halcaがアニメ『逆転裁判』EDで挑戦した新たな歌い方や表現「自由な楽しさが伝わったらいいな」
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今年5月にノイタミナアニメ『ヲタクに恋は難しい』(フジテレビ系)のエンディングテーマ『キミの隣』でデビューしたhalcaが、2ndシングル『スターティングブルー』を10月31日にリリースする。表題曲はテレビアニメ『逆転裁判~その「真実」、異議あり!~ Season 2』(読売テレビ・日本テレビ系)のエンディングテーマで、前作の優しい雰囲気はそのままに、エッジの効いた力強さを感じさせる歌声が秀逸。またリリースイベントやサイン会などを経験し、心境や姿勢にも変化があったとのこと。一歩一歩確実にステップアップしていることを感じるインタビューになった。(榑林史章)
ブルーは主人公の成歩堂くんのスーツの色のイメージ
ーー「スターティングブルー」は、アニメ『逆転裁判~その「真実」、異議あり!~ Season 2』のエンディングテーマ。『逆転裁判』は、ご存じでしたか?
halca:はい。小学生の時に、友だちが『逆転裁判』のゲームをやっていて、その時は難しそうなゲームだなと思っていました。大きくなってから、法律や裁判に少し興味が沸いて、弁護士とか格好いいなと思って、憧れたりした時期もありました。
今も裁判官や傍聴人の前で「異議あり!」と、ビシッと自分の意見を言う姿には、どこか憧れがあります。そんな中で、幼い頃から知っていた『逆転裁判』のエンディングテーマを歌わせていただけると聞いたときは、驚いたしすごくうれしかったです。
アニメの『Season 1』も観ていたんですけど、そのときのオープニングテーマ「逆転Winner」をジャニーズWESTさんが歌っていて。歌詞に〈異議あり!〉というキメゼリフがあって、それがすごく格好いいと思っていたんです。だから、今回のお話をいただいたときに、「スターティングブルー」の歌詞にも〈異議あり!〉って、出てきたらいいなって少し妄想していました(笑)。
ーー好きなキャラクターはいますか?
halca:私はアニメを観ると、いつも主人公を好きになってしまうんです。今回もそうで、主人公の成歩堂(龍一)くんが好きです。頼れる存在だし、一生懸命で頑張り屋さんだからこそ、困ったときにみんなが助けてくれるんだと思います。私もそんな人になりたいです。そういう気持ちもあって、「スターティングブルー」のブルーは、私の中では完全に主人公の成歩堂くんのスーツの色のイメージでした。
ーーそんなエンディングテーマ「スターティングブルー」は、ロックテイストの曲。歌い方も前回のシングル曲「キミの隣」とは違う力強さを感じましたが、何か意識したことはありますか?
halca:恋愛の曲の時は、女の子らしさを意識するためにスカートを履いていったりとか、ほんの少しですけど見た目から気持ちを作ることもあります。「スターティングブルー」のレコーディング当日は何を着ていたか……忘れちゃいました(笑)。ただ、目にグッと力を入れて、キリッとした表情で力強く歌うように心がけました。
ーーそういう表情になるくらい、格好いい曲ということですね。
halca:はい。楽曲の格好良さについていきたくて、特にサビは楽曲の世界観を意識して歌うようにしました。最初はちゃんと思い通りにできるかどうか不安だったんです。今回のサビは聴いていただいてわかる通り、力強く張りのある歌い方をしているんですが、今までの私とは違う声の使い方だったので……自分にとっても新しい挑戦だったんです。だから少しでもイメージに近づけて歌えるように、これまで以上に準備してレコーディングに臨みました。
ーー張る歌い方というのを、もう少し具体的に言うと?
halca:いつもは、おでこから声が出ているようなイメージを持って歌うんですけど、「スターティングブルー」は、鎖骨の下から「はぁ〜っ」って出ている感じです。説明が難しいんですけど、重心を下に置いてどっしり構える感じです。
ーーけっこうパワーがいりそうですね。
halca:そうなんです。この曲を歌うと、すごく汗だくになります。ブレスが上手にできなくて、息が吸えずにクラクラしたことが過去にありました。それも含めて、もっと体力を付けて、肺活量が増えるように鍛えないといけないなって思います。
ーーこの曲は、どんどん歌声がエモーショナルになっていって、最後のサビで〈もっと〉と歌っているところは、すごく情感たっぷりでいいですね。
halca:ありがとうございます。最後のサビ前の〈もっと〉は、すごく気持ちを込めて強めに歌ったんです。サビが何度か繰り返されるのですが、全部同じではなく、どこかを変えたいと思っていました。1サビと2サビの歌い方を替えたり……。ただ、レコーディングでは少しやりすぎてしまったみたいです(笑)。いくつもパターンを録って、スタッフさんと相談しながら、ちょうどいいところを見つけていく感じでした。
この楽曲のサビは全体的に力を入れて強く歌おうとは思っていたんですけど、私の中でのMAXでも、弱く聴こえてしまうところがあって。それでサビを強調させるために、AメロやBメロはいつもの歌い方に近く柔らかく歌っていて、その上でサビをバーンと力を込めて歌うことで力強さが強調されたと思います。
ーーあと〈今なら間に合うかな〉というところは、セリフっぽいニュアンスで歌っていて、ここもすごくいいですね。
halca:そこは自分で、そう歌おうと考えたんです。〈間に合うかな〉のところは音が少なくなって声が誇張されるところだし、フレーズの語尾に〈?〉が付いているから、話している風のほうが伝わりやすいんじゃないかと思いました。それと〈〜かな?〉だから、自然と話している風に歌いたくなりました。
今回は、前作とは違う歌い方にたくさん挑戦しているので、「キミの隣」を聴いた方が、「スターティングブルー」を聴いて、こんな歌い方もできるんだ! とか、次はどんな歌い方をするのかな? とか、こんな曲を歌っているところが聴きたいなとか、想像してもらえたら、すごくうれしいです。
ーー深夜帯に放送されるアニメと夕方帯に流れるアニメでは、観る層が変わりますが、たとえば今回は子どもにも言葉が伝わるように歌おうということは考えましたか?
halca:実は、滑舌についてはあえて意識しすぎず、歌わせていただいています。これは私の悪いくせで、もともと滑舌があまりよくないことを補おうとして、はっきりと歌いすぎてしまうところがあるんです。だから毎回レコーディングの1回目は、ハキハキ歌いすぎて、歌声に表情がつきづらくなってしまうんです。いつも「もっと滑舌を気にせず、自由にやっていいんだよ」と、ディレクターの方に言われて、やっといつもの歌い方になって、ノリよく自由にやれるようになっていきました。ただハキハキ歌うよりも、自由な楽しさが伝わったらいいなと思って歌っています。
ーーちなみに『逆転裁判』にかけて、最近「異議あり!」と思ったことは?
halca:サビ抜きでお寿司を頼んだのに、若干ついていたことがありました。ワサビが苦手だからサビ抜きで頼んでいるのに、少しでも付いていたらダメじゃないですか。それは「異議あり!」でした(笑)。
多くのチャレンジが詰まった1枚
ーーカップリングの「うそじゃないよ」は、ちょっと切なさのあるエレクトロポップのナンバー。歌ってみてどんな印象でしたか?
halca:作詞をしてくださっている宮嶋淳子さんが、私が普段考えていることを取り入れて歌詞を書いてくださっています。宮嶋さんから「本当はこうなのに、どうしてこうなんだろうと、勘違いされたエピソードはありますか?」とお題をいただきました。私が実際に経験したいくつかのエピソードをお送りして、それを元にして歌詞にまとめてくださっています。
ーーどんなエピソードを送ったんですか?
halca:2番のサビに出てくる〈まただ「ありがと」と伝えたいだけで空まわり〉というところなのですが……言葉はその時々の声の高さやボリュームや言い方で伝わり方が変わってしまって、とても難しいなって思うんです。特にありがとうという言葉を伝えるときは、本当にすごくうれしくて感謝の気持ちを100%伝えたいのに、それを素直に表現してしまうと「なんでそんなに大げさなの?」と思われてしまうんじゃないかって心配になるんです。だから、あえてテンションを少し落として、抑えめに言うことが多いんです。そういう言葉や気持ちを伝えるのって難しいなあという思いを伝えて、歌詞を作ってもらいました。
ーー100%で言うと、どこかあざとく受け取られてしまうんじゃないかと思ってしまう。そういうエピソードを、恋愛にも受け取れる歌詞にしてあって。
halca:そうですね。恋愛にも友だち同士にも、どちらにも受け取れるものにしていただきました。メインのメロディは、私の気持ちで素直に歌えたのでスムーズにレコーディングできました。でもハモリがすごく難しくて、すごく時間がかかりました。特に〈うそじゃないよ ああ〉のところが、すごく難しかったです。
ーーハモリの音程を取るのが難しかったんですか?
halca:ハモリもメインの声と同じテンションで、クセの付け方やテンポや音の長さももまったく同じにしなくちゃいけなくて。下ハモと上ハモで2回ずつ合計4回、違う音程で全部ぴっちり合わせるのが大変でした。さっき自分で歌ったばかりのメロディに合わせるだけなのに、音程が違うだけでこんなに難しくなるというので、すごく不思議な感覚でした。頑張った分、ハモリや細かいところまで聴いてほしいです。
ーーそしてもう1曲の「HORiZON」は、切なくて疾走感と青春感のあるロックチューン。
halca:9月に池袋サンシャインシティの噴水広場で行われたライブイベント『みゅーじっ倶楽部~next break showcase~』で、初お披露目をさせていただきました。アップテンポの曲ですけど、人前で歌うのはレコーディングとは感覚が違って、「こんなに速かったっけ?」と思いました。一曲歌っただけでけっこう息があがってしまったので、もっともっと体力をつけないといけないなって実感しました。レコーディングのときは、自由に伸び伸びと楽しく歌えて「HORiZON」の良さをしっかり引き出せていると思えてたのですが、ライブイベントでも表現できるようにするためには、動きも含めてもっと余裕を持って歌えるようにならなきゃいけないですね。
ーーライブではかけ声があがるイメージですか?
halca:はい。池袋のときも初めて歌った曲だったのに、前奏のときからみんな声を出してくださって、すごくうれしかったです。これからもたくさん歌って盛り上がりたいです。
ーーこういうアップテンポのロックは、普段は聴きますか?
halca:実は、あまり聴く機会がなかったんです。だから自分の中では、すごく挑戦の曲でした。とにかく曲を聴いて、そのときに自分の中から出てきた自由な表現でOKをいただいたので、私がイメージした方向性は合っていたんだなって安心しました。その上で「もっと自由にやっていいよ」と言っていただいたので、本当に好きなように自由に歌わせていただいた印象です。今後はバンドさんの生演奏をバックに歌わせていただけたら、うれしいです。絶対に楽しそうだなって思います。
ーー今回は、1枚を通してチャレンジが多かったんですね。
halca:はい。すごくチャレンジさせていただきました。チャレンジでいうと、昨年と今年は、CHiCO with HoneyWorksさんのツアーでオープニングアクトとしても参加させていただきました。CHiCOさんが10何曲も同じようにパワフルに歌っている姿を毎回観させていただいて、「いつか私もワンマンライブができるようになったらいいな」って思うようにもなりました。そのためにも体力を付けたり経験を積んだり、たくさん頑張っていきたいです。
ライブでは目でも「本当にありがとう!」を伝えたい
ーー予約イベントやリリースイベントもありますが、そこで今回の「スターティングブルー」は、どんな風に盛り上がっていますか?
halca:サビで〈Try Try Try〉とか〈Cry Cry Cry〉とか繰り返すところは、簡単な振り付けがあるんです。手を振る仕草をするんですけど、発売前の予約イベントでも一緒にやってくれた人がたくさんいて、すごくうれしかったですね。
ーー1stのときとくらべて、集まってくれる方の人数もきっとすごく増えましたよね。
halca:ありがたいことに、すごく増えました。前回から引き続き会いにてくださる方も増えましたし、それにお店でお買い物をしている方が、気になって聴いてくれたり、立ち止まって聴いてくださる方もいてうれしいです。
ーー「スターティングブルー」は『逆転裁判2』のタイアップなので、今後はお子さんも増えそうですね。
halca:そうなってくれたらうれしいです。たとえばお母さんが夜ご飯の準備をしていて、キッチンからふとリビングを見ると、子どもがテレビを観ながらお父さんと一緒に「意義あり!」ってやっていて。番組が終わって、エンディングで流れている私の「スターティングブルー」を聴きながら、お母さんもいつの間にか〈Try Try Try〉って口ずさんでいたりして。それで、日曜日に家族でお買い物に行ったら、私がリリースイベントをやっていて〈Try Try Try〉って聴こえてきて、子どもが「あの曲だ!」って思わず駆け寄ってくるみたいな……。そういう様子を何となく妄想しています(笑)。
「キミの隣」のリリースイベントのときは、「たまたまお買い物にきていて、『ヲタクに恋は難しい』のエンディングテーマが聴こえたので、遊びにきました」と言ってくださる方が何人もいて、すごくびっくりしたんですけど、うれしかったです。今回もたくさんきていただけたらうれしいな〜!
ーーお客さんが増えたというところで、魅せ方や歌い方で前とは変わったところはありますか?
halca:今までは決まった振り付けをやることで精一杯でした。今回の予約イベントでは上の階のテラスから観てくださる方もいて、その人が手を振ってくださって私も手を振り返しているときに、「今楽しくできてるな」って感じたんです。だから、そのときの気持ちを、いつも同じように出せたらいいなと思っています。もっとはっきり今まで以上に、きてくださったお客さんの目をしっかり見るようにして、歌っているんですけど、目でも「本当にありがとう。ヤッホー!」と言っているつもりで、みんなの目を観て歌えるようになりました。
ーーヤッホーって(笑)。
halca:はい。それにサイン会をやらせていただいて、お一人お一人と言葉を交わす機会があるんですけど、それはすごくいい経験になりました。遠くからきて「走ってきました」と言ってくださる方や、「今日誕生日なんです」や「仕事帰りに急いできたよ」と言ってくださる方もいらっしゃるんです。以前は「私の曲を聴いてくれる人なんているのかな?」と思っていたのが、リリースイベントをでちゃんと実感できるようになりました。リリースイベントでサイン会をやらせていただいて、お仕事をされている方や学生さん、私と年齢が近い女の子、妹と同じくらいの年代の子も聴いてくれていたりとか、みなさんとお話をしたことで、聴いてくださる方をリアルに感じられました。以前からSNSではよくメッセージをいただいていましたけど、お顔は観たことがなかったし、どんな人が応援してくださっているのかなって、ずっと思っていたんです。それがサイン会で、実際にお顔を見ながらお話ができて、すごくうれしかったです。私の歌を聴いてくれる方の存在を身近に感じることもできました。
ーー今後は、どんなところで、どんな曲を歌ってみたいですか?
halca:私は暑いのが苦手なので、涼しそうな北海道でライブがしたいです。でも逆に沖縄とか暑い地域に行って、どうせ汗をかくんだからもっと汗をかいて、みんなと汗をかきながらやるライブもいいなって思います。ステージから客席に、ブシャーッて水をまいたりするのは楽しそうですね。曲でいうと……静かな曲も歌ってみたいです。悲しい系の静かな曲と、癒やし系の静かな曲とかもいいですね。
(取材・文=榑林史章/撮影=林直幸)
■リリース情報
『スターティングブルー』
10月31日(水)発売
テレビアニメ 『逆転裁判 ~その「真実」、異議あり!~Season2』エンディングテーマ(読売テレビ・日本テレビ系)
初回生産限定盤 ¥1,574(税抜)
・アニメ『逆転裁判 ~その「真実」、異議あり!~Season2』SDキャラステッカー
・スペシャルイベント応募ハガキ
DISC 1
1 スターティングブルー
2 うそじゃないよ
3 HORiZON
4 スターティングブルー instrumental
5 うそじゃないよ instrumental
6 HORiZON instrumental
DISC 2
1 スターティングブルー music clip
通常盤 ¥1,204(税抜)
・アニメ『逆転裁判 ~その「真実」、異議あり!~Season2』SDキャラステッカー
・スペシャルイベント応募ハガキ
DISC 1
1 スターティングブルー
2 うそじゃないよ
3 HORiZON
4 スターティングブルー instrumental
5 うそじゃないよ instrumental
6 HORiZON instrumental