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主力移籍もACLショックもケガ人続出も乗り越えて! 川崎F、明治安田J1最速連覇へ死角なし!!

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谷口彰悟(川崎フロンターレ) (C)J.LEAGUE

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『明治安田生命J1リーグ戦』もいよいよ残り5戦。『ACL』出場権をかけた戦いが激化し、残留争いも熾烈を極める中、川崎フロンターレが早くも連覇を決めようとしている。2位・横浜F・マリノスの結果にもよるが、早ければ11月3日(水・祝)にも等々力陸上競技場でシャーレを掲げようとしているのだ。

26勝6分1敗・勝点84の1位川崎Fは『明治安田J1』第34節・ホームで浦和レッズを迎え、22勝6分5敗・勝点72の2位横浜FMは日産スタジアムでガンバ大阪と対峙する。横浜FMが負ければ川崎Fは引き分け以上で連覇、横浜FMがドローでも川崎Fが勝利すればタイトル獲得となる。横浜FMは残り5試合で全勝したとしても、川崎Fが1勝1分3敗ならばリーグ制覇だ。

苦しい時期もあった。夏場にMF田中碧、三笘薫がチームを去った。8月25日・第26節でアビスパ福岡に今季初黒星を喫すると、雲行きが怪しくなる。9月5日・ホームの浦和レッズとの『2021 JリーグYBCルヴァンカップ』準々決勝第2戦では、77・83分とCKから立て続けにゴールを奪い4強入りを決めたと思われたが、87分・94分にまさかの連続失点……。アウェイゴールの差で『ルヴァンカップ』敗退を余儀なくされた。続く9月14日・韓国での『ACL』ラウンド16・蔚山戦では延長戦の0-0の末、PK戦で涙を呑んだ。しかもリーグ戦では消化ゲームが1試合少ないとは言え、2位横浜FMが勝点1差に詰めてきたのだ。

背水の陣で敵地に乗り込んだ9月18日『明治安田J1』第29節で徳島ヴォルティスを3-1で撃破すると、帰国後5連勝(リーグ戦6連勝)。10月27日『天皇杯 JFA 第101回全日本サッカー選手権大会』準々決勝では鹿島アントラーズに3-1。フロンターレらしさをすっかり取り戻したのだった。

川崎Fはなぜ最大の危機を乗り越えることができたのか。11月1日に指揮官、主力選手たちのメディア対応が行われ、異口同音にその理由を口にした。

鬼木達監督が「移籍にケガ人、ポジションに人が減ってきた。我々は競争でチームを作ってきたので、そういった意味で難しい時期だった。でもそういう時期があったから今がある。橘田(健人)ひとりとっても、もともと力があったが、ここのところぐぐっときた。韓国から帰って来てから徳島戦からの5連勝だったり、隔離状態だったが毎日が楽しくかった。全員がいい表情をしていて、逆境にも強くなった」と選手たちの成長に目を細めれば、CB谷口彰悟主将は「韓国に行って敗退して大阪に帰って来て、僕は大阪に合流したが、一人ひとりの表情を見ると落ち込んでいたし、疲れていたと感じた。でも引きずるわけにはいかなかったし、鬼さんも勝負の5連戦だと言っていた。フィジカル的には厳しいものがあったが、メンタル的には充実していた。鬼さんは試合中のプレーはもちろん、練習だったり、練習後の空気や表情など細かいところまで見ている。トレーニングでもスタメン組だけを見ることはない。サブ組もきちんと見ている。選手は見てくれるというのはわかっているので、選ばれた時は期待に応えたいという思いはある。鬼さんが好循環を作っている」と監督の人心掌握術に舌を巻いた。

指揮官から成長を称えられたMF橘田も「こないだの5連戦でアンカーとして出場時間も増えて、勝利という結果を得られたので、そこで自信は得られたのかなとも思う」と手応えを語りつつ、「前の選手が(コースを)限定してくれて自分が取る部分を生かしながら、攻撃の部分もレベルアップしていきたい。守備だけやっていても試合では使えないと思うし、自分も得点だったりアシストだったりをやっていきたい。もっと守備のレベルを上げながら、攻撃の部分もレベルアップしていければ」と課題を挙げた。

またMF脇坂泰斗は9月26日・第30節・湘南ベルマーレ戦の逆転勝利はキャンプからの準備の賜物だと言う。
「キャンプから対策される中でどう戦うか準備してきたのが大きい。去年なかった降格や残留がある中、戦い方が変わり勝点1を拾われることはあるが、湘南戦とかでアディショナルタイムとか1-0で勝ち切ったりしたのは大きい。足が止まる時間帯で追加点を諦めて守るとか、チームで統一して戦えている」

CFレアンドロ・ダミアンはシンプルに一戦一戦の積み重ねだと胸を張った。
「シーズンを通して連勝できていたり、新しい記録を作ったりしたが、1敗した時に若干の驚きはあったものの、自分たちがやるべきことをやることにフォーカスしてここまできた。相手ではなく自分たちのやるべきことをやってきた結果」

鬼木監督は昨季との違いをこのように評価した。
「去年は爆発的なゲームが多かった。今季は我慢比べで勝ち続けることで、自分たちが崩れずにいることで最後は勝ち続けることができたのかなと思う。簡単ではない時に崩れないのが、今のチームの強さ」

谷口主将もチームのしたたかさに成長を感じていた。
「昨季4-3-3に変えて、今年はキャンプでじっくり準備し、失点数がここまで抑えられているとは感じている。タフな選手が増えてきた。球際やハードワークでこれぐらいやらないとゲームに出られない基準というのがどんどん高くなっている。後ろの選手の出る幕がない試合もあるぐらい。得点ができなくても我慢して我慢してしたたかなゲームもできてきた」

右SB山根視来は昨季と今季のレギュレーションの違いに言及した。
「去年と違うのは降格があるとか、『ACL』が入って隔離生活や過密日程とかいろいろあった。相手も絶対負けられないという温度を感じるので、そういうところの変化はあるかなと」

強みはまだまだある。誰が抜けても新たな戦力が台頭する土壌が川崎Fにはある。監督は次々現れる新戦力について「選手一人ひとりの自覚だと思う。このチームの素晴らしいところは選手一人ひとりの高い意識。昨季の守田(英正)も、(中村)憲剛もそう。今季だったら碧だったり、薫。毎年主力が抜けても、選手たちは誰々が抜けたと思われたくないという思いが強い。思っているだけではなく、それをしっかりピッチで表現できている」と分析し、主将も「チームは生き物。誰かが抜けたら誰かが出てくる。いい流れは作れているのかなとも思う。勝たないといけないチームなので、結果が出るまで待てないが、勝ちながら新しい選手が出てきている。チーム一人ひとりが与えられた出番を生かせるというのは頼もしく感じている」と解説した。

谷口自身も激しいポジション争いの中に身を置いている。
「緊張感はある。ジェジエウ、(車屋)紳太郎、山(村和也)くん、みんな素晴らしい選手なんで、自分もいい準備をしないと試合に出られない。主将とかは関係ない。自分が出ない試合でも何も心配ないぐらい。各ポジションで競争が激しかった」

さて、川崎Fの面々は大一番にどのようなメンタルで臨むのか。選手たちのコメントからはそれぞれのキャラクターを表れていた。

鬼木監督「そんなに大きくは変わらなくて、1試合1試合ということ。2位の結果によっては優勝があるが、1試合1試合目の前の試合に向かっていった結果。これで決めたいという思いもあるが、それよりも勝ち続けたいという雰囲気を感じる」

谷口主将「僕らが勝点3積み上げないと始まらない。でもいつも通りにするつもりはない。ここで優勝への思いを押し殺したり、隠したりする必要はない。優勝するために目の前の試合で勝点3を全力で取りにいくというのを出していいと思う。優勝は待つものではなく、取りにいくもの。そこは隠す必要はない」

ダミアン「ゴールという形でチームに優勝をもたらすことができれば非常にうれしいが、誰のゴールでもとにかくチームが優勝することが大事」

脇坂「あまり普段のゲームと変わらない。個人的には首位に立てていることを楽しみたい。ずっと目指してきた優勝が目の前にあるが、首位に立っていること、強い相手とやれるというということを純粋に楽しみたい」

橘田「リーグが始ってからずっと優勝を目指してやってきて、次で決まるかもしれないというところまできたので楽しみだし、しっかり勝って優勝を決められるよういい準備をしたい。これまでも試合に集中し、少しでもチームに貢献できるようやってきたので、自分にできることを集中してやってチームに貢献したい」

山根「リーグ戦なので、ただの一試合に変わらない。いつもと一緒。目の前の勝点3だけを目指してやりたい」

3月21日の第6節で5-0と粉砕し、9月の『ルヴァンカップ』では第1戦・1-1、第2戦・3-3で屈した浦和へ対する思いはこうである。

鬼木監督「しっかり自分たちが主導権を持って戦いたい。攻守にアグレシップに仕掛けていくことが大事だし、それが勝利への近道だと思う。修正すべきところは修正しないといけないが、強気に自分たちのサッカーをしていきたい。(『ルヴァンカップ』では)自分たちのミスもあったが、ミスで終わらせるのではなく、細かいところも詰めながら意識したい。でも、そういうものに引っ張られすぎる必要はないので、そこはバランスを持って臨みたい」

谷口主将「『ルヴァンカップ』敗退となり、選手たちの悔しい顔を見てシンプルに悔しかったし、自分はそのピッチにすら立てなかったのでなおさら悔しい。『ルヴァンカップ』のリベンジ、浦和に勝ちたいという思いは強い」

ダミアン「浦和は能力の高いチーム。でも自分たちがやるべきことをやれば、自ずと結果は付いてくると思う。相手のことは気にせず、自分たちのことに集中して浦和戦に臨みたい。自分にとってはやりやすい相手と言えるかもしれない。浦和だけではなく能力が高く、勝利を目指して積極的に前に出てくるチームは、守備的なチームよりもやりやすいので」

脇坂「確かに浦和戦は得点だったり、ホームの『ルヴァンカップ』でもアシストできたりしたので、また出したいなという思いはある。山中(亮輔)選手のところがひとつストロングになっていると思うので、逆にそこを狙っていきたい。高い位置を取ってくるので、そこを狙いたい」

橘田「一人ひとりの技術があり、チームとしてもポゼッションや相手を見てカウンターをやってくるのですごくうまくて強い相手だと思う」

山根「今日本の右SBは酒井(宏樹)選手なので、代表活動でもいろんな話をして刺激を受けている。初めて対戦するので楽しみであり、自分もできるんだというところを見せたい。勝利と自分のパフォーマンスの両方を追い求めたい」

もちろん、浦和も勝点3を譲るつもりはさらさらない。17勝7分9敗・勝点58の3位に勝点3差の5位につける浦和は『ACL』出場権を得るために勝点を積み重ねていかなければならない。

リカルド・ロドリゲス監督は11月1日の定例会見で川崎Fについて「1位にいるのは偶然ではない。いい印象を持っている。夏は少しケガ人が出て、我々が『ルヴァンカップ』で先に進むことができたり、福岡戦で敗戦したりしたが、またレベルを取り戻している。いいサッカーをするチーム」と評価しつつ、「我々は挑戦者として挑みたい。『ACL』出場を狙っているので、そこに向けて全てをかけて戦いたい。また、フロンターレと戦うことによって、自分たちの立ち位置がわかる。来季優勝を狙う上で今はどこにいるのか把握するためにもいい試合だと思う」と意気込みを語った。

果たして、川崎Fが連覇を決めるか、それとも浦和が『ACL』へ望みをつなぐのか。『明治安田J1』第34節・川崎F×浦和は11月3日(水・祝)・等々力陸上競技場にてキックオフ。チケットは予定枚数終了。試合の模様はDAZN、NHK総合にて生中継。

取材・文:碧山緒里摩(ぴあ)

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