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森崎ウィン Zepp Haneda追加公演で願った愛と平和「一生、僕の腕の中で夢を見させます」

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「MORISAKI WIN FIRST FLIGHT -Transit-」

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12月6日、「MORISAKI WIN FIRST FLIGHT -Transit-」が行われた。会場はZepp Haneda。Zepp Hanedaの最寄り駅である天空橋から会場に行くまでに見ることができる整備場には飛行機が並んでいる。夜の暗闇の中、灯りに照らされぼんやりと浮き上がる機体。それを見て胸が高鳴るのは、飛行機のせいか、これから始まるライブへの高揚感のせいか。どちらにしろ、MORISAKI WINの”FLIGHT”にふさわしい場所であることには間違いない。

今回の公演は9月に恵比寿ガーデンホールで行われた「MORISAKI WIN FIRST FLIGHT」の追加公演となる。さらに磨き上げられたパフォーマンスでCREW(森崎ウィンのファンの総称)を魅了した。

定刻の19時を少し過ぎると、アナウンスが。開演前アナウンスとは違う。搭乗アナウンスだ。Overtuneと共に、舞台の白い幕に青の幾何学模様が描かれていく。

暗転し、次の瞬間、真っ赤な照明が舞台の奥から当たる。幕には人影。これから空の旅へといざなってくれるキャプテン・森崎ウィンのシルエットだ。

幕が明け、姿を現したウィンは黒のレザーのジャケットとパンツにサングラス。こらえきれない声が一瞬短く、客席から漏れた。それほどまでにウィンの姿は絵になっていた。
登場でCREWの気持ちをわしづかみにしたウィンは『パレード-PARADE-』でライブをスタートさせる。

歌い、跳ねるウィンの姿を白いスポットが照らし、コントラストを際立たせる。
コーラスのSweepとNaNaと共に華麗なステップを見せ、歌声だけではない魅力を発揮していく。

そっとつけていたサングラスを外すと、スタンドマイクで「WonderLand」、「UNBROKEN WORLD」をしっとりと、しかしパワフルに歌いあげていく。

MCでは「ご搭乗ありがとうございます!楽しむ準備はできていますか!いっぱい手を叩いてくれますか!」と客席に向かって呼びかけ、力強い拍手が返ってくると満足げにほほ笑んだ。「その調子で最後までついてきてください」とスタンドマイクからマイクを外し、一瞬の静寂。ウィンの高音がのびやかに響く「Blind Mind」へ。

この日のウィンは、すべての時を、それこそ一瞬の間さえも支配しているように感じられた。音があふれていない瞬間も作られた演出、作品であることが感じられる。ウィン自身の、髪をかきあげる仕草、客席に向かって手を伸ばす……ひとつひとつの仕草も絵になる。目も耳も、そのステージにくぎ付けになる。

吐息、鼓動音。ハットをかぶったウィンがマイケル・ジャクソンを彷彿とさせるダンスパフォーマンスを披露し、目深に被っていたハットを脱ぎ去って「d.t.s.m」を。楽しげに音楽に身を任せるように体を揺らしながら歌いあげた。

MCでは改めてご挨拶。「追加公演ということで、みなさんの想いがあってこの日を迎えられました」と感謝を伝えた。
「声は出せないんですけども、全部心に届いております。声が出せない分、手を叩いていただいて、手が腫れたら湿布をお配りします。……あんまりウケなかったですね(笑)」と言ってお茶目な表情も見せた。

「今日のフライトはナイトフライトですから。順調に32000フィートに到達、平常巡行しております。ここからはぜひナイトフライトを楽しんでいただけたら」と言い、客席に座ってもらうよう促したあと、自身もギターを受けとり、椅子に腰かける。
それから「いま、時代の流れって猛スピードで過ぎていくような感覚になっていまして、今僕らの生きる時代っていうのは今までに類の見ない速さだと思うんですけど」と話し始める。

「時代の流れについていくのに疲れてしまったり、たまにちょっとリセットしたいな、とか現実を見たくないな、という瞬間がみなさんあると思います。僕自身もあって、そんなときに必要なのは、ありのままの自分を受け入れてくれる場所。僕にとってまさにこの場所がそうで、音楽をやっているときだけは無我夢中にみなさんといるこの瞬間だけが頭の中がある意味、空っぽなんですよね。自分の未来は明るいんだな、明るい方向だとどんどん進んでいく気がしていて。この場所が、居心地が良くて、明日の糧のような場になればいいな、と思います」

そう言ってギターをつまびいてスタートしたのは「Start it Over」。さらに、月明りを浴びているような照明の中で「Midnight」、ギターを置いて「JUST GO」と、“ナイトフライト”にぴったりな曲が続いていく。その流れで披露したのは新曲「anymore」。「近い将来、みなさんにおどけできるはず。楽しみにお待ちください」とCREWたちを喜ばせた。

そしてステージ上はそろそろ夜明けの時間。
ウィンが「いい朝日が差し込んできましたね」とわずかに目を細めた。「朝になったらやっばりこの曲じゃないですか?」と「Fly with me」のサビを歌いながら、CREWたちと一緒に踊るダンスの振りを復習。恵比寿ガーデンホールでの公演の際は、ダンスをレクチャーする形だったが、今回はすでにCREWたちの振りもバッチリだ。その様子にウィンも満足げに頷く。

曲が始まると、一気に会場のテンションが上がる。CREWたちと一緒に踊り、跳ねる。ウィンの「やべえ楽しい!」という言葉が会場を笑顔にする。

そのテンションのまま「Be Free」へ。ウィンの「ジャンプ!」という声に応え、飛び跳ねるCREWで揺れるZepp Haneda。ウィンも嬉しそうに、「ハッハッハ!最高だね!」と笑顔を弾けさせた。

会場の盛り上がりに、「今ちょっと気流のせいで揺れましたけども。ん?気流のせい? みなさんのジャンプのせい?」とキュートに笑って見せた。
しかし、そろそろCREWたちを乗せた飛行機も高度を下げ、着陸態勢へと入っていく時間帯だ。

ウィンも笑顔だが、少し名残惜しそうな様子を見せながら、以前所属していたPrizmaX時代から歌っている「Shall we dance」を。「一生、僕の腕の中で夢を見させますから」というメッセージと共に優しく歌で会場を包んだ。

ラストナンバーとなったのは「What U Wanna Do」。CREWたちも大きく手を振り、会場の一体感が高まっていく。

本編はここで終了……だが、すぐにアンコールの手拍手が会場に響き渡る。その手拍子に応えるようにグッズのパーカーを着用したウィンがダッシュでステージへと戻ってきた。
バッグバンドの“Crumple Band”のメンバーを紹介したあと、「1.2.3」へ。ポップな曲調を楽しげに歌いながら、ステージの端から端を歩き、CREWたちの表情を確認するかのようにしっかりと目線を合わせていく。

が、「1.2.3」のあと、ステージ中央に戻ってきたウィンが驚きの声をあげる。ライブグッズである「Mini Twin Bat」を見つけ、「これ使ってない!」と言って笑い声をあげた。「本当は『Fly with me』で使う予定だったのに完全に忘れてた!」と照れくさそうに笑う。他にも、客席に着ていたパーカーの背中を見せ、「かわいくない?かわいくない?」と言って会場を微笑ませる……こんなところも、ウィンのライブの醍醐味なのかもしれない。

そのあとはギターの宮野弦士が作曲、この日がデビュー15周年だったことがMCで明かされたコーラスのSweepが作詞を担当した「Me Myself and I」を。

「今、僕らは本当に大切な人に簡単に会えない世の中になっている。家族も含めて、すぐに会いにいけないことだったりを考えてため息をつきたくなってしまうこともあるんですけどそんなときに夜空をふと見上げたら星があって。この空を自分の大切な人も見上げているんだろうなと思うと、ちょっと安心できる瞬間が僕はあって……。みなさん大切な人を思い浮かべていただいて。この空は繋がっているんだ、という思いを込めて歌わせていただきます」とライブの締めくくりとなる曲「Love in the Stars-星が巡り合う夜に-」を届けた。

……が、今日はこれだけでは終わらない。鳴りやまない拍手は大きくなっていくばかり。
そんな会場に、ウィンは驚いた表情を浮かべながら「マジですか?」と言って再びステージに戻ってきた。「これってダブルアンコール?」という問いかけにイエスの代わりに会場の拍手が一段と大きくなる。

「純粋に嬉しいです。ありがとうございます」といったあと、「何もやることが決まっていない」と困り顔。「何か歌ったほうがいいですよね? いや、お前歌手だろ、って!」とツッコミながらも、「ダブルアンコールもらうって、憧れだった」と喜びを隠しきれない。
それから、「これちょっと今練習中なんですけど、この機会を使ってやらせてください」と切り出した。

「漢字2文字で書いたらすごく簡単で、平和って言葉があるんですけど。31歳になって、いろんなことが起きて、改めて平和の2文字の重みだったりとか、その捉え方が自分の中で変化してきていまして。そのときに改めてこの楽曲を聞いたとき、人に必要なものってありのままの自分でいられる場所はもちろん、そういう場所には何が生まれているかって、愛なんですよね。
僕らの偉大なるアーティスト遺してくれたマイケル・ジャクソンが遺してくれた、愛をテーマにこの楽曲を聞いていると自分もなぜか平和になるための第一歩を踏み出しているような気がして、僕自身も愛という力があふれてくるような楽曲です。それをみなさんと一緒にシェアできたらな、と思います」

そう言って「Heal the World」をギターの弾き語りで。
優しい歌声でウィンの今の想いが込められているであろう曲は、CREWたちの心にも染みわたっていったのではないだろうか。

「今日はたくさんの愛をいただきました。この場にいない新たなCREW、この場に来られなかったCREWのみなさんも含めて、愛というものでこの世界を平和に、みなさんと一緒にできたらいいな、と思います。本日はありがとうございました」と言って、CREW、公演に携わる全てのスタッフに感謝の気持ちを伝え、大きく手を振りステージを後にした。

MCで「去年の7月にデビューして、まだCREWの声を聞いたことがない。なんて(僕のことを)呼ぶんだろうね」と言っていたウィン。
まだ、ライブで声を出すことができない状況は続く。それでも、しっかりとウィンとCREWの間では愛が伝え合えているように感じられた。「MORISAKI WIN FIRST FLIGHT -Transit-」ではより両者の絆は強くなったはずだ。

撮影/渡辺誠司、取材・文/ふくだりょうこ

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