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「あなたを誇りに思います」原因は自分にある。がZepp Hanedaで見せたスタートラインと未来

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12月30日、「原因は自分にある。」のワンマンライブ『げんじぶ空間:case.2』がZepp Hanedaにて行われた。12月27日にはZepp Osaka Baysideで、Zepp Hanedaでは2公演が開催され、久しぶりに観測者(原因は自分にある。のファンの呼称)との時間を楽しんだ。
本記事では12月30日の1部の模様をレポートする。

原因は自分にある。と共に虚像と実像のはざまの空間へ

寒い日々が続く中、久しぶりに太陽の光が暖かく感じられた12月30日、1部開演前。会場に入っていく観測者たちの表情はみな明るい。
今年2枚のアルバムを発売し、満を持して挑んだとも言える今回の公演は新たな原因は自分にある。を見せることになったのではないだろうか。

大きな横長のスクリーン、ステージ上には高さの異なる3つのブロックが立ち並ぶ2段構えの形だ。
開演時間になると暗転し、スクリーンにノイズが映し出される。ブロックの前面もスクリーンとなっているので、映像が映し出されると一気にステージ上の立体感が増す。

やがてステージ上段、中央に7人のシルエットが。12月8日にリリースされたばかりのアルバム『虚像と実像』に収録されている「黄昏よりも早く疾走れ」でスタートだ。バンドサウンドが印象的な楽曲で、まずは今までとは少し違うげんじぶを見せる。更に、スクリーンに映し出される映像と流れる歌詞に7人のシルエットが溶け込んで、一気にその世界観に引きずりこまれていく。

続いて、「嗜好に関する世論調査」。テンポの速いジャズピアノ、特長ある“二択”のリフレインとそれに連動した振り付けと映像で魅せる。曲の終盤では、ステージ上に一列に並ぶメンバーひとりひとりにピンスポットが当たり、ダンスパフォーマンスと併せてスクリーンに名前とシルエットが投影するという形でメンバー紹介が行われた。クールな演出である。

少し大人の雰囲気を感じさせる歌詞の「J*O*K*E*R」では、ダンスもしなやかだ。「嗜好に関する世論調査」とはまた違う魅力、そこはかとない色っぽさがにじみ出る。「今」の青春を歌った「灼けゆく青」では逆にダンスが抑えめに。スクリーンに流れる痛みを伴う歌詞に、げんじぶの歌声が乗ることで逆に歌本来の良さ、そしてそれぞれがこの曲に共感する心情をほとばしらせているように感じられた。

たった4曲で一気にげんじぶワールドに飲み込まれたところで、改めてメンバーそれぞれが来てくれた観測者に向かってご挨拶。武藤潤が「みなさん盛り上がってますか!」と声をかけると、客席も大きな拍手で応えた。

僕たちと一緒に伝説になるライブを!

吉澤要人は「みなさんのおかげで、今年2枚のアルバムを出させていただきました。非常に曲が増えたんです、僕ら。増えたおかげでこんな素晴らしいセットを入れて、ライブをさせていただいています。本当にありがとうございます」と感謝の気持ちを伝えた。

「出てきた瞬間からペンライトの海がすごくて」と感激の言葉を漏らしたのは長野凌大。「このZeppツアーというスタートラインに立てたのかな、ということを改めて思いました。僕たちと一緒に、伝説になるようなライブを作っていきましょう!」と言う長野のソロから始まったのはドラマ『じゃない方の彼女』のエンディングテーマにも起用された「豪雨」。土砂降りの雨の映像をバックにしたバフォーマンスは、ダンスもどこかドラマチックさを感じさせる。また吉澤の低音が曲に深みを持たせていく。そして間髪入れずに「スノウダンス」へ。YOASOBIのAyaseが提供した冬にぴったりの切ないラブソングだ。しっとりとした曲が続いたところで投下されたのはどこか和のテイストを感じさせる「以呂波 feat. fox capture plan」。杢代和人と桜木雅哉のラップが映え、これもまたげんじぶの新しい一面を感じさせる楽曲だ。

そして疾走感のある「幽かな夜の夢」から暗転、スクリーンに映し出されるノイズにも似た映像。流れるテクノサウンドから、ラフな衣装チェンジしたげんじぶが登場し、「0to1の幻想」を。衣装も変わったが、ライブの雰囲気自体もガラッと変わった。ここまでも激しいダンスを魅せてきたが、さらにキレッキレの動きで客席を魅了する。勢いそのままにメドレーへ。「嘘から始まる自称系」「犬と猫とミルクにシュガー」「柘榴」「In the Nude」「半分相逢傘」と攻めたラインナップだ。ダンスでもラップでも、余すところなく魅せていく。ポップでどちらかというとキュートな衣装なのに、楽曲のせいかクールさと色気が隠し切れていない。

行きつく間もないメドレーのあとは再び暗転し、BGMに合わせて色とりどりのペンライトが揺れる。衣装を変えて登場したげんじぶが「ギミギミラブ」で今度はポップな世界へと誘う。バックもカラフルなものに。大倉空人の「せえの!」という掛け声と共に客席もジャンプ。Zeppがジャンプで揺れ、メンバーも笑顔を弾けさせる。大倉と小泉が顔見合わせて微笑むような仕草を見せたのも印象的だ。「ネバーエンドロール」ではキュートな振りで魅せつつ、メンバーの仲の良い雰囲気がそこはかとなく伝わってくるのが微笑ましい。

この大きな地球で、あなたがいることを誇りに思います

そのあとは「夜夏」「原因は自分にある。」へ。もうすぐライブが終わりに近づいているということを感じさせられる。げんじぶの楽曲には1曲1曲にギュッと物語が込められている。それらが積み重なってまた大きな物語を紡いでいる。観測者はそれぞれがどのような物語を想像するのか。

14曲を歌い終えて、口を開いたのは長野。「今日は来てくれてありがとうございました」というと、会場には暖かな拍手があふれた。
「この大きな地球で、長い歴史の中であなたとぼくたちがいること、そしてあなたがライブ会場に来てくれること、本当に誇りに思います。あなたの応援が僕たちの剣になります。今日こうして、Zeppツアーというスタートラインに立てること、こんな大きなステージに立てること、すべてあなたのおかげです。僕たちがまた倒れそうになったときは剣を貸してください。これは僕たちとあなたの曲です」そんな言葉と共に披露されたのは「藍色閃光」。歌詞に耳を傾けると、長野の言葉と歌詞がリンクしていく。個から地球、宇宙へと広がり、そして2人へと戻っていく。原因は自分にある。らしい哲学的で、それでいて愛にあふれた曲だ。

アンコールでは「Joy to the world」で客席と一緒に踊り、一体感を高め、MCで明るい笑顔をのぞかせた。

大倉はコロナ禍前のイベントのことを回顧しつつ、「こうやって僕たちに会いに来てくれるっていう方々がいるっていうのが本当に幸せ。ありがとうございます」と語った。
杢代は「こうしてZeppで(ライブが)開催できることが本当に嬉しくて。今年1年間は思うように殻を破れなかったというか。それは不安だったりもあったと思うんですけど、こうしてファンのみなさんの顔を見てライブをすると、心が温まって本当に幸せ者だなって実感します。こうしてメンバーと7人ライブができていること、そしてスタッフのみなさん、ファンのみなさんのおかげで僕たちはいると思います」と感謝の気持ちを込めて伝えた。

そして「来年1年、原因は自分にある。勝負の年になると思います。僕たちまだまだ見せたいものがありますし、見たい景色があります。観測者のみなさんとこれからもっともっと歩んでいきたいです。観測者のみなさんと僕たちと一緒にもっともっと夢の景色を観に行きましょう!」と決意を言葉にした。

武藤の「最後はこの曲で終わりにしましょう」という紹介で始まったのは「時速3km」。明るいオレンジの照明の中、歌うその曲はまるで原因は自分にある。とライブに訪れるファンが積み重ねていく時間のようにも感じられた。

2022年3月28日からは『ワンマンライブ げんじぶ空間:case.3』東名阪Zeppツアーも決定しており、杢代の言葉通り「勝負の年」のスタートとして、思わずよい予感を感じずにはいられない。「今回のZeppでのライブはスタートライン」という言葉もあった。原因は自分にある。はまだまだ走り出したばかり。2022年はどのような景色を見せてくれるのだろうか。

撮影:米山三郎 取材・文:ふくだりょうこ

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