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ラグビー日本代表はファンも納得のメンバー!? 年内最後のスコットランド戦でRWC2019の再現なるか?

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松田力也(埼玉パナソニックワイルドナイツ) (C)スエイシナオヨシ

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納得のメンバーである。現時点のベストメンバーと言っていいだろう。

ラグビー日本代表の秋のツアーは、モヤモヤが溜まる戦いを強いられている。初戦ホームでのオーストラリア戦こそ一時はあわや逆転かと思われる善戦を見せたが、ダブリンでのアイルランド戦では100キャップ目の記念試合となったSOジョニー・セクストンがキレキレのパフォーマンスを見せるとともに徹底的に日本対策を実践されて5-60の大敗。アイルランド戦から先発10人を入れ替えたポルトガル戦では、フレッシュなメンバーが苦戦。最後はFB山中亮平がインターセプト、自陣からの独走トライで38-25としたが、薄氷を踏む勝利に終わった。次の相手はスコットランドだ。『ラグビーワールドカップ(RWC)2015』でベスト8進出を阻まれ、『RWC2019』で初のベスト8入りを決めた因縁の相手は日本が10月23日・23-32で敗れたワラビーズに11月7日・15-13で勝っている。

『リポビタンD TOUR2021』最終戦、そして年内最後の試合へ指揮官はどんなメンバーを送り出すのか注目された。序列を重んじて『RWC2019』出場メンバーに全幅の信頼を寄せるジェイミー・ジョセフのこと、アイルランド戦と同じ顔触れが並ぶと思われたが、そうはしなかった。ケガ人やこの1週間の準備を加味しつつ、この3試合のパフォーマンスを反映した試合登録メンバーを選出したのだ。スコットランド戦に臨む23名は以下の通り。

■日本代表試合登録メンバー
1クレイグ・ミラー(埼玉パナソニックワイルドナイツ)、2坂手淳史(埼玉パナソニックワイルドナイツ)、3ヴァル アサエリ愛(埼玉パナソニックワイルドナイツ)、4ジャック・コーネルセン(埼玉パナソニックワイルドナイツ)、5ジェームス・ムーア(NTTコミュニケーションズシャイニングアークス東京ベイ浦安)、6リーチ マイケル(東芝ブレイブルーパス東京)、7ピーター・ラブスカフニ(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)、8姫野和樹(トヨタヴェルブリッツ)、9流大(東京サントリーサンゴリアス)、10松田力也(埼玉パナソニックワイルドナイツ)、11シオサイア・フィフィタ(花園近鉄ライナーズ)、12中村亮土(東京サントリーサンゴリアス)、13中野将伍(東京サントリーサンゴリアス)、14松島幸太朗(クレルモン・オーヴェルニュ/フランス)、15山中亮平(コベルコ神戸スティーラーズ)、16堀越康介(東京サントリーサンゴリアス)、17稲垣啓太(埼玉パナソニックワイルドナイツ)、18垣永真之介(東京サントリーサンゴリアス)、19ベン・ガンター(埼玉パナソニックワイルドナイツ)、20テビタ・タタフ(東京サントリーサンゴリアス)、21齋藤直人(東京サントリーサンゴリアス)、22田村優(横浜キヤノンイーグルス)、23ディラン・ライリー(埼玉パナソニックワイルドナイツ)

どうだろう。もしかしたらHOやSHのスタメンやLOのリザーブに本職がいないことに不安を覚えるファンもいるかもしれないが、おおむねファンの支持率の高いメンバーと言っていいのではないだろうか。11月18日、メンバー発表会見に出席したジョセフHCはメンバー構成について説明した。

「ポルトガル戦からケガ人から戻ってきた。ラピース(・ラブスカフニ)が7番、ムーアがLOに戻ってきた。ほかにも流もハーフに戻り、松島も14番に入った。すごく大きなチャレンジになるが、スコットランド戦はいい試合ができると考えている」

アウトサイドCTBはラファエレ ティモシーではなく、中野をチョイスした。その理由を指揮官はこう語った。
「中野は若く新しい選手、ポルトガル戦ではトライも取った。先を見据え、経験を積ませるのが重要だし、問題ない。若く、未成熟な部分はあるかもしれないが、今後を見据えて起用することにした」

SOのスターターには松田を選出した。
「彼は前回の試合でもしっかりコントロールしてくれたので、今回も試合に出る権利がある。ポルトガル戦ではいいパフォーマンスをして、キックもしっかりと蹴ってくれて、自信をつけている。今週彼がどんな試合をするか、自分も楽しみにしている」

松島はWTBに回り、山中はFBに位置する。
「松島は『RWC』でもWTBで戦っている。セミシ・マシレワのケガによって、山中がFB、松島がWTBに入ることになる。ふたりとも素晴らしい選手、今週の試合を楽しみにしている」

1番は稲垣ではなく、ミラーだ。ジョセフHCはこのように語った。
「彼は調子がいい。試合に出る権利がある。1番のできる選手は3人いるが、彼が一番経験があり、一番コンディションがいいのでミラーを選んだ」

さらに指揮官は稲垣、田村がリザーブに回った理由も明かした。
「先発に選んだ選手の方がいい仕上がりだから。戦術的にふたりがリザーブに回るということではない。先発の選手に出る権利がある。田村と稲垣は後半から大きな役割を果たすべきだし、それを期待している。試合を勝ち切るには後半もいいパフォーマンスを出せないといけない」

勝利のために規律が求められる。この3試合、ペナルティが多すぎた。豪州戦ではWTBレメキ ロマノ ラヴァ、アイルランド戦ではHO坂手、ポルトガル戦に至ってはFLリーチとPR中島イシレリがシンビン(10分間の一時退場)となっている。これでは金星獲得も大勝劇も望めない。

ペナルティがスコッドランド戦の課題となることはジョセフHCも理解している。
「ペナルティの件は選手に伝えているが、ペナルティをするなと言って実践するのは難しい話。ポルトガル代表戦では、選手ががんばりすぎてミスを犯し、そのミスを取り返そうとして……という悪循環が起きていた。リーチもイエローカードをもらったが、これはメンタリティの問題からだと認識している。アイルランドにタフな敗戦を喫し、次はポルトガル代表戦へ緊張感を持って練習してきた。そして今週はマレーフィールドで5万人の前でプレーする。基本的に自分たちのラグビーをすることが重要だ」

バックローの出来も勝敗を左右するとジョセフHCは睨んでいる。
「向こうのフォワード第3列はディフェンスでもブレイクダウンでもジャッカルでもいい選手が揃っている。まず自分たちの精度を上げることが大事。フィフティ・フィフティの状況でペナルティを犯さないことも重要だと選手たちには話している。ただ我々にもリーチ、ラピース、姫野と経験のある選手がいる。どういう試合になるのか楽しみ」

ジョセフHCのメンバー発表会見の後には選手たちのメディア対応も実施された。スコットランド戦でベンチへ回った稲垣、スタメンに戻ってきた松島はこのように意気込みを語った。

稲垣「スタートだから、ベンチだからということでやることは変わらない。しっかり自分のやるべきことにフォーカスしたい。それがチームに反映されれば結果が近付いてくるし、選手全員がやるべきことの精度を高めていきたい」

松島「一人ひとりが戦術の理解をするところとスキル。試合当日風が強いという情報が入っているので、そういう中自分たちのスキルをどう生かしていくか」

ペナルティの多さについても質問が飛ぶと、ふたりはこう答えた。
稲垣「スコットランド戦で大事にしたいのはディシプリン。連戦連戦でペナルティが多いのでフォーカスすべきだが、そこだけを意識しすぎて萎縮したり、消極的になったりしてはいけいない。そのための準備は1週間してきたつもり。一番は判断。みんなやりたくてペナルティしているわけではない。瞬間瞬間の判断やレフリーとコミュニケーションを取って、判断していかないといけない」

松島「ペナルティが多いので、レフリーに寄せたプレーをするとか。試合中に改善しないといけない点があるので、レフリーがどんなペナルティを取るのか、リーダーだけではなく、チーム全員が毎回ペナルティを気にしながらやっていくべきかなと思う」

ポルトガル戦での辛勝にネガティブになる必要はないとふたりは語った。
稲垣「みんなが納得いく勝利ではなかったと思う。反則も多かったし、思った通りにできなかった選手も多かったと思う。ただテストマッチに勝ったのだから喜んでいいと思う。でも反省すべきところを反省する。そもそも簡単に勝てるテストマッチはない。自分たちがそんなに上に立っていると思っていない。自分たちがやるべきことをやって結果がついてくる、最初から大勝できるほど甘くはないという話をした」

松島「最後の最後までどうなるかわからない状況だった。自分たちのやりたいラグビーでしっかり勝てなかったので落ちている部分はあるが、選手もいろいろ試しているし、経験している途中なので、そこはポジティブに捉えていいかなと思う」

稲垣はスクラム、松島はキックチェイスについて言及した。
稲垣「豪州戦が今ツアーで一番良くないスクラムだった。原因は我々が取るべきはずのヒットを相手に取られた。先手を取られた、それがすべて。アイルランド戦では改善できた。我々がペナルティを取れたので。ポルトガル戦は置いておいて、スコットランド戦でどう消化するか。やるべきことは変わらない。やろうとしていることのクオリティを変えていけるか。時間帯、場所、シチュエーションによって、ゲームシナリオ通りのスクラムを組めるかどうかがキーになる。スクラムはゲームの転機となる。実際、スクラムでのひとつの反則で勝敗を分けたゲームを見ているし、経験している。そういうものをスコットランド戦に見せていきたい」

松島「レシーブしている時はエスコートが大事になってくる。エスコートでは競りにきている相手の選手を邪魔しないといけないので、そこの精度をどんどん上げていかないといけない。自分たちが競りにいく時もしっかりボールに絡んでいく、無理ならしっかりタックルへ入っていく、そこで早い判断をするのが大事になってくる」

ふたりはコロナ禍での活動期間の少なさにエクスキューズを求めなかった。
稲垣「時間は言い訳にできない。コロナ禍でチームとして取れる時間は少なかったが、個人個人でやるべきことはできた。時間がなかったというのは言い訳にはならない。ほかの国は日本より試合をしているが、だからと言って我々が能力的に下になっていいわけではない」

松島「ほかの国に圧倒的に試合数少ないのは仕方ない。今はいろいろ試しているところ、ピークは『RWC』に持っていくので今は完成しなくていい。ただ最低限、毎試合ベストを尽くし、ある程度のレベルの試合をしたい。しっかりパフォーマンスを出す意識をどんどん上げていきたい」

また稲垣がチームメイトの1~4番について「みんな状態は良さそう。アイルランド戦で大敗を喫してしまったが、気持ち切り替えて準備してきた。選手個々の調子はいいのでは」と語れば、松島は中野について「体も強いし、ラインブレイクできる選手なので、将伍が裏へ出た時に自分たち回りの選手がどれだけもらえる位置にいるかが大事だし、サポートしていきたい。先にもらってもいいし、ぎりぎりに渡しても体が強いので、前へ出られる。どっちもやれる選手なのでそういった意味ではやりやすい」と期待を寄せた。

果たして、日本代表が『RWC2019』の再現を見せるのか、それともスコットランド代表がリベンジするのか。『リポビタンD TOUR2021』スコットランド代表×日本代表は11月20日(土)・マレーフィールドスタジアム(エディンバラン)にてキックオフ。試合に模様はWOWOWにて生中継。日本テレビ(関東ローカル)にて録画放送。

取材・文:碧山緒里摩(ぴあ)

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