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【ライブレポート】「キャリアは違っても、目を見てしゃべったら何か分かるんよね」 ウルフルズの音楽の情熱をSUPER BEAVERへ受け渡す、極上の対バンライブ

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『ウルフルズ road to 30th anniversary LIVE 2021「“対バン”よんでコールミー」』 Photo:渡邉一生(SLOT PHOTOGRAPHIC)

2022年のデビュー30周年に向け、昨年から趣向を凝らしたさまざまな方法で盛り上げてきたウルフルズ。今年6〜7月に『ウルフルズ road to 30th anniversary LIVE 2021「よんでコールミー」』を東名阪にて無事開催したものの、続く『ウルフルズ road to 30th anniversary LIVE 2021「“対バン”よんでコールミー」』は、キュウソネコカミ、マカロニえんぴつとの共演が予定されていた8月のフェスティバルホール(大阪)公演は中止となり…。初日にして最終日となった9月25日、全ての思いを詰め込み、SUPER BEAVERを迎え開催された福岡サンパレス ホテル&ホールでの熱いライブをレポート!

この日はまず、揃いの白スーツ×オレンジのシャツで現れたウルフルズの3人によるオープニング・トークからスタート。

「『よんでコールミー』へようこそ! 結局、この対バン企画は初日にして最後(笑)。ともあれ、今日という日を迎えられてよかったね」(トータス松本/vo&g)

「持ってますね、SUPER BEAVER」(ジョンB/b)

「ラジオ(FM COCOLO『Got You OSAKA』)に、渋谷(龍太/vo)くんが出てくれてたね」(サンコンJr. /ds)

「番組でSUPER BEAVERの話題が出ると、何かみんなのリアクションがいいんよね。何でかなぁと思ってたら、ウルフルズもビーバーも、どちらも好きな人が一定数いるみたいなんよね。そんな彼らと初めて会ったのは、一昨年の『京都大作戦』。バックヤードで紹介してもらって、あいさつしたんですよ。最初はちょっと怖いなと思って(笑)」(トータス松本)

「でもめちゃめちゃ礼儀正しくってね」(サンコンJr.)

「怖い格好やのに腰低いから、僕らは意味が分からへんってなって(笑)。で、もらった音源を聴いてみると熱いんよね。あぁ、こういうことか、と。もしかしたら同じような匂いがするのかなとか思いながら、ちょっとずつ進んで今日の日を迎えたワケ。とまぁ、我々いつまでもしゃべるので(笑)、そろそろいきましょうか。自分らがやるのも、人のライブを見るのも、久しぶり。ドキドキするわ。カモン、SUPER BEAVER!」(トータス松本)

ウルフルズの軽妙なトークですっかり準備万端となった会場へ、先攻のSUPER BEAVERが姿を現す。

「ご紹介にあずかりましたSUPER BEAVERです。ウルフルズは30周年、俺たちは17年目。17年目の新人バンド、トップバッターを飾らせていただきます! 楽しむ準備はできてますか? そんなもんでいいですか? 本日ここを選んで来てくれた愛すべきあなたのお手を拝借。手は頭の上へ。大きな手拍子で、ウルフルズをびっくりさせましょう」(渋谷)

初っぱなから戦闘態勢の4人は、まずは『美しい日』を。渋谷は、常々言葉にしている“あなたたちじゃなく、あなた”に向け、誰ひとりとして置いていかぬよう歌いかけていく姿が実に印象的だ。

「せっかくの機会、ようやくあなたと会えました。ウルフルズがつなげてくれたこの縁、大事にしたいと思うので、あなたと一対一、一分一秒気を抜かずバンバンいきますので、何卒よろしくお願いします」(渋谷)

一曲ごとにクライマックスを更新していくかのような勢いで、次なる『閃光』では、柳沢亮太(g)が「見せてくれ、福岡ー!!」と弾き倒しながらほえるほえる! しかも「声が出せないので、声以上の何かを!」(渋谷)と、曲中もあおるなど、この一体感はSUPER BEAVERのホームと言うほかない。

「改めまして、ライブハウスから来ましたSUPER BEAVERです。すごいこともあるものですね、ウルフルズが誘ってくれました。やった!」と、子供のように喜ぶ渋谷。ここで、初見のオーディエンスに向けて簡単に自己紹介をする彼ら。結成17年目ながら、2009年のメジャーデビュー後、一度インディーズに戻り、その10年後である2020年に再デビューした経緯を話す。こう連ねると、彼らが茨の道を歩んできたことは想像に難くない。

「長く続けていればかなわない夢も知ってるし、努力に裏切られたことだって何度もありました。なので、やりたいと思ったら続けてなきゃダメだよねって。小学生の時から聴いてたバンドに呼んでもらえた、こんな素晴らしい日。何が起こるか分かりませんよ。この人生、この瞬間があまりにも尊く愛おしいので、あなたにとって、そして俺たちにとっての突破口になりますように」(渋谷)

そう導くはもちろん『突破口』! スタンドマイクを掲げながら闊歩する渋谷は会場全てをロックオン。その堂々たるシルエットに完全無欠のヒーロー像を感じずにはいられない。それは強靭な音が、曇りない言葉が放つ説得力ゆえだろう。

「さぁ、準備運動は終わりましたか?」(渋谷)なんて口にしたかと思えば、お次は「青い春」へ。柳沢がギターをかき鳴らし生まれるハピネスなムードに、観客がマスク越しですら破顔しているのが分かる。

そして、「俺たちの音楽は現実逃避するための音楽ではなくて、現実としっかり真正面から向き合うための音楽だと思っています」と渋谷がブチ上げ、開放感たっぷりの『予感』に。「会いに来たんだ 福岡サンパレスまで」と歌詞の一節を変える粋な計らいに、ますます結束が高まるバンドとオーディエンス。ここで長い喝采を受け、再び渋谷が口を開く。

「あって当たり前のものはどこにもないと再認識したもので、この時間がめちゃくちゃ尊く感じます。俺たちの気持ちをあなたに投げて、あなたにその気持ちが届いてまた投げ返してくれる…それが音楽、ライブかなと思ってます。これからもそういう一対一で恥ずかしくないバンドでいたいなと、あなたが好きと言ってくれるバンドが恥ずかしい存在ではいけないので、しっかりとやって参りたいと思います。そんな俺たちのあなたに向けての意思表示を」(渋谷)

そんな信条を込めた『人として』では、この場に立てている歓喜を全身から発しながら、伸びやかな声をサンパレス内に響かせる渋谷。バンドの確固たる姿勢を込めた楽曲に、観客も食い入るようにステージから視線を離さない。さらに舞台上に掲げられたバックドロップを指しながら『よんでコールミー』と連呼する渋谷は、ウルフルズとの不思議なリンクを感じさせる『名前を呼ぶよ』へといざなっていく。上杉研太(b)のベースが唸りを上げ、テンションの天井を突破。藤原“33才”広明(ds)が生命力たぎるビートで場を鼓舞した『アイラヴユー』を経て、いよいよエンディングへ。

「一昨日もライブハウスでライブをやったり、久しぶりのステージじゃないんです。でも今日がなぜかライブハウスより暑い=熱いのは、あなたのおかげかなと思っています。ありがとうございます! 俺たちは“一緒に頑張ろう”とはあまり言いたくない。それぞれ頑張りましょう。いつか、というか、絶対次会えると信じてます。そのときにそれぞれ頑張ってハイタッチできたら最高ですね。手をつないで歩いていくとかそういうのじゃなくて、やるときはやらなきゃいけないんじゃないかと思う。頑張らなくてもいいんじゃないかと思う反面、頑張れるところでは頑張らなきゃだめだなって思ってます。最後は、ウルフルズ先輩にバトンを渡します」(渋谷)

渋谷はマイクから距離を取りながらも一層歌声を強く響かせ、『時代』へと突入。胸をつかむメロディを奏でながら「最後に両手を上げてください!」と柳沢が先導し、終わりを迎えるその瞬間まで、声なきコール&レスポンスを完遂。先輩への最大の敬意を持って、観客のパワーを増幅させたSUPER BEAVERに、大きな拍手が送られた。

オープニング時とは衣装をがらりと変え、黄色のスーツで登場したトータス松本を筆頭に、ついに真打・ウルフルズのお出ましだ! いきなりの『ええねん』で、場の空気を一気になにわのソウル&ファンクに塗り替え、ウルフルズ流テクノポップ『センチメンタルフィーバー 〜あなたが好きだから〜』では、ジョンBが爽やかな声を聴かせる。

「今日は『“対バン”よんでコールミー』。やっとやれる。もう、うれしいの一言やね。やっぱりお客さんの前で歌うっちゅうのは、たまらんもんがあって。たまらんもんと言えば、さっきのSUPER BEAVER! 誘ってくれたって言うけど、こっちからしたらよく誘いに乗ってくれたなと思うわ。僕らもそこそこ歳を重ねていろんな音楽をやってきた。そこに、20歳も年下で元気なバンドがいたらさ、一緒にやりたいなと思うよ。これが対バンを企画した理由。実現してよかった。(SUPER BEAVERは)やんちゃやけど真っすぐなやつら。今日のお客さんは(両方のファンが)混じってるんやろ? それがまたいいわ。年がいもなく、内心はめちゃグッときてるんですよ。黄色い“べべ(衣装)”着てゲッツみたいになってるけど。…アカン言うてもた! もうゲッツにしか見えへん!」(トータス松本)

「…ゲッツじゃないですよ、ガッツですから」(ジョンB)

「うまいこと言って、照れるなよ(笑)」(トータス松本)

そんなシャイなジョンBのベースラインが心地良い『かわいいひと』を経て、続くは今回のツアータイトル曲に。

「本日の会場、福岡サンパレス ホテル&ホールは今年で40周年なんですって。ウルフルズは30周年。そして、今日も会場はダスキンがバッチリきれいにしてくれてる。コンサートがこうやって安心して開けること、本当に感謝! 次の曲は、そんなダスキンの最新CM曲です。SUPER BEAVERの『名前を呼ぶよ』のアンサーソングみたい。意外に結びつきがあって面白いな。よし、いってみよう!」(トータス松本)

フォーキーな『よんでコールミー』は、最新曲ながら耳に馴染んだような温かさがある。アコギを手にし、ポロン、ポロンと爪弾くトータス松本。一人スポットライトを浴びながら、「…何か夢の中におるみたい。それぐらい人前で歌ってない感じがするなぁ。まぁ戻る日も近いと思う。頑張りましょう」と始めた『笑えれば』の染み渡り具合ときたら! 桜井秀俊(g・真心ブラザーズ)が奏でる土臭くもセンチメンタルなメロディに合わせ、胸中でシンガロングせずにはいられない吸引力。光で満たされるステージは、何ともまばゆく美しい光景だ。

「ありがとう! マスクしててもちゃんと見えてるから、みんなの顔。みんなの笑ってるとこ、ちゃんと見えてるから俺ら。心の声で歌ってくれるか? 一緒に!」(トータス松本)

気持ちが通い合う喜びを胸に、『それが答えだ!』でさらにギアを上げていく彼ら。小気味良いジョンBのベースリフにサンコンJr.が生む重厚なリズムが絡み合い、たくさんの拳が突き上がる。トータスの痛快なダンスにも拍手喝采! さらに、バンドの骨太な魅力を凝縮した『バカサバイバー』では、伊東ミキオ(key)のスリリングな鍵盤さばきも圧巻だ。

「それにしても、SUPER BEAVERの“ライブハウスから来ました”というアレは決め台詞なんか? なるほどって思って。でも俺らもライブハウスから来たんやで、一応(笑)。思い出すと、最初はライブハウスではお客さんが全然いなくてね。対バン目当てはいっぱいいて、こっちも一生懸命やるんやけど、どこかシレッとした感じで見られて悔しい思いして。どんなことやったらウケんのかなとか、やっぱいい曲書かなアカンなとかね、いろんなことを考えて。そう、(SUPER BEAVERとは)キャリアは違っても、同じようなことを考えながらやってきたのは間違いないと思うのよね。だから別に面と向かって音楽の話しようぜとかさ、そんなこと言わなくても、目を見てしゃべったら何か分かるんよね」(トータス松本)

後輩への多大なるリスペクトを語るトータス松本。今宵は久々のライブとあって、ちょっぴり感傷的になっているようで、さらにこんな話も聞かせてくれた。

「昔、憧れていたボビー・ウーマックというソウルのアーティストに、ある企画でN.Y.まで会いに行ったんですよ。ちょうど自分のソロ・アルバム『TRAVELLER』で彼の曲もカバーしたタイミングやったから感無量でね。いろいろ通訳を介してしゃべってたら、「自分のように音楽を続けてもういい歳になった今、日本人の若いやつが俺の音楽を聴いて、俺の音楽を好きで、こうやって会いに来てくれた。きっと君が俺の好きだった音楽を継ぐんだろう。そして君の音楽を聴いて感銘を受けた誰かが何かを生み出していく。音楽はこうやって巡り巡っていく、すごいいいと思うだろ?」って。めちゃ感動した。ところで当時はまだ俺も若かったわけで。N.Y.の人って、「あなたはなぜ音楽やってるの?」ってよく質問してくるんよ。でもこっちは「何でかなぁ、好きやからかなぁ?」ぐらいしか言われへんねん。でも相手にそれを聞くとね、「My life」って言うんですよ、自分の生き様そのものやと。かっこいいなぁと思ってね。でも、その時はあんまりピンとこなかった。「My life」ってそない大層なと。そう思ってたんやけど、この歳になってくると分かるんよ、その感じが。渋谷くんなら、もう「My life」って言うかも分からんけどね(笑)。音楽の情熱を受け渡してつながっていく…ずっと。それを昔、ボビー・ウーマックに言われて、最近改めてせやなぁって思うんですよ」(トータス松本)

そう続けてラスト『バンザイ~好きでよかった~』を絶唱するトータス。たくさんのエモーションを乗せたこのステージへの思いに触れ、改めてこの名曲を全身で浴びる多幸感たるや。あっという間の本編終了で、瞬時に客席からアンコールを求められたのは言うまでもない。

アンコールではウルフルズはもちろん、この日のため一張羅であるスーツに着替えた渋谷をはじめ、SUPER BEAVERの面々もステージに登場。

「ウルフルズの対バンを引き受けたら、この曲をやらなアカンっていう洗礼が待ってん ねん。SUPER BEAVERのファンはそんな曲歌わされて…ってそうは思わないでほしい! なかなかレアな場面を見たなっていう思いで帰ってくれたらうれしいな(笑)」(トータス松本)

「超レアです! SUPER BEAVERを結成したときにこんな日が来るとは思いませんでした(笑)」(渋谷)

「これを機会に今後ともよろしくお願いします。ゲッツじゃないよ、ガッツ! みんなも心の声で歌ってくれるか?」(トータス松本)

そんな幸福なお約束『ガッツだぜ!!』では、まずはトータスがマイクを握り、2番では貴重な歌唱を見せる渋谷。と、なぜか途中ボーカリスト2人は気絶…。どこからともなく沸く『ガッツだぜ!!』コールとクラップに、何とか2人が目を覚ます寸劇を挟みながら(笑)、ライブは大団円へ! 締めを担った渋谷が一発ではキメさせてもらえないなど、最後の最後まで笑顔の絶えない一夜となった。『“対バン”よんでコールミー』、これにて閉幕!

Text:後藤愛 Photo:渡邉一生(SLOT PHOTOGRAPHIC)

『ウルフルズ road to 30th anniversary LIVE 2021「“対バン”よんでコールミー」』
9/25福岡サンパレス ホテル&ホール公演

セットリスト

<SUPER BEAVER>
美しい日
閃光
突破口
青い春
予感
人として
名前を呼ぶよ
アイラヴユー
時代

<ウルフルズ>
ええねん
センチメンタルフィーバー ~あなたが好きだから~
かわいいひと
よんでコールミー
笑えれば
それが答えだ!
バカサバイバー
バンザイ~好きでよかった~

<アンコールセッション>
ガッツだぜ!!(SUPER BEAVERとのスペシャルコラボ)

【リリース情報】
ウルフルズ セルフカバーアルバム第2弾『フル盤』
2021年12月15日(水)リリース

●初回盤Blu-ray付VIZL-1967 ¥5,940(税込)
●初回盤DVD付VIZL-1968 ¥5,280(税込)
●通常盤VICL-65629 ¥3,300(税込)
●数量限定生産 "road to 30th"プレミアム・セット(オリジナル缶バッジ9個付属・ブリスターパック) 
・フル盤 (初回盤Blu-ray付)+缶バッジ9個セットVOSF-10690   \8,440(税込)
・フル盤 (初回盤DVD付)+缶バッジ9個セットVOSF-10691  \7,780(税込)
 ビクターオンラインストア限定で販売。数量がなくなり次第、販売終了。
 ビクターオンラインストア https://victor-store.jp/artist/16003294
<サイズ>本体:約120mm×120mm×5mm 缶バッジ:32mm

収録曲
01:すっとばす V
02:ヤング ソウル ダイナマイト V
03:愛撫ガッチュー V
04:チークタイム V
05:サムライソウル V
06:バカサバイバー V
07:事件だッ! V
08:暴れだす V
09:サンキュー・フォー・ザ・ミュージック V
10:いい女 V


【Blu-ray/DVD】
*オリジナル・ムービー「ウル盤 サ・ムービー」 完全版を収録!!
*「ウルフルズ ライブ 2020 〜ミテクレエブリバディ〜」ライブ映像をたっぷり収録!!(shibuya eggmanにて開催された生”配心“ライブを再編集!ウルフルズ東京初上陸のshibuya eggmanはリアル無観客ライブだった。そう、あれから30年。
ファンと共に築きあげてきた唯一無二の魂揺さぶるライブパフォーマンスをミテクレエブリバディ!!!)


ウルフルズ セルフカバーアルバム第1弾『ウル盤』
発売中
https://ulfuls.lnk.to/uluban


【収録曲】
01:バンザイ~好きでよかった~ V
02:やぶれかぶれ V
03:それが答えだ! V
04:泣きたくないのに V
05:かわいいひと V
06:笑えれば V
07:きみだけを V
08:39(サンキュー) V
09:胸の… V
10:大丈夫 V


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