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宮本亞門「ぜいたくな機会をもらえて感謝しています」 新作ミュージカル『カラテ・キッド』ニューヨークで始動!

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映画『カラテ・キッド(ベスト・キッド)』の生みの親で今回の舞台の脚本も手がけるロバート・マーク・ケーメン(右)と宮本亞門 (C)ゴージャス・エンターテイメント

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BROADWAY IS BACK! 昨年3月12日に全劇場が閉鎖されてから18か月。9月14日、ついにブロードウェイが正式に活動を再開した。同月26日には、延期になっていた2020年度のトニー賞授賞式も行われ、劇場街は息を吹き返したよう。そんな活気みなぎる街の一角にある稽古スタジオで、9月30日・10月1日の両日、ブロードウェイでの上演を目指す新作ミュージカル『カラテ・キッド』のワークショップ・プレゼンテーションが行われた。

映画『カラテ・キッド(邦題:ベスト・キッド)』シリーズをヒットさせた脚本家ロバート・マーク・ケーメンが自ら舞台化の脚本を担い、ブロードウェイが注目する新鋭ドリュー・ガスパニーニが作詞・作曲、『ムーラン・ルージュ!』で2度目のトニー賞を受賞したばかりのデレク・マクレーンがセットデザイン、ヒップホップからドラマまで豊かなダンス・ボキャブラリーでいま飛ぶ鳥を落とす勢いのケオネ&マリ・マドリッドが振付、そして宮本亞門が演出。沖縄出身で空手経験者でもある今回のアソシエイト・プロデューサー兼演出家付きドラマターグ松堂今日太の10年越しの企画が、多様性に富む強者揃いのクリエイティブ・スタッフを得て、ニューヨークで始動することとなった。

スタッフ会議中の宮本亞門(中央)。その右が振付のケオネ&マリ・マドリッド (C)ゴージャス・エンターテインメント

非力な少年ダニエルが、空手の達人ミヤギに出会い、争いを避けることこそが空手の真の教えであることを学んでゆく――。スポーツ根性ものの高揚感と、ボーイ・ミーツ・ガールの胸キュン要素、家族愛、そしてなにより異文化交流と相互理解の物語であり、近年ダイバーシティ&インクルージョンの推進に積極的なブロードウェイにとっても、非常に歓迎すべき作品と言えそうだ。

「今回のプレゼンテーションに招待したブロードウェイの三大劇場主(※)は、三者とも出席を即答してきたんですよ」

粘り強い交渉で舞台化の権利を獲得し、ケーメンから「ワンダーウーマン」と呼ばれている吉井久美子プロデューサーも、ブロードウェイ・サイドからの期待を強く感じている。

まずは2022年5月にセントルイスで世界初演を迎えることが決まっているが、今回3週間のワークショップを経て稽古場でプレゼンされたのは、5人のミュージシャンによる演奏のもと、ダンス・シーンや装置の転換等を含めて全幕を通し上演する、極めて完成度の高いミュージカル作品だった。空手が沖縄の自然崇拝の精神を背景に生まれたものであることを具象化するユニークなダンサー陣の動きや、パネルを多用するスピーディーな転換、躍動感溢れる楽曲と、表現力に秀でたキャストたち。映画のストーリーとイメージを活かしつつ、舞台ならではの視点と表現へのこだわりも明快な、実にツボを心得た演出だ。見守った観客は、くだんの劇場主やプロデューサー、投資家など、厳しい目を持つプロの業界関係者がほとんどだったが、終演するとみな躊躇無く立ち上がり、喝采を送っていた。

左からアソシエイト・コレオグラファーのヴィン・ニュイン、宮本、振付のマリ&ケオネ (C)ゴージャス・エンターテイメント
脚本のケーメンと宮本 (C)ゴージャス・エンターテイメント

2日間のプレゼンテーションを終えた宮本は、
「1日目はその反応に感動しましたけど、2日目は、気になるところのメモばかり取っていました。まずは創ったものを出してみた段階なので、観た人の反応も参考にしながら、すべて解体するつもりで、本番に向けて創り直します。これがワークショップの意義なんですね。ぜいたくな機会をもらえて感謝しています」と、早くも来年5月の公演と、その先に待っているはずのブロードウェイを見据えている様子。トライアル&エラーを重ね、時間をかけて練り上げてゆかなければ、ブロードウェイでの成功はあり得ないと熟知しているのだ。

作詞・作曲のガスパリーニと宮本 (C)ゴージャス・エンターテイメント

2020年2月に俳優によるリーディングを行った直後の3月に、コロナによりすべてがストップ。対面での稽古やミーティングができずにいたが、これでやっと、しかも、かなり好感触の本格始動ができた。ブロードウェイへの道のりは長いけれど、距離は確実に、縮まり始めたのではないだろうか。

今回使われた台本

※ブロードウェイの三大劇場主:「ブロードウェイ」のカテゴリーに入る劇場は現在41あり、そのうち17劇場を持つシューバート・オーガニゼーション、9劇場を持つネダーランダー・オーガニゼーション、5劇場を持つジュジャミソン・シアターズの3社のこと。

取材・文:伊達なつめ

作詞・作曲のドリュー・ガスパリーニと宮本亞門 (C)ゴージャス・エンターテイメント

★作品および公演情報
ミュージカル『カラテ・キッド』(The Karate Kid - The Musical)
脚本:ロバート・マーク・ケーメン(Robert Mark Kamen)
作詞/作曲:ドリュー・ガスパリーニ(Drew Gasparini)
演出:宮本亞門(Amon Miyamoto)
振付:ケオネ&マリ・マドリッド(Keone & Mari Madrid)
セットデザイン:デレク・マクレーン(Derek McLane)
衣裳デザイン:前田文子(Ayako Maeda)
照明デザイン:ブラッドリー・キング(Bradley King)
音響デザイン:原田海(Kai Harada)
オーケストレーション:ジョン・クランシー(John Clancy)
音楽監督:アンドリュー・レスニック(Andrew Resnick)
製作:木下直哉(木下グループ)、吉井久美子(ゴージャス・エンターテイメント)、マイケル・ウォーク (Michael Wolk/Wolk Transfer)

https://thekaratekidthemusical.com/

ミュージカル『カラテ・キッド』(英題:The Karate Kid – The Musical )
セントルイス公演(ワールド・プレミア)
2022年5月25日~7月3日(予定) 
劇場:カークウッド・パフォーミング・アーツ・センター ロス・ファミリー劇場 
The Ross Family Theatre Kirkwood Performing Arts Center

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