中村勘九郎、息子の成長に目を細め「とても心強い」七之助も「責任感高まった」と太鼓判 『春暁特別公演2022』『陽春特別公演2022』取材会レポート
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左から 中村七之助 中村勘九郎 (C)中田智章
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すべて見る中村勘九郎、中村七之助を中心に、中村屋一門が行う全国巡業公演『春暁特別公演2022』『陽春特別公演2022』の開催を前に、両名がリモート取材会を行い、意気込みを語った。地方の歌舞伎ファンに向けた特別公演で、2005年から毎年欠かさず上演。2020年は中止となったが、昨年3月~4月の春暁特別公演で再開し、中村勘太郎、中村長三郎が巡業公演に初参加したことも話題を集めた。
『春暁特別公演2022』で披露する「高坏(たかつき)長唄囃子連中」について、勘九郎は「とても華やかな演目。今はお花見が自由にできないですけど、ぜひお花見気分を味わっていただければ」とアピール。また、今回、栃木公演が実現することで“47都道府県制覇”を達成し「やっとですね、念願が叶った」と喜びの声をあげた。
高下駄を新調したことも明かし、「以前は父の下駄を使っていたが、やはり人それぞれのサイズ感もあるので。今回が初お目見えになる」。七之助は「隅田川千種濡事(すみだがわちぐさのぬれごと)」にて、四役早替りに挑むことになり「エンターテインメント性が高いので、ぜひ生でお楽しみいただければ」と語った。
一方、『陽春特別公演2022』ではふたりの共演で「色彩間苅豆かさね」を披露。「清元(連中)の代表的な作品で、名調子もある。女と男のドロドロした部分も含めて、ストーリーも面白い」(勘九郎)、「かさね役はフランス公演で演じさせていただいたが、日本では初めて。自分自身、すごく楽しみにしている」(七之助)と見どころを紹介した。
また、『陽春特別公演2022』の「玉兎(たまうさぎ)」では、勘九郎の息子である勘太郎、長三郎がそれぞれ、月之助役、兎之助役で出演することも決定。勘九郎が「プレッシャーもあるでしょうが、稽古事にも身が入っていて、すくすく成長しており、とても心強い。芝居好きなのが何よりうれしい」と目を細めると、七之助も「特に長三郎は、責任感が高まったように見える」と太鼓判。勘太郎と長三郎の得意な絵をモチーフに、手ぬぐいなどのオフィシャルグッズが発売されることも明かされた。
新型コロナウイルスの感染状況が依然不透明な中での全国巡業となるが、勘九郎は「まだまだ歌舞伎を生でご覧になったことがない方がたくさんいらっしゃる。47都道府県制覇に満足せず、より精力的に続けていきたい」と抱負のコメント。七之助は「まだまだ大変な状況ですが、私たちにできることは、お客様に今の苦しみを忘れていただき、少しでも元気になってお帰りいただくこと」と背筋を伸ばした。
取材・文:内田涼
<公演概要>
「中村勘九郎 中村七之助『春暁特別公演2022』」
2022年3月6日(日) ~3月26日(土) 全国16カ所
【一】高坏(たかつき)長唄囃子連中
次郎冠者:中村勘九郎、大名某:中村小三郎、太郎冠者:中村仲助(昼)/中村仲侍(夜)、高足売:中村鶴松
【二】トークコーナー
中村勘九郎、中村七之助、中村鶴松
【三】於染久松色読販(おそめひさまつうきなのよみうり)より「隅田川千種濡事(すみだがわちぐさのぬれごと)」長唄囃子連中
許嫁 お光/油屋娘お染:中村七之助、丁稚 久松/土手のお六/猿回し夫婦 長三:中村いてう、猿回し夫婦 お作:澤村國久
「中村勘九郎 中村七之助『陽春特別公演2022』」
2022年3月30日(水) ~4月4日(月) 全国5カ所
【一】玉兎(たまうさぎ) 清元連中
月之助:中村勘太郎、兎之助:中村長三郎
【二】トーク&ミニ歌舞伎塾
中村勘九郎、中村七之助、中村勘太郎、中村長三郎
【三】色彩間苅豆かさね 清元連中
与右衛門:中村勘九郎、かさね:中村七之助
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