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猿之助に勘九郎、右近、玉三郎と豪華な顔ぶれ揃う『十二月大歌舞伎』開幕

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歌舞伎座『十二月大歌舞伎』チラシ

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年の瀬の歌舞伎座。今月も一年の締めくくりにふさわしく豪華な顔ぶれが、そして賑やかな演目が揃った。

第一部は『新版 伊達の十役』。

足利家のお家乗っ取りをたくらむ仁木弾正は、鼠の妖術を使い陰謀を企て、当主の足利頼兼の跡継ぎ鶴千代の毒殺をもくろむ。鶴千代の乳人政岡が警戒しているが、弾正一味の栄御前が鶴千代を訪ねてやってくる。栄御前が持参した菓子を鶴千代に勧めると、政岡の息子千松が走り出て菓子を口にしてしまう。その菓子には毒が仕込まれていたのだ。苦しむ千松を捉え弾正の妹八汐がとどめを刺す。しかしまるで動じない政岡に対し、味方だと誤解した栄御前はたくらみが顕れる連判状を渡してしまう。そこへ突如現れたのは1匹の鼠。妖術を使った仁木弾正だった……。この序幕に続き、大詰は「間書東路不器用」。『伊達の十役』の登場人物が次々と登場する舞踊劇だ。澤瀉屋の家の芸でもあるこの狂言に市川猿之助が「新版」として挑む。(※「澤瀉屋」の「瀉」のつくりは、わかんむりが正式表記)

第二部一幕目は『男女道成寺』

道成寺の鐘供養のために奉納の舞を舞う美しい白拍子花子と桜子。実は桜子は左近という男の狂言師。花子と左近は満開の桜に包まれ華やかな踊りを披露するうちに、形相がみるみる変わり、鐘の中に飛び込む。ふたりの本性とは……。『京鹿子娘道成寺』の趣向を取り入れた人気の舞踊であり、男女の踊り比べも見どころだ。花子に中村勘九郎、桜子に尾上右近。

二幕目は『ぢいさんばあさん』。

江戸大番役の美濃部伊織と妻るんは評判のおしどり夫婦。子どもも生まれ幸せに暮らしていたが、喧嘩で負傷した義弟の宮重久右衛門に代わり1年間京都勤めをすることになる。ところが伊織は京で同輩の下嶋甚右衛門を誤って斬ってしまい、越前にお預けの身となる。37年後、罰を解かれた伊織とるんはようやく再び相まみえる。変わらぬ夫婦愛を描いた名作を、中村勘九郎の伊織、尾上菊之助のるんという顔合わせで。

第三部一幕目は『義経千本桜』より『吉野山』。

静御前は恋人の源義経を探すため、お供の忠信とともに吉野山へ向かう。ところが忠信の姿を時々見失う静御前。ところが鼓を打つとどこからともなく忠信が姿を現す。源平合戦の様子を物語りながら静御前と忠信はしばし往時に思いを馳せる。そして二人は義経が匿われているという川連法眼の館へ向かうのだが、実はこの忠信、どうも不思議な気配を漂わせており……。歌舞伎三大名作のひとつ『義経千本桜』の一幕。佐藤忠信に尾上松緑、静御前に中村七之助で送る満開の桜の下で繰り広げられる美しい舞踊劇。

二幕目は『信濃路紅葉鬼揃』。

戸隠山へやってきた平維茂を紅葉狩りへといざなう美しい上臈と侍女たち。紅葉と酒に酔いうたたねをする維茂を山神が訪れ、すぐにこの場から逃げるように促す。やがて鬼女に豹変した上臈と侍女一行が姿を現して・・・。平維茂の鬼退治を描いた能の「紅葉狩」を基に作られた舞踊劇。能をアレンジした振付や仕舞の形も入っており、長唄と竹本のかけ合い、六人の鬼女を相手に激しい立廻りなど、迫力に富んだ松羽目舞踊の一幕だ。鬼女に坂東玉三郎、山神に尾上松緑の顔合わせ。

1月も三部制で各部総入れ替え制をとる。ただ客席は全エリアで間隔を空けた2席並びを原則とする配置へ変更されるので、予約の際には確認を。

文:五十川晶子

『十二月大歌舞伎』
2021年12月1日(水)~2021年12月26日(日)
会場:東京・歌舞伎座