なぜ霊媒が題材に?よしひろまさみちが「ブライズ・スピリット」トークイベントで分析
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よしひろまさみち
「ブライズ・スピリット~夫をシェアしたくはありません!」のトークイベントが昨日8月24日に行われ、映画ライター・編集者のよしひろまさみちが登壇した。
ノエル・カワードが1941年に発表した戯曲「陽気な幽霊」を原案にした本作。ベストセラー作家として名を馳せるチャールズが、かつての妻でゴーストライターだったエルヴィラを、霊媒師に頼んで呼び戻したことから騒動が巻き起こる。ドラマ「ダウントン・アビー」に参加したエドワード・ホールが監督を担当し、同ドラマに出演したダン・スティーヴンスがチャールズ役で主演を務めた。「ダウントン・アビー」のファンでもあるよしひろは「ダン・スティーヴンスの困り顔から笑顔まですべて観られましたね」と感想を伝える。
1945年にデヴィッド・リーンによって映画化もされている戯曲「陽気な幽霊」について、よしひろは「時代を超えて語り継がれる作品だと思うんです。幽霊が話しかけてくることで人生が変わっていく様子や、奥さんが亡くなってしまったという悲しいエピソードなど、今この時代にリメイクされ、描かれることに意味があると思う。デヴィッド・リーン版の映画を観ていただくとわかるんですが、それとは明らかに違う部分がある。そこがすごく今らしい」と語った。
「今でいうところの“ザ・エンターテイナー”」とカワードを評すよしひろは「なんでもできちゃうし交遊関係がすごく幅広いんです。元イギリス首相のウィンストン・チャーチルが友達だったり、『007』シリーズの原作者イアン・フレミングも友達で別荘が隣同士だったりと豪華すぎる。いわゆるエンターテイナーというのは、交遊関係の幅広さも1つの魅力ですが、その最初のような人ではないかと思います。セレブの走りということです」とコメント。そして、『007/ドクター・ノオ』でドクター・ノオを演じてほしいというフレミングのオファーを断ったというカワードの逸話に触れ、「その断り方もすごかったんです。『ノーノーノー、1000回言われてもノーだ』と(笑)。そこまで頼まれて断れるぐらいの間柄だったということですよね」と述べ、本作で霊媒という題材が使われたことに関して「カワードは、その時々の流行を敏感に察知して作品に入れ込んでるんです。だからこそ『007』も断ったんだと思う。“これは流行のものではなく、永遠に残ってしまうものだ”ということで、刹那でないものにはあまり魅かれないということなんでしょうか」と分析する。
最後によしひろは「自分のパートナーはシェアしたくないでしょうが(笑)、映画の情報はシェアしてくださいね。オリジナルの映画を知っている方は今は多くないと思うので、これを新作として広げていっていただきたい。そのうえで、“実はオリジナルの映画もあるんだよ”という楽しみ方ができるんじゃないかと思います」と呼びかけた。
「ブライズ・スピリット~夫をシェアしたくはありません!」は、9月10日より東京・TOHOシネマズ シャンテほか全国でロードショー。
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