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『G.I.ジョー』最新作で堂々の悪役に! 平岳大「世界の俳優との共演は“異種格闘技”」

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インタビュー

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『G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ』での平岳大 (c)2021 Paramount Pictures. Hasbro, G.I. Joe and all related characters are trademarks of Hasbro. (c)2021 Hasbro. All Rights Reserved.

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人気玩具から派生し、21世紀のハリウッドで旋風を巻き起こしたアクション『G.I.ジョー』シリーズ。8年ぶりとなる、その最新作『G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ』が、いよいよ劇場公開される。国際的な特殊部隊“G.I.ジョー”の主力兵士である東洋人戦士スネークアイズの、知られざる過去にスポットを当てた本作。日本が主要な舞台となっている点も大いに気になるところだ。

この注目作で、スネークアイズを苦しめる強敵、鷹村を演じるのが平岳大。アメリカに拠点を置いて俳優活動を続けつつ、『のぼうの城』『関ケ原』などの日本映画にも出演。近年は英BBCとNETFLIXの共同制作によるシリーズ『GIRI/HAJI』で注目を集めている。そんな彼に、『G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ』やハリウッドでの活動について話を聞いた。

『G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ』メイキング風景。平岳大とアクション監督の谷垣健治

――『G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ』のオーディションには坊主頭にして臨んだとのことですが、ご自身のアイデアだったのですか?

 そうです。僕が演じる鷹村が悪役であるのは分かっていました。しかし、どうも自分は悪役には見えないし、面白みもない。何かを変えないといけない思い、坊主頭にしたんです。

――登場した瞬間にワルだと思いました(笑)。これは本当に良いアイデアですね。

 そうそう、本国アメリカの観客はアジア人の顔を見分けるのが難しいという現実があります。なので、キャラクターとして肉体的な特徴が必要かなあと思い、坊主頭にしたんです。金髪にすることも考えましたが、坊主の方が気合が入ってるように見えるじゃないですか(笑)。

――確かに。鷹村は抜け忍という設定で、アクション演技も多いですが、どんな準備を?

 バンクーバーでひと月半、アクションだけのトレーニングを受けましたが、それは毎日ヘトヘトになるくらいキツかったですね。ダンスに例えると、曲のここからここまでの振りつけを、というようなことを繰り返して覚え、それができたら1対1、1対2、1対複数の対決を覚え、さらにカメラを回してもらい、俳優としての実戦的な稽古に入るんです。

刀の扱いが主で、幸い僕は殺陣の経験がありましたが、初めての人も多く、ハードなトレーニングでした。ただ、そんな準備期間があったおかげで、本番では緊張もなく、乗りきることができました。撮影時にはより早く動いているよう見せなければなりませんが、どうすればそれができるかと考えることも、この準備期間に培われたと思います。

――もっとも肉体的にキツかったシーンは?

 日本のネオン街のようなところで格闘するシーンですね。あれは雨降らしの場面で、氷点下に達するスレスレの11月のバンクーバーでの撮影でしたが、水を温めて散布すると湯気が立つとのことで、真水を降らせたんです。自分なりに衣装の内側にいろいろ仕込んではいましたが、それでも寒くて低体温症になりかかりました。

『G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ』

――日本でのロケについて教えてください。

 2カ月ありました。主に姫路と茨城のオープンセットです。バンクーバーの撮影では、僕が“お客さん”のような感じもありましたが、東京での撮影のときは、みんなを街に連れて行ったりしましたね。姫路でもありましたが、基本的にアメリカ人は自分で勝手にいろいろするのが好きなので、“いい店教えて”みたいなことはあまり言われなかったですね(笑)。

――そもそも、なぜアメリカで俳優を志したのでしょう?

 15歳で渡米して25歳のときには帰国して、しばらくはサラリーマンをしていました。それが楽しくないわけではなかったのですが、自分のやりたいこととは何かが違うという思いが頭の片隅にずっとあり、いいかげん自分が本当は何をしたいのかを真剣に考えないと遅すぎることになるかもしれないと。そこで、役者の仕事をしたいという結論を出したんです。やってみて、たとえダメでも、やった以上は死ぬときに後悔したりはしないだろうと(笑)。やらずに後悔するのはイヤですから。

アメリカでこの仕事をしようと思ったのは、『ラストサムライ』や、その前だと『ブラック・レイン』のような、日本人の俳優が際立つ映画のお陰かもしれません。とはいえ、『ラストサムライ』のような映画がそうそうあるわけではないし、それで食べていけるかも分からない。なので、そんなに大きな夢を抱いて渡米した、というワケではなかったですね。

『G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ』

――アジア系の俳優はアメリカでは役が限られるワケですが、そういう点で苦労は?

 人生の大半をアメリカでマイノリティとして生きてきましたから、その部分は分かっていたし、覚悟はしていました。それでも、最近のアメリカは変わってきていると感じています。僕が初めて暮らし始めた1990代と今とでは、エンタテインメントの世界でもすごく大きく違っていると思いますよ。

――日本人俳優の需用がハリウッドで多くなってきた、ということですか?

 そうです。高倉健さんや真田広之さんらがハリウッドでデビューした頃のことは分かりませんし、その頃との比較はできませんが、単純にここ3、4年を振り返っても、機会は多くなったと感じています。

一方では、日本で撮影するハリウッド作品も増えていますし、日本で撮りたいという映画人も多い。でも、日本で撮るとバンクーバーのような税制優遇措置がないので製作費がかさんでしまう。そして撮影の許可も取りにくいという問題もありますね。

――さまざまな国の俳優と共演することのメリットは、どんなところにあるのでしょう?

 国の違いというわけではないですが、役者は皆、演技の方法論が違っています。『GIRI/HAJI』に出たときは、通常“ヨーイ、スタート”の掛け声がかかり、そこから演技を始めるのですが、“スタート”の“ス”の段階で演技に入ってくる共演者もいました。感情を作る演技のエネルギーが止まってないんですよ。それが映像を見るとすごく良かったりする。同じスポーツなんだけれど、全然違うルールで戦っているような、そんな気持ちになりますね。

一時は“それ、反則だろ”と思ったりもしましたが、今はそれは面白いと感じられるようになりました。自分はどうするべきか考えるし、彼らに対応できていない自分を反省することもあります。そういう意味では、異種格闘技的な感じですね。

『G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ』

――『G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ』は2019年の撮影ですが、その後のパンデミック下では、どのような体制で撮影が行なわれているのですか?

 僕は1年ほどカラッカラの状態で、先日久しぶりにローマでの撮影に参加させていただきました。『THE SWARM』という木村拓哉さんが出演する海外製作のドラマシリーズでしたが、週に2度、現場に着いたらすぐにPCR検査を受ける。感染者が出たときは、5日間は撮影中断になります。で、あらためてPCR検査をして、全員が陰性であれば撮影を再開する。幸い、僕が参加していた組は中断は一度だけでしたが、他の組はけっこう陽性者が出ていたようです。いずれにしても、感染症対策に関しては、かなりシビアに行なっていますよ。

――アジア人がハリウッドに認められるためには何が必要でしょう?

 『G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ』で共演したヘンリー・ゴールディングの『クレイジー・リッチ!』はアジア人が作り、アジア人が出演した映画ですが、アメリカでも大ヒットしました。そういう実例を作ったことに意味があるんじゃないかな、と思います。アジア人がハリウッドで既成事実をひとつひとつ作っていく。僕ができるのは、まだまだ小さいことですが、それを地道にやっていきたいと思っています。

取材・文:相馬学

『G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ』
10月22日(金)より公開

(c)2021 Paramount Pictures. Hasbro, G.I. Joe and all related characters are trademarks of Hasbro. (c)2021 Hasbro. All Rights Reserved.

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