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KALMA『ミレニアム・ヒーロー』インタビュー 2000年生まれの3人が鳴らす本気の“証”

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2020年3月にミニアルバム『TEEN TEEN TEEN』でメジャー・デビューした札幌在住の3ピース・ロック・バンド、KALMAが結成から5年6カ月、彼らにとって初めてのフルアルバムとなる『ミレニアム・ヒーロー』をリリース。

そこには「さくら」をはじめ、今年、彼らが配信シングルとしてリリースしてきた4曲と昨年11月にリリースしたミニアルバム『La La La E.P.』から「パリラリラ」に加え、新曲8曲とインタールードを含む全14曲が収録されている。

「全曲が主人公になる盛りだくさんのアルバム」その言葉どおり、ライブハウスを拠点に活動してきたバンドらしいエネルギッシュな演奏を含む等身大の魅力はそのままに、バンド初のタイアップやストリングスの導入といった新たな試みにも挑戦。結果、歌メロの良さに定評があった楽曲は幅が広がると同時に、さらに磨きが掛けられた印象だ。

そんなところももちろん聴きどころだが、メンバー全員が2000年生まれの若いバンドがまさに羽ばたこうとしている瞬間を、《次は誰の番だ?僕の番だ!》と歌う向こう意気とともに見事に捉えたところにこそ、『ミレニアム・ヒーロー』の価値がある。

さまざまな変化を感じつつ、音楽に向き合う幸せを感じながら、そして時には葛藤もしながら、完成させた1stフルアルバムについて、畑山悠月(Vo/Gt)、斉藤陸斗(Ba/Cho)、金田竜也(Dr/Cho)の3人に話を訊いた。

KALMA / 左から金田竜也(Dr/Cho) 畑山悠月(Vo/Gt) 斉藤陸斗(Ba/Cho)

――『ミレニアム・ヒーロー』を聴きながら、KALMAというバンドが羽ばたこうとしている瞬間に立ち会っているような気がして、とてもワクワクしました。

畑山 ありがとうございます。

――もちろん、バンドとしてはこの先、いろいろなアルバムを作っていくと思うんですけど、『ミレニアム・ヒーロー』からはバンドの格段の成長が窺えるし、何よりも「成長しよう!」というバンドの意思が作品全体から感じられるところが大きな聴きどころだと思います。みなさんはどんな作品になったという手応えがありますか?

畑山 このアルバムが誰からも評価されなくても、自分たちでは自信を持って、「いいものができた!」って言えますね。それぐらいいいアルバムだと思うし、1stアルバムにして、もうベストと言えるぐらい、いい曲が揃ったと思っています

KALMA / パリラリラ Music Video

――斉藤さんと金田さんも手応えを聞かせてください。

斉藤 今回のアルバムを作るにあたっては、いろいろなアーティストの曲を聴いたんです。聴いたアーティストは、3人それぞれにばらばらなんですけど、そこで吸収したものをいろんな箇所に入れていて。だから、ゆったりした曲があったりとか、攻撃的なギターが入っていたりとかするんですけど、僕で言えば、ベース・ラインがけっこう動いている曲もあるし、ニルヴァーナやオアシスを聴くようになった影響で、歪んだ音色でシンプルなフレーズを繰り返している曲もあるし。そんなふうに3人がいろいろなことを取り入れているんです。だから、これまでと違うKALMAだったり、今まで通りのKALMAだったりが14曲通して楽しめると思います。

金田 陸斗が言ったことも含め、今まで以上に真剣に取り組んだアルバムだと思います。全14曲を勢いで録るのではなく、1曲1曲それぞれにしっかり取り組んだので、全曲がリード曲と言える、いい曲になったと思います。

――メジャー・デビューのタイミングだったのか、20歳になったタイミングだったのか、バンドに取り組む気持ちも大きく変わったんじゃないですか?

畑山 あまり実感が湧かないまま去年3月にメジャー・デビューして。それで毎日がすごく変わったわけでもないんですけど、それからの1年間、日常生活を占める音楽の割合がぐっと増えたんですよ。聴く時間とか、演奏する時間とか、歌詞を書く時間とかが増えたので、そういう意味では以前に比べ、実感できているし、それは3人ともそうで、メジャー・デビュー前も音楽に向き合う時間は多かったし、メジャー・デビューするしないは関係なく、音楽には向き合っていましたけど、やっぱり1人のミュージシャンとしてみたいな自覚は強くなってきました。

――生半可な気持ちじゃやっていけないと思ったのでしょうか?

畑山 いえ、僕らは何よりもまず音楽が好きだからやっているんです。でも、僕らが好きでやっている音楽を待ってくれている人たちや、スタッフの方とか、僕らをサポートしてくれるいろいろな人たちがいるからこそ、KALMAの活動は成り立っている。好きでやっていることを否定せずに応援してくれている人たち、や僕らの音楽を待ってくれている人たちがいるって、実はすごいことじゃないですか。それに改めて気づいて、だったら音楽を届けるペースを上げよう、もっと真剣に取り組もうって気持ちが、この1年で出てきたんだと思います。

2人がついて来てくれてよかった(畑山)

――ところで、このバンドは小学1年の時から友達だった畑山さんと斉藤さんが高校1年の時に始めたんですよね? 

畑山 そうですね。

畑山悠月(Vo/Gt)

――その後、17年に金田さんが加わって、これまで活動してきたわけですが、当初はバンドに取り組む3人の気持ちに温度差ってあったんですか?

畑山 最初はありましたね。

金田 絶対ありました。少なくとも僕は本気でやるつもりはなかったです。入った時も半ば無理やりだったんですよ(笑)。音楽は好きだったから、ドラムをやるのは全然よかったんですけど、僕自身は音楽で食っていこうぜって感じではなかったです。

斉藤 僕もバンドを組んだ時は、学校祭で演奏して、ちょっとちやほやされたらうれしいぐらいの感覚だったんです(笑)。そしたら悠月が急にライブハウスの店長さんと連絡を取り合うようになって、「このライブに出ようぜ」って言い始めたから、あれ?と思って。

畑山 あれ、本気なんじゃねって?(笑) 2人とも最初は無理やり入れたと言うか、陸斗に至っては僕が音楽を始めさせたところはあるので、そこまで無理強いはできなかったです。でも、だからこそついて来てくれてよかったし、ちゃんと選んでくれてよかったし。最初から思ってなくても、途中からそう思えることが大事だと思うんですよ。(2人に)今はそう思えてるもんね?

斉藤 思えてなかったらやばいだろ。

金田 本気どころじゃないぐらいの勢いがあるよ。

金田竜也(Dr/Cho)

畑山 僕は最初から、中2の時、ミスチルを聴いて、ギターを始めてから、まだバンドも組んでないのに、いつか有名になりたいって大きな夢があって。でも、陸斗も含め、周りのメンバーが全然本気じゃないのはわかってたんですよ。それで「ちゃんとやれ」って何回もケンカしたし、温度差も感じたし、でも、それはしかたないことがないことだし。そうやってやってきた中で高1の冬に――まだ竜也が入る前で、当時は4人編成だったんですけど、ビクターロック祭りのオーディションに応募して、500組中の20組に選ばれて、初めて東京に来て。ライブ内容はあまりよくなかったんですけど、それがきっかけで声をかけてもらって、がんばってれば何かいいことがあるんだなって実感できました。それがなくてもほんとは目指すべきだし、オーディションに受かってなくても本気なのは変わらないんですけど、それがあったから、よけいに自信になりましたね。絶対大丈夫、大丈夫っていう変な自信は今よりもあったし、今のほうが逆に現実的な、見たくないものを見ちゃったとか、知りたくないことを知っちゃったとか、大好きなバンドがライバルに変わったとか。

――あぁ、ライバルに。

畑山 もしその人たちが止まってたら追い抜ける、でも、その人たちも成長しているから。当時、聴いていたHump Backとか、KOTORIとか、Saucy Dogとか、My Hair is Badとか、ずっと同じところにいてくれたら抜けるんだけど、その人たちもこう(上に)行くから、いつまでも抜けない(笑)。

――なるほど。

畑山 今は、昔ほど自信はないし、先輩たちはやっぱりすごいなと思うし。でも、当時はそんなこと思ってなかったんで、変な自信があったから、2人は「大丈夫かな?」って言うけど、「大丈夫大丈夫」って。

KALMA / 恋人 Music Video

――2人が畑山さんの気持ちに追いついたのはどのタイミングだったんですか?

金田 この1年以内かもしれないです。

畑山 正直だね(笑)。

金田 なんなら、この1年で追い越しましたけど。

畑山 追い越してないでしょ! 竜也がその気持ちになった時も成長してんだからね。

――斉藤さんはいつでしたか?

斉藤 いつとかはわからないですけど、自然と。

斉藤陸斗(Ba/Cho)

畑山 でも、僕から見てみてもわかります。この1年でっていうか、ツアーを通してですね。コロナ禍だけど、KALMAは比較的ツアーをやってたんですよ。他にもやってるバンドはいましたけど、去年の秋から対バン・ツアーを始めて、12月にはワンマン・ツアーをやって、今年もツアー2本、対バンとワンマンやって、そのツアーをやっている時の2人の動きを見て、やばいと思いました。竜也が言ってることはほんとで、僕よりもやる気あるって思う瞬間があったんです。たとえば、ライブハウスに到着したとき、僕はまず楽屋に行って、自分の荷物を降ろしてから1回落ち着いたりするんですけど、2人は楽屋に寄らずにステージに行って、すぐに楽器を準備したり、PAさんと話したりしているんですよ。そういうところを見て、めちゃくちゃ本気になってるって。そういうことって昔はなかったじゃん? 

斉藤 うん。

畑山 昔は2人とも普通に楽屋に行って何かしてたんですよ。だから、「まずやることがあるんじゃない? 挨拶いこう!」って言ってたんですけど、そういう変化はあって、その変化があったからこその『ミレニアム・ヒーロー』だよね。

金田 そうだね。

音楽の聴き方が広く深くなった(金田)

――今回、アルバムを作るにあたって、いろいろなアーティストを聴いたそうですが、それは今回、自分たちの音の幅を広げたかったからなんですか?

金田 そういう意識は、僕はあまりなかったです。昔からジャンルに囚われずに聴くのが好きなんですよ。ただ、聴き方がこれまでは広くて、浅かったんですけど、それが広く、深くなりました。だから常に音楽は聴いている。その聴き方もただ聴くだけじゃなくて、構成とか、演奏のキメとか、音作りとか、意識しながら聴くようになって、それからドラムのフィルがけっこう変わりました。

――いろいろ聴いた中で何が一番参考になりました?

金田 何だろ? 基本、60’s〜90’sのUK、US系のロックを聴いていたので、けっこうドラムのチューニングはローピッチの曲が多かったですね。

――洋楽が多かったんですね。

金田 多かったかもしれないです。

――斉藤さんはニルヴァーナとオアシスとさっき言っていましたけど、やはり洋楽が多かったんですか?

斉藤 洋楽も聴いたし、悠月が好きなバンドも、たとえば悠月はミスチルが好きだから、そういうベースがいいのかなと思って、ミスチルのベースを聴いたりもしました。

――今回のアルバムを聴いて、洋楽のエッセンスが感じられたのが興味深かったので、過去のインタビューを読んだら、洋楽を聴いてきたという話はしてなくて。

畑山 2人は最近聴いているけど、僕は洋楽はあまり聴いてないです。

――でも、今回の1曲目の「Millennium Hero」の歌詞にビートルズとクラッシュが出てきますよ。

畑山 子供の頃、おじいちゃんがずっとビートルズをかけていたんです。クラッシュはバンドを始めてからですけど、この2人は最近、演奏面を鍛えるという意味で、ニルヴァーナの曲をすごく練習してきて。

――あぁ、同じ3ピースだから。

畑山 スタジオで急に自分抜きでセッションを始めるから、事前に言ってくれたら僕も練習してくるのにって。

金田 ほんとに練習する? 練習するって約束するなら。

畑山 わかった(笑)。でも、確かにサウンドはけっこうゴリゴリのベースとか、ローピッチのドラムとか、今までにはないこだわりかたをしてたよね。

――『ミレニアム・ヒーロー』を作るにあたっては、どんな作品にしたいと考えたのでしょうか?

畑山 全曲が主人公の盛りだくさんのアルバムです。ジャケの感じもそうですけど。さっきも言ったように全曲リード曲というか、フルアルバムってなったらやっぱり、いわゆるアルバム曲ってあると思うんですけど、今回のアルバムに関しては、ないと思います。あと、フルアルバムを作るなら、SEがあって、インタールードもあって――「2767」がそうなんですけど、次の曲に繋げるみたいな遊びもしたかったです。

――『ミレニアム・ヒーロー』には「2767」を含む全14曲が収録されていますが、主人公になりうる曲を13曲も作るのは大変ではなかったですか?

畑山 思い返してみても、大変だったなとはなってないです。そう考えると、楽しく作れたのかな。でも、ツアーと同時にやっていたので、制作期間と言える制作期間はなかったんですよ。レコーディングもツアー中だったんです。ツアーから東京に戻ってきて、そのまま札幌に帰らず、明日はレコーディングだって時もありましたけど、それも楽しかったんです。

――10曲目の「ふたりの海」には、《前に比べて歌詞がスラスラ書けなくなったのを君のせいにした》という歌詞がありますが、実際、スラスラ書けなくなったことがあったんですか?

畑山 ありましたね。自分にないものを書こうとしすぎて、正解がわからなくなったというか、何を歌ったらいいのかわらなくなったことがありました。因みにこの《君》っていうのは、恋人とか親友とかってことではなくて、歌詞を書けないことをいろいろな人のせいにしたってことなんです。いろいろなことのせいにしました。世間のせいにもしたし、新型コロナウイルスのせいにもしたし、メンバーのせいにも、スタッフのせいにもしました。

――そんな時、2人は畑山さんのことを、どんなふうに見守っていたんですか?

畑山 歌詞できない期間、わかってたよね? っていうか、あったもんね。歌詞ができないからレコーディングが伸びそうってことが(笑)。

金田 でも、そこで急かすのは違うし、急かしたところで歌詞って無理やり書けるものじゃないし。

斉藤 周りから言われて書いた歌詞っていうのもね。

金田 何とも思ってなかったと言ったらウソになりますけど、そこまで「マジか?」みたいな感じで気にしてはなかったです。「できるまで待つか」ぐらいの感じで。メロディとコードがあれば、ドラムはなんとなく考えられるんで。

――歌詞ができあがってきたら、すぐにレコーディングできるようにアレンジだけは決めておこう、と。

金田 そうですね。ただ、細かいフレーズは歌詞に合わせて考えたいから、ほんとは早いほうがいいですけどね。

畑山 はい、がんばります。

KALMA / 親友 Music Video

3人の音を聴きながら合わせるのが一番好き(斉藤)

――今回、曲によっては基本編成以外の楽器やプログラミングも使っていますが、前々からやりたかったことなのでしょうか?

畑山 最初は僕らの頭の中にはなかったんです。たとえば、「夏の奇跡」のストリングスも最初はなかったんですけど、入れるのはどうかっていう案があったんです。3ピースで出せる音っていうこだわりもあったので、悩みましたね。でも、一番上にあるのは、いい曲にしたいということなんだから、と考え直して。それで、ストリングスを生で入れてもらったらすごくよかったんです。入れて大正解だったし、「めぐり」もプログラミングでストリングスとホーンを入れているんですけど、それは僕が入れたいと思って、入れました。フルアルバムだからこそいいのかなと思ったんです。全曲、3人の音だけでもかっこいいと思うんですけど、全曲、主人公にしたいと思ったし、いろいろなものを食べたいし、それにはちょっと味が違わないと。そういう意味では入れてよかったと思います。

KALMA / 夏の奇跡 Music Video

――中には、自分たちではメロディカやリコーダーを演奏した「さよならのメロディ」のような曲もありますね。

畑山 3人が元々持っている楽器を極力小さめと言うか、エレキはまず入れずにアコギで、ベースも柔らかい音で、ドラムも軽く叩いて、ミックスの時、ビートルズみたいに右のチャンネルだけに寄せる。で、他に何かを入れようとなった時に、いろいろ試して入ったのがメロディカとか、リコーダーとか、口笛とかだったんです。この曲、歌詞はせつないんですけど、そういう楽器が入ることで明るくなる……けど、それが逆にせつなくなるって曲にしたかったんです。いいアレンジになったと思います。

――「さくら」では畑山さんはピアノも弾いています。

畑山 アレンジャーの石崎光さんにもピアノで入ってもらっているんですけど、自分も携わりたいと思って、一緒に弾いたんです。完全に任せるのではなく、少しでも自分がやることによって、この曲に対して、より責任を持ちたかったんです。

――ピアノは前から弾けたんですか?

畑山 いえ、バイオリンは小学生の時から7年間習ってましたけど、ピアノは全然弾けなかったです。

KALMA / さくら Music Video

――プライドよりも、いい曲を届けるということを第一に考え、ストリングスを入れたり、プログラミングを使ったりしたわけですけが、その経験を経て、基本編成以外の楽器を入れることに抵抗はなくなりましたか?

畑山 いい曲にしたいという気持ちがプライドに勝ることもあるんですけど、プライドも捨てたくないんです。だから、今後、もしそういうことがあったら、まずは自分の中で向き合ってから決めたいです。今回の「夏の奇跡」「さくら」はプライドを捨てて挑戦したわけではなく、そんなプライドがくだらなく思えるくらい、いいものになると思えたので、入れました。今後も、いいと思えるなら入れるだろうし、思えないなら入れないだろうし、それはその時しだいですね。

――その一方で、3人だけで演奏している曲は音数も厳選して、生々しさにこだわっていることが伝わってきて、そういう曲とストリングスやプログラミングを入れた曲とのコントラストも聴きどころなんじゃないかと思うのですが、3人だけの演奏にこだわるという意味では、どんなことを意識しながらアレンジしていったんですか?

斉藤 僕ら、レコーディングする時は3人で向い合わせになって、一発録りっていうのが毎回なんですけど、やっぱり3人とも3人の音を聴きながら合わせるのが一番好きなんですよ。だから個別に録るよりも3人で目が合っているほうが、グルーブも出るし、息も合うからこのやり方は続けていくと思います。基本は3人の音が土台になっているバンドでいたいです。

金田 ロック・バンドではいたいですね。ただ、ロック・バンドでもストリングスとかが入っているバンドはたくさんいて、そういう曲もすごくいいじゃないですか。だから、僕らもロック・バンドでいたいけど、いい曲も届けたいので、自分たちがやりたいことは何なのかを間違えずに、いい曲を作っていくのがベストなのかなと思っています。

メロディを一番大事にしているところは変わらない(畑山)

――今回、プレイヤーとして一番成長が表れた曲をそれぞれに挙げるとしたら?

畑山 僕は「Millennium Hero」と「スローでイコー」ですね。歌うプレイヤーとしてなんですけど、どっちもサビがロングトーンなんです。エンジニアさんには、「今までやってきた中でロングトーンが一番でかい声で出ている」と言ってもらえてうれしかったし、こういう歌もちゃんと歌えるんだと思えたのは、自分の中ですごい自信になりました。

KALMA / スローでイコー Music Video

――ギタリストとしては?

畑山 いやぁ、まだまだです(笑)。

――そんなことはないと思いますよ。

畑山 今まではあまりギター・ソロを入れてなかったんですけど、今回はかなり入れたので、そういう意味では「ふたりの海」。これは3人とも成長したと思います。

――この曲のギター・ソロ、めっちゃかっこいいじゃないですか。

畑山 ありがとうございます。でも、ほんとに数秒のソロを録るのに何時間もかかっちゃって(笑)。

――あと、「希望の唄」のサビの……

畑山 あぁ、単音のリフ。あれも難しかったです。

――あれ、すごく耳に残りますね。

畑山 いいですよね。でも、ライブではひたすらコード・ストロークで、楽しく踊って歌っていたいんで、ソロや単音のフレーズは極力弾かないようにしているんです。ギター・ソロを弾きながら踊れる人もいますけど、ソロを弾くってなったら普通固まっちゃうじゃないですか。それがイヤでソロは弾いてなかったんですけど、今回トライしてみたので、「ふたりの海」は成長したかもしれない。昔に比べれば。

――斉藤さんはいかがですか?

斉藤 僕も「Millennium Hero」は、こういう音楽がやりたいと思った曲だったんですけど、こういう歪んでるシンプルなベースはやっぱりかっこいいなと思いました。あと、「さよならのメロディ」はベースも動くフレーズを考えたんですけど、このテンポのベース、今まで弾いたことがなかったので、挑戦だったし、結果、成長できたんじゃないかと思います。

金田 僕は「ふたりの海」です。ずっと叩きたいと思いながら、KALMAでは使わないだろうと思っていたフレーズをけっこう使っているんですよ。間奏でギター・ソロが入る前にダークなサウンドが入るんですけど、そこのドラムはエルレ(=ELLEGARDEN)の「Missing」のサビ以外でずっと鳴っているフレーズを参考にしているんです。そのフレーズがめちゃめちゃかっこよくて、コピーして以来、時間があると叩いていたんですけど、それをKALMAの曲で自分なりに取り入れてみました。あと、この曲はサビ以外ずっとフロアタムでビートを刻んでいるんです。それもお気に入りです。

――そんなふうに成長を印象づける曲もあれば、「モーソー」とか、「逃げるなよ、少年!」とか、初期衝動なんて言葉が思い浮かぶ曲もあって。

畑山 昔はそういう曲を一生やろうと思ってたんですけど、まだ20歳なのに、意外とそういう曲じゃない曲をたくさん書いていて。でも、そういう曲も一生歌っていたいんですよ。だから、「モーソー」と「逃げるなよ、少年!」は気づいたらできていたんですけど、できてよかったです。逆にこのアルバムにその2曲がなかったら、「KALMA、落ち着いたな」ってなっていたと思うんですけど、その2曲があることによって、今までのKALMAらしさも残せたと思います。

――「めぐり」があって、インタールードの「2767」があって、最後、「逃げるなよ、少年!」で駆け抜けるようにアルバムを締めくくるという流れがすごくいいですね。

畑山 僕もそう思います。 

――曲の作り方は変わりましたか?

畑山 メロディを一番大事にしているところは変わらないです。ただ、メロディを作って、いいメロディができたと思ってもすぐに録音せずに、いったんリビングでお笑い番組を30分観てから部屋に戻って、ギターを持ってからもう1回歌えたら、それぐらい頭に残るメロディってことで、そこでやっと録音して曲に生かすんですけど、そこで憶えていないメロディはそれぐらい弱かったんだと思って、もう記憶から消します。そんなちょっと変な作り方も最近はしています。でも、だからこそ今回のアルバムはメロディがいいと思っています。捨てたメロディにもいいやつはあったと思うんですけど、その作り方はいいなと自分では思っています。

次はバンドの番(畑山)

――「希望の唄」はTVアニメ『MUTEKING THE Dancing HERO』のエンディングテーマですが、KALMA初のタイアップはいかがでしたか?

畑山 うれしかったし、ありがたいお話なので、しっかりがんばろうと思いました。なかなか曲ができなかったんですけど、あらすじを読んでぱっと思いついてからは早かったです。

――曲を作る上ではアニメの世界観に合わせたわけですね?

畑山 そうですね。でも、自分らのことも歌いたかったので、寄り添いすぎずに、まずはやりたいことをやりたかったです。エンディングテーマなので、番組が終わって、曲が流れたとき、「何この曲、いいな」って思えるように、みんながチャンネルを変えたり、テレビを消したりしないように頭からいいメロディの、サビ始まりの歌を作ろうと思いました。

KALMA - 希望の唄 Music Video

――さて、「Millennium Hero」で、《次は誰の番だ? 僕の番だ!》と歌っていますが、KALMAとしてはそういう気持ちがあるわけですね?

畑山 そうですね。でも、歌だから言えるんですよ。こういうインタビューで《僕らが時代》なんてちょっと言えないですよね(笑)。それに《僕の番だ!》とは歌ってますけど、バンドの番だという気持ちのほうが強いかもしれない。今ってセルフ・プロデュースしているソロ・ミュージシャンがけっこう注目されているし、同世代で音楽をやっている人たちもバンドよりもソロ・ミュージシャンがたくさんいて、そういったミュージシャンを見ていると、やっぱり悔しいんですよ。だから、《次は誰の番だ?》って言ったら、バンドだろうって。やっぱり僕らはバンドが好き。

――そういうお話を聞けてとても頼もしいです。最後に今後の活動予定について教えてください。

畑山 『KALMA ワンマンツアー 2021 秋~冬 「ミノ焼いて!レバー焼いて!ニンニクも焼いちゃって!アミ替えたら!無になって!火を見つめて!今しかない!ロックバンド!生まれてきてくれてありがとう!』と題したワンマン・ツアーの後、来年の2月、3月に『33333』ってイベントをやります。札幌、名古屋、東京、大阪、福岡、仙台の6カ所で、3日間、30人限定、30分、3,000円でワンマン・ライブを計18本やります。もちろん、その後もライブたくさんやりたいです。やっぱりライブ・バンドなので。実は次の制作にも取りかかっています。そんなふうに年がら年中、音楽をやっていられるので、最近はすごく幸せですね。


取材・文:山口智男
写真:川島彩水

<リリース情報>
KALMA 1st Full Album『ミレニアム・ヒーロー』

Now On Sale

●初回限定盤(CD+DVD)税抜3,500円
●通常盤(CD)税抜2,500円

『ミレニアム・ヒーロー』ジャケット

【収録曲】
01. Millennium Hero
02. 夏の奇跡
03. モーソー
04. 希望の唄
05. 恋人
06. 親友
07. パリラリラ
08. さよならのメロディ
09. スローでイコー
10. ふたりの海
11. さくら
12. めぐり
13. 2767
14. 逃げるなよ、少年!

初回限定盤:
https://www.jvcmusic.co.jp/-/Linkall/VIZL-1957.html
通常盤:
https://www.jvcmusic.co.jp/-/Linkall/VICL-65582.html

初回限定盤付属DVD『たっぷりぷりぷりDISC』
■LIVE at SHIBUYA CLUB QUATTRO, 2020.12.15
TEEN / デイズ / ねぇミスター / イノセント・デイズ / 僕たちの唄 / ハレルヤ / さらり風 / パリラリラ / SORA / 少年から / 逃げるなよ、少年! / これでいいんだ / くだらん夢 / わがまま / blue!!

■ミレニアム・ヒーローが誕生するまで ~Recording & Shooting~
Recording - 夏の奇跡 / さくら / 希望の唄 / 恋人 / 親友 / ふたりの海 / さよならのメロディ / Millennium Hero / スローでイコー / めぐり / 『ミレニアム・ヒーロー誕生』 MV Shooting ‒ さくら / 夏の奇跡

アルバム詳細はこちら:
https://www.kalma-official.com/news/?page_no=&id=132

【CDショップ別オリジナル特典】
下記チェーン・店舗にて、ニューアルバム『ミレニアム・ヒーロー』をご予約・ご購入いただきました方に、先着で「オリジナルA4クリアファイル」をプレゼント(各特典ともに数に限りがございます)

詳細はこちら:
https://www.kalma-official.com/news/?page_no=&id=141

『ミレニアム・ヒーロー』全曲試聴トレーラー

『ミレニアム・ヒーロー』初回盤トレーラー

<タイアップ情報>
アニメ『MUTEKING THE Dancing HERO』

テレビ大阪 10月2日より毎週土曜 深夜1:26~
テレビ愛知 10月2日より毎週土曜 深夜1:55~
TOKYO MX 10月3日より毎週日曜 23:30~
BS日テレ 10月3日より毎週日曜 23:30~
※放送日時は都合により変更となる場合がございます。

・公式HP:
https://muteking.jp/

『MUTEKING THE Dancing HERO』ノンクレジットED

<ライブ情報>
企画ライブ『33333』

“30分30人3,000円3デイズLIVE!(※粗品付き)”の特別企画!
チケット最速先行抽選応募シリアルナンバーが、初回限定盤・通常盤のCDに封入されます。
詳細はこちら:
https://www.kalma-official.com/news/?id=145

2月8日(火)、2月9日(水)、2月10日(木)
開場18:30 / 開演19:00 宮城 SENDAI CLUB JUNK BOX
問い合わせ:SENDAI CLUB JUNK BOX(022-716-5155)

2月15日(火)、2月16日(水)、2月17日(木)
開場18:30 / 開演19:00 東京 La.mama
問い合わせ:La.mama(03-3464-0801)

3月1日(火)、3月2日(水)、3月3日(木)
開場18:30 / 開演19:00 福岡 LIVEHOUSE OP's
問い合わせ:LIVEHOUSE OP's(092-711-9930)

3月7日(月)、3月8日(火)、3月9日(水)
開場18:30 / 開演19:00 大阪 LIVE SPACE CONPASS
問い合わせ:LIVE SPACE CONPASS(06-6243-1666)

3月11日(金) 開場18:30/開演19:00
3月12日(土)、3月13日(日) 開場17:30/開演18:00 愛知CLUB ROCK’N’ROLL
問い合わせ:CLUB ROCK’N’ROLL(052-262-5150)

3月23日(水)、3月24日(木)、3月25日(金)
開場18:30/開演19:00 北海道 札幌SPiCE
問い合わせ:SPiCE(011-522-7641)

関連リンク

KALMA オフィシャルサイト
https://www.kalma-official.com/

KALMA Twitterアカウント
https://twitter.com/karma_0527

KALMA Instagramアカウント
https://www.instagram.com/kalma_official0527

KALMA YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCDEFmVWz6OcJ7w0j4KIhTkw

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