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松本花奈×北村匠海 対談「若者を救い上げる作品を生み出したい」

映画

インタビュー

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撮影 / 奥田耕平

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「何者かになりたいけれど、何者にもなれない」 そんな“ままならなさ”を抱えて生きる現代の若者を描いた『明け方の若者たち』が2021年12月31日に公開する。

カツセマサヒコさんのデビュー作である同名小説を基に実写映画化した本作。23歳新進気鋭の松本花奈さんが監督を務め、24歳の俳優・北村匠海さんが主人公の<僕>役を演じる。作中の登場人物と同世代の若者たち”がタッグを組み、リアリティ溢れる青春劇に挑む。

俳優・北村匠海は絶妙な変化をしっかり表現できる人





実は俳優としても活躍していた松本監督。2011年にはドラマ『鈴木先生』で北村さんとも共演している。二人は「すごく印象的な作品だった」と当時の思い出話に花を咲かせた。

北村 「監督も含めて共演した松岡茉優や三浦透子とか、今ものすごく活躍している人たちもいて、土屋太鳳に関しては当時から一段上のステージにいて。最初に配られた席順の表に載っている宣材写真が、みんなはかっちりとした証明写真だけど太鳳だけは明らかに違うんですよ(笑)。」

松本 「そうだったね(笑)。纏っている空気感が一人だけ、違う感じがしました」

北村 「当時の共演者、誰と会っても『鈴木先生』の話になるくらい、僕らの中では一つの青春だった感覚があります。震災を挟んだり、みんなで撮影所に泊まったり。いろんな葛藤を抱えた思春期ならではの渦巻く感情をお芝居で表現していたのも大きいかもしれません」

続けて北村さんは「やっぱり僕の中では役者・松本花奈の印象が強いんです」と話した。松本監督は2006年から子役として活動するかたわら学生時代から映像制作をし、高校在学中の2016年に監督デビューを果たす。

北村 「監督になったと又聞きした時、すごく不思議な感覚がありました。同時にすごいなと思って。この作品の話が来る前に(松本監督と)下北沢で会って、いつか一緒に仕事したいねと話したんです」







そして、その一年後に松本監督から北村さんへ『明け方の若者たち』の主人公役のオファーが届く。北村さんにオファーした理由を「諦観と僅かな光のようなもの、どちらも表現できる方だと思った」と松本監督。

松本 「原作を読んだ時、主人公の持つ周りに期待しすぎない、ちょっと脱力した掴みどころのない雰囲気がすごくリアルで魅力的だと思いました。そしてその空気感を、北村さんは持ってる方だなと。未来への期待を抱いた学生時代から始まり、社会人になって現実に触れて諦観し、最後にまた少しの希望を持つ。北村さんのお芝居からは、そういった絶妙な心境や状態の変化がしっかり感じ取れるんです」

北村 「原作を渡してもらって読んだ時、役を演じるのではなく“そこに生きる”ことのできる役だなと思いました。<僕>の生きるテンションが自分と近いものを感じました。出てくる場所も音楽もちゃんと僕自身に思い出があるのも大きいかもしれませんが、カツセさんに自分の人生を見られていたのでは?と思いましたよ(笑)」



“今を生きる若者”として生きることを決めた





原作と台本を読んだ後「もう芝居をしないスタンスでいきます」と松本監督に伝えたという北村さん。どんな作品でもお芝居をする上では毎回「ゼロと言っていいほど作り込まないこと」を大切にしているのだとか。

北村 「いろんな手法のお芝居をする人がいるけど、僕は自分のプランを押し付けることはあまり好きじゃないんですよ。現場でのさまざまなキャッチボールから生まれるリアリティが映画だから、僕はあくまでもキャッチャーでいたいなと思っています。

本作では<僕>が直面する「社会に出てみたら意外と何もなかった」という絶望感が僕自身にすごく刺さって。同時に今まさに変わろうとしている社会に対する期待感も理解できる。そういう意味でも芝居という枠にハマることが吉ではないなと。“今を生きる若者”として作品の中で生きることを決めました」

同時に松本監督も「あまり作り込み過ぎず、自然体でいてほしい」と北村さんに伝え続けていたという。

松本 「例えば<僕>が引越しをして、<彼女>と尚人が手伝いに来るシーンでは、台本上のト書きには「家具を組み立てる」「カーペットを敷く」くらいしか記載しておらず。ガチガチに固めすぎないことで、北村さん、黒島(結菜)さん、井上(祐貴)さんの間で良い化学反応が生まれるんじゃないか、と思っていました」



本作で北村さんの芝居を見た松本監督は「お芝居なのか素なのか分からなくなることが多かった」と驚きを見せた。

松本 「特に明け方の高円寺を走っているシーンの笑顔を見た時、本当にどちらなのか分からなくなりました。実際どうだったの?」

北村 「半々かな(笑)。いろんなシーンでアドリブを含めて3人で会話してきて、生まれたものだったと思う。あと本当に明け方に撮影していたのも大きくて。飲み疲れた倦怠感とちょっとした後悔、明日が来るのは嫌だけど明け方の太陽が気持ち良かったり空気が美味しかったりする複雑な気持ち。3人の関係性と撮影時のシチュエーションすべてが合わさったことで、あの表情が生まれたんだと思います」

共演者とのコミュニケーションや撮影現場の空気を繊細に感じ取り芝居に落とし込むことのできる北村さんの俳優力はもちろん、松本監督が生み出す現場の雰囲気や元役者としての感性もまた出演者の自然体な芝居に繋がったのではないだろうか。

北村 「良い意味でいまだにどこか役者的な目線を持っているんだと今回の現場ですごく感じました。同時に監督としての空気もすごく感じて。“監督、松本花奈”に感動しましたよ(笑)」

松本 「あははは(笑)」

同世代の第二次思春期を作品として放出したい



学生時代に思い描いていた未来への希望、社会に出てから知る現実への絶望。社会に出た現代の若者たちは確実に共感してしまうはずだ。それはきっと、心のどこかで“ままならなさ”を感じながら現代に生きる若者たちが本作を創り上げているからだろう。

松本 「作中の「こんなはずじゃなかった」というセリフに、現代の若者たちが抱える“ままならなさ”のすべてが形容されていると思っています。その“ままならなさ”とどう向き合い、これからどう生きていくかを考えるキッカケになれたらいいなと」

北村 「僕自身、芝居を始め立ての時は、大人になることへのただならぬワクワク感がありました。でもいざ成人して社会へ足を踏み入れた時、思っていた以上に世の中の仕組みが窮屈だったりする部分もあって。僕と<僕>は違う職業で社会で生きているから別の葛藤もあったけど、社会に対して感じた絶望は同じだと思う。見てくださる人たちにもそういった共感や最終的に<僕>の中に芽生える少しの希望を感じ取ってもらえたうれしいです」

若いうちから表現者として活躍する二人は「今後も一緒に作品づくりをしていきたい」と意気込んだ。松本監督は「今回とはまた違った北村さんの姿もカメラに映したい」と話す。



松本 「本作では何かを生み出そうとしているけれど、それがなかなかできない役を演じてもらいました。次は逆に、何かを生み出している役を撮りたいです。北村さん自身、幅広くクリエイティブなことをされているので、作品をつくる時のエネルギーを見てみたい」

北村 「画家の設定とか?? 僕、油絵をよく描くんですよ。画家の友だちもいて、そういう人たちの話はすごく面白い。クリエイティブな人って繊細なところに時間の流れを感じるので、そういった部分を映してもらいたいです」

北村さんは俳優としてだけでなく、ダンスロックバンド・DISH//として、さらにはカメラマンとして、幅広い表現に挑戦している。「監督と役者」以外の形での作品づくりへも前向きな姿勢を見せた。

北村 「『明け方の若者たち』を見て、松本監督は女性的目線に長けていると思いました。すごくディープなものを描いているのに、作品全体にやわらかい空気が纏っている。そんな彼女の表現にフォーカスした作品を一緒につくりたいですね」

松本 「映画もまたやりたいし、写真とかもいいよね」

北村 「いいね、やろう。僕を含め同世代のみんなは今いろんなことに悶々としていると感じているんじゃないかと。その分、勢いが凄まじいと思っていて。第二次思春期みたいな(笑)。だからこそ抱えているものを作品として放出すべきだなって。僕らはこの仕事をしているからこそ、表現する責任もあると思うんですよ。鬱屈としている人、社会に絶望している人をゴッソリ救い上げる作品を生み出したいですね。その第一弾として『明け方の若者たち』が指標になったらいいなと思います」







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取材・文 / 阿部裕華、撮影 / 奥田耕平



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