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「“お互いに理解すること”を描いた映画」プロデューサーが語るディズニー最新作『ミラベルと魔法だらけの家』

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『ミラベルと魔法だらけの家』 (C)2021 Disney. All Rights Reserved.

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ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオの最新作『ミラベルと魔法だらけの家』が今週末26日(金)から公開になる。本作はコロナ禍で制作が進められ、いつもより多くの困難が制作陣の前に立ちはだかったが、プロデューサーを務めたイヴェット・メリノは「映画を作る過程ではいつも予想外のことが起こり、予想外の解決策が見つかって、自分たちも驚くのです」と笑顔を見せる。

ディズニーの、いや世界で最初のカラー長編アニメーション映画『白雪姫』がアメリカで公開されたのは1937年のこと。以降、スタジオは数々の名作を手がけてきた。最新作はメリノと、スタジオのプレジデントも務めるクラーク・スペンサーが共同でプロデュースし、『ズートピア』でタッグを組んだバイロン・ハワード監督とジャレド・ブッシュ監督、そしてふたりの熱烈なオファーを受けて共同監督として本作に加わったシャリース・カストロ・スミスが集まって企画が立ち上がった。

「まず3人の監督たちと話す中で、“家族についての映画をつくろう”ということになりました」とメリノは振り返る。「とは言え、家族と言ってもさまざまな形がありますし、家族の中にもさまざまな人がいる。そして家族の周囲にはさまざまなコミュニティと友人関係があったりする。だから私たちは家族の話をしているわけですが、映画をつくる過程で結果として“その先”も描くことになりました」

本作の舞台は、南米コロンビアの山奥にある魔法の力に包まれた不思議な家。そこで暮らすマドリガル家はみな魔法のギフト(才能)を持っているが、なぜか主人公のミラベルは魔法の力を持っていない。ある日、家に亀裂が入り、それがこの家から魔法が消えてしまう前兆であると知ったミラベルは、マドリガル家を救うために行動を開始する。

劇中では目にも鮮やかな映像、華麗なミュージカルシーン、そしてミラベルの大冒険の物語が描かれるが、その中心になるのはミラベルが行動することで亀裂の入った家族が自身や相手との関係を少しだけ見直していく物語だ。家族は気がつくとその中で役割が固定していたり、相手の一面だけを見て理解した気になってしまうことが多い。しかし、ミラベルと家族はさまざまな出来事を経て、相手のことを少し違う角度から見たり、いままで触れていなかった想いを知ったりする。

「この映画は“お互いに理解すること”を描いた映画でもあります。誰かと接するときに少し時間をとって、その人の目に見えている部分の先、つまり相手がどういう背景を持っているのか考えることで、より深く相手を理解できるかもしれない、ということを描いています。監督のバイロンとジャレドは『ズートピア』で偏見やバイアスといったテーマを素晴らしい物語で表現しましたけど、今回の映画でもそのテーマは続いていて、物事をより広い視点で見たり、これとは違う視点から相手を理解することが描かれるわけです」

動物たちが暮らす世界を舞台にした『ズートピア』では、愛らしくて小さなウサギの女性警官と、ずる賢いと思われているキツネのコンビを主人公に、偏見や思い込み、バイアスを外して相手と向き合うことの大切さが描かれたが、そのテーマを自分が一番よく知っている“はず”の家族を題材に描いたのが『ミラベルと魔法だらけの家』だ。

一方で、メリノたちは本作を「アニメーションならではの表現」で描くことにこだわったという。

「キャラクターをよく理解して、さらにつっこんで深い部分まで描いてもらうようにスタジオのアーティストたちに繰り返しお願いしました。劇中に登場する魔法、たとえば力持ちのルイーサが大きな石橋を楽々と持ち上げたり、変身のギフトをもつカミロが次々と姿を変えていく場面は、アニメーションだから最もよく描けると思うんです。だから映画をつくる過程では“アニメーションだから深く描くことができるもの、アニメーションでなければ表現できないもの”を探して自問する日々が続きました。

私たちはスタジオの歴史を常に意識していて、その歴史をいかにして現在の自分たちの作品に生かしていくのかをいつも考えています。今回の映画は60本目の長編アニメーションですが、私が観て育った『白雪姫』から『ミラベルと魔法だらけの家』まで歴史がちゃんと繋がっているわけです。そう思うと身が引き締まる想いですし、スタジオが築き上げてきたレガシーをしっかりと引き継ぐことを念頭において制作にあたりました」

映画づくりでは予想外のことが起こり、予想外の解決策が見つかる

『ミラベルと魔法だらけの家』

とは言え、本作の制作期間はコロナ禍に重なった。通常、スタジオではスタッフが同じ場所に集まって作業し、廊下やカフェで意見を交換したり、部署を飛び越えてアイデアを持ち寄ったりする。しかし、今回はそれができない。

「そうですね。みんなが家にいる状態で制作したのでスタジオでつくるよりも大変でした。これまでみたいにスタジオで偶然に出会った人と会話する中で問題解決のヒントが見つけたりはできません。でも、私たちはすぐに状況に対応して、ビデオ会議の仕組みを導入して、お互いに話すようになりました。

映画づくりの過程では家が壊れちゃうような感覚を定期的に味わうんですよ(笑)。今回も『もうダメだ!どうしていいのかまったくわからない!』と思う時間も確かにありました。でも、みんな自宅にいながら時間をかけて解決していったんです。私たちはストーリーテリングの部門、そして監督たちの能力に自信を持っていましたし、時間をかけることで観てくださる方の心を動かす映画ができると思っています。だから、その過程では“家が壊れそう”と思うような大変な時間も過ごさないといけないんです」

これまでもディズニーでは良い作品を目指して何度も何度もストーリーを書き直し、その過程では作業が止まってしまうほど行き詰まる瞬間が幾度もあった。しかし、彼らは諦めずにアイデアを交換し、会話し、当初は予想もしなかった解決策を見つけてきた。『ミラベルと魔法だらけの家』もこれまでと同じく膨大な時間とアイデアを投じて、予想もしなかったマジカルな瞬間を経て、完成にたどり着いたようだ。

「映画を作る過程ではいつも予想外のことが起こり、予想外の解決策が見つかって、自分たちも驚くのです。でも、その結果としてこのような映画が完成しましたし、時間はかかりましたけど、すべての問題を解決することができました。私たちはこの映画の出来にすごく満足しています!」

『ミラベルと魔法だらけの家』
11月26日(金)より公開
(C)2021 Disney. All Rights Reserved.

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