Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
ぴあ 総合TOP > 完敗のアイルランド戦から先発10人を入れ替え! 新戦力たちがラグビー日本代表に刺激と活を入れる

完敗のアイルランド戦から先発10人を入れ替え! 新戦力たちがラグビー日本代表に刺激と活を入れる

スポーツ

ニュース

ぴあ

欧州遠征・リポビタンD TOUR2021にてトレーニングを積むラグビー日本代表の面々 (C)JRFU

続きを読む

フォトギャラリー(9件)

すべて見る

「ティアⅠのスタンダード」を合い言葉に強化を進めてきた日本代表が、アイルランド代表にティアIの底力をまざまざと見せ付けられた。11月6日・敵地で日本は5-60と粉砕されたのだ。

アイルランドは本気で対策を打ってきた。本気のアイルランドの中心には100キャップの司令塔ジョニー・セクストンがいた。SHジェイミソン・ギブソンパーク&SOセクストンはハイパントを警戒する日本の虚を突く。素早い球出しから短いパスを矢継ぎ早かつワイドにつないでいった。アイルランドのハーフ団は効果的にショートサイドも突く。チャンスと見ればセクストンが自ら切り込み、日本のディフェンスが前がかりになればギブソンパークはキックを放った。ラインアウトからは強力なモールをぐいぐい押した。アイルランドの勢いに押された日本は後手に回った。マイボールラインアウトをキープできず、タッチキックもラインを超えず、前半終了間際には反則の繰り返しでHO坂手淳史がシンビン(10分間の一時退場)となり、為す術もなくノーサイドの笛を聞いたのだ。試合後、ジェイミー・ジョセフヘッドコーチは「自分たちとしては改善すべき点はすべて。すべての部分で自分たちは負けた」と振り返るほかなかった。

選手たちも反省の弁を口にした。
FLピーター・ラブスカフニ主将「アイルランドのモメンタム(勢い)を止められずプレッシャーがかかってしまった。ブレイクダウンでどんどん繋がれて、自分たちは止められずにリセットできなかった」

CTB中村亮土副将「アイルランドの非常にフィジカルなアタックが、準備していたことよりは想定外だった」

No.8姫野和樹「自分たちの準備、マインドセットで至らなかった結果。本当に情けない試合をしたと思うし、泣きたくなるぐらい悔しいという思いが今は強い」

SH流大「スコア通りだが完敗であり、自分たちが準備してきたものがほとんど出せない試合だった。スコア以上に自分たちが準備してきたものが出せず、悔しいし残念に思う」

SO田村優「(セクストンは)勢いがすごくあった、アタックで特に。常に自分たちがゲインライン突破され続けていた状態だったので、今までとは違った脅威を感じた」

FB松島幸太朗「僕たちはキックしてくると予想していて、アイルランドが真逆のことをしてきた。結局、そこでプレッシャーを与えられなかったので、80分を通してやられてしまった。今後修正能力が大事になっていくのではと思う」

エクスキューズはある。『ラグビーワールドカップ(RWC)2019』以降、日本がテストマッチ4試合目なのに対して、アイルランドは17試合目である。新チームの始動は日本が今年の6月だが、アイルランドは『RWC2019』の3か月後にはテストマッチに臨んでいる。チームの成熟度に明確な差があった。そもそも、日本代表は『RWC』イヤーに長期合宿を組み、長足の進歩を見せてきたチームである。

完膚なきまでにやられた日本代表だが、落ち込んでいる暇はない。次の試合が待っている。アイルランド戦の完敗を教訓として生かす否か。次のポルトガル戦、続くスコットランド戦が大事となる。指揮官、選手たちはアイルランド戦後、課題を明確にしていた。

ジョセフHC「ブラインドサイドでゲインを切られて、次にオープンサイドのディフェンスではギャップを作られてしまった。それで数的不利があった。ディフェンスのリンクのところは調整しないといけない。もうひとつ、ファーストコンタクトで相手を止められなかった。後半はそこの部分はよくなったが、まだまだ改善しなければならない」

姫野「気持ちが足りなかった、マインドセットが足りなかった。それに尽きる。あと2試合あるので、自分たちの誇りを取り戻すチャンスがまだある。そこの2試合に向けて、次はしっかりフィジカルで勝てるよう準備していきたい」

田村「キックを蹴ったあとにプレッシャーかけたいが、相手のエスコートや自分たちのキック再獲得というところができなかった。そこでプレッシャーかけて自分たちのアタックにしたかったが、相手にアタックされた。そこで50%50%のところで勝負できればよかった」

松島「タックルが絞りづらく、タックルが成立できずにラインブレイクされた。ディフェンスのノミネートや一人目のタックラーがしっかり相手にタックルできずに、オフロードされたりしていた。ボールロストが多すぎた。ラックの寄りが遅かったり、単純にボディーハイトが高くてボールに絡まれて、すぐにボール出せなかったことが多かった。まずはそこを来週やっていかないとという感じ」

ポルトガル戦へ向けて、ジョセフHCは次のメンバーを選出した。
■日本代表試合登録メンバー
1クレイグ・ミラー(埼玉パナソニックワイルドナイツ)、2堀越康介(東京サントリーサンゴリアス)、3ヴァル アサエリ愛(埼玉パナソニックワイルドナイツ)、4ジャック・コーネルセン(埼玉パナソニックワイルドナイツ)、5小瀧尚弘(コベルコ神戸スティーラーズ)、6リーチ マイケル(東芝ブレイブルーパス東京)、7姫野和樹(トヨタヴェルブリッツ)、8德永祥尭(東芝ブレイブルーパス東京)、9茂野海人(トヨタヴェルブリッツ)、10松田力也(埼玉パナソニックワイルドナイツ)、11シオサイア・フィフィタ(花園近鉄ライナーズ)、12中村亮土(東京サントリーサンゴリアス)、13中野将伍(東京サントリーサンゴリアス)、14ディラン・ライリー(埼玉パナソニックワイルドナイツ)、15山中亮平(コベルコ神戸スティーラーズ)、16坂手淳史(埼玉パナソニックワイルドナイツ)、17中島イシレリ(コベルコ神戸スティーラーズ)、18具智元(コベルコ神戸スティーラーズ)、19ワーナー・ディアンズ(東芝ブレイブルーパス東京)、20ファウルア・マキシ(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)、21齋藤直人(東京サントリーサンゴリアス)、22松島幸太朗(クレルモン・オーヴェルニュ/フランス)、23テビタ・タタフ(東京サントリーサンゴリアス)

指揮官はアイルランド戦からスタメンを10人代えてきた。フロントローは総入れ替え、FW第3列には負傷明けのリーチが帰ってきた。ケガ人続出のLOでは追加招集の小瀧が先発に名を連ね、リザーブに202cmの高卒ルーキー・ディアンズが回った。ハーフ団は茂野&松田のコンビに託され、代表初キャップの中野はサンゴリアスのチームメイトでゲームキャプテンの中村とCTBを組む。

これは楽しみである。激しいポジション争いなくして、チームの成長はない。『RWC2023』へ向けて選手層の厚さが課題のひとつである。これまでジョセフHCは限られたテストマッチと短期間の準備のため、『RWC2019』のメンバーを起用してきた。新戦力を試す機会がなかなかなかったのだ。

初キャップのふたりは、9月30日のメディア対応でこのようにコメントしている。
ディアンズ「この合宿に参加して、自分の強さ、大きさは同じレベルだなと思った。ここで経験して次の合宿やツアーへいけるようがんばりたい。秋の目標は自分でできるだけアピールして、ラインアウトだったり、タックルだったりで負けないアピールをしたい。
自分の一番大きな目標は世界で一番のLOになること。中学・高校から目標にしている。世界一のLOになるためにきついトレーニングをやらないといけない」

中野「しっかり遠征メンバーに選ばれるようがんばるのはもちろん、そのためにも毎回の練習でパフォーマンスに波がなく、自分の力を出し切ることが大事だと思っている。
今までやっているCTBで勝負したい気持ちもあるし、『トップリーグ』でWTBもやって、CTBとWTB、どっちで出てもいいパフォーマンスをする選手にもなりたい。自分の強みであるフィジカルを生かした突破力やオフロードで勝負していきたい。(東京SGのチームメイトでオーストラリア代表CTBの)サム・ケレビとか見ているとスピードもディフェンスももっとレベルを上げていかないといけない」

その心意気はよしだ。またポルトガルという相手も絶妙である。ワールドラグビーランキングは19位で、『RWC』出場は2007年フランス大会の1回のみ4戦全敗に終わっている。両チームは『RWC2007』直前のイタリアで対戦している。テストマッチではなく、メンバーの入れ替え自由なトレーニングマッチとして。2007年の試合では15-13で日本が勝利。経験値の低いメンバーで戦う日本にはうってつけの相手である。

『リポビタンD TOUR2021』ポルトガル代表×日本代表は11月13日(土)(日本時間14日(日))・エスタディオ・シダーデ・デ・コインブラ(コインブラ)にてキックオフ。試合に模様はJ SPORTS 1、J SPORTSオンデマンドにて生中継。

取材・文:碧山緒里摩(ぴあ)

フォトギャラリー(9件)

すべて見る