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彼らの挑戦は観る者の光になる-SUPER★DRAGONワンマンライブツアー「SIXDAY」最終公演レポート

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SUPER★DRAGONワンマンライブツアー「SIXDAY」12月19日 東京・立川ステージガーデン

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12月19日(日)、9人組ミクスチャーユニットSUPER★DRAGON(通称スパドラ)がワンマンライブツアー「SIXDAY」を立川ステージガーデンにて行った。

今回のツアーにあたって、メンバーによるボイスドラマを先行配信。その内容はライブとリンクしており、ボイスドラマ内の分岐が各公演につながっている「マルチストーリーライブ」だ。つまり、会場によってストーリーが異なる。

ある日、メンバーのもとに届いたのは未来からの1通のメール。未来の世界ではクローンと人間が共存していたが、クローンは人間に虐げられている立場。クローンは反乱軍を結成、人間との戦争を始めていた。争いの原因となっているのは、クローン技術を悪用しているAMOYH(AMOYH)だと考えられていた。クローンデータを盗み出し、クローン研究を行う会社を乗っ取ったAMOYHの行動を変えるために、2021年に起こる6つの事件を阻止してほしいというのがメールの主からの依頼だ。どの事件が未来に干渉できるのか、未来を変えられるのかわからない。が、スパドラのメンバーたちはそれぞれの事件を防ぐために動き出す。

「SIXDAY」というツアータイトル通り、9月の中野サンプラザからスタート、6公演目となる立川ステージガーデンが最終公演となる。6日目に一体どんなストーリーが明かされるのか。

公演時間が近づくと少しずつ大きくなっていく会場のBGM。それに誘われるようにしてBLUE(SUPER★DRAGONのファンの呼称)が座席から立ち上がり始める。青のペンライト、肩にはメンバーの名前が入ったタオルをかけ、ライブへの期待感と同時に、どこか緊張感もはらむ。

オープニングでは、今回のストーリーを振り返るボイスが流れる。

――今日、防がなければならないのは、AMOYHが秘密裏に入手した宝石の違法売買。大きな金額が動くこの事件を止めれば未来は大きく変わるはず。取引の場所は立川ステージガーデン。気合いを入れる面々だったが、表情がさえないメンバーも。

「AMOYHの顔を見た」
その顔は、彪馬にそっくりだった--?

そんな驚きとともに、ステージ上段には9人のシルエットが。1曲目を飾ったのは『WARNING』。今回のストーリーを踏まえると、『WARNING』ほどオープニングにふさわしい曲はないのではないだろうか。
そして曲間には、ボイスドラマが差し込まれ、ストーリーが展開していく。

――AMOYHが彪馬にそっくりだったということが気になって仕方がないメンバー。それはドッペルゲンガー? 彪馬のクローン? つまり彪馬のクローンがAMOYH? 謎は深まるばかりだが、まずは今日のAMOYHの取引を阻止しなければならない。

自分が片をつける!AMOYHとの戦いの行方は…

続いて披露されたのは『LRL-Left Right Left-』。何か足りない繰り返す毎日、自分見失わぬように。歌詞がストーリーにぴったりだ。のびやかなボーカルに玲於をセンターとした激しいダンスが映える。勢いそのままに和哉の低音からスタートする『La Vida Loca』。思わず美しい、とため息が漏れそうになるダンスにパワーがシンクロし、ステージからの圧がすさまじい。そこにBLUEの手拍子が重なり、会場の熱が高まっていく。

――本当にこの場所で取引が行われるのか不安に思うメンバー。
実際にAMOYHが現れたらどうする? 自分そっくりなクローンに対して冷静に対応できるのか?
しかし、AMOYHも今回が最後の取引となる。本気でくるはず。阻止をするのも容易ではないはずだと、それぞれ気合いを入れ直す。

ここまでが今回の物語の振り返りと導入ということだろうか。ソロダンスに合わせてスクリーンにはメンバーのパーソナルデータが表示され、映画のオープニングを思わせる。

――取引を成功させたいAMOYH。スパドラの前に現れたのはAMOYHの指図によって動いていると思われる人間たち。すぐにどうこうされることはないだろうが、メンバーは危険を感じ……。

ステージ上段に現れたメンバーの手にはライトが。『City Noise』のフリに合わせて光のラインが鋭く動く。その演出に会場からは歓声が漏れ聞こえる。
裾が長いジャケットに、そのライトの光がサーベルのようにも見え、現代の騎士のよう佇まいだ。
AMOYHの手の者たちから逃れられるのか……

――思いのほかあっさりと捕まってしまった面々。
あのメールさえ届かなければ、今頃楽しく過ごしていたはずなのに、とそれぞれため息をつく。

そんな日常を思い返しているかのような『Distance』。先ほどまでの緊張感がほどけたように、それぞれが柔らかな表情を見せる。腰かけている洸希を後ろからハグする玲於の姿に観ている側も和む。
ジャンの「最後まで楽しんでいきましょう!」という言葉と共に始まったのはポップな『雨ノチ晴レ』。ステージ上段に並んで腰かけ、笑顔で歌う姿は、メールが来なかったときのifの世界なのか。

――どうして自分たちは捕まってしまうのか。自分たちのクローンだからやることが分かるのか。しかし、まだ取引は終わっていないはず。早く逃げ出せなければ……

白い光、スモークの中、ステージに現れたメンバー。それぞれの個性を生かしたような衣装に身を包んでおり、隠し切れないオーラがにじみ出る。結成6周年である9月27日に配信リリースされた『X』という攻めるトラックに緊迫感が戻ってくる。
『Burning in the nights』ではステージ構成を存分に生かしたパフォーマンスを魅せる。上下2段構えのステージングはいつどこに誰が現れるか分からない。限られたステージでありながら、空間を巧みに使いこなし、奥行きがある魅せ方は感嘆の声が漏れる。

――どうにか逃げ出すことに成功したSUPER★DRAGON。しかし、逃げられたことに疑問を感じる。まるでわざと逃げられるようにしていたかのような……。
そんな中、彪馬は「自分のクローンがやったことは自分が片をつける」と決意を口にする。クローンの間違いを正すのがオリジナルの役目。AMOYHを見つけるため、スパドラは二手に分かれて捜索を続ける。

捜索の様子をダンスパフォーマンスで表現。
続けてファイヤードラゴンの『On My Way』、サンダードラゴン『Caravan』で世界観を深めていく。
ジャン、洸希、和哉の3MCで歌う『Set It Off』は怒りをテーマとした曲だが、この流れで聴くとまた違った意味が伴ってくるように感じる。向けられた怒りはAMOYHか、世界か。

――ついにAMOYHを追い詰めたSUPER★DRAGON。フードを外したAMOYHの顔は彪馬そっくり。AMOYHは入れ替えるとHYOMAになる。
理想の世界を手に入れたいだけだった。クローン技術で人間の生活が豊かになる、死んだ人間もクローン技術で蘇ることができると、純粋に信じて、発展を願っていた。
しかし、クローンで人間を蘇らせるのは禁忌。だから、技術を強奪しようとした。
「あんた何年生きているの?」という問いに「数えきれないぐらいの時間、クローンを作れる世界を待っていた」
コールドスリープで技術の発達を待っていたAMOYHだが、それも終わり……。

物語の完結 高まる一体感の中、絆が深まる

物語はエンディングへ向かって走り出す。再び衣装チェンジしたSUPER★DRAGONが『Untouchable MAX』で会場のテンションをブチ上げる。ここまで、ほぼノンストップと言っていいほど走り続けてきたセットリストにも関わらず、ダンスのキレは増すばかりだ。
そしてここで「立川盛り上がってますか! まだまだ最高潮に至っていません!」と毅が煽る。声が出せない代わりにBLUEは手に持つタオルを高く掲げる。シンプルなC&Rだが、通じ合うにはそれで十分だったのかもしれない。仲間との絆を感じさせる『Dragonfly』で会場の一体感を高めていく。

「まだまだぶちあがっていくぞ!」と『Mada’Mada』、さらに『SUPER★DRAGON』で会場のボルテージをマックスまで上げ切って本編を締めくくった。緩急激しいストーリーに浸ったあとの『SUPER★DRAGON』はなんともグッと来るものがある。

ステージを立ち去るシルエット。スクリーンにはエンドロールが流れる。一本の映画を見終えたような充足感と同時に、最後に記された「and BLUE」の文字、そして「SIXDAY」を締めくくった「ありがとう 俺たちの希望」という一文。物語のエンドマークであると同時にスパドラからBLUEへのメッセージのように感じられ、会場からは自然とアンコールの手拍子が響き渡る。

そんなアンコールに応え、SUPER★DRAGONのメンバーが再びステージへ。改めてBLUEに挨拶をした。
「髪を黒染めにしたんですけども、色落ちしちゃいましてですね。色も落としちゃったんですけど、BLUEのみんなも落としちゃおうかなと思います」という颯から自己紹介をスタート。緊迫したストーリーから解放され、ようやく素のSUPER★DRAGONが観られたように思え、思わず顔がほころぶ。

壮吾は恒例のアナウンスを披露すると、楽が「今日は車内アナウンスじゃないんだね」と言い、「そう、駅のホームのアナウンス。よく気がついたね」と壮吾も笑顔を見せた。その楽は配信のカメラにも笑顔を向けて「みんな大好きだよ~」と愛を届け、洸希は得意のボイパを披露、和哉は叫びすぎて声が低くなりすぎたと謝罪。それぞれが千秋楽を迎えて興奮の心中を声、表情で現した。

駆け抜けてきたツアー。セットリストを毎回半分変えたいというメンバーの要望に応えてくれたスタッフに感謝の気持ちを毅が伝えると、ジャンは「今回のツアーは長い時間をかけてBLUEのみんなと会えるのは嬉しかった」と語る。

また、颯はツアーの感想として「対面でこうしてライブができるのはすごく嬉しいです。ライブひとつひとつを作り上げていくという実感をこのツアーを通してより深く味わえた。振り付けや構成にも少し携わらせていただいて、そういった面でも、二十歳を迎えたという面でも成長を感じられた」と感慨深げに噛みしめた。

颯がツアー中に二十歳を迎えたということで、ファイヤードラゴンで飲み会をしたときのエピソードをジャンが披露。3杯で寝てしまった玲於と颯(すかさず颯が「4杯」と訂正)。時間が経ち、スタッフとジャンで2人を起こすと、玲於が颯に話しかけにいったという。今日は楽しかったね、という話をするのかと思いきや、玲於は「今日何杯ぐらい飲んだの?」颯「4杯ぐらい?」玲於「そうか、俺は3杯だ」とカッコをつけたかったのに、実は颯のほうが呑んでいた……というエピソードに他のメンバーから穏やかに「ダサい」「ダサいね~」といじられるなどという微笑ましい場面も。

新曲の初披露 過去への後悔なんて意味がない

長い期間に渡るツアーだったからこそさまざまなことがあった。「毎回が初日で毎回が千秋楽だった」と毅。そして、今の時勢ならではの心配ごとも。 「緊急事態宣言中からツアーが始まり、キャパが上限の半分という制限があったけれど、陽性者も出ず、今日という日を迎えられた。スタッフ、BLUEみんなひとりひとりの『この場所を守りたい』という想いが繋がって今日があるんじゃないかな、と思う」と感謝の言葉を述べ、彪馬も「みなさんのと対面する機会がない中で、自分ひとりで物事に対して考える時間がものすごく増えた」とその言葉を継ぐ。

「過去に対する後悔や悔しさを考えることが多くて。そのときに思ったのがどうして過去を振り返るか、ということ。過去にあった幸せを今後越えられるのか、という不安感が多分あると思う。でも、過去を振り返って、後悔するのは何の意味もないな、って気づいたし、そうした過去にあった幸せな思い出っていうのはこれから先、僕たちがどんどん越えていける、と胸を張って言うことができます」と力強く語った。そして「僕たちと一緒に幸せな思い出をたくさん作っていきましょう。そして僕たちの未来に向けて、BLUEのみなさん、すべてのひとに向けてこの曲を歌いたいと思います」と、披露されたのが新曲『-T weedia-』。思いがけないサプライズに思わず客席がざわめく。

SUPER★DRAGON初のバラードで、和哉、ジャンのラップも織り込みつつ、柔らかなメロディーが聴く人の心を包み込んでいく。
T weediaとはルトリウワタという花のこと。花言葉は「幸福な愛」「信じあう心」。「花を君へ」という歌詞と共に手の差し伸べるような振りが印象的だったが、そこには彼らのBLUEに対する想いが込められているのかもしれない。そしてそれに応える会場を埋め尽くす青のペンライトは互いの絆が感じられるワンシーンのように思えた。

さらに、毅は「1サプライズでは終わりません」と言い、『-T weedia-』も収録した4枚目のアルバム『Force to Force』が3月23日にリリースされること、1月12日に配信シングル『Purple Moon』がTBS「よるのブランチ」1~2月エンディングテーマ曲に決定したことを発表し、BLUEを喜ばせた。
この日のライブ、そしてツアーが終わってしまうことを惜しみつつ、「これからに向けて前を向いて羽ばたいていければな、と思う。少しでも僕らの活動がみんなの先を照らす光になっていければ」と毅。最後の曲「SOUL FLAG」でしっとりとエンディングを迎える……かと思えば、突然、和哉が胴上げされるという展開に笑みが漏れる。これもまたSUPER★DRAGONらしさなのかもしれない。

新たなステージ、新しいエンターテインメントの形を見せた「SIXDAY」。そして、今まであえてやってこなかったバラードを新曲として打ち出すというところに、ワクワクしか感じない。道を照らすSUPER★DRAGONの光は、2022年はより輝きを増していくはずだ。

取材・文 / ふくだりょうこ

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