中島裕翔と磯村勇斗の繋がりは『ONE PIECE』に通ずる? 『SUITS/スーツ』が描いた男の友情
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「幸村・上杉法律事務所」で甲斐(織田裕二)の元、順風満帆な弁護士生活を送っていた大輔(中島裕翔)。しかし、『SUITS/スーツ』(フジテレビ系)第5話では、大輔の元に悪友の遊星(磯村勇斗)が傷害事件を起こして逮捕されたとの知らせが入る。大輔は警察署へ向かい、遊星の身柄を引き受けた。飲食店で他の客と口論になって暴れ、店側からは壊れた食器の弁償を求められていた遊星だが、マンションや車を失った上、まだ借金も抱えているという。
大輔は遊星にとって、親友であり、悪友である。大輔は、明晰な頭脳と、一度見たものは忘れない驚異的な完全記憶能力を持つ天才であるが、遊星もあくどいやり方で金を稼ぐ方法を考え出す天才だった。学生時代、遊星は大貴(大輔)に替え玉受験をやらせ、共に高校を中退。大貴はその後、さまざまな業種の替え玉受験で生活費を稼ぎ、その日暮らしのフリーター生活を送っていた。そして、“裏稼業”に手を染め、違法行為で金を稼いでいた遊星に、再び儲け話に誘われる。大貴は違法薬物の取引の罪を着せられる間一髪のところで、甲斐と出会った。
その後、甲斐からの「悪友との関係を切ること」を条件に、大貴から名を変え、遊星との連絡を断っていた大輔。しかし、大輔は、遊星の身柄を引き受け、彼の過酷な状況を知ることになる。そんな暗い状況でも、大輔は遊星に「ここが地獄じゃあるまいし、そんな死にそうな顔すんなよ」と言葉を投げかける。そして遊星が、「それ、『ONE PIECE』のせりふだろ?」と返すと、2人は笑った。その瞬間に見えたのは、親友同士である2人の姿。大輔は、遊星に会っていたことが甲斐にバレてしまっても「今は反省もしてますし、あいつが更生を望んでるなら少しでも手助けを」と友に寄り添おうとする。就職先を探している様子の遊星を見て、ほっとした大輔。もう会えない約束の代わりに、2人は飲みに出かける。大輔が弁護士になったことを遊星はとても喜んでいた。
「中途半端な優しさは友情とは言わない。それは甘やかしだ。彼の更生を本気で望むんだったら関係を切れ」。これは甲斐が大輔と遊星を想って言った言葉だ。大輔に借金取りから救われた遊星は、「やっぱ信じられんのはお前しかいないって、俺やっと分かったよ。お前のためにも心入れ替えて必死に働く」と話すが、話が終わる前に大輔は「もう、そういうのやめてくれ。恩を感じてるなら俺に近づくな」と突き放す。大輔は自分のように遊星が更生することを願って、遊星をもう一度自分から遠ざけようと、別れを告げたのだ。
遊星と別れた後、自転車を投げ飛ばし、物に当たる大輔の姿は、やるせない葛藤と戦っているようだった。『ONE PIECE』(集英社)でウソップがそげキングの仮面をとり、「ここが地獄じゃあるまいし、そんな死にそうな顔すんなよ」とルフィに投げかけた2人のように、大輔と遊星の辛い選択が、いつか2人を笑顔で引き合わせるための、必要なものになっていくことを願いたい。
(大和田茉椰)