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宮沢りえ「心震わせ惜しみなく頑張ります」 作・唐十郎の主演舞台『泥人魚』開幕

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2003年4月「劇団 唐組」により初演され、第五十五回読売文学賞 戯曲・シナリオ賞、第38回紀伊國屋演劇賞(個人賞)、第七回鶴屋南北戯曲賞、第11回読売演劇大賞 優秀演出家賞を受賞した『泥人魚』が12月6日より、東京・渋谷のBunkamuraシアターコクーンで開幕。それに先立ち、同会場でプレスコールが行われ、主演の宮沢りえが「千秋楽まで、心震わせ惜しみなく頑張ります!」とコメントを寄せた。

COCOON PRODUCTION 2021『泥人魚』として、初演以来18年ぶりの上演。唐十郎、蜷川幸雄を師とし、アンダーグラウンド演劇に取り組んできた劇団・新宿梁山泊主宰の金守珍が『ビニールの城』『唐版 風の又三郎』に続き、シアターコクーン3作品目となる演出に挑む。長崎の諫早漁港を追われ、今は都会のブリキ屋で働く青年・蛍一と、ある時、海で漁師に助けられた「ヒトか魚か分からぬ女」と呼ばれる女・やすみ(宮沢)が、さまざまな利権が絡み合う干拓問題の泥沼に巻き込まれていく。

宮沢が唐作品に出演するのは、『下谷万年町物語』『盲導犬』『ビニールの城』に続き4作目となり、舞台に立つのは2019年の『死と乙女』以来約2年ぶり。「ついに皆さんの前でお披露目する時が来たことに緊張と興奮があふれています」と語る宮沢は、スカートをまくり、自分の足に水をかけるというシーンを披露。蛍一役の磯村勇斗が、やすみの足に貼りついた鱗とも花びらとも言えぬ物体を拾い上げる瞬間は、耽美な“唐ワールド”の片鱗を垣間見せた。

現在放送中のNHK大河ドラマ『青天を衝け』の徳川家茂役でも話題を集めた磯村は、「唐さんの世界とお客さまの世界をつなぐのが僕たちの役目」だと語り、「観てくださる方の空気を感じながら、出演者一同楽しんでお届けしたいと思います」とアピール。本作で初のストレートプレイに挑む愛希れいかは「正直、まだまだお稽古が足りないと思ってしまいますが、皆さんと切磋琢磨した時間を信じて、舞台に立ちたいと思います」と意気込みを語った。両名はこれが初めての唐作品出演となる。

また、『唐版 風の又三郎』で唐作品に初参加し、テント芝居にも出演した風間杜夫は初演の唐十郎が演じた伊藤静雄役で出演しており、「唐十郎の世界を誰よりも美しく感動的に伝道したいと、全身全霊で舵を取る金守珍の姿が、役者たちを引きつけて、ひとときも離さなかった」と稽古を振り返った。

【キャスト・演出コメント】
■宮沢りえ(やすみ役)
金さんをはじめ、キャスト、スタッフのみんなが、唐さんの戯曲を、言葉を握りしめ、突き進んできた稽古を経て、ついに皆さんの前でお披露目する時が来たことに緊張と興奮があふれています。劇場という空間に観に来てくださった皆さんの心の中を泳げるよう、千秋楽まで、心震わせ惜しみなく頑張ります!

■磯村勇斗(浦上蛍一役)
本番が始まってようやくこの作品が見えてくる気がします。もちろん、稽古場でお客さまに楽しんでいただけるところまでは作り上げていますが、幕が上がった後は皆さんと共に日々変化を遂げる作品だと感じています。唐さんの世界とお客さまの世界をつなぐのが僕たちの役目なので、観てくださる方の空気を感じながら、出演者一同楽しんでお届けしたいと思います。夢の中のようなファンタジーの世界へと導かれたと思ったら、突然現実を突きつけられる。それはまるで長崎の「ギロチン堤防」のように。物語が急変する。その波が行ったり来たりと舞台上を駆け回る中、でもそこには唐さんの描く「美しさ」「純粋さ」が波飛沫となってお客さまの心に届くのではないかと思います。

■愛希れいか(月影小夜子役)
約1カ月のお稽古でたくさんたくさん悩みました。正直、まだまだお稽古が足りないと思ってしまいますが、皆さんと切磋琢磨した時間を信じて、舞台に立ちたいと思います。この作品は、言葉ではうまく表現できないので、ぜひ劇場に体感しに来ていただきたいです! そして、舞台を見て少しでも皆さまに元気になっていただきたいです。心に響く舞台になるよう、全身全霊を捧げます! どうぞよろしくお願い致します。

■風間杜夫(伊藤静雄役)
稽古は、怒涛のような日々だった。唐十郎の世界を誰よりも美しく感動的に伝道したいと、全身全霊で舵を取る金守珍の姿が、役者たちを引きつけて、ひとときも離さなかった。その金さんの目指す高みにみんなが食らいついて、瞬く間に表現が豊かになっていく様は、役者として肝になるところの自由と開放を得たのではないかと思える。作品の全編が見どころと言うしかないだろう。幕が上がってから降りるまでのあらゆる瞬間が、刺激に満ち満ちている。お客さまには、アングラと呼ばれる舞台の真髄を観ていただきたい。その演劇的興奮が、生命力になることを信じて疑わない。

■金守珍(演出)
まずはBunkamuraシアターコクーンでの唐作『泥人魚』は、公演成功間違いなしと確信しています! なぜならば、台本の素晴らしさはもちろんのこと、キャスティングが完ぺきなので、悩むところなく演出をすることができました。特に宮沢りえさんや六平直政氏からの豊富なアイデアにも助けられ、とても楽しい、笑いの絶えない稽古場でした。見どころは、風間杜夫氏演じる劇詩人の作るユーモアな世界と宮沢・磯村両コンビの演じるピュアな世界が相待って表現される、唐ワールドのたとえようのない美しさです。また、蜷川幸雄師匠からの「幕開き3分勝負!」も実行しています。コロナ禍で鬱屈した毎日が続いていますが、それらを洗い流してくれる聖水をぜひ浴びに来てください!

取材・文・写真=内田涼

【公演概要】
COCOON PRODUCTION 2021『泥人魚』
作:唐十郎
演出:金守珍

出演:宮沢りえ、磯村勇斗、愛希れいか、岡田義徳
大鶴美仁音、渡会久美子、広島 光、島本和人、八代定治
宮原奨伍、板倉武志、奈良原大泰、キンタカオ、趙博
石井愃一、金 守珍、六平直政、風間杜夫

公演期間:2021年12月6日(月)~12月29日(水) 全28回
(12月15日18時半の回ライブ配信あり)

会場:Bunkamuraシアターコクーン

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