuのコラボレーションによるシークレットライブ『Red Bull Secret Gig』(レッドブル・シークレット・ギグ)が、去る6月5日、東京湾に浮かぶ歴史的な人工島であり、洋上の要塞として知られる「第二海堡」にて行われた。ここでは、そのライブレポートをお届けする。

「Red Bull Secret Gig」は、これまで世界6カ国で10回以上にわたり実施されてきた、レッドブルが仕掛けるシークレットライブ・イベント。4月下旬より、シークレットライブ会場を探すべく始まった企画は、応募総数13万件以上の好評を博した。全国各地に「会場を示すヒント」が隠された拡声器ビジュアルが掲出され、最終的に謎を解いた約7万人がライブ会場を突き止め、さらに抽選で選ばれた60名が現地LIVEに参加した。

惜しくも抽選に漏れた約7万人が7月4日にオンライン配信でLIVEを視聴。「第二海堡」は国有の施設として普段厳重に管理されており、大規模な機材を運び込んでの音楽ライブの開催は、今回が史上初となった。

また、「シークレットライブ映像の一部」と、制作の舞台裏に密着した「ビハインドザシーン」の公開をRed Bull TV(https://www.redbull.com/jp-ja/apps)で配信が決定。公開予定日は、2021年7月22日となる。

遺跡以外は何もない、明治期に作られたという小さな人口の無人島「第二海堡」には、このひとときだけのために、ゼロからステージが作られた。過去、この場所で音楽を歌い鳴らしたバンドは存在しない。そんな場所で、2021年6月5日、幸運な60名の観客を前にKing Gnuはライブを行なった。

観客は2便に分けて、横須賀市・三笠ターミナルから小型フェリーで来島。360度見渡す限りの海に囲まれたこの島に、1週間前から船で資材や機材を運び込み、ステージを設営。シルバーに鈍く光る骨組みに数え切れないほどのミラーや拡声器が配された。

1便目到着から2便目の到着まで、レッドブル・ダンサー、レッドブル・アスリートを含む豪華パフォーマー陣によるブレイクダンス、フリースタイル・フットボール、ダブルダッチのセッション・パフォーマンス「Red Bull Street Jam」が行われた後、すべての観客が上陸を遂げた15時40分より、いよいよKing Gnuのライブがスタート。周辺に配されたドラム缶に次々に火が灯され、辺り一面に白煙が立ち込めていく中、メンバーがステージに上がった。

常田大希がギターをつま弾き、勢喜遊がタイトにリズムを刻み始め、そこに新井和輝が弾き出す太い音が乗った瞬間にグルーヴが着火、1曲目の“千両役者”がスタート。

アグレッシブな躍動感をもって歌を放っていく井口理&常田大希のツインボーカル含め、爆発力のあるダイナミックな演奏で一気に沸点を超えていく。そのままさらにギアを上げ、“Sorrows”へ。ステージ全体から火炎が上がり、黒煙が溢れる。

続けて“傘”から“McDonald Romance”。とくに“McDonald Romance”の絶妙にタメの効いた抜群のグルーヴと儚くも美しい井口の歌は、シチュエーションも相まって世界に取り残されたラブソングのように響いた。

短いインターバルののち、“飛行艇”へ。重心の低いどっしりとしたビートに乗って雄大に景色を切り開いていくこの楽曲、火炎の上がり方も勢いを増し、メンバーが目視できないくらいに燃え盛る炎と黒煙の向こうから強靭なバンドサウンドが轟いてくる。黒煙が赤煙へと変幻する中で繰り広げた“Slumberland”は、まさに混沌の時代に新たな価値観を打ち立てて突き進むKing Gnuというバンドを体現するようなパフォーマンスだ。

狂騒極まるステージから一転、常田による静謐なピアノソロへ。上空を横切るヘリコプターの音がむしろ外界と隔絶されたこの場を際立たせるように感じられる中、始まったのは“the hole”だった。繊細で美しく、同時に地を這うような新井のシンセベースの響きを含め、次第に重厚な熱量が増していくこのバラードは、いまのこの状況だからこそひと際強く響いた。

その後、再びステージが白煙に包まれたかと思いきや、タンクトップと赤いハーフパンツに早着替えした井口が登場。“Teenager Forever”に突入した。いつも以上にノリノリで飛び跳ね踊りまくりながら歌う井口に、常田が歌いながら思わず吹き出す一幕も。

ラストは“サマーレイン・ダイバー”。幻想的なオルタナティブ・サウンドと透き通ったメロディが溶け合う、どこか讃美歌のような神秘的な響きを宿した名曲が空へと響いた。ステージを去るメンバーたちの表情は笑顔に満ちていて、彼らにとっても、このライブ体験は二度とない特別なものだったと感じられた。

2日後にはすべて撤収され、再び何もない、ただ砲台跡だけが静かに佇む島となった第二海堡。だが2021年、パンデミックによって世界が大きく揺れ動く過渡期の中で、King Gnuがこの場所で初めてその音楽を歌い鳴らしたという事実は決して消えることなく、歴史の一部となっていく。今回のライブは演出含め、前人未到のフィールドを切り開いていくKing Gnuらしい、一度限りの素晴らしいアートでもあった。

【セットリスト】
M1. 千両役者
M2. Sorrows
M3. 傘
M4. McDonald Romance
M5. 飛行艇
M6. Slumberland
M7. The hole
M8. Teenager Forever
M9. サマーレイン・ダイバー

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