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【おとな向け映画ガイド】

クリスマスに待望の公開! 『キングスマン:ファースト・エージェント』

ぴあ編集部 坂口英明
21/12/18(日)

イラストレーション:高松啓二

今週末(12/24~25)に公開される映画は10本。全国100館以上で拡大公開される作品が『劇場版 呪術廻戦 0』『キングスマン:ファースト・エージェント』の2本。中規模公開、ミニシアター系の作品が8本です。今回はそのなかから、大ヒットシリーズの3作目、『キングスマン:ファースト・エージェント』をご紹介します。

最強スパイ組織の誕生秘話

『キングスマン:ファースト・エージェント』

総額900億円もの興収をたたき出したイギリス映画『キングスマン』、3作目がついに登場です。ビシッと決めたスーツ姿の上品な英国紳士たちが、実は、世界を守るキレッキレの“スパイ集団”という、ありそうでなさそうな設定と小気味よいアクションで世界を沸かせたシリーズ、今回は、そのスパイ組織の“誕生秘話”を壮大なスケールで描いています。何度かの上映延期の末、クリスマスシーズンにいよいよ、世界ほぼ同時公開です。

ロンドンのサヴィル・ロウ(「背広」の語源だそうですが)に店を構える高級メンズテーラー、その名も「キングスマン」。裏の顔は、どの国にも属さない世界最強の諜報機関の本部です。第1作は、コリン・ファース扮するトップエージェントが、うだつのあがらない不良青年を一人前のスパイに育成しながら、世界の危機に立ち向かうストーリーでした。第2作はその続き。ともに舞台は2015~18年、つまり現代でした。1作目から本作まで監督はマシュー・ヴォーン。彼がこのスタイリッシュで奇抜な世界のまさに創造主ですが、1作目中のセリフで、この組織の成り立ちをなにげに説明していたのだそうで、それを形にしたのが今回の作品です。キャストも一新し、時代を一挙に遡るという思い切った展開をみせます。

時代は1914年、第一次世界大戦開戦前夜。ストーリーの中心になるのは、英国貴族オックスフォード公(レイフ・ファインズ)とその息子(ハリス・ディキンソン)です。あの『007』もそうですが、スパイものではたいがいスペクターのような“架空”の国際巨悪組織ってのが登場します。『キングスマン』にも、やはり陰謀を企てる謎の狂団が出没するのですが、その悪漢組織の刺客とかれらのターゲットがともに歴史上の実在人物。彼らの行動も史実をふくらませた設定で、歴史的事件の裏では「こんな世界が展開していたのかもしれない!?」と、“架空”と“現実”のはざまで気分がトリップできるしかけになっています。

例えば、高級娼婦としてドイツ・フランスの二重スパイをしていた魔性の女「マタ・ハリ」の存在や、世界大戦へ突き進むドイツ皇帝、参戦を渋るアメリカ大統領ウッドロウ・ウィルソン、帝政ロシアの末期を牛耳った怪僧ラスプーチン、そしてハンガリーの皇太子が暗殺され世界大戦の引き金となったサラエボ事件の勃発……裏側に陰謀あり、です。

なかでも、ラスプーチンがとびぬけて印象的。怪しげな医術を操り、狂ったようにコサックダンスを踊り、髪振り乱し襲いかかる不死身の怪物。オックスフォード公親子にとっての最強の敵です。演じているのはリス・エヴァンス。『ノッティングヒルの恋人』でヒュー・グラントの愉快な同居人を演じていたあの時から個性が際立っていましたが、怪演です。イギリス王ジョージ5世、ドイツ皇帝ヴィルヘルム2世、ロシア皇帝ニコライ2世がいとこ同士だったというのは、今さら驚きますが、この3人を、トム・ホランダーがひとりで演じ分けちゃっています。これも傑作。

さらにワクワクさせられるのは、ガジェットの数々。前作までとは違い、ハイテク機器はありませんが、傘や靴が思わぬ活躍をし、またも魅力的です。オックスフォード公の忠実な執事ショーラ(ジャイモン・フンスー)と、普段は世話焼きの家庭教師、実は凄すぎる射撃手ポリー(ジェマ・アータートン)、見せ場たっぷりのこのふたりの存在もスパイ映画好きには待ってましたのキャラです。

全編に仕掛けいっぱい。あの切れ味たっぷりのアクションに、大英帝国の重厚でクラシカルな要素が加わり、イギリス映画の魅力を一層引き立てています。ホリデー・シーズン向けの一作です。

【ぴあ水先案内から】

春錵かつらさん(映画ライター)
「……規模は大きいが幾分しっとりとした重厚な展開となっているように思える……」

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高松啓ニさん(イラストレーター)
「……主演にレイフ・ファインズを迎えたことで品位が上がり、より英国的になったかも……」

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相馬学さん(映画ライター)
「……主人公親子VSラスプーチンのダンスのような高速格闘アクションは必見!」

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