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THE RAMPAGE RIKUの「音楽大陸」 Vol.11(後編) 一貫している魔裟斗のポリシー

音楽

ニュース

ナタリー

左からRIKU、魔裟斗。

THE RAMPAGE from EXILE TRIBE・RIKUさんの連載「音楽大陸」Vol.11のゲストは、元K-1選手で現在は解説者として格闘技に携わる魔裟斗さん。前編でRIKUさんは音楽と格闘技の共通項を魔裟斗さんとともに探りました。後編では魔裟斗さんの充実した私生活にもRIKUさんが切り込みます。RIKUさんが“憧れの男性像”と言い切る魔裟斗さんの家族への思いとは?

取材 / RIKU 文 / 清本千尋 撮影 / 曽我美芽

あの名言の裏側にあった思い

RIKU 魔裟斗さんがチャンピオンになられたときのインタビュー映像もいろいろ拝見させてもらったんですけど、その中で「一番になりたかったら一番キツい道を選ぶのが一番の近道だ」とおっしゃっていて。その言葉に僕は、まるで体に矢が突き刺さったかのような衝撃を受けたんですよ。その言葉を自分の人生のテーマの1つとして掲げながら、トレーニングに励んでいます。そういう言葉って、ものすごくつらい経験をされて一番を獲った人だからこそ、その先にあった景色を見たからこそ言える言葉だと思うんです。そうじゃないと説得力がないですし。

魔裟斗 確か初めてチャンピオンになって、またもう1回チャンピオンを目指す中で言った言葉だね。もう一度チャンピオンになるためにはきっと一番キツいことをやったほうがいいんだろうなと思ってやってきて、無事2回目のチャンピオンになれたからその言葉を証明することができたかなと。言ったことに対して自分の行動が伴うとすごく説得力が付きますよね。

RIKU 格闘技の会見って「絶対にぶっ倒す」みたいな、両選手ともかなり強めのことを言うじゃないですか。それを言えば言うほど視聴者の試合に対する期待値とハードルがどんどん上がって、結果が出たときにより白黒つくというか。勝てばヒーロー、負ければ言われたい放題で……どれだけいい試合をしようが負けた人への風当たりはかなり強くなる。それがわかっていても強い言葉を言い続けられた理由はありますか?

魔裟斗 自分を追い込むのが好きなんだよね。それだけのことを言っておいて負けたらダサいから、あえて自分で自分を追い込む。そうするとより集中して練習に打ち込める。まあでも勝てる自信もあったんですよ。まったく自信がなかったらああは言えない。勝てる自信があるし、言ったからにはやらなきゃいけないっていう使命感もあったから、その両方で自分を追い込んでいたと思う。

RIKU ストイックの極みですね。何に対してもそうなんですか?

魔裟斗 いやいや、譲れないものに対してだけ。なんでもかんでも負けないとは思っていなくて、ここだけは絶対に一番になるって決めていることだけはとことんストイックにやりますね。

RIKU 僕も同じタイプです。歌だけは諸先輩方に負けない気持ちでいます。いつか「LDHのボーカリストと言えばRIKUでしょ」と言われるような存在になりたい。

魔裟斗 20代のうちはそのくらいの勢いがないと絶対に上には行けないんだよ。

RIKU はい! 今年の初めにEXILE TRIBEでドームツアーをやったんですよ。各チーム2、30分くらいの持ち時間があって、EXILE TRIBE全体でのステージがあるという感じだったんですけど、もちろん会場はEXILEと三代目のファンが多くて。お客さんは「後輩グループはどんなもんだろう?」って比較するだろうなと思ったので、「なめんなよ!」って気持ちでパフォーマンスしました。

魔裟斗 先輩は先輩で「まだまだ後輩になんて負けねえぞ」って気持ちでやってるだろうし。

RIKU そうですね。なので「ヤバい! ウカウカしてたらRIKUに抜かれる」と思われるようなライブをできるようにがんばりました。

魔裟斗 先輩が辞めるときは後輩たちに勝てないって思ったときだと思うよ。「もう俺らの時代じゃない」と思ったときに先輩はその座を譲ると思う。まあでも僕の場合は負けずに勝ち逃げして、一番ずるい辞め方をしましたけど(笑)。

チャンピオンになれなかったら辞めてないかもしれない

RIKU 魔裟斗さんが会見で「一番強い状態で辞める」って言っていたのがすごくカッコよかったです。

魔裟斗 引退してから、トップじゃなくても好きなことを極めていく美学もあると思っていた時期もあるんです。でも最近、アンディ・サワーがONE Championship主催の「ONE: FIRST STRIKE」っていう試合でKO負けしたんですよ。それを見たときに完全に世代交代感があったし、やっぱりあのとき勝ち逃げしてよかったなと思ったんですよね。たぶん続けていても、そのうち倒されて辞めていただろうし。

RIKU 心残りはないんですね。

魔裟斗 そうだね。2003年に初めてチャンピオンになったあとにもう一度チャンピオンになるまで5年かかったんですよ。2回目のチャンピオンの座をつかむために人生をかけてものすごく集中してトレーニングした3年間があった。それを経てチャンピオンになれたから、やりきったと思えたんですよね。そこでチャンピオンになれてなかったら辞められなかったかもしれない。まったくリングに未練はなく、新しいステップに入った感じです。

RIKU 新しいステップとして、今、魔裟斗さんは解説者として活躍されていますよね。THE RAMPAGEは格闘技が好きなメンバーも多くて、お仕事の合間にスマホで試合を観ることがよくあって。魔裟斗さんが「次はこう来ますね」と言うと、本当にそうなるのがすごいなと思いながら観ています。解説のお仕事で心がけていることはありますか?

魔裟斗 格闘技をやっていない人にもわかりやすい解説をすることですね。誰でも楽しめるように解説するのがプロの仕事だと思うし。引退した選手が解説者になることはよくあるんですが、リングから降りてもチャンピオンみたいな存在になりたいんですよ。「魔裟斗は解説者としても一番だ」って言われたい。

RIKU それでこそプロですね。すべてをわかっているからこそなせる技だと思います。僕はHIROさんをはじめ、LDHの諸先輩方への憧れはあるんですけど、魔裟斗さんへの憧れもハンパないなと今日お話していてさらに思いました。

魔裟斗 HIROさん、カッコいいですよね。HIROさんの著書「Bボーイサラリーマン」も読みましたよ。

RIKU あれだけカッコよければ人もたくさんついてきて当たり前だと思います。僕らの世代はEXILEとか三代目みたいにHIROさんとたくさん時間をともにすることはなくて、打ち合わせでご一緒するんですけど、それでもHIROさんは僕ら1人ひとりのことを本当によく見てアドバイスしてくれるんです。必ず目を見て話してくれて、この人の言葉を信じてやっていたらきっとうまくいくと思えるんですよね。自分たちも、もっと若い世代にLDHイズム、HIROさんイズムを伝えていかないといけないと思いますね。音楽から離れたマインドの部分と言いますか。EXILE TRIBEに入ったからにはそういう使命を果たすべきだと思っています。

魔裟斗 うんうん。

一番小さな単位を大事にすること

RIKU ものすごい努力があってのことだと思うんですけど、魔裟斗さんは富も名声も素敵なご家庭もお持ちになられていて本当に勝ち組と言いますか、あこがれの男性像そのものなんです。「なりたい人生ランキング」があったら魔裟斗さんが1位ですね。選手としても男としてもトップオブトップだと思います。

魔裟斗 ははは。2度目のチャンピオンになったときに、何かを得るには何かを捨てなきゃいけない法則があると気付いたんですよ。家庭と仕事のバランスが今一番よくて居心地がいいんですけど、もっと金を儲けたいと思ったらきっと家庭を犠牲にしないといけない。自分の中での落としどころを見つけて、今の状況なんですよね。42歳なんてまだ働き盛りでもっと稼ぎたいと努力をしている人もいるだろうけど、そういう生活をしていたら今の僕のような家庭はきっと築けないと思うんです。RIKUさんくらいの年頃だと、飛び抜けたスーパースターになりたいのであれば結婚はせず、いろんなことを犠牲にして突っ走るのがいいと思うし、自分がどこにいたいのかを考えるとみんな着地点が見えてくるんじゃないかなと思います。

RIKU 1人の男性としての理想形が魔裟斗さんだなとつくづく思います。家庭の持ち方だったりお仕事のやり方だったり、それはもう隅から隅まで……って、憧れすぎていて気持ち悪いですよね(笑)。

魔裟斗 いやいや(笑)。

RIKU 魔裟斗チャンネルもいつも拝見させてもらっていて、夫婦水入らずのドライブデートの動画がとても素敵だと思ったんです。僕はひとりっ子なので子供がたくさんいるのもうらやましくて。恋人としても奥様といい関係を築いて、かわいいお子さんたちとも楽しく過ごして、素敵な家庭だなと思うんですけど、魔裟斗さんにとって家族とはどんなものですか?

魔裟斗 僕は、一番小さな単位をうまく大事にできない人が大きなものを大事にすることはできないと思っていて。で、社会で一番小さな組織は家庭じゃないですか。だから家庭を大切にしようと心がけていますね。さっきから理想の男性像だともお話してくれていますが、僕が思う理想の男性像は“変わらないこと”。選手のときと姿が変わりすぎたらダメだよなと思って鍛え続けているんです。とは言え、選手時代の12年前と今の写真を見比べたら全然違うと思います。でもイメージとして変わらないことが大事なんです。イメージは変えずに変化していける人って素敵だなと先人たちを見て思って、そういう歳の重ね方をしたいなと。引退して腹が出たり、お金がなくなってよれよれのスーツを着るのは理想じゃなかった。だからいいバランスで歳を重ねていけるように努力しています。

人生がうるおいました

RIKU 若い世代の表現者や格闘家に向けて魔裟斗さんが思うことはありますか?

魔裟斗 格闘技のことしかわからないので、格闘技の話をすると、今現役でがんばっている選手だったり選手を目指している子たちって、僕らの頃に比べて技術やテクニックがあるんです。それと同時にいろんな見せ方もできるようになってきて、目先の金を求める人たちも増えてきたような気がする。目先のお金を求めるよりも、僕はプライドを取る人が好き。そうしていないと、その先で何も残らないんですよ。僕はよく「目先のものより名誉を取れ」と言うんですけど、これは名誉があればお金はあとからついてくると考えているからなんです。僕にとっての名誉はK-1のチャンピオンでしたが、“世界最強”という名誉を勝ち取ったらいろんなものがついてきた。長い目で見て今自分がやるべきことを考えて、活動していってほしいなと、若い格闘技の選手に対して思っていますね。

RIKU 自分も肝に銘じます。まだまだ若輩者ではありますがEXPG STUDIO(LDHが運営するパフォーマンススクール)の卒業生として、生徒さんにはそういうことを伝えていきたいです。

魔裟斗 それで言うと、僕の指導者が僕にくれた言葉があります。

RIKU どんな言葉なんですか?

魔裟斗 「トレーナーの仕事は時間の短縮作業」という言葉で、ある地点に到達するまでに1人だったらかかってしまう時間を、トレーナーが半分の時間や3分の1の時間に減らすということ。自分1人で正解にたどり着くのはすごく時間がかかるけれど、アドバイスで時間を短縮できる。だからこそ才能がある子に賭けますけどね。トレーナーはスターになる人材を見つけると燃えるんですよ。

RIKU 「あしたのジョー」で丹下段平がジョーを見たときみたいなことですね。

魔裟斗 そうそう。あとは年齢ごとのステージがあると思う。若いうちはとにかく量をこなしてがむしゃらにやっていけばいいし、25歳を越えてきたら何事も質を高めたほうがいい。大人になって無駄なことをしていると、オーバーワークになっちゃうんですよ。そうならないためには優秀な指導者が必要なんです。

RIKU なるほど……。今日はためになることばかりお話いただきありがとうございました。魔裟斗さんと話せて僕の人生がうるおいました。本当にありがとうございました。

魔裟斗 こちらこそありがとうございました。

魔裟斗(マサト)

1979年3月10日生まれの元キックボクサー。2003年に日本人初の「K-1 WORLD MAX」世界王者となる。2008年には2度目の世界制覇を成し遂げ、2009年に現役を引退した。以降は解説者やタレントとして活躍している。公式YouTubeチャンネル・魔裟斗チャンネルでは、鍛え上げた肉体を生かしたトレーニング企画や格闘家との対談のほか、妻・矢沢心や子供たちとの日常も発信している。

魔裟斗チャンネル

RIKU

1994年8月10日生まれ。THE RAMPAGE from EXILE TRIBEのボーカル。2014年4月に行われたLDH主催オーディションに合格し、THE RAMPAGEのボーカル候補生となる。同年9月に行われた「武者修行ファイナル」で正式メンバーに昇格。2017年1月にシングル「Lightning」でメジャーデビューを果たした。2021年7月から東京・東京ドーム2DAYS公演を含むアリーナツアー「THE RAMPAGE LIVE TOUR 2021 "REBOOT" ~WAY TO THE GLORY~」を開催。9月には初の舞台「ETERNAL」で座長を務めた。11月からはツアーの追加公演を行う。RIKU個人としては毎週金曜日にメンバーの陣と共にスペースシャワーTV「ライブを100倍楽しむLIVE YEAH!!!」、bayfm「WEEKEND THE RAMPAGE」にレギュラー出演している。

RIKU (@_riku_r.m.p.g_ldh)・Instagram photos and videos

RIKUが撮ルンです