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ラグビー日本代表が次なるステップへ、好調・豪州代表にも稲垣は「勝たないと意味がない」

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稲垣啓太 (C)JRFU

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秋の代表シリーズへ向けて、そして『ラグビーワールドカップ2023』を見据えて、宮崎で汗を流しているラグビー日本代表。10月1日よりジェイミー・ジョセフ日本代表ヘッドコーチらコーチ陣も合流。翌2日にはメディアオンライン会見に対応した。指揮官はこの合宿にきっちり身体を仕上げてきた選手たちに満足していた。

「選手たちはオフシーズンの間にフィットネスだったり、個々に渡していたトレーニングプログラムをしっかりと行ってくれた。選手個々が責任感を持ってやってくれた。ただ、ここから、どんどん加速していかないといけない」

ジョセフHCはキャプテン変更についても言及した。
「リーダーシップに変化があったことを伝えたい。キャプテンは(ピーター・)ラピース(・ラブスカフニ)。バイスキャプテン(副将)は(中村)亮土。リーチはリーダーとしても素晴らしい。だが一度ここで彼にラグビーにフォーカスしてもらいたいと考えた。彼は2019年の『W杯』でもベストとも言えるプレーをした、だが彼も若くはない。ラピースは『W杯』でゲームキャプテンを務めている。亮土も安定感があり、サントリーでキャプテンを務め将来の日本代表の主将でやっていける選手だと思っている。
ラピースは生まれながらにしてリーダーシップを持っているし、姿勢も素晴らしく、安定感もあり、英語も話せる。日本語はあまり話せないが、日本のラグビー、文化をきちんと理解している。中村選手は主将をサポートし、自身もリーダーとして成長してきているので、ふたりに任せようと思った」

主将・ラブスカフニ&副将・中村の体制で2023年を目指すのか問われると、HCは否定した。
「このツアーだけ。また再評価して考えていきたい。リーチが主将を長くやってきたが慣れが出てきた。ここで違う声、変化を加えることは必要だと思っている」

新主将に任命されたラブスカフニは次のように喜びのコメントを寄せた。
「本当に名誉で光栄な気持ち。このチームは特別なチーム。 私とここにいる仲間たちの心の中は、桜のジャージーを着て自分たちのベストを出し、日本を代表することに向け、熱い気持ちでいっぱいです。私たちの行動から、チームのビジョンや価値をみなさんにお見せできればと思う。また家族や友人、最終的には日本のみなさんに誇りに思っていただけるようにがんばりたい。私たちはこれからの試合、挑戦に向けてとても興奮しているし、楽しみな気持ちでいっぱいです」

ジョセフHCは春の代表シリーズの2試合ブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ戦、アイルランド戦の数字に満足していた。
「合宿に来てまず選手たちに伝えたのは、スタッツの部分。2試合の平均したボールポゼッション、テリトリー、ゲインライン、ラグビーの勝敗に必要なスタッツをティアⅠチームと比較して説明した。
結果はさほど変わらなかった。自分たちの方が高い部分もあったし、劣っていた面もあった。ここから自分たちがティアⅠに近付くためにやらなければいけない部分がある。そこで新しいチームのスタンダードを作っていかなければならない。
2019年の『W杯』でもフィットネスやスピードは高いレベルでできた。特にボールインタイムについてはティア1より長い時間をマークしていた。ボールをしっかり動かすことができれば、我々の方がフィットネスがあるので試合に勝つことができる。『W杯』の時は36~38分のボールインタイムだが、他チームは32分くらいだった。現在ではティアⅠも38分くらいになってきているので、自分たちももっと伸ばしていかないといけない」

今回の宮崎合宿のテーマついてはこう語った。
「(7月の)アイルランド戦はバランスを欠いた部分があった。『W杯』では私たちが素晴らしいスキル、スピードでプレーしたが、今回はアイルランドがブレイクダウンで優位だった。自分たちはプレーしすぎてペナルティをし、相手にキックでタッチに出されて自陣に入られしまった。自陣22mに入れないようにしていきたい。ペナルティを犯さない、規律を守るということを改善していかないといけない」

新戦力のリアキ・モリ、ディラン・ライリー、ジョネ・ナイカブラの評価を求められると、このようにコメントした。
「3人とも素晴らしいラグビー選手。リアキはサンウルブズの経験があり、ブルーズでも活躍していた。彼はまずケガをしないで、ハングリーにいくことが重要。現在はとてもいいコンディションでしっかりプレーしてくれている。
ディランは物静かだが、パナソニックの試合を見ると自信を持ってプレーをしている。ラファエレのケガで彼や中野(将伍)や(シェーン・)ゲイツにもチャンスが来るだろう。ここで力を発揮してほしい。
ジョネは東芝でのパフォーマンスが素晴らしかった。まずジャパンのシステムをしっかり理解することが前提。どの選手にも言えることだが、疲れた状態、ハードな状況でどれだけ自分のやるべきことを理解してやっていくのか、そこを見ていきたい」

また指揮官は19歳のワーナー・ディアンズへの期待も口にした。
「本当に彼は今見てみたい選手であったし、1日目から目を見張るパフォーマンスだった。フィットネステストの結果もよく、200cm、123kgという身体もあり、日本語も堪能。完璧な選手だ。フィジカルももっと成長すると思う。まだ若く経験はないので、2023年についてはまだわからない。今回ヴィンピーがケガをしたように何が起こるかわからないが、彼の将来を楽しみにしているし、興奮している」

同日には選手を代表して稲垣啓太もメディア対応を行った。指揮官と同様に稲垣もチームメイトたちの仕上がりに手応えを感じていた。
「チームのスタンダードが高くなったことを今日1日の練習で実感した。その理由は初日にしてはゲームに対して理解度は高かったし、初めて参加した選手も含めて『相当準備してきたな』という感覚があった。出だしとしては、いいスタートが切れたのではないかなと思う。より質の高い練習が1日目からできたという印象がある」

豊富な運動量を誇るプロップ(PR)は日本代表のスタンダードを高めるために、独自のスタイルを構築する重要性を説いた。
「周りが我々のラグビーを見てどう思うかがキーになるんじゃないですかね。『ティアⅠのスタンダードとは?』と言われて漠然としたイメージがある。漠然としていていいが、我々のラグビーを見て『これくらいのスタンダードにいかないと日本代表になれないんだ』『日本代表を見習いたい』というような一種の憧れを持ってもらえるような、独自のスタンダードを作っていきたい。
日本代表のラグビーは世界的に見ても面白いと思う。日本代表の得点能力は世界的に見ても高い方だと思う。データ上もボールタッチ、パスの回数は世界で一番多い。それはボールが動くということ。そこで『日本代表をマネしたい』と思ってもらったら、ファンにとっても我々にとっても素晴らしいこと。他の国が日本代表を参考にしたら日本代表のスタンダードが上がったということ」

一家言持つスクラムの課題について質問されると、稲垣はこのように答えた。
「マイボールスクラムでは100%ボールを獲得できている。相手ボールに対しておそらく3つ4つペナルティを重ね、多い時アイルランド戦では5個くらいあったのでは。課題としては相手ボールのスクラムにどう対処していくか。2019年から『相手ボールにプレッシャーをかけてペナルティを奪いたい』と一貫して言い続けている。相手にプレッシャーをかけようとして我々がペナルティを取られたことが欧州遠征では多かった。これからどうしていくべきか。模索している途中」

ペナルティを犯さないためにディティールにこだわる。
「スクラムで一番大事な部分は大きく分けてふたつあると思うんですよ。組む前の準備と組んでからの方向性。今、最初にやらないといけないのは組む前の準備。相手とバインドした時に相手に体重をあずけられてしまって我々のアドバンテージが失い、ペナルティを60~70%の確率で取られた。いわゆる準備が足りない。いろんな要素があるが、バインドするときロック(LO)フランカー(FL)のヒザを上げるタイミングが遅かったりして重心を下げられてしまう。そういう細かいところを口酸っぱく言っているところ。
距離が遠くなったら、バックファイブの足の位置をちょっと詰めさせる。要するにヒットした瞬間、ヒザが伸び切らないということです。そのため、バックファイブの足の位置をふだんより一歩詰めておくということが大事」

細部を詰めて目指すのは世界一のスクラムである。
「我々にとって世界一のスクラムとは何なのか。我々のアタックしたい形に100%フィットした、100%コミットしたスクラムが世界一だと思う。スクラムからアタックのバリエーションが増える、ペナルティが奪えるという日本独自のスタンダードを作り上げる必要がある。そういった時初めて世界一と言える。
相手ボールにどう対処してプレッシャーをかけてペナルティを奪えるかによって、世界一に近付くかどうかが変わってくる。(道のりは)半分くらいですかね、半分くらいよりはもう少しいっていると思うけど」

秋のシリーズの初戦・オーストラリアは『W杯』王者・南アフリカに連勝するなど復調しているが、稲垣は「勝ちないと意味がない」とキッパリ。
「テストマッチは勝たないと意味がないと思っているので。特に自国でテストマッチを行うことがどれだけかの意味があるか僕は理解しているつもりなので、勝つ姿をお見せしたいと思っている。そのために今宮崎でその準備をしているし、準備したことがフィールドで100%発揮できれば結果を残せることも今まで証明してきた」

また稲垣は結果が伴わなければ罵ってもらって構わないと続けた。
「選手としては結果を残すことにフォーカスしなければならない。2019年になぜあれだけ多くの方が応援してくれたのかというと、勝ち続けたから。勝たなければ、やっぱり何も評価してもらえない。勝つことでみんなから認められる。だからこそ勝つために準備して、準備して、準備して、そして結果が出なかったら罵ってもらった方が楽。
日本代表に対して『こんな試合しやがって!』というレベルへいっていいと思う。僕らはそんなことを言わせないように結果を残すつもりで準備していくし、選手は100%結果にフォーカスすべきだと思う」

稲垣は選手だけではなく、ファンにもステップアップを求めているのだ。
「我々もステップアップしないといけないし、ファンのみなさんもステップアップすべき時が来ていると思う。ファンのみなさんも目が肥えてきた。結果が出ていない時に「勝てなかったけど、いい試合だったね」で終わらせてはいけない。選手は誰も喜んでいない。選手は勝たないといけないと思っているし、そういう時はファンも厳しい声を出すべきだと思う。だから選手とファンと一緒に日本代表を強くしていければ、最高だと思う」

日本代表は10月23日(土)・昭和電工ドーム大分にて『リポビタンDチャレンジカップ 2021』オーストラリア戦、11月6日(土)・ダブリンでのアイルランド代表戦、13日(土)・リスボンでのポルトガル代表戦、20日(土)・エディンバラでのスコットランド代表戦に臨む。日本×豪州のチケットは10月9日(土)午前10時より一般発売。

取材・文:碧山緒里摩(ぴあ)

『リポビタンDチャレンジカップ 2021』日本代表×オーストラリア代表チケット情報
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2183902

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