今期ナンバーワンの注目俳優! 岡田健史、『中学聖日記』で見せる新人俳優としての強み
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毎クールごとに注目の若手俳優が多く登場する連続ドラマだが、今クール最注目の存在は、放送中である『中学聖日記』(TBS系)の岡田健史をおいてほかにはいないだろう。主演の有村架純の相手役として華々しくデビューを飾り、その輝きは回を重ねるごとに増している。
本作で岡田が演じるのは、中学3年の男子生徒・黒岩晶。有村演じる担任教師・末永聖に恋心を抱き、積極的に迫っていくという役どころだ。“中学教師と生徒の純愛”というセンセーショナルなテーマの中で、彼は実に瑞々しい演技を披露している。この瑞々しさ、あるいは初々しさについては、誰もが頷かないわけにはいかないだろう。それもそのはず、彼はオーディションにてこの役を射止めたが、本格的な演技はこれが初めてなのである。
映画や舞台などであれば、メインキャストに新人俳優が起用されることも珍しくはない。しかし、地上波放送の連続ドラマのメインキャストに、完全なる新人が起用されることは異例だろう。商業作品での演技経験のなかった彼に与えられた、計り知れないプレッシャーの大きさは容易に想像できるし、映画や舞台のようにじっくり時間をかけて作品を作っていくのと違い(映画の場合は作品にもよるが)、テレビドラマの場合はそういうわけにもいかないはずだ。撮影直前に台本があがってきたり、回によって演出者(監督)が変わったりするというのはよく耳にするところである。やはりそこでは、経験や臨機応変な柔軟性が求められるのではないだろうか。ここに彼を起用するのは、製作陣にとっても大きな賭けのはずである。よほど彼が誠実な人間であることを見込んでの選択に違いない。
しかし当然、彼の演技はまだおぼつかない印象だ。初回の第1話など、手練の俳優陣を相手にする姿に、正直なところ冷や冷やしながら観た方も多いだろう。だが彼の演技経験の少なさから生まれる瑞々しさや初々しさは、演じる晶のひたむきな姿にピタリと重なり合う。一つひとつのセリフを丁寧に、懸命に口にする姿が、不器用ながらも体当たりで自分の想いに素直になる思春期の少年の純粋さや儚さとも重なり合うのだ。
ところで、期待の新人として大抜擢され注目を集め、現在も第一線で活躍する存在だと誰がいるだろうか。ここ近年で挙げるならば、『桐島、部活やめるってよ』(2012)で演技に初挑戦した東出昌大や、『2つ目の窓』(2014)で大きな話題をさらった村上虹郎などが思い浮かぶ。両者とも、今もっとも追いかけていきたい俳優である。さらにはつい最近、浅野忠信の長男である佐藤緋美が、演技未経験ながら舞台『書を捨てよ町へ出よう』で主演デビューを果たしたばかり。ちなみに同舞台は、2015年に上演されたものの再演版。初演時は村上虹郎が主演していたこともあり、否が応でもこの佐藤緋美の今後に期待してしまう。
しかし、東出がモデルとしてのキャリアを持っていたことや、村上や佐藤がサラブレッドとしても注目されていることは否定できない。もちろん、別ジャンルでのキャリアや血統は、現在の彼らの活躍とイコールではないだろう。私たちが知らぬところで、いくつもの闘いをくぐり抜けてきているはずである。だがそんな彼らと岡田はまた違う。まだ何色にも染まっていない、完全にまっさらな存在なのである。だからこそ、彼がこの大抜擢された背景には、製作陣を突き動かした、何かまだ大きな力を秘めているに違いないと思えるのだ。
言うまでもないが本作での活躍は、役者としてだけでなく、彼自身にとっても大きな経験となるのだろう。思春期のひとときが刹那的であるように、新人俳優が湛えられる瑞々しさもまた刹那的なものである。黒岩晶役として、そして、俳優・岡田健史としての成長を追いかけていきたい。
(折田侑駿)