小瀧望「今、エンタメを届ける必要がある」瀬奈じゅん、成河ら共演、小川絵梨子新翻訳による『検察側の証人』が開幕
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『検察側の証人』より、青年レナードを演じる小瀧望(ジャニーズWEST)
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すべて見るジャニーズWESTのメンバーとして活躍する傍ら、今年2月、第28回読売演劇大賞の杉村春子賞および優秀男優賞を受賞、俳優としても評価の高い小瀧望が主演する舞台『検察側の証人』が8月28日、東京・世田谷パブリックシアターで開幕した。ミステリーの女王、アガサ・クリスティが生み出した法廷劇の傑作を、小川絵梨子の新翻訳、新演出で贈る意欲作。同日、取材会が開催され、小瀧、瀬奈じゅん、成河が意気込みを語った。
物語は、容姿端麗な青年レナード(小瀧)が殺人事件で起訴されるところから始まる。被害者は、かねてよりレナードと交流があった資産家の老婦人。事件当時レナードは無職だったこと、確実なアリバイがないことなど不利な条件の中はじまった法廷で、敏腕検事のマイアーズ(成河)と老練な弁護士ウィルフリッド(大滝寛)が白熱の応酬を繰り広げる。そこでしかし、弁護側の証人として彼のアリバイを証明するはずだったレナードの妻ローマイン(瀬奈)が、検察側の証人として「レナードから殺人を告白された」と証言をした……。
フォトコールとして披露されたのは3場面だったが、そのわずかの時間でも、迫真の法廷劇を繰り広げたキャスト陣。小瀧はまず「本当にギリギリの状態でやっています。毎日のように抗原検査や、PCR検査をして、やっとここまでたどり着いたという感じ」と胸をなでおろし、「今日の初日でいいスタートを切って走り出したい」と意気込みを。瀬奈は「ここまで来られたのもひとつの奇跡。千秋楽まで奇跡を起こし続けたい」、成河は「今、初日を開けられるだけで感謝をしなきゃいけなしし奇跡。でも同時に「そんなものじゃないだろう」という欲望もわいてくる」とさらなる飛躍への意欲をみせた。
演出は読売演劇大賞 優秀演出家賞など数々の演劇賞を受賞し、今もっとも注目される演劇人のひとり、小川絵梨子。「大人気の演出家さん。出たいという思いはありました」(小瀧)、「私は迷わず「出ます」と言いました」(瀬奈)と、俳優たちからも人気の高い演出家だ。その魅力について成河は「演目自体は古いものですが、小川さん自身が翻訳をし、今の人が聞いて、まさに隣で起きているような会話をこの戯曲の中でやる面白さと難しさ。これにどこまで挑戦できるかと思って立ち向かっています」と話す。
稽古中はコロナ禍ということもありずっとマスクを着けていたというカンパニー。「この2・3日で初めて顔を見た人もいる」と成河が言えば「舞台稽古に入ってからマスクを外しましたからね。そこで改めて“初めまして”になった。顔が見えて、より仲良くなれましたね」と小瀧。瀬奈からは「小瀧さんとはお稽古場の席も隣だったのですが、私語も控え、(仕切りの)ビニールもあったので、舞台稽古で(マスクのない顔を見て)本当にジャニーズの人だったんだなあと思いました(笑)。素敵な方です」というような話も。
苦労している点は「自分は(これまで)感情を作って、その感情を持って台詞を言っていたが、小川さんに『台詞はプレゼントなんだから相手にちゃんとあげないと』と言われた。それを頭のど真ん中に置いてやっている」と小瀧が話すと、成河が「自分の感情に溺れないようにということを、(小瀧は)誰よりも率先してやっていることが素晴らしい。それはベテランでもいつも躓く石ですので」と賞賛。ほかにも瀬奈が、「成河さんは、変態という名の天才(笑)。小瀧さんは、本の読解力、表現力がぶれなくて、本当に頭がよい方なのだなと。(本質を)そのままきちんと、しかもサラッと理解してします。この方も天才です。天才に囲まれてやっています」と語るなど、お互いへのリスペクトを持つカンパニーの顔が見てとれた。
最後に成河が「ひとりひとりが自分の課題と向き合っている、それが小川さんの現場の特徴。一生懸命自分の課題にむきあっている俳優の(裏側の)姿を見せてはいけないのですが、とてもいい座組なので楽しみにお越しください」、瀬奈が「このような状況ですので、観にきてくださるお客さまも命がけだと思います。なので私たちも命がけで、心を揺さぶる舞台をお届けできるよう、一回一回を大切に演じていきます」と挨拶を。さらに小瀧が「エンタメができることが当たり前じゃないと2020年に感じましたし、逆に今、エンタメを届ける必要があると思っています。去年、(自粛期間があり)生のエンタメに触れられなかった時期を経て、メンバーの舞台を観に行ったとき、生のエンタメは本当に素晴らしいと思い、公演が終わったあとに自然と涙が流れたんです。来てくださった方に『観に来て本当に良かった』と思っていただける公演にしたいし、1ヵ月、やりきりたいと思います」と熱く思いを語り、取材会は終了した。
公演は9月12日まで、同劇場にて。その後、兵庫、大阪公演あり。
取材・撮影・文:平野祥恵
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