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これまでにない“静”な主人公が登場! 小越勇輝、梅田彩佳ら出演の梅棒新作『おどんろ』稽古場レポート

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主人公のサラリーマン萬代(ばんだい)を演じる梅澤裕介(梅棒)  撮影:飯野高拓(梅棒)

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台詞を使わず、J-POPにダンスとストーリーを乗せ、誰もが楽しみ共感できる舞台をつくりあげるダンスエンターテインメント集団「梅棒」の最新作・梅棒12th WONDER『おどんろ』が7月30日(金)に開幕する。その稽古場を取材した。

新作となる今作は、俳優の小越勇輝、梅田彩佳をはじめ、ストリートダンスの世界⼤会「JAPAN DANCE DELIGHT」を制し振付師としても活躍する電撃チョモランマ隊のQ-TARO、梅棒公演ではおなじみパイレーツオブマチョビアン、世界的なアニメーションダンサーNANOI、数々のダンスコンテストを制し⽶津⽞師らアーティストのバックダンサーもつとめるKurumi Shiina、ダンスプロリーグ「D.LEAGUE」のofficialチームBenefit one MONOLIZのメンバーRiNnAをゲストに迎え、“妖怪”がモチーフのストーリーを描く。

この日、行われたのは3度目の通し稽古。通常、「3度目の通し稽古」と聞くと作品は固まりつつあるのだと受け取るが、梅棒の場合は別。稽古の冒頭で作・総合演出の伊藤今人(梅棒)がキャストに「前回の通し稽古から結構変わっていますが、今回やってまた次の通し稽古に向けて修正をしていきます」という話をしていたが、つくっては壊し、つくっては壊しを重ねながら、梅棒ならではの、台詞がないのにわかりやすくて、シンプルなのに深みもある、あの舞台ができあがっていく。

左から、梅澤裕介(梅棒)、Q-TARO、遠藤誠(梅棒)、Kurumi Shiina、天野一輝(梅棒)撮影:飯野高拓(梅棒)

今作の舞台となるのは、NEO妖怪たちのイタズラによって人間の生活が脅かされるトーキョー都タイトー区(公式HPより)。うだつの上がらないサラリーマン・萬代(ばんだい)が、ひょんなことから妖怪と接触するようになるところから物語は始まっていく。登場するのは、NEO妖怪たちと、妖怪に翻弄される警察たち、妖怪を保護する住職、萬代が働くブラック企業の社員たち。キャストたちは役衣裳を着ているわけではないが、パフォーマンスを観ていると、誰が妖怪で誰が人間なのかはもちろんのこと、それぞれの特徴までパッと理解できることに感動する。特に梅澤裕介(梅棒)が演じる主人公・萬代は、静か動かで言えば完全に“静”で、そこにうだつの上がらなさも加わっている。梅棒はダンスという“動”の表現が軸なのに、なぜこんなに伝わってくるのか不思議に感じるほど。そのキャラクターを際立たせるパフォーマンスと演出に、梅棒がこれまで積み重ねてきたものがギュッと詰まっているように思った。

左から、楢木和也(梅棒)、NANOI、小越勇輝、RiNnA、パイレーツオブマチョビアン 撮影:飯野高拓(梅棒)

先日のインタビューで梅澤と梅田が「とにかくかわいい」と話していた妖怪の面々は、本当にかわいかった。登場人物全員そうではあるのだが、このNEO妖怪たちは特に、キャストそれぞれが持つ技術が最高の相棒となっていた印象。そしてそれも、技術のすごさを感じる前にキャラクターの魅力として心が持っていかれるようなパフォーマンスに昇華されている。梅棒のこういうところが、なにも考えずに楽しめる所以だ。

稽古後、ダイジェスト(いわゆるダメ出し)の時間に伊藤が「一つひとつの役に人生が感じられたら梅棒っぽい」という話をしていたが、それは今回、小越や梅田のパフォーマンスに感じたものでもあった。そこに舞台上で描かれない時間があるのだ。小越演じるNEO妖怪は人間に深い恨みを持っているが、梅田演じる警察官との出会いによって少しずつ人間への感情が変わっていく。

警察官役の梅田彩佳(中央左)とNEO妖怪役の小越勇輝(右)撮影:飯野高拓(梅棒)

ふたりの間に流れるものの変化はとても繊細なのに、舞台上の空気を一気に変える鮮烈さがあり、作品の大きな魅力になっていた。マスクをしているにも関わらず表情や醸し出すものにハッとさせられることも度々あり、台詞がないからこそのものがあるのだと感じた。「ずっと梅棒に出たかった」と話していた小越は、“溢れんばかり”といったパフォーマンスが瑞々しい。前半の、攻撃的でオラオラした芝居も新鮮だ。初出演以来「また出たい」と言い続け、梅棒では初となる2度目のヒロインを務める梅田のパフォーマンスも魅力が増していた。気持ちと職務との間で板挟みになる姿は心を掴み、彼女がどういう選択をするのかドキドキしながら見守らずにはいられなかった。

多和田任益(梅棒) 撮影:飯野高拓(梅棒)

そのほかにも、登場すると目が吸い寄せられるQ-TAROや、遠藤誠(梅棒)の狂気を感じる演技、多和田任益(梅棒)と小越の歴史を感じるパフォーマンスなどなど……あげるとキリがない色とりどりの楽しさがギュッと詰まっている。これからさらにブラッシュアップされ、開幕するときにどんな舞台になっているか、期待が高まる。

公演を重ねるごとに洗練される梅棒の舞台。だけど変わらずに、どんな人も楽しめて、たっぷり笑えて時々ホロリとくるような作品となっている。映像化や配信はされないので、気になった方はぜひ劇場に足を運んでほしい。

【コメント】伊藤今人(作・総合演出)・梅澤裕介・⼩越勇輝・梅⽥彩佳

●作・総合演出:伊藤今人

完全新作をつくる際特有の、ヒリヒリとした毎日を久々に味わっています。
今回のゲスト出演者もストイックなメンバーが揃っています。稽古開始時間前からみんなイヤホンをして鏡に向かって自主練に励む、静かに、しかし激しく燃える現場です。
まだ創作途中ではありますが、キャストたちのアツい想いがギュッと濃縮された素敵なエンタメになることは間違いありません。
梅棒が初めて挑む妖怪ファンタジー。楽しみにお待ちください!

●梅澤裕介(梅棒)

たっぷりのクリームと甘いソースの下にはビターなチョコが隠れてるパフェ。そんな季節の新味梅棒になる予感がしてます。
妖怪たちがとても愛しいので、観た人に「また観たい」「もう一度会いたい」そう思ってもらえるような作品にしたいです。
そのためにも残りの稽古期間は、真剣なところはより真剣に、馬鹿馬鹿しいところはより馬鹿馬鹿しく、作品を深めていきたいと思います。

●⼩越勇輝

稽古が進み本番が近づくに連れて今まで経験してきたものと違う緊張感を感じています。
個人的に初めての事が沢山あるからこそのドキドキなんだなと、新鮮さももちろん気の引き締まる思いです。
より良い作品を目指し作っては壊しの稽古の中で、刺激的な毎日を過ごしています。「おどんろ」という作品・世界をお届けできる日が待ち遠しく楽しみです。

●梅⽥彩佳

日々変化していく演出や、ダンス、殺陣にいっぱいいっぱいです!笑
5年前に出演させて頂いた時もそうでしたが、今回もちゃんとテンパってて、いっぱいいっぱいになってます。笑
でも新しいことにチャレンジ出来たり、苦手だなと思うことに真っ向からチャレンジ出来てるので、毎日大変だけどとても充実していて楽しいです。
前回出演させていただいた時は「GLOVER」のジュリエッタ。元気いっぱいで天真爛漫なロボット。
今回は少し大人になった??ところも見せれるかもかもーです。
お楽しみにです。



取材・文:中川實穗 撮影:飯野高拓(梅棒)



梅棒 12th WONDER 『おどんろ』
http://umebou12th.dynamize.net/
【東京公演】
2021年7月30日(金)~2021年8月15日(日)
会場:よみうり大手町ホール
※一部公演中止、最新情報は公演公式サイトにてご確認ください(7/30追記)

【大阪公演】
2021年8月19日(木)~2021年8月22日(日)
会場:COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール

【愛知公演】
2021年8月28日(土)・29日(日)
会場:名古屋市芸術創造センター

チケット情報
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2171045

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