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「シェイクスピア劇に食指が動かぬ方にこそ、観ていただきたい」 森新太郎演出、時代も性別も超えた『ジュリアス・シーザー』開幕

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『ジュリアス・シーザー』より 撮影:加藤幸広

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シェイクスピアのローマ史劇の名作を、女性キャストだけで上演することで注目を集めている、森新太郎演出・吉田羊主演『ジュリアス・シーザー』が10月10日、東京・PARCO劇場で開幕した。

その演出力の高さから俳優たちから最も信頼されている演出家・森新太郎が、3月に上演された『Romeo and Juliet ーロミオとジュリエットー』に続いて今年2本目のシェイクスピア劇を手がける本作。もとは男性による政争劇だが、性別を意識させるセリフをあえて排除し、オールフィメールキャストたちが「男性」を演じるのではなく、「人間」を演じるよう演出。人の業や欲望、正義や信念といったものをつまびらかにしながら、よりリアルな人間たちのドラマを浮き彫りにしていく。

初日を終えて森は、「権力闘争劇の金字塔ともいうべき本作が、これほどまでに様々な感情の渦巻く人間ドラマであるとは知りませんでした。オールフィメールで臨んだことによって、この作品の新たな魅力に出会えたような気がします。歴史劇や政治劇の類い、そして何よりもシェイクスピア劇といったものに普段まったく食指が動かぬ方にこそ、是非観ていただきたく思います」とコメント。

主人公・ブルータスを演じる吉田羊は、「お客様が入って、この作品の最後のピースが埋まったというか、物語が完成したなという感じがしました」と初日公演の感想を述べ、「シリアスな物語にも関わらず笑いが絶えず、毎日、演出をつけられた役者が目に見えて変わっていく様がとても面白かったです」と稽古を振り返る。見どころについては「“言葉”によって突き動かされていく人々の物語を、かくもドラマティックかつパワフルに仕上げた森新太郎氏の手腕! そう来たか!と唸って頂きたいです!」と息巻く。

シーザーの腹心の部下・アントニー役の松井玲奈は、「稽古中の『芝居は呼吸。息を吸ったときに感情が生まれる』という森さんの言葉が強く印象に残っています。今まで感じていたことがハッキリとした言葉で表された時、ハッとするものがあり、この現場での大きな学びの言葉となりました(中略)アントニーを演じる上では、生まれた感情を殺さないようにしたいと考えています。ブルータスとアントニーの演説場面は大きな見どころのひとつです。民衆の心が動かされていくように、客席の皆様の心までも動かす演説ができるよう、ひとりひとりの心に強く訴えかけていきたいと思います」と稽古での手ごたえと見どころについて語った。

シーザー暗殺を企てるキャシアス役の松本紀保は、稽古を振り返り「キャストが女性だけなので、稽古場でのリラックスした時間は女子校の休み時間の様な雰囲気で、笑顔のたえない時間でした」としつつ、「演出の森さんとは 2 回目ですが、とにかく容赦ないダメ出しの嵐は 2 回目も健在でした。役者の心に火をつけるのがとても上手な演出家だと思います。今回は歌手、スポーツ選手、芸人さんなど、〇〇さんのようにという例えを使われていてそこがとてもわかりやすく面白かったです」「この作品は全てが見せ場なので、1シーンたりとも見逃せない! なかでも民衆達が扇動されていく姿は、現代にも通じるも のがあるのではないでしょうか」とコメントを寄せた。

シルビア・グラブが演じるジュリアス・シーザーは今回「妻のキャルパーニアの前では弱みをかなり見せてます」とのこと。「男たちのドラマであるのはもちろん、今回、森さんはキャラクターのヒントとしていろんな俳優や有名人の名前を持ち出し、そのキャラクターに近づけていくキャストの皆さんを見るのが楽しかった。古畑任三郎をはじめ、松岡修造さんからオードリーの春日さんまで、バラエティに飛んだキャラクターたちがステージ上に隠れています」と松本同様、独特な森演出についてふれた。

上演は10月31日(日)までPARCO劇場にて。その後、大阪・山形・福島・宮城・富山・愛知と全国を巡る。

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