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宝塚花組100周年を彩る華やかなステージ、トップスター・柚香光の挑戦

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インタビュー

ぴあ

柚香光 撮影:黒石悦子

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1921年、宝塚歌劇で花組が誕生してから今年で100年。この記念すべき年に、トップスター・柚香光(ゆずか・れい)と、トップ娘役・星風まどかの新たなトップコンビが誕生。ふたりを中心に、『元禄バロックロック』、『The Fascination(ザ ファシネイション)!』-花組誕生100周年 そして未来へ-をお届けする。100周年を華やかに彩るこの2作の見どころや意気込みについて、柚香が取材会で語ってくれた。

忠臣蔵ファンタジーと、100周年を祝うレビューを上演

『元禄バロックロック』は、忠臣蔵の物語をもとにしたファンタジー作品。架空の都市“エド”を舞台に、運命に翻弄されるふたりを軸にしたオリジナルストーリーをお届けする。柚香が演じるクロノスケは、元赤穂藩藩士の時計職人。貧しいながらも穏やかに暮らしていたが、ある日偶然にも時を戻せる時計を発明してしまい、人生が一変する…。「清涼感と華やかさと、さまざまな愛が散りばめられている作品だと感じています。“あの時に戻れたら”と思うことは決してネガティブなことではなく、昔を懐かしむことも大事にしつつ、未来にも何かが待っているかもしれないと、じんわり思わせてくれるような作品にできれば。生きることにポジティブな想いが溢れている登場人物が多く、観劇後は爽やかな気持ちになっていただけるのではと思います。また、ファンタジーとはいえ、日本人に愛されている史実に基づいたお話ですので、忠義とは何か、侍の魂とは何かというものはしっかりと押さえてお芝居を作りたいと思っています」。

演じるクロノスケについては「知的好奇心に溢れた、少年漫画の主人公にいそうなお役」と表現。柚香が今までに演じたことのない役柄だ。「快活な人だと思います。想定外の出来事が起きたとして、それがたとえ苦難であったとしても、ワクワクしながら立ち向かう。探求心があり、すごくエネルギーに満ち溢れていて、爽快な人物です。私自身、新しい刺激や学びが好きであったり、想定外のことが起きた時に面白いと思うところがあるので、共感できるところも活かしつつ演じたいと思います」。

第二幕の『The Fascination!』は、花組誕生100年と新しい花組の始まりを華やかに祝うレビュー。“花”をテーマにしたダンスシーンを中心に、伝統を未来へとつなぐステージを展開する。「花組100周年のショーということで、(作・演出の)中村一徳先生が花組生全員の顔が見えるようにと、本当に大きな愛で場面を構成してくださっています」。下級生の一人ひとりにまでスポットライトが当たるように構成され、過去に花組で上演された作品をオマージュした場面もあるという。「聴けばすぐ分かるくらいの名曲もあれば、“こんな素晴らしい曲も花組から生まれていたんだ”と思うような曲もあります。花組の歴史というものを、短い時間では表現しきれませんが、皆さまに少しでも感じていただけるかと思います。また、私としましては、花組の名シーンと言われるダンスナンバーをさせていただきます。本当に光栄に思いますが、この場面を汚してはならないと思うほどに素晴らしい場面を再演させていただくので、心して挑みたいと思います」。

芸術に対する敬意と、携わる方への敬意を持って

今年7月に花組のトップ娘役に星風まどかが就任。本作が大劇場での新トップコンビお披露目公演となる。星風の印象を尋ねると「面白い人だと思います」と語る柚香。「似た温度を感じることが多々あります。芸事においての好奇心も近いものがあると感じますし、夢中になって一緒に作っていってくれることがとてもありがたいです。先生のおっしゃることに誠実に向き合う中で、いろんな時間を共有して深めていけたらと思います」。

花組誕生から100年を迎える今、花組のトップスターとして組を率いることには「身の引き締まる思いです」と力を込める。「このタイミングで居させていただけることを思うたびに、感謝の思いが溢れますし、最善を尽くさなければと思います。日々、新しい楽曲であったり、先生から構成を伺ったり、新しい情報が入ってくるたびに、事の大きさに、思いの大きさに、毎日ハッとさせられます。少しでも皆さまへの御恩をお返しできるように精進してまいります」。

100年の間、受け継がれてきた花組のバトン。柚香は何を受け取り、下級生に何をつなげたいと考えているのだろうか。「ひとつの作品を手掛ける中でも、どれだけ多くの人の思いが詰まっているか、どれだけ多くの労力と才能が詰まっているかというのを、やはり歴代の先輩方はちゃんと受け取って、感じて舞台に立たれていらっしゃった。それを今いろんなことから感じています。芸術に対する敬意と、それに携わる方への敬意。“自分がどうしたい”というだけではなく、私たちが美しいお衣装を着て舞台に立たせていただくまでに、どれだけの労力とこだわりとが詰まっているかというのを分かったうえで立っていきたいですし、そういうことを感じながら芸事に向き合える人たちでありたいです」。

花組のトップ就任から約2年。コロナ禍で思うように動けない時期もあったが、「全部のことに感謝しています」と前向きに捉える。「これだけ学びをいただけた2年間というのは、人生の中できっと大きなことだと思いますし、宝塚歌劇でいろんなことを感じさせていただける環境へのありがたみを強く感じます。これからも、自分がすべきこと、できることを、ワクワクとドキドキを持ちながら邁進していきたいと思います」。

取材・文・撮影:黒石悦子

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宝塚歌劇団花組
忠臣蔵ファンタジー『元禄バロックロック』 / レビュー・アニバーサリー『The Fascination(ザ ファシネイション)!』-花組誕生100周年 そして未来へ-

【兵庫公演】
2021年11月6日(土)~2021年12月13日(月)
会場:宝塚大劇場

【東京公演】
2022年1月2日(日)~2022年2月6日(日)
会場:東京宝塚劇場